【獣医師監修】知っておきたい犬の巨大食道症!症状や原因、予防策はあるの?

2021.11.28

【獣医師監修】知っておきたい犬の巨大食道症!症状や原因、予防策はあるの?

犬の巨大食道症を知っていますか? 犬が「すぐに吐いてしまう」とか「急に食欲がなくなった」ときに疑って欲しいのが、巨大食道症です。 巨大食道症は症例が多くないため、診断までに時間がかかってしまう病気といわれています。 特に離乳して間もない子犬が発症しやすい病気なので、子犬と暮らしている人は特に注意が必要です。 飼い主が病気について知識を持っていると、病気の早期発見や予防に繋がります。 この記事では、犬の巨大食道症について、その症状と、原因、予防策などについて、それぞれ詳しく解説していきます。

犬の巨大食道症とは

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巨大食道症とは、名前の通り「犬の食道が拡張してしまう病気」です。
別名「アカラシア」とも呼ばれている病気で、離乳後間もない子犬に多く発症します。
巨大食道症になることで食道が拡張し、食べ物が胃に届きにくくなるため、犬の体調にさまざまな悪影響が出てきます。
また、症状が軽度の場合は、目立った変化が見られないため発見が遅れることも多いです。
症状が深刻化すると、最悪死に至るケースもあります。
主な症状や原因を知ることで、小さな犬の変化も見逃さないようにしていきましょう。


巨大食道症の症状

巨大食道症は、症状の重さも、頻度も個体差があります。
小さな体調の変化を見逃さず、大切な犬の健康を守っていけるようにしましょう。
ここからは、犬の巨大食道症の主な症状について解説していきます。

◆体重減少

巨大食道症を発症すると、食道の動きが低下し、食べ物が胃に届きにくくなります。
一度食べてもすぐに吐き出してしまったり、食欲そのものがなくなったりするため、体重減少に繋がります。
体重の減少が激しいと、体力も衰え、免疫力も下がってしまうので多くの危険が伴います。
犬の体重管理を普段から細めに行い、食欲と一緒に把握しておくと安心でしょう。

◆脱水症状

犬が巨大食道症を発症すると、食べ物と一緒に水分も吐いてしまうようになります。
食事も水もとれないことで、脱水症状が引き起こされるので注意が必要です。
犬が脱水症状になると、おしっこが濃く少なくなったり、息が荒くなったりなどの症状がみられるようになります。
脱水症状になっているかは、皮膚を摘まんだ時にすぐに戻るか、おしっこの量が減っていないか、よだれが増えていないか、などから判断してください。
少しでも脱水が疑われるような場合は、病院へ行って診察してもらうようにしましょう。

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◆咳・発熱

犬が巨大食道症になると、風邪と似た症状が出ることもあります。
食べ物を吐くときに気管に入り炎症が起こることが、咳や発熱の原因です。
軽い風邪だと思って様子を見ていたら、巨大食道症が悪化していたということにもなりかねません。
犬が吐いてしまったあとで、咳などの症状が誘発されていないか、注意深く観察しましょう。
咳が悪化すると呼吸困難などにも繋がり、最悪の場合命を落とす可能性もあります。
犬の命を守るためにも、なるべく早い段階で正しい対応をとることが重要です。

◆食後すぐに吐く(吐出)

犬が巨大食道症になってしまうと、食事をとったすぐ後に吐いてしまうようになります。
食事を吐くようになると、必要な栄養や水分が補給できず大変危険です。
食べすぎなどで定期的に吐いてしまうなど、普段から吐くことがある犬ほど、慎重に経過を見極めなければいけません。
巨大食道症が進むと食欲もなくなっていきます。
普段の様子と比べて、食いつきが悪いとか、食事するのをためらうなどといった異変が見られたら、まずは病院に相談してみるようにしましょう。
病院に行って何も問題がなければ、それに越したことはありません。
犬の命を守るためには、神経質になるくらいがちょうどよいものです。


巨大食道症の原因

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巨大食道症の原因には「先天性」と「後天性」の大きく2つのパターンがあります。
犬によって原因は異なるため、それぞれに合わせた対処をすることが重要になります。
発祥の疑いがある場合は、速やかに病院へ行くようにしてください。
ここでは、巨大食道症の原因2パターンについて解説していきます。

◆先天性

巨大食道症の原因が先天性の場合、残念ながら原因が明確には解明されていません。
食道の神経に異常や欠陥がある場合に発症するとされており、未然に防ぐことはできないのが現状です。

◆後天性

巨大食道症の原因が後天性の場合、他の疾患などに誘発されて発祥することが多いです。
誘発の原因となる疾患には、神経や筋の疾患、食道の閉塞性疾患などがあります。
これらの疾患はある犬の場合には、特に注意が必要です。


巨大食道症が多い犬種

犬の種類によって、発症しやすい病気に偏りがあります。
自分の飼っている犬がどのような病気を発症しやすいのか把握しておくことは、犬の健康管理に大いに役立つはずです。
また、雑種の場合は、どの犬種の血が混ざっているのか、見た目や性格から判断することで、かかりやすい病気を推測することも可能です。
まずは、巨大食道症にかかりやすい犬種を知り、大切な犬の健康維持に役立てましょう。
ここでは、巨大食道症を発症しやすい犬種と、それぞれの特徴について解説していきます。

◆アイリッシュセター

大型犬で筋肉質なスタイルが人気なアイリッシュセター。
猟犬だったこともあり多くの運動量を必要とする反面、ひざ関節が弱い傾向もあります。
足が滑らないよう室内にマットを敷いたり、筋肉量を維持するためタンパク質多めの食事を与えるなど、健康管理に気をつかわなければいけません。
スタイリッシュな胸元が特徴で、黒く染まった鼻と瞳が愛嬌たっぷりです。
耳は垂れており、お腹周りの毛も長いため、優雅な印象を与えます。
アイリッシュセターは胸が前に出ている体つきで、巨大食道症や胃捻転などのトラブルが起きやすい骨格をしています。

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◆ラブラドールレトリバー

大型犬で優しい性格のラブラドールレトリバー。
ラブラドールレトリバーは頭が良く、穏やかな性格をしているため、盲導犬にも使用されることがあります。
毛色はイエロー、ブラウン、ブラックの3種類で、短毛の毛が綺麗に生えそろう犬種です。
長毛種に比べ、毛のお手入れがしやすいためペット初心者にも人気の犬種です。
巨大食道症や胃捻転が起こりやすい犬種で、特に胃捻転が起こると血流が悪くなりショック死につながる恐れもあります。
早食いをしたすぐ後に運動をすると、胃捻転などが起こりやすいとされているので注意が必要です。

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◆ジャーマンシェパード

忠誠心と攻撃力が高く、警察犬としても活躍するジャーマンシェパード。
体力も攻撃力もあるため、ペットを飼った経験がある人向けの犬種です。
きちんとしつけをすれば小さな子供と一緒に暮らしても問題ないですが、トレーナーなどにしっかりし付けてもらう必要があります。
ジャーマンシェパードは、関節炎や胃捻転などが起こりやすい犬種です。
身体が重くなりすぎないように体重を管理し、食後すぐの運動はさせないなどの配慮が必要になります。

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◆ワイアーフォックステリア

動くことが大好きで、好奇心旺盛なワイアーフォックステリア。
運動が大好きなので毎日の散歩は欠かせません。
また、頑固で興奮しやすい側面もあるので、小さいうちにきちんとしつけすることが重要になります。
先天性で巨大食道症になっていることが多い犬種です。
巨大食道症自体、奨励の少ない病気なので、家族に向かい入れる時に過剰に心配する必要はありませんが、可能性が高いことは頭に入れておいたほうが良いでしょう。

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◆ミニチュアシュナウザー

小型犬ですががっしりとした体つきをしているミニチュアシュナウザー。
運動が大好きで、活発な性格をしています。
口周りの毛が長い特徴があり、髭が生えているようなビジュアルはとても愛らしいです。
カットしないと毛が伸び続けるので、こまめに毛の手入れをしてあげるようにしましょう。
ミニチュアシュナウザーも先天性で巨大食道症になりやすいと考えられている犬種です。

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犬が巨大食道症になったら

完全な治療法は、残念ながらまだ見つかっていません。
食事をなるべく吐いてしまわないように、食事方法を工夫してあげることで症状と付き合っていきます。
犬の前足を台座などの高い位置に置き、重力で食べ物が胃に向かうように態勢を整えましょう。
また、食後15分程度は頭を上向きに固定してあげると、さらに効果的です。
吐きにくい食事は、犬によって変化します。
カリカリの方が吐きにくい犬もいれば、ウェットフードの方が吐かない犬もいるので、それぞれの状態に合わせてフードを選んであげるようにしましょう。

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巨大食道症の予防法

巨大食道症は、先天性の場合、予防することができません。
ただし、後天性の場合、嘔吐する機会をなるべく減らすことでリスクを下げることができます。
食事の量をきちんと管理し、一日の摂取カロリーや接種水分量などを把握しておくことが重要です。
1度発症してしまうと、ずっと付き合い続けなければいけない病気なので、健康的な生活習慣でリスクを挙げられると良いですね。
また、いくら体調に気をつかっていても、発症してしまうのが病気というもの。
もし飼い犬が巨大食道症になってしまったとしても、自分を責めるのではなく、犬のストレスがなるべく少ない生活を送れる努力を精一杯してあげてください。

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まとめ

ここまで、犬の巨大食道症についてまとめてきました。
症状も頻度も異なる巨大食道症は、素人が完璧に見極めることは難しいです。
体調に異変を感じたら、経過を観察しつつ、病院を頼るようにしましょう。
診察を受けるのは「少し心配だから」という理由でも十分です。
犬は自分で体調の変化を伝えることができません。
毎日のスキンシップやお世話を通して、犬の小さな変化に気づいてあげることが重要になります。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
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