【掲載:2018.03.02 更新:2025.06.09】
西郷隆盛の像に犬がいるのはなぜ?

西郷隆盛と犬の姿と言えば、東京「上野公園」の銅像を思い浮かべる人が多いでしょう。
少しガッシリした体型の西郷隆盛の横に、犬がオスワリしていていますが、この犬の正体は、西郷隆盛の愛犬だったツンという薩摩犬だと言われています。
西郷隆盛が生まれたのは鹿児島県で、当時勢力の強かった薩摩藩が地元です。
西郷隆盛は幕末の政治に深く関わり、多くの活躍を果たしたため、やがてその功績を称えて像が作られることとなります。
犬がいる理由としては諸説ありますが、ひとつは西郷隆盛は愛犬家としても有名でしたので、像がつくられる際に側に愛犬の像も一緒に作られたと言われています。
ちなみに、銅像を作る時点でツンはすでに他界していましたので、モデルになったのは他の薩摩犬のオスと言われています。
オスをモデルにしたのは、銅像にするには「大柄」な方が見た目も迫力があるからという見栄えの関係だそうです。
実際のツンは、小柄なメスの薩摩犬だったので、銅像のサイズよりは小さめだったと言われています。
西郷隆盛に纏わる豆知識
銅像の西郷隆盛は実物とは違う!?
上野公園の銅像のツンの姿は実際のものとは違いますが、実は「西郷隆盛」自身も本当の姿とは少し違うのだとか…。
西郷隆盛は「写されるのが嫌い」という理由から写真が残っていません。
銅像のために参考にするものがなく、家族の話や残されていた抽象画から製作され完成したもの。
そのため、完成した銅像を見た家族が「ちょっと違うかも」という感想を述べたという説もあります。
おそらく、イメージ的には極端に違わないとは思いますが、写真が残っていないとなると本当の西郷隆盛の顔がちょっと気になるものですね。
◆ツンとの出会い
ツンは元々は他の飼い主さんと暮らしていたワンちゃんでしたが、初めてツンに会ったときに「一目ぼれ」をした西郷隆盛が、元の飼い主さんに頼み込み、譲ってもらったと言われています。
ツンが飼われていた地元、鹿児島県薩摩川内市東郷町藤川には、大河ドラマをきっかけに「西郷どんのツン」と名前が刻まれたツン単独の銅像も建立されていて、観光スポットにもなっています。
◆西郷隆盛はツンの他にも薩摩犬を飼っていた!
実は、西郷隆盛はツンの他にも猟犬を10匹以上飼っていました。
特に、薩摩犬が好きだったようで、彼の愛する犬たちのほとんどが薩摩犬でした。
政治を離れ地元に帰った西郷隆盛は、だんだんと太り気味の体型となり「健康のために痩せるように」と医師から助言されていました。
そこで「ダイエット目的」もあり、西郷隆盛は大好きな犬たちと山へ出かける生活を日課にするようになっていきます。
◆西郷隆盛と愛犬について
西郷隆盛と言えば西南戦争が頭に浮かびますよね。
政治を退いた西郷隆盛が地元で穏やかに暮らしていたところに、士族たちの反乱のリーダーになってほしいと声をかけられます。
それが西南戦争に結びつきます。
この戦いには、彼は愛犬のうちの何匹かを一緒に連れていったと言われています。
最終的には、自分たちの「敗北」を悟った西郷隆盛が山のなかで自決する直前に、犬を逃がしたという逸話が残っています。
気になるのはツンのことですよね。
どうやら、ツンは戦争には連れていかれず、信頼できる友人に預けられていたのだとか。
預け先の人がとても良い人で、主人を亡くしたツンは生涯を終える瞬間まで優しく育ててもらったと言われています。
薩摩犬ってどんな犬?

薩摩犬は、「地犬(じいぬ)」と言われる和犬のうちの一種で、鹿児島県原産の犬です。
薩摩犬は運動能力もあって、人間に忠実な性格から、イノシシ狩りでは大事な役割を担っていました。
薩摩犬は大きさとしては、「柴犬」と同じくらいの大きさと言われており、小型から中型くらいのそれほど大きくない体型と言われています。
薩摩犬の耳は、整った三角形で音がよく聞こえるかのように、ピンと真上に立っていて、尻尾は「指し尾」と呼ばれ、まっすぐに伸びているのが特徴的です。
薩摩犬の目は、とても黒く澄んでいますいて、黒いなかにも輝きがあるとされています。
また、薩摩犬は子犬時代のころから成長するまでに被毛の色が若干変わります。
子犬のころは、だいたい茶色なのですが、成長するにともなって、茶色から少し黒い褐色になります。
成犬となったときの被毛は「黒毛胡麻」とも言われ、赤あるいは黒に茶色が混ざったような色合いです。
どちらかというと「黒」の色味が強いので、黒毛胡麻と言われています。
地犬とは
日本犬と言えば、柴犬や秋田犬をはじめ6種類のワンちゃんがいますが、このほかに特定の地域に古くから生きていた「地犬(じいぬ)」と言われる和犬がいます。
地犬には、そのほかに川上犬(長野県)、岩手犬(岩手県)、屋久島犬(鹿児島県)、肥後狼犬(熊本県)、美濃犬(岐阜県)、大東犬(沖縄県)、津軽犬(青森県)、越後犬(新潟県)、日向犬(宮崎県)など多数の種類がいます。
これらはすべて血統が続いているわけではなく、なかには「絶滅した」あるいは「絶滅寸前」となっているものも多いです。
薩摩犬は実はすでに血統が途絶えているので、実物を見ることはできないでしょう。
薩摩犬ってどんな性格をしているの?
猟犬というイメージから「強面なのでは?」と思うかもしれませんが、西郷隆盛がメロメロになっていただけあって、凛々しいなかにも可愛さもありました。
そんな薩摩犬の性格はいったいどんな感じなのでしょうか。
◆飼い主に忠実
日本で生まれ育った和犬は、主人に忠実だと言われることが多いですよね。
特に、忠犬ハチ公のモデルにもなった「秋田犬」、最近海外でも大人気の「柴犬」は、日本犬のなかでも飼い主のことが大好きで忠誠を尽くす犬種です。
やはり、日本に古くから生息しているという共通点を持つからなのでしょうか。
薩摩犬も、飼い主にとても忠実な性格だったようです。
イノシシ狩りという人間のお手伝いをするからには、飼い主に忠誠を誓うことで責任感を持って動かなければ務まらなかったのかもしれませんね。
◆むやみに吠えない
猟犬としての任務に必要なときにはもちろん吠えますが、むやみに吠えない利口な性格です。
◆俊敏性がある
「狩り」を手伝わせるなら俊敏性は重要ですよね。
薩摩犬は、とても瞬発力がある犬で、野生のイノシシを追いかけるのが上手かったそうです。
イノシシの追撃が上手いだけでなく、自分の役割をしっかり分かっている賢さも魅力だったのでしょう。
人々に重宝されていたのも分かるような気がしますね。
◆泳ぎが得意
運動能力が高い薩摩犬は、水のなかで泳ぐのも得意だったようです。
水のなかで泳ぐ機会がどれだけあったのかは想像つきませんが、猟犬時代は勇敢に獲物に立ち向かっていたことでしょう。
まとめ
西郷隆盛と愛犬の銅像は頭にイメージできても、それが薩摩犬という由緒ある猟犬だったということを初めて知った人も多いのではないでしょうか。
日本犬と言えば、柴犬や秋田犬が有名ですが、それ以外でも薩摩犬のように「日本」生まれのワンちゃんたちが数多くいたことが嬉しくなりますよね。
ただ、残念なのは薩摩犬がもう幻となってしまっていること。
一度復活しかけたのに、再びいなくなったのは残念なことですが、愛犬家である西郷隆盛が薩摩犬のツンを飼っていたエピソードは心温まるものを感じますね。
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