【獣医師監修】犬が息切れを繰り返す時に考えられる病気とは?

2017.05.14

【獣医師監修】犬が息切れを繰り返す時に考えられる病気とは?

普段、何気なく愛犬がする息切れには、特に何も問題がない場合と何かしらの病気のサインの場合があります。お散歩や外出で愛犬が息切れをする場合、そんなに問題はありませんが、息切れをするタイミングが前より早くなったり、何も運動してないのに息切れをしえいる場合、それはもしかすると何かの病気を発症している可能性もあります。愛犬が息切れをするようになったら、一度健康診断を受けてみるのもいいかもしれませんね。

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犬が息切するのは何故か

犬が息切れをするのは何故か

犬が散歩や飼い主さんと遊んでいる時など、夢中になりすぎて息切れすることってありますよね。このような場合の息切れは、私たち人間と同じで運動を長時間すると息切れをするのと同じ理由と言えます。しかし、何もしていない状態で息切れや苦しそうに呼吸をしている場合はどうでしょうか。その場合、何かの病気によって呼吸がしずらい状況なのかもしれません。それでは、どのような場合に、息切れや苦しそうな呼吸をするのでしょうか。

■十分な筋肉が育っていない

特に子犬の場合、筋肉や呼吸器がまだ成長過程であることから、少しでも激しい遊びや散歩をすると、すぐに息切れをしてしまいます。子犬は、自分自身で体力や運動量をコントロールできないため、つい遊びすぎてしまう傾向があります。そのため、子犬と遊ぶときは、すぐに疲れて息切れしてしまうことを考慮して遊ぶ時間を決めることも必要になります。もちろん、成長とともに遊ぶ時間は増やしていってあげましょう。

■老化による体力の低下

私たち人間もそうですが、運動不足だったり年齢が増すことにより老化が進むと、自然と運動量も減りちょっとしたことで息切れをするようになってしまいます。当然、これは犬にも当てはまり、シニア期に近づくにつれ運動量が少なくなり、息切れをする頻度も増えていきます。だからといって、散歩など運動することをやめてしまうと、逆に息切れをすることが増えてしまいます。そのため、愛犬の負担がないように、運動量や運動する場所に考慮し体力の低下を防いでいきましょう。

■太りすぎ

太りすぎ(肥満)ると、重い体を支えるために本来必要のない体力や筋力を使うため、すぐに疲れてしまいます。ちょっとした坂を昇る時、階段を昇る時、少し走る時など、ちょっと動いただけで息切れをしてしまうことも少なくありません。実は、太りすぎと息切れには密接な関係があり、太ることにより心臓や肺に負担がかかってしまい、結果として呼吸がうまくできない状態に陥ってしまうのです。また、心臓や呼吸器系の病気を発症するリスクの高まるため、太りすぎは健康を害する恐れがあることを忘れてはいけません。


犬が息切れするときに考えられる病気とは

犬が息切れをするときに考えられる病気とは

■僧帽弁閉鎖不全症

【症状・特徴】
僧帽弁閉鎖不全症とは、犬の心臓病の2/3を占める小型犬に多い病気で、中でもキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルは発症率が非常に高いことで知られれています。初期の段階では目立った症状がありませんが、ステージが進むにつれ咳や息切れ(苦しそうな呼吸)をすることが増えます。また、病気が進行することにより肺水腫を引き起こす可能性も高まり、息切れ(苦しそうな呼吸)だけでなく症状の悪化により呼吸困難になる場合も少なくありません。一般的には、シニア期に入ると発症することが多い病気ですが、若年齢でも起こる可能性はあるため、愛犬の息切れ(苦しそうな呼吸)が見られたら心臓の検査をしてもらうと良いでしょう。
【原因】
犬の僧帽弁閉鎖不全症とは、僧帽弁が本来送るべき場所に血液を送ることができず、血液が逆流してしまうことにより起こる病気なのですが、何故発症するのかは不明です。しかし、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルやチワワの発症率が高いことから、遺伝により発症する可能性が高いのではないかと言われています。
【治療】
犬の僧帽弁閉鎖不全症は、発症したら完治することはできないため、病気とうまく付き合っていく必要があります。そのため、症状に応じて投薬治療を行い症状をおさえるという治療をしていきます。

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■肺水腫

【症状・特徴】
犬の肺水腫は、多くは心臓病(僧帽弁閉鎖不全症など)や肺炎などの病気が原因となって発症します。肺水腫になると、咳や呼吸が荒くなり息切れ(苦しそうな呼吸)が激しくなるため、異変にすぐ気付く飼い主さんも多いでしょう。また、肺水腫になると、犬が横になる体制が横向きではなくがに股のように前足を伸ばした状態で眠ることが多いため、寝方がいつもと違い、息切れも激しかったら要注意です。 
【原因】
肺水腫の多くは、心臓病が原因で起こる心臓性肺水腫です。この場合、治療を行えば比較的回復傾向にありますが、交通事故や関電、熱中症などが原因で起こる非心臓性の肺水腫の場合、予後があまりよくないと言われています。
【治療】
犬の肺水腫の治療は、基本的には利尿剤や血管拡張剤を使用し、貯まった水分を排出させる治療を行います。また、息切れが激しく呼吸困難を伴う場合には、酸素吸入も必要になります。肺水腫は、何度も言う通り心臓病が原因となって起こる病気のため、心臓病と診断されたら治療をしっかりと行う必要があります。

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■気管虚脱

【症状・特徴】
犬の気管虚脱とは、呼吸に伴い器官が変形しつぶれてしまう病気で、息切れが激しくなるだけでなく乾いたような咳を頻繁にする病気です。シニア期に発症することが多く、肥満になることにより症状が悪化するという特徴があります。症状は、息切れ(苦しそうな呼吸)、乾いた咳が多く、時に見ているだけで私たち人間の方が辛くなってしまう程です。
【原因】
気管虚脱は、トイ・プードルをはじめとする小型犬に多いため、遺伝的な要因が多いと言われています。また、肥満により気管が圧迫され結果として気管虚脱を発症してしまうということもあるため、太りすぎも発症の原因として考えられます。
【治療】
犬の気管虚脱は、発症するとその病気とうまく付き合っていかなければならない病気です。また、治療としては鎮咳薬や機関拡張薬といった投薬治療で、息切れや咳を軽減しうまくコントロールしていく必要があります。

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■悪性リンパ腫

【症状・特徴】
犬の悪性リンパ腫は、犬の免疫を担うリンパ球がガンになってしまう病気で、比較的シニア期に多く発症する病気です。リンパ腫は、文字通りリンパが腫れる(しこり・腫れ)ため、日頃から愛犬の体を触っていればその違いに気づくこともあります。その他の症状として、嘔吐・下痢・元気低下・食欲低下・息切れ(苦しそうな呼吸)などがあり、気づいた頃には転移している可能性も少なくありません。
【原因】
悪性リンパ腫が発症する原因は現在も不明のままです。しかし、ラブラドール・レトリーバー、ゴールデン・レトリーバー、ボクサーなどがリンパ腫になりやすい傾向にあるそうですが、実際のところは犬種関係なく発症することが多いです。 
【治療】
犬の悪性リンパ腫の治療法は、基本的には化学療法を行います。また、悪性リンパ腫は抗がん剤の反応が良いため、治療を行うことにより生存率が上がる可能性が高いのも特徴です。

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■熱中症

【症状・特徴】
これから暑くなると発症するリスクが高まるのが、犬の熱中症です。熱中症は、蒸し暑い室内・車内での留守番や、炎天下の中の散歩や外出などによって発症します。主な症状として、体温の上昇・息切れ(ハァハァと苦しそうな呼吸)・よだれなどがあり、症状が悪化すると呼吸困難や吐血などが起こり、命を落とす可能性もある危険な病気です。そのため、暑い夏は愛犬が息切れをしていないかをチェックすることが必要です。
【原因】
そもそも犬は、私たち人間のように汗をかくことができないためハァハァと呼吸ことにより体温調節をしています。そのため、熱い室内・車内での留守番、炎天下の中のお散歩や外出など長時間にわたり犬を高温の環境におくことにより、体温調節がうまくできなくなり熱中症になってしまうのです。
【治療】
愛犬が熱中症になったら、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。その際、わきの下や足の付け根付近を冷やしながら連れて行ってあげると良いでしょう。また、私たち人間と同様で水分補給も忘れずに行いましょう。

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愛犬の健康管理は飼い主さんが行おう!

愛犬の健康管理は飼い主さんが行おう!

犬は、自分で食事のコントロールをすることができません。そのため、与えれば与えるほど食べてしまうという特徴があります。しかし、それは結果として愛犬のためにはならず、逆に健康を損ねてしまうことになるのです。また、ドッグフードをあまり食べないからといって放置してしまうと、栄養失調になり十分な栄養素を摂取することができず痩せすぎてしまうというリスクもあります。つまり、愛犬の健康管理は飼い主さんがしっかりと行うことが、健康を維持する上でとても重要になるのです。
日々の健康管理をしっかり行えば、愛犬が病気になるリスクも避けられますし、予防にもなります。また、場合によっては早期に病気を発見することができます。いつまでも元気でいてもらうためにも、愛犬の健康管理をしっかり行いましょう。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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malulani-o610

小さい頃から犬に囲まれて育っている大の犬好きです。犬のことをもっと知りたくて、ペット看護師・ペットセラピストの資格を取得し、次は愛玩動物飼養管理士の資格取得を目指しています。ちなみに、今はチワワを飼っています♪

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