日本で犬の殺処分の現状について
環境省のデータによると、犬の殺処分数は平成27年度には15,811匹となっています。年間それだけの命が奪われているなんて、愛犬家としては胸が痛むばかりです。数値だけ見てもとても辛いものですが、これでも実は年々減少傾向にあるのです。
平成16年度の数値を見ると155,870匹の犬達の殺処分が行われていたので、約10分の1にまでは減っていることが分かります。
しかし、減っているとはいえ、命が奪われる現状には悲しく胸が締め付けられる気持ちです。
では、どうしてこれだけ多くの犬の命が「殺処分」という形で奪われなければならないのでしょうか。
殺処分が行われるのはどうして
生きている動物の命を奪うということはとても悲しいことです。しかし、たくさんの犬達の命が日々奪われているのが日本の現実です。
殺処分は、保健所で保護された犬の引き取り手が無い状態が原因として行われます。保護される犬と耳にすると、野良犬をイメージする方が多いかもしれません。でも、考えてみましょう。野良犬とはいえ、もともと飼い犬として飼われていた犬たちが捨てられたから野良犬になってしまうのです。そして、野良犬になった犬達の自然繁殖により、また野生の犬が増えてしまいます。
また、悲しいことに飼い主自身が飼っている犬を保健所に持ち込みして捨てることも現実的に多くある事例です。
飼い主が保健所に犬を持ち込む時の理由は、大きく言うと「飼育放棄」です。このような無責任な人間は、さまざまな事情をつけて犬を保健所に捨てています。
・飼育する自信がなくなったから
・病気になった犬の面倒を見ることができないから
・引越し先でペットが飼えないから
・ペットを飼うお金がなくなったから
・子犬を出産させたが貰い手がないから
このほかにもさまざまな理由がありますが、どれをとっても無責任としか言いようがありませんよね。
一人では生きていくことができない命を簡単に手放すことができるのは、やはり「無責任」以外のなにものでもありません。
何も知らずに保健所に連れて来られる姿を思うと、涙が溢れてしまいます。
また、保健所に保護される野良犬の中には迷子になった犬も含まれます。このようなワンちゃん達は早期に飼い主が探し引き取りに来てくれれば返還という形で飼い主の元に戻ることができます。さらに譲渡会などで新しい飼い主さんに出会えるケースもあります。
平成27年度の統計によると保健所への犬の引き取り数が46,649匹なのに対し、返還および譲渡数が29,637匹なので、全体の60%ほどは殺処分を免れていることになります。
しかし、残念なことに約40%の犬達は処分されるという結果になってしまっています。
保健所に保護された犬は「保護」とは名ばかりで、実際には飼い主から連絡がなければ殺処分が決定されます。
保護される期間は、それぞれの自治体によって異なるので一概には言えませんが、その日数はかなり短いものとなっています。数日から一週間程度というのが一般的です。
しかも飼い主が保健所に持ち込んだケースでは、引き取ったその日に殺処分がされることもあり驚きとともに悲しみが込み上げてきます。飼い主の無責任さが生んだ結果は、あまりにも残酷ですよね。
殺処分ゼロの国は?
日本ではこれだけ多くの殺処分が行われているのに対し、海外ではゼロという国さえあります。各国の殺処分の現状について見てみましょう。
ペットに対する法律が充実しているドイツ。動物を飼う上での心構えが重要視されている国です。そのため、「可愛いから飼いたい」という安易な考えは犬を飼う上でNGとされています。
飼い犬を放置したり虐待したりした場合には、法律により罰せられるほどの「動物愛護」の精神があります。
犬の飼い主に課せられる「犬税」もあり、しっかりとした考えのもと犬と暮らすことが国全体で決められています。
また、街のあちこちには犬と一緒に出掛ける様子が見られます。リードで繋がれていれば、犬達は飼い主さんが買い物中に外で待っていることが可能なほど、しっかりとしたしつけがされている犬が多いです。
そして、日本の保健所にあたるドイツのティアハイムとう動物保護センター。日本では保健所は「殺処分させる場所」ですが、ティアハイムは「保護してくれる場所」となっています。日本のように保管期限が設けられていませんから、保護されている間に新しい飼い主との出会いが成立し、今後も生きていくことができるのです。仮に新しい飼い主と出会えなくても、ティアハイムで最後まで生きていくことができるという状況にあります。
そしてドイツと日本の決定的な違いが、ペットショップでの犬の販売がないということです。一般的にはドイツでは、ブリーダーから直接購入するか、ティアハイムで保護されている犬を引き取るかが犬を飼う方法になります。
ペット先進国としても有名なオランダですが、ドイツ同様に殺処分がゼロの国と言われています。オランダでもペットショップで犬を購入することはできません。
動物愛護の国ですから、気軽に犬を購入するリスクを国全体で減らしています。
動物に対しての愛護精神は国全体で行ってはいますが、なんらかの理由で飼い主を失ってしまうことはあるものですよね。
そこでオランダでも飼い主がいない動物たちを保護してくれる施設が存在します。ここでは、ひとりぼっちになった犬が新たな飼い主に出会えるまで、命を大切にしてもらえます。
飼い犬として迎えたい人が表れると、家庭環境まで調査して相応しい人かどうかの判断後、犬を譲渡してもらえるのです。
飼い主に責任を自覚してもらうことが大切との考えからなのです。
日本が殺処分に対してできる今後の課題
前述したドイツやオランダは、ペットショップで犬達を購入することができません。日本ではペットショップで購入することができますから、
気軽に犬を手に入れることができるということが大きな違いかもしれません。
ただ、これが悪いという訳ではありませんよね。多くの飼い主さんは「家族」として可愛がり、責任を持って最後まで面倒を見ているでしょう。
しかし、その反面、ペットショップで販売された犬たちが、心無い無責任な飼い主に放置されてしまう事実も殺処分の背景にあるのは、まぎれもない事実です。
そこで、日本の殺処分の問題を考える上で最も大事なのは、ひとりひとりが命の大切さに向き合うことではないでしょうか。ペットショップ、ブリーダー、保健所からの引き取り、知人からの譲渡など、犬を迎える方法はそれぞれ異なります。
しかし、すべての方に知って欲しいのが「大切な命」を預かるということです。小さくても大きくても「尊い命」を守っていく覚悟が、犬を飼う前には欠かせません。ペットショップで見た時に可愛らしい様子でいても、年齢を重ねるに従って病気になり一層お世話が必要になることもあります。
それは、事前に予想ができる範囲のことですよね。
また、犬を迷い犬にしないように徹底することも大切です。リードが外れてしまって行方不明になり、保管期間が過ぎれば飼い主が引き取りに来る前に殺処分されてしまうケースもあります。殺処分は、人間の身勝手な理由と責任の低さが原因となって行われていることと、一人でも多くの日本人が知るべきことでしょう。
また、そういった犬の命を救いたいと、自治体の譲渡会で飼い主として立候補するのも、犬達を救う方法のひとつです。
海外のように殺処分をゼロにするためにできることは、目や耳を塞ぎたくなるような「殺処分」という現実を知ることから始まるのかもしれませんね。
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