犬からヒトへ感染するこの病気!「レプトスピラ症」の症状、治療、予防法とは?

2016.11.16

犬からヒトへ感染するこの病気!「レプトスピラ症」の症状、治療、予防法とは?

レプトスピラ症とは聞きなれない病名ですが、実は人間、犬をはじめとして様々な哺乳類に発症しうる非常に身近な感染症なのです。ここではその治療法や予防策などについて紹介します。レプトスピラ症について知っているのと知らないのとでは大きな差につながります。

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レプトスピラ症ってどんな病気?

レプトスピラ症

出典:http://blog.livedoor.jp/chisukeblog/archives/1866440.html

レプトスピラ症とはその名のとおり「レプトスピラ菌」による感染症です。
レプトスピラ菌は微細な螺旋形をしており、長さ6~20ミクロン、幅0.1ミクロンで、活発に運動する菌です。
病原性のものと非病原性のものがあり、それぞれ多数の血清種に分類されています。
レプトスピラ菌は犬、猫、ネズミ、ウシ、ブタ、馬、ヒツジ、ヤギなど多くの哺乳類が持っており、発症しない場合も少なくありません。

感染経路としては、保菌動物の尿に接触したり、その尿で汚染された水や土に触れたりすることで、皮膚などから感染します。皮膚に傷などの異常があれば一層、安易に感染してしまいます。
レプトスピラ菌に汚染された水を飲んだり、汚染された食べ物を食べてしまうことで経口感染することもあります。
ネズミが保菌動物となっているケースが最も多いため、特に注意が必要です。ネズミはレプトスピラ菌に感染しても、発症することはなく、生きている間ずっと菌を排泄し続けるためです。
また、このほかにも野生動物の捕食によっても感染する場合があります。発生状況としては、毎年30件前後が報告されていて、関東よりも西のエリアでの報告例が多い感染症です。季節に関係なく発症し、オスはメスと比較して3~5倍感染率が高い傾向にあります。
潜伏期間は数日から20日程度と言われています。
レプトスピラ症は感染した菌の種類によって、症状の認められない不顕性感染や軽い発熱程度で自然に治ってしまうものから非常に重いものまで様々です。
数日から週単位でみられるものには、次のようなものがあります。
発熱、食欲不振、脱水、嘔吐、血便、血尿、横断、肝臓および腎臓の障害、急性腎不全、肺出血症候群など。

また、急性のものとして起こるのは、尿毒症、敗血症、血液凝固の多発、ショックなどがあり、最悪の場合、発病後数時間から数日という短い時間で死亡に至るケースもあります。
不顕性感染の場合でも、尿とともに菌を排泄することで、ほかの動物に感染させてしまうことになります。
また、レプトスピラ症は家畜保健衛生所への届け出が義務付けられている感染症です。
疑いのある場合でも「疑症」として届け出なくてはならず、診断が確定してからは、「真症」として届け出ることになります。


レプトスピラ症の治療法、予防法はあるの?

レプトスピラ症の治療法

愛犬にレプトスピラ症の感染が疑われる場合、まず獣医の診断を受けなければいけません。
この感染症の診断には、顕微鏡や培養により直接病原体を検出する方法、菌の血清型を調べる方法、PCR法という方法で病原体の遺伝子を検出する方法があります。
治療法には対症療法と病原治療があります。
対症療法では腎臓及び肝臓の障害、消化器に対しての治療を行います。
例えば、腎臓に異常があり尿毒症があれば、腹膜透析、肝臓の異常ではビタミンB、強肝剤、利尿剤の投与、脱水症状があればブドウ糖や乳酸リンゲル液などの輸液の使用、呼吸に異常があれば、酸素吸入などの処置を行う必要があります。

一般に、早期発見および早期治療ができれば、予後は良好ですが、呼吸に異常があると、治療の経過が思わしくない、という傾向があります。
一方、病原治療には抗生物質が用いられます。治療初期では消化管からの吸収が十分でない可能性があるため、経口ではなく注射によって抗生物質を投与します。
犬に食欲の回復など、回復傾向が現れた時にはじめて、経口の抗生物質を使用します。
腎臓に生息している菌を退治し、キャリアーになってしまうことを防ぐために、ペニシリンやストレプトマイシンなどの抗生物質による治療は行わなければなりません。

レプトスピラ症ワクチン

レプトスピラ症の予防については不活化ワクチンによる予防接種が有効です。
現在、複数のメーカーから不活化ワクチンが発売されています。ただし、ワクチンは、血清型に特異的であることから、ワクチンに含まれていない血清型に対する予防効果はありません。
したがって、予防接種の際は獣医師との相談のうえ、現在住んでいるエリアで発症しているレプトスピラ菌の血清型に合致したワクチンを適切に選択する必要があります。
また、ワクチンにより発症の阻止や重症化は防ぐことについては効果があっても、腎臓への病原体が定着するのを阻止する効果があるかどうかはよくわかっていません。

予防接種を受ける際は、その効果についてあらかじめ把握しているとよいでしょう。
また日常生活では、屋外の電柱や水たまりなど感染源となりうる場所に近づかないようにしましょう。
レプトスピラ菌は水中、土の中では180日以上生息できますので、侮ってはいけません。
保菌動物として最も多いネズミなど、害獣の駆除も予防策として非常に効果的です。


レプトスピラ症はヒトにも感染するの?

ヒト感染

レプトスピラ症はヒトにも移ってしまう感染症なのです。
「ズーノーシス」と呼ばれる動物からヒトへ移ってしまう感染症のひとつです。
ヒトへの感染についても犬と同様、保菌動物の尿に直接触れたり、汚染された水や土に接触して起こります。ネズミ捕り器の中に手を触れただけで感染した例まであります。
ただし、ヒトからヒトへの感染はありません。

したがって、動物の尿に直接手で触れたり、水泳の際に、汚染された河川の河口などの水域には近付かないよう、注意しなければなりません。特に、手足に傷がある場合は野外の川や池に入ることも用心する必要があると専門家から警告されています。
愛犬に感染が疑われる場合は、尿のみならず血液やエアロゾル(くしゃみ、咳など)に直接触れないことが重要です。

手袋を着用し、ゴーグルやその他保護具も身につけたほうがよいでしょう。レプトスピラ菌は熱に弱く、50℃10分の加熱で殺菌することができます。
また、乾燥、酸性条件にも弱く、次亜塩素酸ナトリウム、ヨード剤や逆性せっけんで消毒することができます。

レプトスピラ症の中でも、ワイル病は最も重症の病状を示しますが、ほかのレプトスピラ症は比較的軽症~中等症です。統計的には、9割の場合は軽症で済み、感染しても黄疸が出なければ重症化することなく治癒します。しかし、残りの1割の場合多臓器が侵され、死に至る場合もあります。
この場合、発熱、頭痛、激しい筋肉痛、悪心などが起こります。そして、目の充血や嘔吐などの症状が認められます。さらに重症化すると、頭痛を伴う髄膜炎、意識の混濁や昏睡を起こします。
起こりうる臓器の障害としては、肝炎や腎炎、肺炎から、黄疸や腎不全、血の混ざった咳が生じます。妊婦がレプトスピラ症を発症すると流産の危険性があります。
日本国内では風土病として秋疫や二十日熱などの地方独自の名で呼ばれています。

日本国外については、南~東南アジア、カリブ海周辺、アンデス山脈周辺、中央~ラテンアメリカ、アフリカのサブサハラ東部の地域でレプトスピラ症への注意が必要であると、WHOなどの研究チームが指摘しています。これら、赤道直下のエリアでは、素足で土壌に触れたり水に浸かったりするのは避けるべきです。治療はいずれも抗生物質の使用が効果的です。また、死菌ワクチンの接種で予防することが可能です。


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笹本 雅

笹本 雅

犬が好きです。小型犬でも大型犬でもとにかく犬が大好きです。これから犬種についてや豆知識や健康についてなど、幅広いワンちゃんについての情報をご提供していきます。犬好きの方にぜひとも見ていただいてご意見いただければと思います!


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