【獣医師監修】犬の尿漏れ・失禁の原因は?考えられる病気と対処法

2019.10.23

【獣医師監修】犬の尿漏れ・失禁の原因は?考えられる病気と対処法

「我が家の愛犬が最近尿漏れする…」と悩んでいる方はいませんか?たまに尿漏れしてしまう位なら気にならない方もいるでしょうが、「最近頻繁にするようになった」「突然するようになった」という場合は、何か病気が原因なのではないかととても心配ですよね。 犬が尿漏れをしてしまうのは様々な原因があり、病気が隠れている事もあります。犬の尿漏れの原因から考えられる病気を知り、治療法や尿漏れの応急処置法などを理解しておきましょう!

犬の尿漏れの原因は?

犬の尿もれの原因

「尿漏れ」は別の呼び方もあり、「失禁」という言い方をする方もいます。病院の先生によって「尿漏れ」と言う先生もいれば「失禁」と言う先生もいるので、どちらも同じ意味だという事を覚えておきましょう。

犬が尿漏れ・失禁をしてしまう原因は以下のように様々な原因があります。

◆尿漏れ・失禁の原因①認知症

犬も歳を取ると認知症になってしまう子がいます。認知症になると脳の機能が低下するため、尿道括約筋や膀胱が上手に機能してくれなくなり、尿漏れ・失禁が起こってしまいます。

◆尿漏れ・失禁の原因②恐怖・不安・興奮

犬にとって何か怖いことがあった時(雷や花火の音、叱られた時など)や、引っ越しや飼い主さんと離れた事により環境が変わり不安を感じた時に漏らしてしまう事があります。

また、飼い主さんが仕事から帰宅したときなどに嬉しくて興奮し、漏らしてしまう子もいます。

この場合の尿漏れ・失禁は一過性のものですから、特に心配することはありません。

◆尿漏れ・失禁の原因③膀胱

膀胱の機能が低下する事でも尿漏れ・失禁は引き起こります。

ホルモンや神経系などの脳機能の低下が起こると、膀胱や尿道括約筋が上手に機能してくれなくなってしまうのです。すると先ほど説明したとおり、尿漏れ・失禁していまいます。

◆尿漏れ・失禁の原因④尿道括約筋

尿道括約筋が上手に機能してくれなくなると、尿漏れ・失禁が起きます。尿道括約筋はホルモンの低下、異常が起きることで上手に機能してくれなくなります。

このような事態を引き起こす原因としては、「高齢」「避妊手術によるホルモンの低下」という理由が多いようです。避妊手術によるホルモンの低下は、術後数年経ってから発症します。

◆尿漏れ・失禁の原因⑤先天性

まれに先天性の「異所性尿管」という疾患が原因の場合があります。この疾患は主に大型犬が発症する率が高く、膀胱内に尿を溜めておく事が難しく漏らしてしまう病です。

◆尿漏れ・失禁の原因⑥怪我・腫瘍

椎間板ヘルニア、脳腫瘍、脊椎腫瘍などにより、脳の中枢神経が傷ついたり、骨折などによる外傷で脳の中枢神経が傷ついた場合、尿道括約筋が上手く機能しなくなり尿漏れ・失禁の原因となる事があります。

犬が尿漏れ・失禁をしてしまう原因は様々な理由がありましたね。あなたの愛犬が尿漏れをしてしまう原因はどれが当てはまりそうでしたか?

恐怖・不安・興奮による一過性の尿漏れ・失禁の場合と、その他の原因で尿漏れ・失禁が起きる場合は、素人目にも違いが分かります。尿漏れが続き「おかしいな」と思い始めたら、すぐに動物病院へ相談しに行きましょう。


犬の尿漏れで考えられる病気と治療法は?

先ほどの尿漏れ・失禁の原因の説明で「病気によっても尿漏れ・失禁が起きてしまう」という事が分かりましたよね。

尿漏れ・失禁により考えられる犬の病気には、一体どんな病気があるのでしょうか。犬の尿漏れ・失禁により考えられる病気と治療法についてご紹介します。

●異所性尿管

尿を腎臓から膀胱へ運ぶ尿管が、膀胱以外の場所に繋がっているため起きる病気です。異所性尿管は生まれつきの先天性疾患となります。

直接尿道に尿管が繋がってしまうと常に尿失禁が起こります。異所性尿管によって、

・陰部の皮膚炎
・膣炎
・尿漏れ、尿失禁
・排尿障害
・水腎症

などが引き起こります。

生まれた頃から尿漏れが起きるなどの排尿に異常が見られた場合はこちらの病気が隠れている場合も考えられますので、病院を受診しましょう。

◆異所性尿管の治療法

・外科手術
・場合によって服薬

●椎間板ヘルニア

犬の椎間板ヘルニアというと、通常は脊髄が圧迫される事により歩行障害や首や腰の痛み、下半身の痺れなどが主な症状です。

しかし、ヘルニアが発生する場所によっては、尿道や膀胱の機能を司る神経を圧迫する場合があります。すると神経の伝達が上手くいかず、尿漏れ・失禁を引き起こす事があるのです。

尿道や膀胱の神経を圧迫しているというだけでなく、ヘルニアにより体が思うように動かずトイレに間に合わないので、尿漏れや失禁をしてしまう場合もあります。

見極める事は難しいとは思いますが、愛犬がトイレをしたい時の様子をよく見て見極めて下さいね。

◆椎間板ヘルニアの治療法

・内科治療による服薬
・外科手術
・リハビリ

●ホルモン反応性尿失禁

「原発性括約筋異常」とも言われているホルモンの疾患です。避妊手術により女性ホルモンが低下する事や、交感神経に異常が出る事により発症します。

ホルモンのバランスが崩れると膀胱の神経、筋肉機能の低下が起こり尿を漏らしてしまいます。

ホルモンのバランスが乱れることにより発症する疾患ですので、通常は避妊手術から数年経ってから発症します。

◆ホルモン反応性尿失禁の治療法

・ホルモン剤の服薬

●脊髄腫瘍

言葉の通り、犬の脊髄に腫瘍ができてしまう状態のことです。歩行困難や麻痺を引き起こし、障害の出る場所によっては尿漏れ・失禁を引き起こします。

◆脊髄腫瘍の治療法

・外科手術
・抗がん剤による化学療法
・放射線治療


犬の尿漏れの対処法は?

犬 尿漏れ

尿漏れが起きる様々な原因は分かりましたが、実際に尿漏れが起きてしまった時はどのように対処をしたら良いのか知っておきたいですよね。

犬に尿漏れが見られた場合に我々飼い主ができる対策をご紹介いたします。

◆トイレの工夫

病気や怪我などにより尿漏れや失禁が多くなってきた犬は、トイレに間に合わない事が原因で失禁してしまう事もあります。今までのトイレでは愛犬に負担があるようならばトイレを見直すと良いでしょう。

例えば、

・犬がどこにいてもすぐにトイレが出来るようにトイレの設置場所を増やしてあげる。
・高さのあるトイレケースを使用している場合は段差がなくなるように工夫する
・トイレシーツが小さくてすぐにいっぱいになってしまうようならば、大きなトイレシーツに変える
・こまめに取り替えてあげる

などの工夫をしてあげるだけでも多少は違うでしょう。

◆エストロゲンを摂取する

先ほど「避妊手術をしたメスの犬は数年後にホルモンの低下が見られ、尿道括約筋が上手く機能しなくなる事がある」と説明しました。

尿道括約筋が上手く機能しない病気の事を「尿道括約筋不全」というのですが、こちらの病気は女性ホルモンである「エストロゲン」を投与する事で症状が緩和されるとされています。
そのため、動物病院で尿道括約筋不全の犬はエストロゲンを投与するという治療を受けることとなります。

実はこの「エストロゲン」ですが、食品にも含まれている物があります。

・納豆
・おから
・豆腐

これらの大豆製品はエストロゲンが多く含まれているため、尿道括約筋不全の犬に与える事は治療の手助けになりますよ!

◆サプリメントを摂取する

犬の尿漏れ・失禁には有効なサプリメントがいくつかあります。

・オレゴングレープド
・バンプキンシード
・クランベリー
・ビタミンB配合サプリメント

これらのサプリメントは、膀胱の泌尿器系トラブルに有効とされ、尿漏れを抑える働きがあるとされています。

漢方薬では「チョレイトウ」という漢方が尿漏れに効くとされていますので、愛犬の尿漏れ・失禁が気になる場合にはこれらのサプリメントや漢方を使用してみるのも一つの手だと思います。

使用を始める前には必ず掛かりつけの動物病院に相談し、愛犬の身体に負担がないようにしてあげましょう。

◆オムツの着用

尿漏れや失禁の回数が多く、家の中であちこち尿漏れ・失禁されてしまうと正直掃除も大変ですし匂いも落ちなくなってしまいますよね。

尿漏れ・失禁の原因を取り除く対策とはなりませんが、応急処置として犬にオムツを履かせることも有効な手だと思います。ペットショップやネット通販などでペット用のオムツが販売されているので簡単に手に入りますし、サイズも小型犬用から大型犬用まであるので自分の愛犬に合った物を選ぶ事ができますよ。

ただし、オムツはなるべく最終手段として使用する事が望ましいです。なぜなら排尿したオムツをずっと着け続けていると、かぶれや炎症の原因となり、そこから皮膚病にも発展しかねません。

解決法として、犬のオムツを使用する場合にはこまめに取り替えてあげる必要があります。オムツを交換する際に股やおしりも拭いてあげると、より清潔で良いでしょう。

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犬の尿もれ・失禁に関するまとめ

犬の尿漏れ・失禁について紹介してきましたが、いかがでしたか?

犬は加齢とともに尿漏れの伴う病気に掛かりやすくなっていきます。「今はまだ元気なので必要ない」と考えていても、いずれは自分の愛犬にも関係のある話となっていきます。

「知っている」のと「知らない」のではいざという時の対応の早さが変わってきますから、「今はまだ」ではなく「今から」愛犬のために理解を深めておきましょうね!

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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ちょば

ちょば

わんちゃん大好き人間です。動物の専門学校にて様々な資格取得後トリマーやペットショップの店長を経験しました。たくさんの方に楽しいワンワンライフを送っていただくため、持てる知識と経験をフルパワーで提供していきたいと思います。

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