犬には首輪?それともハーネス?その違いについて
愛犬を散歩させるためには、リードを使って飼い主さんのそばから離れないようにしなければなりません。
リードに繋ぐのは「首輪」か「ハーネス」ですが、どんな違いがあるのでしょうか。
●犬の首に装着する「首輪」
首輪は名前の通り「首」の周辺に装着する「輪」です。布、革、ナイロンなどの素材がありますが、
それぞれ耐久性が異なります。また、カラーやデザインがかなり豊富。個性的な首輪を選んで愛犬を飾ってあげることもできそうです。
最も大切なことは、飼っている愛犬の首回りに合ったものを選ぶこと。緩すぎたり、きつすぎたりすることがないようにする必要があります。
●胴に装着する「ハーネス」
ハーネスは「胴輪」です。胴や胸のあたりを固定します。さまざまな材質とデザインがあります。
紐状の細いベルトがクロスし胴を固定するタイプ、洋服のような形のタイプとさまざまです。
◆ハーネスのメリット・デメリットについて
首回りの負担を軽くする意味で愛犬にハーネスを利用している飼い主さんも多いかもしれません。
そんな人気のハーネスですが、メリットもあればデメリットもあります。
●ハーネスのメリットとは?
首輪はリードから伝わる力が「首の周り」にだけかかります。散歩に慣れていない、
しつけがまだしっかりしていないワンちゃんは散歩中に突然走り出すこともあります。
そんな時、飼い主さんはリードを引っ張って愛犬の体を止めなければなりませんが、
「首輪」の場合にはリードを伝わって一瞬でその力が「首だけ」にかかります。
気管が弱い犬や高齢の犬だとかなりの負担になってしまいます。場合によっては、
その急激な負荷により、呼吸気管を痛めてしまうケースも。
一方、ハーネスの場合は、胴全体への負担となり力が分散された状態。
飼い主さんの引っ張る力が分散されるので愛犬への負担の軽減のためには、ハーネスが適していると言えそうです。
頭の小さな犬だと首輪を装着したときに、するっと抜けてしまうことも多いです。
首輪の場合は、緩くしてしまうと愛犬の動きや引っ張りで簡単に抜けてしまうこともあるとか…。
それに比べて、一般的にハーネスは体から抜けにくいと言われています。胴全体を固定しているため、
首輪と違って抜けにくい構造になっています。
ただ、ハーネスも緩すぎる装着方法では抜けることもあります。首輪のように首だけ固定している訳ではないので、
するっと抜けることはないでしょう。ただ、小さく痩せているワンちゃんなど体の構造によっては、
片足だけ抜けたり、抜けたところに足が絡まったりなんてことも…。
「ハーネスにしたから抜けない」と100%安心するのではなく、それぞれの犬の体の特徴やサイズを理解して、
体にフィットするものを選びしっかりとした装着方法で安全な散歩を心がけましょう。
室外犬の場合、首輪は常につけておくことが多いですが、室内で暮らしているワンちゃんは
「散歩のときだけ装着したい」ということもあるかもしれません。ハーネスならば、着せたり脱がせたりが楽です。
●ハーネスのデメリットとは?
ハーネスは首への負担が軽いことから、犬の呼吸気管を守ることができます。
ただ、飼い主さんが引っ張った時にその衝撃があまり伝わりません。公共の場所で犬を散歩させる時は、
いざという時に飼い主の命令を聞いてくれる犬へとしつける必要があります。
道路に飛び出そうとする愛犬には「いけない!」ということを、リードを引っ張ることで教えてあげます。
首輪の場合には、首への衝撃が分かりやすいので散歩のしつけがしやすいです。力が分散されるハーネスの場合、
しつけには不向きとなってしまうでしょう。
飼い主さんを引っ張っている犬をよく見かけることがありますが、
この引っ張り行動に悩んでいる飼い主さんも多いのではないでしょうか。
この引っ張り癖を持っているワンちゃんにとっては首が痛くないので、どんどん引っ張ってしまうかもしれません。
飼い主さんとしては「犬が苦しそうだから」とハーネスにしても、こういった引っ張り癖を持っているワンちゃんにとっては逆効果。
急に引っ張られることによって、道路に飛び出したり、他の人間や犬に突進していったりと「しつけ」が
できていないと危険な散歩になってしまうこともあります。
犬のしつけをしたいなら首輪がいいの?
ハーネスのデメリットと言われる悪い点をカバーしてくれるのが首輪です。
犬にとっては楽しい時間である「散歩」ですが、犬を自由に歩かせていい時間ではありません。
散歩は犬の健康維持だけでなく、社会性を身に付けさせるもの。「いけないこと」についてのしつけもしていく必要があります。
そのように「しつけ」という点で考えた時の散歩では、首輪での散歩が良いと言われています。
犬が飛び出そうとしたときに、飼い主さんが引っ張ることで首に「飼い主さんからの指示」がしっかりと伝わります。
ただ、首輪の場合、力の強い犬ならそれだけの大きな負担が犬の首にかかることになります。
それに、犬の首に合っていない首輪をつけてしまうと、いきなりの引っ張りで首輪が抜けてしまうこともあります。
このように、引っ張り癖のある愛犬の場合は首輪は要注意なのです。
リーダーウォークができればハーネスでも安心
散歩の基本である「リーダーウォーク」がしつけによってしっかりできれば引っ張り癖がなくなるので、
ハーネスを使用しても問題ないでしょう。
●リーダーウォークとは?
犬が人間の指示を見ながら近くを歩くことです。基本的に人間が主導権を持って歩く散歩方法です。
引っ張り癖のある犬は、このリーダーウォークができていないので、散歩中は常に犬が前を歩いたり走ったりします。
リードがピンッと引っ張られている状態です。リーダーウォークができるようになれば、犬は飼い主の横を歩くので引っ張られることがなくなります。
リードは緩んだままの状態です。
●リーダーウォークは愛犬を守る
先ほど、「首輪は首に負担がかかる」と言いましたが、リーダーウォークができる犬は引っ張ることがないので、
首への負担が少なくなります。散歩中には犬はテンションが高くなりがちなので、
突然興味のあるものを発見するとそれに向かって突進することも。自動車や人間、
他の犬に突進してしまうという事故を防ぐためにも、リーダーウォークで飼い主さんが主導権を握る散歩は効果的です。
犬の個性と健康面を考えた選び方が大切
散歩をしている犬を強く引っ張る時には、「大丈夫かな?」「苦しくないのかな?」と心配になってしまいますよね。
大事な愛犬ですから、苦しまない方法を考えてあげるのは飼い主さんとして当然のことでしょう。ただ、
「苦しい」ということばかりを回避していては、しつけができなくなります。散歩のしつけができないと、
犬の危険の可能性だけを高めてしまうことになります。
そこで、どんな犬でも「ハーネスが合っている」とは言い切れなく、その個性や健康面を考えた上で選ぶことが大事です。
●ハーネスが合っている犬は?
しつけがしっかりできている犬であれば、飼い主さんを引っ張ってしまうこともないのでハーネスを
利用してもいいかもしれませんね。
また、首輪の欠点でもある「気管に負担がかかる」を避けるためにも、
気管の弱い犬やシニア犬はハーネスでの散歩がおすすめです。犬の苦しさを軽減してあげられます。
「介護用」というハーネスも市販されているので、足腰が弱く「歩く」ということに介助が
必要な愛犬には検討してあげてみてはいかがでしょうか。
●短頭種はハーネスが合っている
さまざまな犬種がいますが、頭が短めと言われる犬種はハーネスが合っているとか…。
それには次のような理由があるのです。
頭が短いという体の特徴ゆえ、上手く呼吸ができない「呼吸器」「気管」の病気が多いのが短頭種。
確かに、頭の短い犬は鼻ぺちゃで息を吸う時に苦しそうに見えることがありますよね。
短頭種の代表的な犬は、フレンチブルドッグ、パグ、シーズー、チンなど。みんな可愛らしい子ばかりなので、
人気もありますよね。このような短頭種の犬達は、首輪の散歩では引っ張りにより呼吸が苦しくなることもあるかもしれません。
●短足犬種は注意が必要!?
ハーネスは胴全体を固定するので「抜けにくい」というメリットがあります。
ただ、実は注意が必要な犬種も…。コーギーやダックスなど足が短めな犬は、
足が抜けてしまいやすいこともあります。ハーネスを装着しているからと過信せずに、
飼い主さんが注意しながら散歩をしてあげましょう。
犬の体のサイズや特徴、健康状態は個体差があります。必ずしも「ハーネスがいい」とは言えませんが、
愛犬の様子を見ながら慎重に判断していくといいのかもしれませんね。
どんなハーネスを選ぶべき?
ハーネスには、いくつかの種類があります。それぞれの特徴を理解した上で、愛犬の負担を少なくするものを選んであげるようにしたいものです。
●立体型
胸にあたる部分が犬の動く方向によってフィットするので、犬の行動を制限しなくてすみます。
また、首周辺に食い込まないため、首への負担がなく愛犬自身も違和感があまりないかもしれませんね。
●8の字型
文字通り、数字の「8」のように輪が2つ連なっているハーネスです。
それぞれ、首の方、体の方へ固定する形です。頭の方から通さなくてもいいので、頭から装着するのが苦手な愛犬にもいいでしょう。
●ベスト型
洋服のように簡単に着脱ができるベスト型ハーネス。布製の素材が柔らかく、
リードを引いた時にもあまり負担がかからないです。両前足を入れて、背中側をマジックテープなどで止めるタイプが多いです。
マナーを守って楽しい散歩
ハーネスには良い点もあれば悪い点もあります。また、たくさんのデザインが売られており、
ベスト型だと洋服のようにオシャレを楽しむことができます。重要なのは犬の体にフィットするものを選ぶということです。
サイズが異なると、胴回りや腕の付け根が気になって動きが制限されてしまうことも…。
愛犬が楽しい散歩ができるように、ハーネス選びには注意してあげましょう。
また、一度購入したからと言って安心しないようにしましょう。
体の成長や体重の増減によっても体型が変化します。
サイズが合わなくなって緩くなると体から抜けることもありますし、
きつくなると体に痛みを覚えたりすることもあります。
体に合ったハーネスを選び、愛犬の安全と健康を守って、毎日の散歩を楽しいものにしていきましょう。
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