1.聴導犬とは
1-1.命を安全に保つための仕事/a>
1-2.家屋内で必要な音を知らせる仕事
2.聴導犬として活躍する犬種の例
2-1.ラブラドール・レトリーバー
2-2.ゴールデン・レトリーバー
2-3.プードル
2-4.ジャーマン・シェパード
2-5.その他
3.聴導犬になるまでのステップ
3-1.聴導犬に適した性格
3-2.知能とトレーニングのしやすさ
3-3.聴導犬のトレーニング
聴導犬とは
聴導犬とは、耳の不自由な方に音を知らせて、生活のサポートをする役割をこなすワンちゃんです。
生活する上で必要になる様々な『音』を、ユーザーにタッチしたり誘導したりといった『動作』で知らせます。
実際に聴導犬がどのようなシーンでサポートしてくれるのか、具体的なシーンをいくつかご紹介いたします。
◆命を安全に保つための仕事
・睡眠時においても、警報機が鳴ればユーザーを起こし、伏せをして危険を知らせる。
・自宅に加えて、デパートや宿泊先などでも、煙報知器の音が鳴ると伏せをして危険を知らせる。
・有事の際、避難確認のドアノック等を知らせる。
・家の中で事故が起きた場合など、助けを呼びたい時に家族を呼びに行く。
・赤ちゃんの泣き声をすぐに知らせ、更にひきつけや泣くことによる嘔吐などを防ぐ。
◆家屋内で必要な音を知らせる仕事
・目覚まし時計の音で、寝床まで起こしにいく。
・料理タイマーの音で、タイマーの場所まで導く。(電子レンジや調理時間の他、洗濯機やお風呂の水が溜まった際の対応も可能)
・笛吹きやかん(ピーピーケトル)の音で、やかんの場所まで導く。
・ドアベルの音で、訪問客が来たことを知らせる。
・電話やFAXの音で、電話機へと導く。
・赤ちゃんや幼児の泣き声で、赤ちゃんや幼児のいる所へ導く。
・携帯用の呼び鈴の音で、受付まで導く。(携帯用呼び鈴→郵便局・病院などの順番待ちの際に受付の人に鳴らしてもらう)
・人に呼ばれたら、呼んでいる人の所へ導く。
聴導犬として活躍する犬種の例
聴導犬の主な作業内容は、ユーザーに音を知らせて音源まで連れて行くことです。
このことから、体の大きさは特に必要ない為、体格に限らずさまざまな犬種が活躍しています。
しかし、室内での生活のしやすさや外出時の安全面を考慮すると、小型犬は人ごみの中で踏みつけられてしまう可能性があるので、中・大型犬の方がパートナーに向いていると考えられることが多いようです。
現在聴導犬として活躍する犬種にはこのような犬種がいます。
◆ラブラドール・レトリーバー
盲導犬ときくと一番に思い浮かぶのが、ラブラドール・レトリーバーだという方は多いでしょう。実際にこの犬種の多くが、ワーキングドッグとして様々な場所で活動しています。
これはラブラドール・レトリーバーには、従順な性格で学習能力が高いという特徴があるからだと考えられます。また、頑固な一面も持ち合わせているため、しっかりと犬自身が判断して、人のために動くことができるという点も大きいでしょう。
ちなみに、体高は約55〜57cm、体重は約25〜34kgの大型犬です。
人に喜ばれるのが大好きで食いしん坊な傾向もあるため、しつけもしやすい子が多いです。ただし、中には何をされても嬉しくて興奮してしまう子もいるので、そういった場合は落ち着いた振る舞いを身につけさせるのが少し大変でしょう。
◆ゴールデン・レトリーバー
何事も寛容な態度で受け入れることができ、場の空気を読むのが得意なゴールデン・レトリーバー。自分よりも幼い犬や体格の小さな犬が相手でも、合わせて優しく接することができる犬種です。さらに学習能力が高いので、人間との生活の中でとるべき行儀よい行動パターンなども、比較的早く学習し、身に付けることができるでしょう。
体高は約51~61cm、体重は約25~32kgの大型犬で、運動能力も高いので、アウトドアやドッグスポーツを一緒に楽しみたいという飼い主さんにもおすすめの犬種だといえます。
◆プードル
明るく活発で遊び好き、温厚で友好的な性格をもつトイプードルは、愛情表現も豊かでペット人気でも常に上位に位置する犬種です。利口で人の指示をよくきき、状況判断しながら的確に行動することもできるので、しつけがしやすく飼育しやすい点も、人気の理由の一つだといえるでしょう。ただし、甘やかすとわがままになる傾向もあるため、犬からの要求に常に応じるのではなく、飼い主さんが主導権を握ることが大切だといわれています。
大きさによって4種類に分類されるプードルですが、その内もっとも小さいのがこのトイ・プードルです。体高は約23~28cm、体重は約3kg前後の小型犬で、スクエア形のバランスのとれた体型をしています。
ちなみに、他の3種類のサイズは以下の通りです。
◎ミニチュア・プードル…体高:約28~35cm前後、体重:7kg前後
◎ミディアム・プードル…体高:約35~45cm前後、体重:15~18kg前後
◎スタンダード・プードル…体高:約45~62cm前後、体重:23~25kg前後
尚、近年ではトイよりも小さいタイニー・プードル、ティーカップ・プードルも人気ですが、これらは正式に認められてはいないので、プードル種の中ではトイが最小という形で紹介しています。
◆ジャーマン・シェパード
牧羊犬として作出された犬種のため、初対面の人がおやつをくれても食べなかったり、安全と分かるまで近づかないなど、警戒心が強く相手を簡単に信用しない性格をもつ個体が多いといわれています。
自身がつくとそこに冷静さが加わるため、とても落ち着きのある犬種となるでしょう。
家族に対して従順で愛情深く、飼い主さんのことをよく見て、指示を忠実に守ることが得意です。
ジャーマンシェパードというと、警察犬のイメージが強いかと思いますが、上記のような犬種としての特徴から、聴導犬としても活躍しています。
体高は約55~65cm、体重は22~40kg程の大型犬です。
◆その他
上記犬種の他にも、聴導犬として活躍しているワンちゃんはたくさんいます。パピヨンやシー・ズーにも聴導犬として認定された子がいます。
また純粋犬種(いわゆる血統書付きの犬)に限らず、ミックス犬と呼ばれる雑種の聴導犬も存在するのです。
中でもF1(エフワン)と呼ばれるワンちゃんは多数活躍しています。F1とは、ラブラドール・レトリーバーとゴールデン・レトリーバーのミックス犬のことなのですが、両親犬種共に聴導犬に向いていることからも適性の高さが窺えます。
聴導犬になるまでのステップ
前述の通り、聴導犬となれる犬には、基本的な適性さえあれば犬種や大きさは関係ないとされています。
聴導犬として人をサポートする上で、健康状態が良好でなければ、ユーザーの生活支援や同伴によるサポートを行うことは難しくなります。
このような健康面はもちろんですが、その他、聴導犬としての『適性』にはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、聴導犬に向いていると言われている『適性』についてと、どのようなステップを踏んで聴導犬として活躍するのかをご紹介します。
◆聴導犬に適した性格
聴導犬に限らず、聴導犬や介助犬などのいわゆる補助犬には、共通して以下のような性格が求められます。
◎人間に対する愛着があり、一緒に何かを楽しむことが好きで、人との生活に積極的に関わろうとする。
◎順応性があって、環境の変化に左右されずに、いつも自分らしくいることができる。
◎集中力・率先力がある。
さらに聴導犬の場合には、上記に加えて次のような性格要素が求められます。
◎盲導犬・介助犬と違い、指示がなくても自ら仕事を開始できる。
◎飼い主(ユーザー)が必要な音に対する、率先力がある。
◎音に対して敏感過ぎず、また鈍感すぎない。 …など
◆知能とトレーニングのしやすさ
前述したように、聴導犬になるためには訓練が必要です。友好的であるなど元々の正確による適正ももちろん必要不可欠ですが、人間社会で生活するための基本的なマナーや、本来の目的でもある音への反応・行動についてのトレーニングを受けなくてはいけません。基礎訓練は実働日数として、概ね60日間以上行うことと定められていますが、ある程度の知能やトレーニングの入りやすさもポイントとなってくるでしょう。
◆聴導犬のトレーニング
聴導犬となる候補犬は、動物愛護センター・動物愛護団体・保健所等に収容されている、捨てられたり保護されたりした犬の中から選ばれます。これは、動物福祉の観点から決められているようです。
生後2ヶ月から4ヶ月の子犬がもつ元々の性格を評価し、聴導犬として向いている子が選ばれ、訓練事業所においてトレーニングをするのです。
また、他の補助犬協会でキャリアチェンジになった犬を、候補犬として導入する取り組みも行われているようです。
そして、候補犬として選ばれた場合、以下のような3段階の訓練を受けることとなります。
① 人と暮らすマナーを身に付けて、音に反応するよう訓練する。(~1歳)→マッチング
② 聞こえない人の生活に合わせた音の訓練、公共の場での訓練をする。
③ 希望者と犬がきちんとした関係を作るため、一緒に生活しながら訓練する。
こうして候補犬が育成され、合同訓練終了後に書類審査・動作検証などの認定試験を受け、合格した犬だけが聴導犬として認定されるのです。
まとめ
NPO法人日本補助犬情報センターによると、現在国内での補助犬実働頭数は900頭を超えています。聴導犬に限らず、盲導犬・介助犬として、たくさんのワンちゃん達が人間のために重要な役割をこなしてくれているのです。
日々の生活の中でも駅のホームやデパートの中、公園や道路脇などで、こういった補助犬達を見掛けることがあるでしょう。犬好きな人なら特に、可愛い!と思って声を掛けたり、近付いてしまいそうになりますが、補助犬が仕事中であることを決して忘れないでくださいね。
特に聴導犬には小型犬も多いため、一見ペットとして見られがちなので十分注意してください。
触ったり、食べ物をあげたり、じーっと見つめることなどは避けるように、情報センターからも支援として皆様へのお願いがされています。
今回紹介した聴導犬などの補助犬という存在がいることをまずは知り、補助犬達がどういった仕事をしているのかを理解しておくことも、立派な支援の第一歩となるでしょう。
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