痛くもない足をひきずる、何もないのにキャンキャン鳴く、ムダに咳をする…犬の仮病は、いろいろな形で現れます。犬によって症状はさまざまですが、ほとんどの犬に共通しているのは、過去の体験を繰り返しているという点です。
例えば「膝蓋骨脱臼になり大騒ぎの上治った」という体験をすると、脱臼していないのに足をかばって歩くそぶりを見せる、ということがあります。やっと治ったと思ったのに、また脱臼してしまったのか?と、飼い主さんは心配でたまったものではありません。
あわてて病院へ連れて行き、どこも悪くないと言われて一安心するものの、検査では分からないような病気になってしまったのでは?と、不安になります。当然、いつも以上に気にかけて優しく接することになります。この結果、犬のなかで「びっこをひく→優しくかまってもらえる」と結びつき、かまってもらいたいときにびっこをひくようになります。これが人から見ると、仮病ということになるようです。
犬は知能が高いので学習能力があります。「お手をすればおやつがもらえる」、と覚えるように、「仮病を使えば優しくしてもらえる」と覚えます。お手を教えるには根気強く繰り返すことが必要ですが、大けがのようなショッキングなできことは印象強く記憶に刻まれるので、1度で覚えてしまうこともあるようです。愛犬の能力、あなどれませんね。
犬が仮病を使うときの対策
先ほどお話ししたように、仮病は飼い主さんのことが大好きで頭が良い証拠ですから、愛犬家としては嬉しいことかもしれませんが、喜んでばかりはいられません。犬が「もっと優しく接して欲しい」と願っているということでもあるので、もしかしたら愛情不足かもしれないし、犬が飼い主さんの愛情が伝わっていないのかもしれません。
- 新しく犬を迎え入れたときに先住犬が仮病を使った
- 赤ちゃんが生まれたら仮病を使うようになった
このような場合は、愛情不足になっていることが考えられます。「大好きな飼い主さんが自分への興味をなくして、ほかの犬や赤ちゃんばかりをかわいがっている」と犬に思わせているとしたら、とてもかわいそうです。この段階で気づいて対応してあげないと、ストレスから本当に病気になったり、犬や赤ちゃんを攻撃したりすることになりかねません。
- 仕事が忙しくて以前より犬と遊ぶ時間が減った
- 体調が悪く、あまり散歩に行けなくなった
このような場合も、仮病を使うことで以前の優しかった飼い主さんを取り戻そうと考える犬もいます。人にもいろいろ事情があって、いつも十分遊んであげられる訳ではありませんが、何とか愛情を示して、愛犬の不安を取り除いてあげたいものです。
「仮病には無視で対応する」という考え方もあります。確かに、びっこをひいていても完全に無視していたら、「びっこをひいても優しくしてもらえない」と気づき、びっこはやめるでしょう。でも、そもそもの「優しくかまって欲しい」という欲求は全然満たされていません。それどころか無視されることで余計にストレスを感じて、別の問題行動を起こしたり病気になったりしてしまう可能性もあります。
だからといって、仮病だと分かっているのに特別優しくする必要もありません。仮病が効果的だと分かれば、さらに仮病がエスカレートして、いつもびっこをひくクセがついてしまうかもしれません。
一番良いのは、普通に接してあげることだと思います。びっこをひいても冷静に対応して、びっこをやめたら思いっきり遊んであげるということを繰り返しているうちに、だんだん治っていきます。飼い主さんの愛情が確認でき、満足できれば、仮病の必要もなくなります。もしも長引くようなら、病気の可能性もあるので、動物病院に相談することをおすすめします。
最後に
仮病のときの対応についてお話しました。実際、仮病かどうかは判断がつがないことがほとんどです。まずはかかりつけの獣医さんの診察を受けてください。検査をしても何も悪いところが見つからず、全身状態が悪くない場合だけが仮病です。くれぐれも、また仮病だから…と決めつけて、病気を見逃すことがないようにしてください。
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