【獣医師監修】愛犬が口をくちゃくちゃするのはなぜ?その原因と対処法は?

2020.06.25

【獣医師監修】愛犬が口をくちゃくちゃするのはなぜ?その原因と対処法は?

愛犬が何も食べていないのに、なぜか口をくちゃくちゃしている。こんな状態を目にしたことのある飼い主さんは少なくないでしょう。どうしてそのような行動をとるのか、とても気になりますよね。実は、愛犬がくちゃくちゃする理由には様々な原因が考えらえます。今回は、犬が口をくちゃくちゃする原因に着目し、対処法やおすすめのアイテムを紹介していきます。病気が原因となるケースもあります!しっかりチェックしていきましょう。

犬が口をくちゃくちゃしている主な原因は3つ!

犬が口をくちゃくちゃする

何も食べていない時に、愛犬が口をくちゃくちゃしているのを見たことはあるでしょうか。一瞬、なにかイタズラして誤食しているのか?!と驚いたことのある飼い主さんもいるかもしれませんね。
この、犬が口をくちゃくちゃする仕草の裏には、様々な理由・原因が潜んでいる場合があります。行動の意味をしっかり理解しておくことが大切だといえるでしょう。
考えられる様々な理由の中でも、直接的な因果関係が明確である主な原因として、以下の三つが挙げられます。

◆口内に違和感がある

単純に口の中に違和感がある場合に、くちゃくちゃしているケースは多いです。
歯や歯茎に食べ物が付着していたり、自分の被毛が口内に入った場合などによくみられる行動だといえるでしょう。
愛犬が食後にくちゃくちゃしているようであれば、ほとんどの場合これが原因である可能性が高いです。
この仕草が長い間続くようであれば、一度愛犬の口内を確認してみてください。異物が詰まっている場合があります。

◆歯の生え代わり

くちゃくちゃする仕草をみせる愛犬が1歳くらいまでの子犬の場合、歯の生え代わりによる違和感が原因となっている可能性があります。
人間同様、犬も歯の生え代わりにはむず痒さを感じるのです。このため、違和感によって口をくちゃくちゃするケースが考えられます。
口内を確認して、歯が抜けていないかチェックしてみましょう。

◆口内の疾患

口の中に病気による症状や、痛み、不快感がある場合にも、犬が口をくちゃくちゃしていることがあります。病気によって対処法は異なるため、動物病院の受診が必要です。
愛犬の口内をチェックし、傷やしこりなど何らかの異常がみられる場合はすぐに獣医さんに相談してください。
犬がかかる口腔内の主な病気を紹介しますので、頭に入れておきましょう。

<口内炎>

人間にとっても珍しくない疾患ですが、犬もこの口内炎になり得ます。
主な症状は、食事中に痛む・食欲減退・口内の腫れ、潰瘍、水疱、発疹など・口臭が強くなる・よだれ増加(血が混じることも)、などで人間とほとんど同じです。これらの症状による痛みや違和感から、口をくちゃくちゃしてしまうのです。

<舌炎>

硬いもの、尖ったもので舌が傷つくなどの外傷が原因で起こります。ただし、細菌・寄生虫感染・栄養の偏り、などによっても発症するケースもあるようです。
前述した口内炎の、口内の腫れ・潰瘍・水疱・発疹、以外の症状とほぼ同じです。加えて、舌を出したままにするという様子がみられる場合もあります。

<歯周病、歯槽膿漏、歯石>

口内の疾患として知名度が高いこれらの病気は、犬にとっても発症リスクが高いものの一つだといえるでしょう。
特に、歯周病や歯槽膿漏が原因で歯が抜けそうになると、違和感によってくちゃくちゃすることが多く、特に老犬に多くみられる可能性が高いです。
主な症状は、口臭悪化、歯ぎしり、歯がグラグラする、よだれ増加、歯茎の膨らみや赤み、歯茎出血、顔の腫れ、くしゃみ、鼻水や鼻出血、食事に時間がかかる、固いものを食べない、などです。
症状が悪化すると、歯が抜けることに加え、血管に口内の細菌が入り込むことで起こる心臓病、腎臓病、肝臓病、細菌性肺炎などを引き起こす可能性があります。愛犬のために日頃の口内ケアを徹底し、注意・予防するべき病気だといえるでしょう。

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<口腔腫瘍>

腫瘍は基本的に、歯茎・舌の表裏・喉などにできます。口臭悪化・よだれ増加・食欲減退・口周りや歯茎などからの出血・食事中に餌をこぼしやすくなる、などの症状がみられるでしょう。悪性の場合は、命に関わる大問題となります。悪性腫瘍は転移が速いともいわれていますので、気になる異常を感じたらすぐに獣医さんに相談しましょう。

<胆泥症・胆石症>

胆泥症とは、胆嚢内にある胆汁の成分が変化し、元はサラサラだったものが泥のようになってしまうことです。
そして胆石症は、胆泥症がさらに進行することで、結晶化して石のような状態になってしまうことをいいます。
初期症状がないといわれていますが、命に関わる状態を引き起こす可能性の潜む恐ろしい病気です。
いずれの場合も以下のような症状がみられます。症状を確認した場合は、すぐに動物病院で診てもらいましょう。

  • ・嘔吐や下痢(吐き気が起き、黄~緑色の液体や未消化物を吐く。水様~泥状の便が出るなど)
  • 脂肪便(白い色の排便)
  • 元気や食欲低下(食べなくなったり、食べる量が減るなど)
  • 腹部疼痛(腹部を触ると嫌がったり、威嚇する。口をくちゃくちゃさせたり、歩かないなど)
  • 腹囲膨満や腹圧上昇(腹部が腫れたり、呼吸が荒いように感じるなど)
  • 発熱(耳介や脇の下、腹部などが熱いなど)
  • 黄疸(耳介の内側や歯肉、眼の胸膜が黄色いなど)
  • 血圧低下(ぐったりしているなど)
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犬が口をくちゃくちゃしているその他の理由

前述した、口内の違和感・歯の生え代わり・口腔内の病気の他にも、犬が口をくちゃくちゃする理由として考えられる原因があります。主な三つの原因が当てはまらない場合は、こちらの理由から愛犬がくちゃくちゃしているのかもしれません。

◆愛情表現やリラックス状態

飼い主さんがなでると愛犬が口をくちゃくちゃする場合、これは愛情表現だと考えられます。母犬の母乳を飲んでいた頃の名残で、甘える気持ちが表れている可能性があります。甘えん坊な性格の子に多くみられるようです。
また、愛情表現で口や手を舐める時に拒否などをされると、満たされない気持ちを表すように口をくちゃくちゃするケースもあるようですよ。
さらに、リラックス状態にある時に口をくちゃくちゃする子もいます。寝る前などにみられる家庭も多いのではないでしょうか。

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◆ストレス

犬には、カーミングシグナルという気持ちを落ち着かせる行動があります。これは主にストレスを感じた時にみられるのですが、その中の一つが口をくちゃくちゃする行為です。
リラックスしている状態ではない時に、口をくちゃくちゃしている場合は、愛犬がストレスを感じている可能性があります。ストレスの原因を探って、改善・対処してあげましょう。
ちなみにカーミングシグナルには、口をくちゃくちゃする行為の他にも、主に口や鼻を舐める・あくびをする・仰向けになる・身体を振る、などといった行動があります。

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◆てんかん

口をくちゃくちゃする行為は、てんかん(癲癇)の焦点性発作の一つともいわれています。
てんかんとは、脳の神経細胞に流れる微量の電気が、何らかの原因で異常な電気ショックを起こすことです。脳が興奮状態となり、身体のコントロールがきかなくなってしまいます。
てんかんの原因は、特発性てんかん・症候性てんかん(二次性てんかん)の二つの種類に大きく分類されています。
特発性てんかんは、脳に構造上の異常がみられない原因不明のもので、遺伝的要素が関連していると考えられています。犬のてんかん発作のほとんどが、この特発性てんかんだそうです。一般的に命の危険はないとされています。
反対に症候性てんかんは、脳の構造上に異常があることで起こり、多くは命にかかわる病気が原因です。脳の外傷・脳腫瘍・脳炎・水頭症・肝性脳症・中毒・尿毒症・先天性の脳奇形など、その他脳に異常をもたらす様々な病気が原因となるのです。

またてんかん発作も、焦点性発作(部分発作)と全般発作の大きく2種類に分類されており、前述したように、口をくちゃくちゃする行為がみられるといわれているのは焦点性発作です。
これは脳の一部分が過度な興奮を起こして発生する症状で、特定の場所に発作が起こるため、意識は残ることが多いようです。口のくちゃくちゃの他には、急に上を見てハエ咬みする、顔面・肢の痙攣、散瞳、尾追い、後ろ足の一部が上がる(勝手に)、チック、などの症状がみられます。
また全般発作の場合は、脳の全体が過度な興奮を起こし、全身に発作が及ぶため完全に意識が失われます。
四肢や身体がピンと伸びて倒れたり、白目をむいて全身を震わせる、四肢の屈伸(泳ぐようにバタバタさせる)など、さらに失禁や脱糞、泡を吐くなどの症状が起こります。症候性てんかんの場合は、命に危険が及ぶ可能性がありますので、動物病院を受診しましょう。

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てんかん(癲癇)とは、神経疾患や神経症状が出る疾患のことです。脳細胞の異常活動によるもので、主に発作を起こします。てんかんの症状は全身の発作、もしくは眼瞼や四肢の一部などの身体の一部の部分的な発作です。原因は様々で、遺伝や脳神経を傷付ける病気、交通事故などが代表的です。 てんかんは完治しない病気のため、治療は病気の根絶治療の内服治療と、抗てんかん薬の内服治療となります。犬のてんかんについて詳しくご紹介します。

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犬が口をくちゃくちゃしているときの対処法

◆口の中の異物を取り除く

様々な原因からみられる愛犬の口をくちゃくちゃする行為。歯の生え代わりや愛情表現であればうるさいくらいで問題はありませんが、ストレスならばその原因を排除すること、病気の可能性があれば獣医さんに相談することなど、対処が必要なケースもありますよね。
中でもくちゃくちゃの原因として最も多いケースともいえる異物による口内の違和感は、飼い主さんがケアやチェックをすることで対処が可能なのです。
犬用歯ブラシなど口内ケアの商品は種類も豊富。ペット関連の記事をみていると、スポンサーサイトなどでもよく見かけますよね。愛犬にピッタリのアイテムを探して活用してみましょう、
口内の異物を取り除くための、おすすめのアイテムを紹介しますので、是非参考にしてみてください。

◎らくらく 歯みがきシート プレミアム

らくらく 歯みがきシート プレミアム 30枚

汚れをふき取ってお口すっきり清潔に!さわやかな緑茶フレーバー!
消臭・抗菌作用のある天然由来成分グレープフルーツ種子抽出エキス配合!

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天然由来成分グレープフルーツ種子抽出エキスが配合され、消臭・抗菌作用をもった歯磨きシートです。簡単に汚れを拭き取ることができるので、口内環境がすっきり清潔な状態になります。爽やかな緑茶フレーバーも嬉しいポイントです。

◎ペットキッス 指サック歯ブラシ

ペットキッス 指サック歯ブラシ 1本

指にはめて使う、愛犬・愛猫の歯磨きのためのハブラシです。
薄型コンパクトヘッドで、小さなお口の愛犬・愛猫でも奥まで届きます。
歯ブラシの柄がやわらかい素材のエラストマーでできているので嫌がりにくく、指が自由に動かしやすい。

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指に嵌めて使うタイプのペット(犬・猫)用歯ブラシです。薄型コンパクトヘッドなので、小型犬にも使用可能!歯ブラシの柄の部分は、柔らかい素材でできています。愛犬も嫌がりにくく、指も自由に動かしやすい優れものです。

◎ペットキッス ツインヘッド歯ブラシ/つけかえ用

ペットキッス ツインヘッド歯ブラシ お口の小さい犬・猫用 1本

歯と歯のすき間にたまった汚れをとるための波形フィンガー歯ブラシ。
歯と歯のすき間に波形がフィットして汚れをキャッチ。キュッキュッと音がしたら汚れがとれたサインです。
歯ぐきにやさしい柔らかスポンジ素材。洗ってくり返し使えます。
お口の小さいワンちゃん、猫ちゃんでも磨けるスリムタイプ。

購入


歯と歯の隙間に溜まった汚れがとれ、波型フィンガー歯ブラシです。波型が歯の隙間にフィットします。歯茎に優しい柔らかいスポンジ素材が使われていますし、洗って繰り返し使えるという強みも!
波型スポンジは、つけかえ用も別売りされています。。


犬が口をくちゃくちゃしている時に関するまとめ

愛犬の口をくちゃくちゃする行為には、様々な原因が考えられます。この原因を知ることが、愛犬の気持ちを理解することにも繋がりますよね。
愛犬が口をくちゃくちゃした時には、どのタイミングで行ったか、どんな状態でいるか、口内の異常はないか、などその背景を探ってみましょう。
原因によって対処・改善が必要な場合は、すぐに対応してあげてください。病気の可能性を少しでも感じたら、早めに獣医さんに相談するのが一番です。
愛情表現でくちゃくちゃしているケースがみられた時には、思いっきり可愛がってあげてくださいね。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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壱子

壱子

子供の頃から犬が大好きです。現在はキャバリア4匹と賑やかな生活をしています。愛犬家の皆さんに役立つ情報を紹介しつつ、私自身も更に知識を深めていけたら思っています。よろしくお願いいたします!

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