【獣医師監修】犬の血便の原因、治療法は?血便を発見した時はこれをチェック!

2018.06.11

【獣医師監修】犬の血便の原因、治療法は?血便を発見した時はこれをチェック!

血便とは、自身の血液が付いた便や、血液混じりの便のことを指します。血便の原因は様々で、大腸や小腸などの内臓疾患や、肛門、中毒やアレルギー、ウイルス、誤飲、寄生虫など多岐に渡ります。検便やバリウムを使用したレントゲン検査、超音波検査などで原因を探り、治療していくことが一般的です。 犬の場合、言葉を話せないため、便や尿は健康をチェックするバロメーターでもあります。犬の血便についてご紹介します。

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血便とは?

犬の血便

血便とは、自身の血液が付いた便や、血液混じりの便のことを指します。

血液は鮮やかな赤の場合もあれば、赤褐色の場合もあります。便自体は、粘膜を伴う粘膜便、普通の固形便、軟便、下痢便と、その時の腸内状態によって異なります。

どんな便の状態であれ、血液が付着していたり、混ざっているものを血便と呼びます。


血便の原因は?

犬の血便の原因

犬の場合、言葉を話せないため、便や尿は健康をチェックするバロメーターでもあります。そのため、犬の血便は見過ごしてはいけないポイントです。

では、何故血便が出るのでしょうか。犬の血便の原因に考えられるものをご紹介します。

◆肛門周囲の炎症

犬の肛門周囲に炎症が起きていたり、裂傷がある場合があります。また、肛門嚢の炎症や破裂、会陰ヘルニアや肛門周囲の腫瘍などでも血便が出ます。

肛門周囲が原因の場合の血便は、便自体に血液が付着していることが多いです。

◆大腸の炎症

大腸に原因がある血便の場合は、便自体に血液が付着いていたり、内側にも付着していたりすることが多いです。
腫瘍(良性のポリープや、悪性のがん腫瘍)や突発性大腸炎、腸閉塞、虚血性大腸炎、炎症性大腸炎(潰瘍性大腸炎)など様々な病気が原因として考えられます。

大型犬に多い腸捻転も、血便の原因になり得る病気です。

◆小腸の炎症

病気の発生頻度が比較的低いといわれる小腸も、犬の血便の原因の可能性があります。
小腸が原因の血便は、ウイルス感染や寄生虫感染、誤飲、腫瘍、消化管の炎症などが多いです。

◆血液

犬の血便は、血液自体のトラブルが原因の場合もあります。自己免疫性溶血性貧血や、主にノミやマダニなどの寄生虫の吸血による出血、再生不良性貧血などが多いです。

◆中毒

犬が食べてはいけないものの代表的なものにタマネギがあります。このタマネギやニラ、ニンニクなどのネギ属が持つ「アリルプロピルジスルファイド」という成分が、血液中のヘモグロビンを酸化させることで、犬は溶血性貧血を起こします。

溶血になると、血液の中の赤血球が破壊されるため、血色素(ヘモグロビン)が流れだしてしまいます。そのため、身体自体は貧血となり、尿や便で血液が排出されてしまうのです。

血便が出た場合は、このような食物による中毒症状の可能性もありえます。

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◆内臓疾患

犬の血便は、胃や食道、十二指腸などの内臓疾患の可能性もあります。胃潰瘍や十二指腸潰瘍、腫瘍(ポリープ、がん)などが代表的です。

内臓疾患による血便の場合、犬の便に混ざる血液は鮮血ではありません。真っ黒の便だったり、タール状(粘り気のある泥状)だったりします。

タール状の便の場合は、出血量が多い可能性がありますので、直ぐに動物病院を受診することをおすすめします。

◆ウイルス

ウイルスによる血便の可能性もあります。

一番はじめに疑われるウイルスは、犬のパルボウイルス感染症です。
感染力の高いウイルスですが、パルボウイルスのワクチンは犬の混合ワクチンに含まれているため、接種している成犬にはあまり見られません。そのため、パルボウイルスが疑われるのは概ね若年齢の犬や子犬です。

◆アレルギー

前述した、炎症性大腸炎が原因の血便の場合は、アレルギーによる可能性があります。食物アレルギーによって大腸の炎症が起こっているケースです。

昔よりもグルメになってきている犬は、最近では約4割がアレルギーだといわれています。ペットショップや処方食でもアレルゲン除去食はあり、販売は一般的になりつつあります。
犬に多いアレルゲンは小麦、鶏肉、羊肉、卵、とうもろこし、大豆などです。

犬のアレルギーは血液検査で判定することができます。

◆誤飲

血便は、食べ物ではないものを犬が飲み込んでしまい、腸管などの内臓を傷つけてしまった可能性もあります。特に尖ったものだと、腸管を突き破ってしまう(穿孔)こともあります。

犬は、飼い主が思ってもいないような大きさのものを飲み込んでしまいます。
過去に私がこの目で見た誤飲は、テニスボール、やきとり串、ゴルフボールなどがあります。

動物病院で誤飲の可能性ありとされた場合は、人間同様にバリウム造影をした後に、催吐処理(吐かせる処置)をします。ウンチとして出せる可能性があるものは、繊維質の多い食事などで包み込んで出すなどの指示をしますが、最悪の場合は手術になります。

◆寄生虫

犬の血便は、寄生虫が原因であることも多いです。多いものは鉤虫や鞭虫で、地域の公園などで感染するケースがあります。

この二種類の寄生虫は犬にとっては、かなりポピュラーな寄生虫です。飼い主が気付いていないだけで、寄生されている犬は大多数に及びます。

普段あまり犬の身体に悪さをしないのは、月に一回飲んでいるフィラリア予防薬に寄生虫駆除薬も配合されていることが多いからと考えられています。

◆腸内細菌

主にカンピロバクター(キャンピロバクター)という腸炎を起こす菌が原因の血便の場合もあります。
カンピロバクターは人間に感染し、腸炎を起こし下痢を引き起こす危険性もあります。

カンピロバクターが原因の血便の場合は、粘血便が多いです。

一般的には自然治癒することが多いため、下痢の脱水防止に水分補給をするなどの対症療法をとることが多いです。


犬に痔はあるの?

人間だと肛門からの出血が疑われる時には痔かもしれない?と思うものですが、犬にも痔はあるのでしょうか。

人間の痔と全く同じ症状の痔は、犬は身体の構造上なることはありません。
しかしながら、人間の痔と似た症状はありますので、その症状を「犬の痔」と呼ぶことはあります。

症状は、主に切れ、いぼ、痛み、出血、腫れ、痒み、不快感などです。


犬が血便したらどうすれば良い?

犬が血便したときには、その便を必ず持って、動物病院に行きましょう。口頭で話すよりも便を持って行った方が解りやすいからです。

・色の具合(鮮血かどす黒い赤褐色か、黒色かなどで原因箇所が解る場合があります)
・血の混ざり方
・便自体の問題かどうか

以上のような血便の状態を確認します。

また、検便などの対応をすることもできます。
犬の検便は、人間の検便の様に専用のケースに入れなければいけないということはありません。

ペットシーツの上に血便をしている場合は、そのままふんわり包んで、上からビニール袋をかぶせて持っていきましょう。
お散歩中でしたら、散歩中の処理方法と同じ様にビニール袋などに入れて持ってくるようにしましょう。


血便の検査方法、治療法は?

犬の血便の検査方法

では、血便の治療法にはどんなものがあるのでしょうか。詳しくご紹介します。

◆検便

まずはじめに、一番短時間で検査結果のわかる「検便」を行う動物病院が多いです。

これは、血便の原因が寄生虫や腸内細菌バランスによるものでは無いかを確認するためです。寄生虫による犬の血便の原因は、鉤虫や鞭虫という種類の寄生虫が原因のことが多いです。

寄生虫検査は、検便を始めて10分程度で結果が解るため、気軽に出来る検査の一つです。

◆パルボウイルスの検査

犬のパルボウイルスの検査は、血液検査や便を使用する検査キットで簡単に調べることができます。

特に若年齢の犬や子犬でパルボウイルスの疑いがある場合には、必ず動物病院にその旨を電話してから来院するようにしましょう。
パルボウイルスは感染力が高いウイルスのため、他の来院犬猫に影響を与える可能性があるからです。

◆レントゲン検査

レントゲン検査は異物の誤飲などが疑われる時に行います。バリウムを使った造影検査が行われることも多いです。

バリウム造影の場合は、人間と違い、自らゴクッと飲んでくれないため、獣医師がシリンジ(注射器の本体部分)で口の横から少しずつ注入して飲ませます。

数分後、10分後、30分後と時間をあけて、バリウムの流れ具合から詰まりを探していく検査のため、時間がかかります。

◆内視鏡検査

大きい動物病院の場合、犬の内視鏡検査を行う場合もあります。出血している箇所を見付け、状態を目視する方法です。

腫瘍(良性のポリープや、悪性のがん腫瘍)の場合は、組織を採取して専門機関の検査に繋げることもあります。

◆超音波検査

犬の超音波検査(エコー)は一般的な検査のため、どこの動物病院にも機械が置いてあることが多いです。
超音波検査では腸管の浮腫などがわかるため、炎症を見付けることができます。

おとなしくできる犬には有効ですが、暴れる犬には麻酔処置が必要なため使わないこともあります。

◆投薬

整腸剤を使用し、犬の腸内バランスを整えてあげる治療法があります。

原因がウイルスや細菌の場合には、抗生物質の投与も一般的です。抗生物質はウイルスや細菌の増殖を防止する効果があるためです。
また、消炎効果があるため、ステロイド投与も多いです。

他にも粘膜保護剤や胃の炎症の改善薬など、症状に合わせて処方が行われます。


犬の血便は身体の中の危険サイン!すぐに受診しましょう。

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血便とは、自身の血液が付いた便や、血液混じりの便のことを指します。犬の血便は、病気やウイルス、がんなどの腫瘍などの原因が考えられます。

犬の場合、言葉を話せないため、便や尿は健康をチェックするバロメーターでもあります。血便は身体の中の危険サインですから、直ぐに受診するようにしましょう。



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St.Elmos

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動物看護士、トリマー、愛玩飼養管理士などの資格を持っています。 家族の一員としてのワンちゃんネコちゃんにまつわる情報をお伝えできればと思います。

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