犬に関する国家資格は事実上、獣医師のみでハードルが高い!
現在、日本が認める犬にまつわる国家資格は、(狩猟免許や狂犬病予防員など特殊なものを除いては)事実上、獣医師のみです。獣医師になるためには、国公立・私立を合わせても日本に16校しかない「獣医大学」(獣医学部や獣医学科をもつ大学)に入学し、6年間学んだ上で獣医師国家試験に合格しなければなりません。
獣医系大学は昨今の人気を反映して、大変な難関です。また、私立系は学費が非常に高額です。これから大学に進学する若者にはもちろんおすすめですが、すでに学校を卒業してワンちゃんと暮らしているペットオーナー様にとっては、非常に困難な道であると言わざるを得ません。
就職に有利な資格を取るなら「動物取扱責任者」のサイトを熟読
「動物の愛護及び管理に関する法律」では、ペットショップ、ペットホテル、猫または犬カフェなどペット関連業を営むためには、必ず常勤の動物取扱責任者を1人以上設置しなければならないと定めています。
「動物取扱責任者」については東京都動物愛護相談センターのサイトに詳しく書かれていますが(動物取扱責任者 東京都福祉保健局)、各種専門学校を卒業していなくても、環境省が認めている「資格」を持っていれば要件1を満たします。
環境省が認めている資格については、東京都動物愛護相談センターのサイトに詳しく載っています。(動物取扱責任者の要件 東京都福祉保健局)。
ここに挙げられている27の資格のうち、犬や馬など単一の動物だけではなく、猫や鳥、爬虫類など、家庭で飼育する動物を幅広く学べるのは愛玩動物飼養管理士、愛護動物取扱管理士、家庭動物管理士、小動物飼養販売管理士、動物介在福祉士、動物看護師、動物看護士、動物取扱士です。
このうち、筆者が持っているのは愛玩動物飼養管理士1級です。
愛玩動物飼養管理士は働きながら独学で取りやすい
愛玩動物飼養管理士とは、動物関係法令や動物愛護運動史、動物の疾病予防、各種動物の飼養管理、しつけなどの知識を体系的に習得し、その知識の普及に努める管理士です。公益社団法人日本愛玩動物協会(https://www.jpc.or.jp/)が主催しています。
愛玩動物飼養管理士の資格は、独学でも取得できます。テキストを購入し、スクーリング(講習会)に1回出席して課題報告問題を提出すると、認定試験受験資格が得られます。あとは、年2回行われる認定試験に合格すると、資格を取得できる仕組みです。
働いている方や主婦の方は、最初の1年で2級、次の1年で1級を取得するというプランがオススメです。私も、仕事の合間にゆっくり勉強して2年間で1級を取りました。
取得した後のネットワークが強い愛玩動物飼養管理士
私が愛玩動物飼養管理士をオススメする理由としては、やはり「就職に強い」ことが挙げられます。筆者にはペットショップの勤務経験がありますが、履歴書の資格欄に「愛玩動物飼養管理士1級」と書くと「あ、管理士の資格をお持ちなんですね」と「それだけで認めてもらえる」ところがありました。業界では、「犬、猫だけではなく、鳥や小動物、爬虫類などの適正飼養に知識がある」ことの証明になっているようです。
何度も改訂されて常に新しい情報が詰まっているテキストは、有資格者でも読み返すと非常に勉強になります。また、愛玩動物飼養管理士になると日本全国にある各支所に登録しますが、どの支所も勉強会やボランティア活動を熱心に行っています。ボランティア活動に興味がなければ無理に参加する必要はないですし、熱意があればとことん保護活動に関われます。さらに、動物ボランティアなどに実績があるなどの要件を満たすことで取得できる「上級愛玩動物飼養管理士」の新設など、公益社団法人日本愛玩動物協会が「上を目指す資格所有者を応援する」姿勢をもっているところが素晴らしいと思います。会員に奇数月に送られてくる「WithPETS」という機関誌も読み応え抜群で、支所の活動報告も載っているので励みになります。
「ペット栄養管理士」は最新の学術論文が読めます
日本ペット栄養学会が主催する「ペット栄養管理士」(http://www.jspan.net/nintei/)は、環境省が認めている「資格」には含まれません。あくまでも、環境省が認めている「資格」との合わせ技で、就職の武器になるといえるでしょう。
A、B、Cの3教程すべての講習会を受講するなどの要件を満たすと、受験資格が得られます。その後、年1回の認定試験を受けて合格すると、資格が取得できます。
講習会と自分の予定が合わなかったりするとなかなかA、B、C教程が揃わないのがネックですが、講習会は非常に面白いものです。ペットフードのラベルが適切に読めるようになりますし、犬や猫、鳥などの小動物それぞれ求める栄養素が違うことをしっかり学べます。癌や腎臓病、肝臓病など病態に合わせた臨床栄養学も学べてオススメです。
また、合格して会員登録をすると、年に3回学会誌が送られてきます。これが内容盛りだくさん。栄養学に関する最新の論文が読めて非常に勉強になります。
「資格」には「会費」が発生するので要注意
ペットに関する資格は、すべて勉強になるものです。しかし、「資格」は「取得」だけではなく、「維持」にもお金がかかることに注意が必要です。
基本的に、その資格の取得者であると公的に名乗るためには、年会費を主催団体に納めて資格を更新しなければなりません。
一時期、資格を次々に取った筆者は、年会費の費用が大変なことになりました。今は、愛玩動物飼養管理士とペット栄養管理士のみにおさえているので、他に取得した資格は失効しています。
自分がどのような仕事をしたいのか、その資格には充実した会報の発行など、収める費用に対するリターンはあるかなどを検討して、資格を取得されるといいでしょう。
この記事が、読んでくださった方のお役に立てば幸いです。
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