【獣医師監修】猫の涙やけが気になる!予防法や飼い主ができるケア方法が知りたい!

2024.07.30

【獣医師監修】猫の涙やけが気になる!予防法や飼い主ができるケア方法が知りたい!

愛猫の目元を見てみると、何やら涙が溢れているだけでなく、その部分の被毛が変色している状態を見たことはありませんか? このような状態を「涙やけ」と呼びますが、目をショボショボさせている様子が見られれば、適切なケアをしてまた可愛らしい目元を取り戻してあげたいと考える飼い主さんは多いはずです。 涙やけを起こす原因は何なのか、どのような予防やケアが有効なのかなど、猫の涙やけについてご紹介していきたいと思います。

涙やけとは?

涙やけのサンプル画像

猫はキレイ好きな動物となるため、日常的に涙やけを起こすことは少ないと言われています。

基本的に涙は無色透明の分泌物となり、含まれている成分自体に害はありませんが、何かしらの原因によって涙やけを起こした場合には、涙の分泌量が過剰に増えるだけでなく、涙を拭き取らずに放置することによって酸化が進んでいき、被毛や皮膚に存在している常在菌が繁殖するため、目の周囲の被毛が赤茶色のシミとなってしまうようです。

涙の過剰分泌や目の周りの被毛が変色するだけでなく、雑菌が繁殖することによってニオイの原因となったり、皮膚が炎症を起こしたりする場合もあるため注意が必要と言えるでしょう。


猫の涙やけの原因

キジ白猫のドアップ

猫が涙やけを起こす際には、いくつかの原因があると考えられています。

どのような原因が引き金となり、涙やけを誘発してしまうのでしょうか。

・体質

猫に限らず目を持つ動物は、目を乾かさずに保護する目的で涙を分泌させています。

顔の大きさに対して目が大きく、あまりまばたきをしない猫にとって涙は必要不可欠と言えますよね。

涙はまぶたとも呼ばれる眼瞼(がんけん)にある涙腺から作られますが、目頭の辺りにある涙点へと入っていき、鼻涙管(びるいかん)といった管の中を通って鼻に出ていくため、通常であれば必要以上に涙が分泌されて目から溢れ出てしまうことはありません。

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しかし、生まれ持った身体の構造(体質)が原因となって、涙やけを起こしやすい猫種も存在しているので注意が必要です。

長毛種の猫ちゃんの場合は伸びた被毛が目の中に入りやすく、異物を排出させるために涙が過剰に分泌されやすくなっており、短頭種の猫ちゃんの場合は目が大きく飛び出している上に、鼻涙管が狭くなっている傾向が強いため、結果的に涙やけを起こしやすいと言えるでしょう。

猫ちゃんの中には生まれつきまつ毛に異常を持って生まれてくる個体も存在し、「異所性睫毛(いしょせいしょうもう)」や「睫毛乱生(しょうもうらんせい)」が原因となって角膜を刺激し、涙の量が増えてしまうことがあります。

・アレルギー

猫ちゃんの中には人間と同じようにアレルギー体質の子が存在しており、アレルゲンによって皮膚や被毛のトラブルだけでなく、涙やけも誘発されることがあります。

アレルギー反応はハウスダスト、ノミやダニ、食べ物などが原因となりますが、皮膚が赤くなるだけでなくかゆみが出てしまえば、猫はかゆい箇所を執拗にかくようになるため、目の周りがかゆければ前足でこするようにかくようになります。

目の周りが炎症を起こしていれば、前足で何度もこすってしまうようになるために傷をつけてしまうリスクだけでなく、汚れがついて雑菌を繁殖させてしまうことにより、涙の分泌量が増えて涙やけを起こしやすくなってしまうようです。

また、涙のpHがアルカリ性に寄ってしまうと雑菌が繁殖しやすくなるため、アレルギー体質の猫ちゃんの場合は、キャットフードを購入する際にはpHバランスを意識して選んでみましょう。

・病気

猫が涙やけを起こす原因として、いくつかの病気も挙げられます。

猫風邪と呼ばれているウイルス性の疾患だけでなく、結膜炎や角膜炎、眼瞼内反症などの目の疾患を発症すると涙の分泌量が増えることがあります。

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そのほかにも鼻涙管閉塞や角膜潰瘍といった病気も涙やけを誘発するため、辛そうな様子が見られる場合には、早めに動物病院を受診して適切な治療を受けるようにしてください。

・ストレス

猫はストレスを溜めやすい動物と知られていますが、自律神経が乱れることによって、身体にさまざまな症状が出てきます。

猫ちゃんの中にはストレスによって涙の分泌量が多くなってしまう子も居るため、日頃からストレスをかけないような生活環境づくりも大切です。


猫の涙やけの予防方法

サバトラ猫

涙やけを引き起こしてしまうと、その煩わしさから前足でかく猫ちゃんは多いため、目を傷つけたり二次的な病気を誘発したりと、さらに辛い症状が出てしまってもおかしくありません。

毎日の生活の中で飼い主さんが適切なケアをすることにより、涙やけの予防にもつながっていきます。

・定期的にケアする

涙やけは涙の分量が増えて溢れ出ることによって起こるため、愛猫の目の周りが汚れていないかのチェックは毎日行うようにし、涙で汚れていたら拭き取るといった、定期的なケアが必要となってきます。

定期的なケアを心掛けておくことにより、目の異常にもすぐに気づきやすくなるため、愛猫の健康を守る意味合いでも、目元のケアは重要と言えるでしょう。

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・食事内容を見直す

愛猫が涙やけをたびたび繰り返す場合には、食事内容の見直しをおすすめします。

前述した通りpH値がアルカリ性寄りになると、雑菌が繁殖しやすくなってしまうため、涙やけを発症した際にはなかなか治らないだけでなく、症状が悪化してしまう可能性も否めません。

pHコントロールがしてあるキャットフードに変更することにより、涙やけを起こしても細菌が繁殖しにくくなる効果が見込めるため、涙やけを繰り返す猫ちゃんの場合は、食事内容の見直しを検討してみてはいかがでしょうか。

・家の環境の整備

涙やけを繰り返す猫ちゃんのためにも、毎日を過ごす家の中の環境も整えておきたいものですよね。

常に清潔を心掛けておくことはもちろんですが、アレルギー疾患を持っている猫ちゃんの場合は、アレルゲンを減らすための環境を整えておく必要があります。

こまめな換気や洗えるものは定期的に洗濯をし、ハウスダストだけでなく、ダニなどが繁殖しにくい工夫も大事ですよね。

とくに猫ちゃん用のベッドや人間用の寝具はダニも繁殖しやすいため、掃除機をかけたり天日に干したりしながら、よく乾燥させるようにしておきましょう。

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猫の涙やけのケア方法

上を見上げる茶白の猫

実際に愛猫が涙やけを起こしてしまった場合には、様子を見るのではなく、素早くケアをして症状の悪化を防ぐようにしてください。

適切な涙やけのケア方法は、以下の通りとなります。

・目元を拭き取る

涙やけを愛猫が起こしている際には、キレイに拭き取って清潔に保つことが大切ですが、拭き取るときは必ず優しく拭き取るようにしてください。

猫の目元は皮膚も薄くとてもデリケートな箇所のため、丁寧な作業を心掛けておかないと皮膚や角膜を傷つけてしまう恐れがありますし、目元に触れられることを余計嫌がってしまうようになります。

ガーゼやコットンなどをぬるま湯で濡らし、愛猫の様子をうかがいながら優しく拭き取ってあげましょう。

・涙やけケア用のグッズを使う

猫の涙やけにはペット専用のグッズも販売されているため、涙やけをよく繰り返す猫ちゃんの場合には、それらのグッズを用意しておくと安心です。

ペット専用であれば、猫にも安全な成分で作られていますし、グルーミングの際に舐め取ってしまっても安全なため、気になるグッズがあれば購入を検討してみてはいかがでしょうか。

おすすめの涙やけケア用品

猫の涙やけには、以下のようなケア用品が販売されていますので、おすすめの商品をいくつかご紹介させていただきます。

・拭き取りシート

たっぷり液がしみ込んだ涙やけ用のシートは、枚数がたくさん入っている商品も多いため、定期的なケアがしたい飼い主さんにもピッタリです。

シートを濡らす必要もないため、忙しい飼い主さんの強い味方と言えますよね。

袋から取り出して優しく猫ちゃんの目元を拭ってあげれば、徐々に改善へと導いてくれることでしょう。

●らくらく涙やけケアシート プレミアム

らくらく涙やけケアシート プレミアム 毎日のケアで目周りすっきり清潔に!お口周りのよだれやけにも!
消臭・抗菌作用のある天然由来成分グレープフルーツ種子抽出エキス配合!
メーカー スーパーキャット
成分 精製水、グリセリン、DPG、グレープフルーツ種子エキス、ペパーミントエキス、洗浄剤、pH調整剤、キレート剤、保湿剤、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、香料
商品リンク
・洗浄液

頑固な涙やけが気になるときには、洗浄液もおすすめです。

ご家庭にあるコットンやガーゼなどに数滴垂らして利用できるため、コストパフォーマンスもよく、多頭飼いのご家庭でもたっぷり使えます。

●涙やけ除去剤 強力タイプ

涙やけ除去剤 強力タイプ 頑固な汚れ用の涙やけ除去剤です。
コットンやシートに使いやすいしっとりタイプ。
メーカー 内外製薬
成分 精製水、エチルアルコール、PEG-40水添ヒマシ油、セテアリルアルコール、グリチルリチン酸2K、パラベン、安息香酸ナトリウム
商品リンク
・保湿クリーム

拭き取りシートや洗浄液を使ったあとにも、皮膚や被毛が乾燥しないようなケアも大切となるため、保湿クリームでコーティングをしてあげてください。

保湿クリームの油分によって涙を弾くようになり、繰り返しの涙やけを起こしにくくなります。

スキンシップを図りながら適量を涙やけしていた部分に塗るようにし、美しい被毛を保ってあげるようにしましょう。


まとめ

床の上で横になるキジトラ猫

猫は日常的にグルーミングを行っているため、涙やけを起こしていても気付きにくく、見逃してしまう飼い主さんは多いはずです。

しかし、一時的にグルーミングでキレイになっていたとしても、涙やけの箇所に細菌が繁殖してつづけてしまうことにより、二次的な病気を誘発する可能性も少なくありません。

涙やけを起こさないためにも日頃から飼い主さんが愛猫の目元のケアをし、しっかりと予防をして愛猫の可愛らしい目元を守ってあげてください。

さまざまなケアをしても症状が改善しない場合には、早めに動物病院を受診するようにし、適切な治療を受けて改善に導いてあげましょう。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に14医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。

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