【獣医師監修】犬が怪我をなめるのをやめさせたい!対処法と理由を紹介します

2021.01.18

【獣医師監修】犬が怪我をなめるのをやめさせたい!対処法と理由を紹介します

犬を飼っている方は怪我をしてしまい、動物病院で治療を受けた経験があるのではないでしょうか? 愛犬が手や足をしきりに舐めているので、見てみたら怪我をしていたというケースもあります。 また、動物病院で治療を受けてからも、傷口を気にしてしきりになめる行動をしていると飼い主さんは「傷が痛むのかな?」と心配になりますよね。 犬が怪我をなめてしまう時に考えられる原因となめるときの対策について紹介します。 愛犬の健康維持の参考にしていただければ、幸いです。


犬が怪我をなめる理由

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犬が怪我をなめていると痛むのかな?と心配になりますが、なぜなめてしまうのか主な理由を紹介します。
愛犬が怪我をなめてしまい、困っている方や傷口の状態が気になる方向けに紹介いたします。

自己治癒力で治そうとしている

犬は本能的に自己治癒力で傷を癒そうとして、怪我をなめると言われています。
怪我をなめる行動は「ズーファーマコロジー」と呼ばれており、唾液の中に含まれている酵素や微生物が傷口の回復を促す効果があると言われています。

野生の狼などは薬や包帯を使用して治療することはありません。
自分の治癒力で傷を癒すために、怪我をなめるのは生存本能の一つであり、家庭犬であっても自分の力で傷を治そうとしているのかもしれません。

怪我に違和感や痛みがある

人も怪我をすると傷口が痛んだり、引っ張られるような違和感を感じるものです。
犬も同じように違和感を感じており、怪我の状態を確かめるために舐めることがあります。
また、なめて唾液を付着させることにより痛みを和らげようとしている可能性もあります。

怪我の違和感により、強いストレスを感じても怪我をなめてしまうことがあるため、長時間怪我をなめていたり食欲不振や下痢などの症状がある場合には、ストレスが起因していることもあるので、注意が必要です。

自分を落ち着かせようとしている

怪我によるストレスを緩和させて、自分を落ち着かせようと傷口を舐めることがあります。
カーミングシグナルの一つでもあり、不安や緊張を感じると自らを落ち着かせようと足や体をなめることがあります。

ストレスを感じているサインでもあるため、ずっと怪我をなめている場合にはストレスの原因を特定して早めに取り除いてあげるようにします。

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犬が怪我をなめるのをやめさせたい

犬が怪我をなめていると菌が身体の中に入ってしまい、傷口が化膿して炎症してしまう危険があります。
感染症になってしまうと完治までに時間がかかるので、犬にも飼い主さんにも負担がかかります。

怪我は清潔に保ち適切に治療して早めに治したいものですよね。
犬が怪我をなめるのをやめさせるための対策について紹介します。

◆包帯、服

怪我の場所にもよりますが、お腹や手足などであれば服や包帯を巻いて傷口を保護することでなめても怪我を保護することができます。

避妊手術や開腹手術をした犬用の術後服と呼ばれる、さらりとした手触りの専用の保護服もあるので上手に活用して愛犬の怪我を保護してあげるのがおすすめです。

一つ注意したいのは、包帯や服の上から犬が怪我をなめてしまい湿っていたり、汚れが付着した時は定期的に新しいものに取り替えることが大切です。
汚れたまま同じものを使用していると逆に菌が繁殖してしまい、怪我の悪化の原因になります。

感染症になってしまい、症状が重篤化すると命の危険になるケースもあるため要注意です。
怪我の周りは通気性良く清潔にするのが、ポイントになります。

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◆エリザベスカラー

エリザベスカラーは犬が怪我をなめないようにするために最も有効なアイテムです。首輪の上から装着することにより、犬の身体の動きが制限されるのでなめるのを防止することができます。

注意点は犬の視野が狭まるため、エリザベスカラーごと壁に激突したり、その子の性格によっては、暴れて嫌がる子もいます。
またストレスから動けなくなったり、体調不良を起こす子もいるため、愛犬の様子を見ながら慣らしていくのが良いでしょう。
首につけた時に飼い主さんの指が2本分ぐらい入るのが最適なサイズです。

首を絞めすぎてしまうと、首輪部分が擦れてしまったり首回りを痛める原因にもなるため、獣医さんや専門の方に相談して使用すると安心ですよ。

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◆口輪

口輪を装着することでなめることを根本的にやめさせることができます。
外出時や短時間であれば、口輪の使用は効果的ですが長時間使用すると犬が強いストレスを感じるため、調節して使用する必要があります。

さらに、口輪は愛犬の口周りを触って装着する必要があり嫌がって愛犬が暴れるとガブリ!と噛まれてしまう危険もあります。
元々噛み癖のある子は特に要注意であり、口輪を使用するのは計画的に考えてから使用することが大切になります。

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犬が足をなめ続けている

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犬が足をずっとなめつづけていると病気?と愛犬の様子が気になりますよね。
特に活動的だった愛犬が、足をずっと舐めていると足の怪我が原因の可能性もあるため早めに対処したいものです。

犬が足をなめつづけている原因と対処法を紹介します。

◆原因

犬が足をなめつづける理由はいくつかありますが、考えられる原因はストレスです。
上記で紹介したように、犬はストレスを感じると自分を落ち着かせようと足をなめることがあります。

さらには退屈で暇を持て余していたり、飼い主さんに構って欲しい時にも足をなめつづけることがあります。
「こちらに注目して」というサインでもありますので、愛犬が足をなめつづけている場合には、声をかけてできるだけ構ってあげましょう。

怪我が原因で足を舐めている際には、なめつづける他に足が腫れていないか出血していないかなど確認するようにしましょう。
犬によっては、痛みを我慢して気づいたときには重症化している可能性もあります。

愛犬の様子を観察するようにして、少しの異変でもすぐに気づけるように習慣化しておくと良いでしょう。

◆やめさせる方法

足をなめつづけるのをやめさせるためには、原因を特定することが大切です。
ストレスの場合には、その原因を早めに特定して取り除いてあげることがポイントになります。

さらには、飼育環境に変化がなかったかフードをいきなり変えたなどの原因を考えてみましょう。
愛犬が足をなめつづけていたときには、声かけをして様子を見ます。
すぐになめるのを続けてしまうときには、身体に怪我がないか確認します。

できるだけ、早い段階で制してやめさせるようにすることがポイントです。
しつけにより、ある程度足をなめつづけることをコントロールすることは可能ですが、原因を特定しないことには、根本的な解決にはなりませんので、原因を早めに見つけましょう。


傷がないのに自分の身体をなめる理由

傷がないのに身体をなめているときに考えられる原因を紹介します。
愛犬が身体をじっとり濡れるまでなめつづける場合には、注意が必要です。

◆ストレス

上記でも紹介したように、ストレスが原因の場合には飼育環境中変化がなかったか考えてみましょう。
原因を早期に特定して、ストレスの要因を取り除いてあげるものが大切です。

ストレスが原因でなめる他にも、下痢や嘔吐、脱毛など他の症状が出ることがあります。
愛犬の状態に注目してみましょう。

◆関節や骨に異常がある

遺伝的に骨や関節に異常があり、痛みや違和感を感じて身体をなめることがあります。
歩行異常はないか、身体を触ると痛がらないかなどボディーチェックをしてみましょう。

少しでも異変を感じた場合には、早めに動物病院を受診して獣医さんの診察を受けるようにします。

◆グルーミング

犬は自分で身体を綺麗にするためにグルーミングとして、身体をなめることがあります。
毛づくろいをして自分の被毛を清潔に保とうとする自然な行動です。
身体をなめるのが短時間であり、すぐに終わるようであれば心配はいりません。

やめさせてしまうと自己免疫力を下げてしまうことにもなるので、様子をみましょう。

◆癖

人にもさまざまな癖がありますが、身体を舐めていると落ち着くなどの理由から癖で身体をなめていることがあります。

身体をなめている原因を考えて主な理由がない場合には、その子特有の癖である可能性があります。
あまりにも長時間なめつづけて身体がびじょびじょになってしまうほどですと異常ですが、少し身体をなめているぐらいでは問題ありません。

その子の癖として受け入れて、他に異常がないかチェックしましょう。


犬の怪我の手当の仕方

愛犬が怪我をしているのを見つけた場合には、出血している際にはタオルなどで押さえて止血するようにします。
基本的には、すぐに動物病院を受診して治療を受けるようにしましょう。

自己判断で包帯を巻いたり、薬を使用するとかえって怪我を悪化させてしまう危険もあります。
さらには、無理に愛犬の手当てをすることにより痛みから暴れて飼い主さんをガブリ!など思わぬ事故につながる可能性があります。

かかりつけの動物病院にて、診察を受けるのがベストです。

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まとめ

犬が怪我をなめてしまう時の理由と対処法を紹介しました。
怪我が炎症しないようにエリザベスカラーや洋服をうまく活用して、傷口を保護することがポイントです。

さらには、犬がなめる理由はストレスなど怪我以外にも原因があります。
愛犬が身体をなめている時は声をかけつつ、様子をみてみましょう。

愛犬との生活を快適にするためのヒントとして活用していただければ、幸いです。

figure>※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※

●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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のえコアラ

のえコアラ

犬の専門学校を卒業後、犬のテーマパークにて飼育員を5年間しておりました。 様々な犬種の飼育経験があります。 その後ホームセンターでペット用品の販売をしておりました。 現在はペット系の記事を中心にライター活動しております。 資格 愛玩動物飼養管理士1級 小動物看護士

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