【獣医師監修】犬の目やには何が原因?考えられる病気とお手入れ方法とは?

2019.11.21

【獣医師監修】犬の目やには何が原因?考えられる病気とお手入れ方法とは?

犬を飼っていると意外と気になってしまうのが「目やに」ですよね。目やにがたくさん出ていると、「病気かな?」と心配になってしまう事かと思います。一体目やには何が原因で出てしまうのでしょうか? 今回は犬の目やにが出る原因と目やにのお手入れ方法の他、ひどい目やにから考えられる病気について説明したいと思います。

犬の目やにの原因は?

犬の目やにの原因

犬の目やにと言っても、目やにの色や粘着度などによって原因が大きく変わってきます。

◆正常な犬の目やに

まず、犬の正常な目やにがどんな状態なのか見てみましょう。

正常または健康な状態の犬から出る目やには、

・量が少ない
・透明に近い

という状態の目やにであると言えます。

元々目やにとは、古くなった老廃物、細胞、組織を体外に排出するための生理的現象なので、健康な犬でも出てしまう事は正常です。

私たちも寝起きなどは目やにが出てしまう時がありますよね!

◆注意が必要な目やに

では、健康な目やにではない時に出る目やにとは一体どんなものが原因なのでしょうか。

目やにの種類別に説明していきます。

●黒い目やにの原因は・・・

黒い目やにが出ている場合は、犬の目にゴミやほこりが入ってしまった事で出ている目やにという事が多いです。
目に入ってしまったゴミやほこりを目やにとして体外へ排出しようとしているのですね。

●緑色、黄色の目やにの原因は・・・

目やにが緑色または黄色をしている場合は、犬の目に何らかの感染症が起きている可能性があります。
犬の目から膿が出ていたり老廃物が過剰に排出されすぎているため、このような緑色や黄色の目やにが出るのです。

緑色または黄色の目やにが出ている場合、炎症が起きている事や結膜や眼球の充血、腫れが見られる事も良くありますので、注意が必要です。

炎症が起きているという事は痒みが出ているという事なので、犬が自分で目を掻こうとして目を傷つけてしまわないように気を付けましょう。

●粘着性が強い、涙が良く出ている目やにの原因は・・・

「粘着性が強い」または「涙が良く出ている」といった場合には結膜炎、角膜炎、流涙症の可能性があります。

しかし、犬の目が乾いている時は「ドライアイ(乾性角膜炎)」の可能性がありますので、自己判断せずに病院へ受診してくださいね。

●赤い目やにが出ている原因は・・・

目やにが赤くなっている場合は出血している可能性がありますので、直ちに病院へ受診しましょう。


犬の目やにがひどい時に考えられる病気は?

先ほどの「犬の目やにの原因」で目やにの種類によっては病気が隠れている事が分かりましたよね。

では、先ほどご紹介したような、正常でない目やにはどんな病気から引き起こされているのでしょうか。目やにによって分かる病気をご紹介していきます。

◆結膜炎

結膜というものは、まぶたの内側にある粘膜の事です。結膜炎とは、この結膜に炎症が起きている症状の事を言います。

ウイルス感染、細菌感染、ゴミやほこりなどの異物、逆さまつげ、アレルギー、ドライアイなどの様々な要因から結膜炎になるリスクがあります。

目に痛みや痒みを感じるケースが多いので、犬が目をしきりに気にしている場合や目やにが正常でない場合、目の周りが涙で濡れている場合は結膜炎の可能性があります。

◆角膜炎

角膜というものは眼球を覆っている膜のことで、透明です。角膜に傷が付いた時、ウイルス感染、細菌感染などによって角膜に炎症が起きている状態の事を言います。

目が充血し正常ではない目やにが出ますし、目に痒みを感じるので犬が目を気にします。

◆ドライアイ

乾性角膜炎とも言います。涙の量が減少していることで眼球が乾燥してしまう症状です。

犬の免疫の状態が関係して発症する事が多いそうです。眼球が乾燥している事により角膜が傷付きやすいので、乾燥から角膜炎になってしまった状態です。

ドライアイの場合は乾燥した目やにが出る事が大きな特徴です。

◆流涙症(涙やけ)

目にゴミが入っているワケでもないのに日常的に目から大量の涙が出ている病気です。

日常的に大量の涙が流れているので、目頭から目尻にかけて毛の色が変色してしまう「涙やけ」がおきてしまいます。

常に涙で目の周りが濡れているため、目周りの皮膚の炎症などに発展するリスクが高い病気なのです。

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犬の涙やけは、涙が溢れてしまう「流涙症」のことで、目の周辺の皮膚が炎症を起こしたり、被毛が変色したりします。涙やけの原因は鼻涙管の閉塞や異物の混入、アレルギー反応、目の病気や栄養の偏りなど様々です。治療法は異物を取り除く、原因病を治療する、食事を変えるなどの方法があり、手術が必要なこともあります。 今回は、犬の涙やけについて詳しくご紹介します。

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◆ぶどう膜炎

ぶどう膜炎は他の感染症や目の病気が進行する事に寄って合併症として起こる病気です。

眼球、結膜などが充血してしまい、大量の目やにが痛みの症状と共に現れます。

◆白内障

眼球の内側には水晶体という物が存在します。その水晶体が白濁してしまう病気です。

老犬になるにつれて発症率が高まりますので、愛犬家の皆様の中には白内障の犬を見た事がある方、飼っている方がいると思います。

白内障になってしまうと視力が低下してしまうだけでなく、失明してしまうリスクもあります。
さらに他の眼病を合併する事もあります。白内障は点眼薬や手術によって対応しますので、白内障の兆候が見られた場合には病院に相談しましょう。

◆緑内障

眼圧という、眼球の圧力が上がってしまう事で眼球が少し盛り上がりを見せる症状です。緑内障の場合の目やには粘着性が高く、黄色の目やにが出ます。

緑内障は眼圧の上昇と目やにだけでなく、痛みも伴います。さらに失明してしまうリスクがかなり高い病気のため、「おや?」と思った場合には速やかに病院へ掛かりましょう。

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犬の目やにのお手入れ方法は?

目薬

犬の目やにの原因は分かりましたね。目やにの原因は分かっても、愛犬の目元にこびりついている目やにを日々お手入れする方法が知りたいですよね。

それでは、皆さんが一番気になっているはずの目やにのお手入れ方法をご紹介していきます!

◆綿棒やガーゼを使う方法

使う物・・・綿棒、ガーゼ

ガーゼまたは綿棒はあらかじめぬるま湯で濡らしておきます。濡らしてあるガーゼまたは綿棒で、目の周りの汚れや目やにを拭き取ります。

実は、たったこれだけなんです!簡単なので誰でもお手入れできてしまいますね。

しかし、カチカチに固まっている目やにの場合は、目周りの犬の毛にくっついてしまい、目やにを取りづらいですよね。
そんな時はぬるま湯を染み込ませたガーゼで固くなった目やにを優しくふやかしてから取ってあげましょう。愛犬のシャンプーの時なども取りやすいですよ。

●おすすめ商品
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無農薬で栽培されたオーガニックコットンを使用。
製造過程で接着剤・添加剤を一切使用せず、水の力だけでやわらかな肌触りのシートに編み上げました。

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◆目薬を使う方法

犬の目にゴミらしき物が入ってしまい、犬が涙を流して目を気にしている時がありますよね。犬は人間のように器用にゴミを取り除けないため、飼い主のあなたが犬の目の中のゴミを取り除く方法も覚えておきましょう!

犬の目にゴミが入ってしまった場合、犬用の目薬がある場合は犬用の目薬を差してゴミを取り除いてあげましょう。

この時、犬の目薬がないからと言って人間用の目薬を使うのは止めて下さいね。

病院で処方された目薬を持っている方以外は犬用の目薬なんて持っていませんよね。そんな時は「ホウ酸水」という犬用の目薬を手作りしてみてはいかがでしょうか?

●ホウ酸水の作り方

使う物・・・ホウ酸、容器(容器は化粧水などを入れるような物が使いやすいです)

ホウ酸3gを約60度のお湯150mlで溶かします。溶かしたら冷まします。作り方はこれだけなので、ぜひ犬用の目薬を作ってみてはいかがでしょうか?

ちなみに、ホウ酸は薬局などで200円程で販売されています。

ホウ酸水は刺激が少なく殺菌作用があるため、犬の目の洗浄に適しています。
犬用の目薬やホウ酸が手に入らない場合は、水道の水でもゴミ取りに対応出来ますが、水道の水は塩素が含まれていますよね。
そのため、日常的には目に入れないようにし、ゴミが目に入ってしまった時だけにするようにして下さいね。

ホウ酸は使用上の注意をよく読んで、正しい使用と保存方法を守りましょう。


愛犬の目やにがいつもと違うと思ったら獣医師に相談しましょう

犬の目やにについて様々な事が分かりましたか?

日常的に付き合う事がある「目やに」ですから、病気が原因の目やにについて良く知っておく事が病気の早期発見に繋がります。

目やにが出る病気というものは失明に繋がる怖い病気も隠れていますから、「たかが目やに」とは思わずに、「いつもと違うな」「おかしいな」と感じた時には速やかに掛かり付けの動物病院へ受診するようにしましょうね。

また、犬用の目薬は一つ持っているといざという時に安心です。動物病院だけでなくペットショップやネット通販でも手軽に購入出来ますが、せっかくですからぜひ先ほどご紹介したホウ酸水を作ってあげてはいかがでしょうか?

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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ちょば

ちょば

わんちゃん大好き人間です。動物の専門学校にて様々な資格取得後トリマーやペットショップの店長を経験しました。たくさんの方に楽しいワンワンライフを送っていただくため、持てる知識と経験をフルパワーで提供していきたいと思います。

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