野良犬(迷い犬)はどうやって保護犬になるか?
外で暮らしていたり、彷徨っていたりする野良犬(迷い犬)にはさまざまな背景があります。
一般的には、外で単独で動いている犬のことは、野良犬や野犬などと言われることが多いですよね。
これらの野良犬は、「飼い主がいない」「住む家がない」という状態です。
人間に捨てられたり、飼い主と何らかの事情により離れたりなどの野良犬(迷い犬)たちです。
彼らの中には、産まれたときから野良犬であった犬たちも多くいます。
しかし、もとを辿れば人間に捨てられてしまった犬たちが自然に繁殖をして出産し、野良犬になってしまったのです。
そんな野良犬(迷い犬)たちは、保健所や動物愛護センターに引き取られ一時的に保護される「保護犬」となります。
その保護犬のすべてが新しい飼い主に出会うわけではありません。保護されたと言っても一時的なものが多く、その後殺処分されてしまうこともあります。
特に、心無い飼い主が自ら保健所に持ち込んだ野良犬は保護されるのは数日だけで殺処分されてしまう厳しい現実があります。
そんな悲しい境遇になる野良犬(迷い犬)たちも数多くいるのが現状です。
野良犬(迷い犬)を引き取るための方法とは?
保健所に保護される野良犬(迷い犬)たちの多くが最終的に殺処分されている現実を知るととても悲しい気持ちになります。
野良犬(迷い犬)を「なんとかして保護したい」という気持ちを持つ人が増えれば、それだけ命が救われることにも繋がります。
野良犬(迷い犬)を引き取るための方法は、大きくわけて次の二つの方法があります。
◆その1:保健所や動物愛護センターから野良犬(迷い犬)を引き取る
保健所や動物愛護センターなどでは、保護犬たちの新しい飼い主を募る「里親募集」を行っています。
譲渡会などで実際に間近で見ることもできます。
○里親制度で命を救おう
各自治体にもよりますが、保健所に保護された野良犬(迷い犬)たちは数日程度と短い期間を経て殺処分されてしまいます。
とても悲しいことであるとともに、無責任な飼い主たちが引き起こしている現実であることに怒りの感情が芽生える人も多いことでしょう。
そんな保護されている野良犬(迷い犬)たちを救おうと、各地域では動物を守るボランティアの方々が多くいらっしゃいます。
彼らの団体では、野良犬(迷い犬)を保健所から保護し、新たな飼い主さんが見つかるまで保護する活動をしています。
里親制度を利用して野良犬(迷い犬)を飼いたい場合には、まずは申込みをすることになります。
ただ、申し込めば引き取れるという簡単な流れではありません。
保護されている野良犬(迷い犬)たちに二度と悲しい思いをしてほしくないため、次のように審査事項も多いです。
- 成犬か子犬、オスとメスのどちらを引き取りたいかの希望
- 住む家は一戸建てか集合住宅か(持ち家や賃貸か)
- 屋外で飼うか、室内で飼うか
- 家族の中には日常的にお世話をする方が何人いるか
- 動物を育てた経験があるかどうか
- 引き取り後には飼育や病院に係る費用の負担が可能か
これらの審査基準をクリアして、ようやく里親候補となるわけです。また、飼い主として責任を持ってもらうために、
譲渡前には必ず「講習会」を受けることになります。保健所が主催する「譲渡会」で実際に犬たちを見ることができることもあります。
各地域の制度によって流れは異なる部分が多少あるので、お住まいの自治体の団体に確認してみるといいかもしれません。
○民間のボランティア団体からの野良犬(迷い犬)の引き取り
野良犬(迷い犬)と新しい飼い主を結びつけるため、里親情報を提供しているホームページもあります。
また、地域の動物愛護のボランティア団体などでは、詳しい情報を記載していることも多いです。
ホームページを見ると、写真掲載もあるので気になる子がいたら里親候補として登録して、引き取りの手続きをしていくことになります。
やはりこちらも野良犬(迷い犬)を引き取る上で「責任」が重視されます。引き取ったら最後まで責任を持って育てる心構えが大事です。
◆その2:野良犬(迷い犬)を自分で保護して引き取る
保健所や動物愛護センターで保護されている野良犬(迷い犬)を家族に迎え入れるだけでなく、
中には自ら保護した犬を飼いたいという方もいるかもしれません。
愛犬家としては、野良犬(迷い犬)を外で見かけると守ってあげたくなりますよね。
それでは、外で野良犬(迷い犬)を保護して、そのまま飼いたいときのことについてお話します。
◆保護したらそのまま飼ってもOK?
野良犬(迷い犬)を外で見かけた場合、首輪をしていなければ野良犬である可能性が大きいです。
ただ、首輪をしている場合には、飼い主が探している場合があるので警察に届け出るようにすべきです。
届出をせずにそのまま飼ってしまうと、もし飼い主が表れたときに罪に問われるなどトラブルが起こります。
中には、首輪を外して彷徨っている犬もいます。飼い主さんが一生懸命探しているケースもあります。
基本的には、外で見つけた犬については警察に届け出るようにします。警察に届け出るときに、「自宅で保護したい」旨を伝えます。保健所に連れていかれると保護とは一時的なもので、飼い主が見つからなければすぐに殺処分が行われてしまう可能性が大きいです。飼い主が見つかるまで保護することを伝えれば、自宅で保護して過ごすことができるかと思うので届出時に伝えるといいでしょう。
その後、保護している間に一定期間が過ぎ、もし飼い主が表れなかった場合には、保護している野良犬(迷い犬)を「家族」として迎え入れることができます。
●保護した野良犬(迷い犬)を飼う手続き方法は?
保護した野良犬(迷い犬)を新たにペットとして迎える場合には、「犬を飼います」という畜犬登録を行政に届け出る必要があります。
ワンちゃんを飼う人は、必ず登録しなければならない制度です。登録費用は3000円程度となっています。法律で決められていることなので忘れないように手続きをしましょう。
●野良犬(迷い犬)を動物病院に連れていき適切な処置をする
保護した野良犬(迷い犬)を初めて飼い犬として登録するときには、狂犬病の注射をしなければなりません。
また、それ以外にも予防接種を行い、感染症を防ぐようにしましょう。動物病院で狂犬病のワクチンを接種する場合には、各病院での費用が若干異なりますがだいたい3500円くらいです。
また、混合ワクチンもいくつかの種類によって費用が異なります。外で暮らしてきた野良犬(迷い犬)は何らかの感染症になっている可能性もあります。
ワクチン接種については、飼育の環境によってもおすすめされるワクチンの内容も異なるので、獣医師と相談して接種するといいでしょう。
保護した野良犬(迷い犬)がどんな状況でどんな病気を持っているかは、見た目では全く分かりませんよね。
体の中に何らかの病気を抱えている可能性もあるので、まずは動物病院で健康診断を行うといいでしょう。
また、野良犬(迷い犬)たちは外見だけでは年齢も分からないので、獣医に何歳であるかを見てもらうことも必要です。
野良犬(迷い犬)を家族に迎えるための準備
新たに犬を飼う場合には、飼育環境をしっかりと整えてから迎えましょう。
◆野良犬(迷い犬)を育てるために飼育環境を整える
どんな大きさの野良犬(迷い犬)を飼うかによっても違いますが、室内で飼育するなら犬専用のスペースが必要になります。
新しい家族となった野良犬(迷い犬)たちが安心して過ごせるように、サークルやケージを準備して「自分だけのスペース」も準備してあげましょう。
外で暮らしてきた野良犬(迷い犬)にとっては、室内環境にすぐに馴染むことは難しいかもしれません。
室内に危険なものがないかも事前に注意してあげたいことです。小さなものが犬の届くところに多いと、間違って飲み込んでしまう危険もあります。
◆飼うためのグッズを用意する
被毛を整えるときに必要なブラシなどのお手入れグッズ、トイレグッズ、食事を与えるための食器や水飲み器などは毎日の生活で必須のものです。
食べものに関しては、年齢に応じたドッグフードを準備しましょう。
主食は総合栄養食と記載されたドッグフードを準備します。総合栄養食は、ワンちゃんに必要な栄養素を考えられて作られています。
また、しつけをするときには、いわゆる「おやつ」として販売されているスナックを準備してあげます。大事なしつけのためには欠かせないものですが、
与え過ぎるとカロリーが多くなってしまうので、低カロリーのものを準備してあげるといいかもしれませんね。
また、散歩に行くための首輪やハーネス、リードも欠かせません。運動不足にならないように、しっかりと散歩を日課にしたいものですね。
引き取り前にしっかりと考えておきたいこと
愛犬家にとっては犬との生活は楽しみで仕方がないことでしょう。ただ、野良犬(迷い犬)たちを自分の家で飼うことは、自分だけの生活ではなくなることを意識しなければなりません。
◆犬を飼うことができるライフスタイルかどうか
例えば、一人暮らしで仕事が忙しく留守がちという方が飼い主になっても、犬のお世話にかける時間はあまりありません。
留守がちで寂しい思いが続けば、犬たちはストレスから体調を崩してしまうことも多いです。それに、仕事で出張などが続けば、ペットホテルに長期間預けられるなどかわいそうな状況が多くなります。これでは、新しい飼い主に引き取られたとしても決して幸せとは言い切れませんよね。
また、仕事の関係で転勤が多いご家庭なども注意が必要とされるでしょう。もし転勤先に犬を連れていけない可能性が出てくれば、また犬たちは飼い主がいなくなる不幸が起きてしまいます。
野良犬(迷い犬)を引き取る前には、自分のライフスタイルに合っているかをしっかりと確認しましょう。
◆お世話は家族全員でする
野良犬(迷い犬)を迎えるには、家族全員が賛成していることも大事です。一人だけがお世話をしようと頑張っても、その人が仕事や病気でお世話をできないこともあるでしょう。家族全員でお世話をすることで、迎えた野良犬(迷い犬)を幸せにしてあげましょう。
◆時間をかけて野良犬(迷い犬)を幸せにしてあげる心構えを持つ
野良犬(迷い犬)は、すでに大人になっているワンちゃんが多いものです。
外で生きてきた環境によっては警戒心が強くなっていることもあります。以前の飼い主さんとの暮らしの中で、なにかしらの癖のある性格になっていることも多いです。時間をかけて愛情を持って接するようにしたいものです。
さらに、野良犬(迷い犬)たちは過酷な状況で暮らしていた可能性が大きいです。新たに迎えた場合には、健康面では十分に気をつける必要があるでしょう。
また、高齢の野良犬(迷い犬)を引き取った場合には、もしかして「介護」をしなければならない状況も考えられます。
介護が必要になれば、一緒に寄り添ってあげる時間と費用が必要となります。
悲しい気持ちになるのであまり考えたくないかもしれませんが、迎え入れた野良犬(迷い犬)病気になった場合や介護が必要になった場合のこともしっかりと考えておくべきことです。
野良犬(迷い犬)の警戒心が強い場合の対応やしつけはどうする?
野良犬(迷い犬)たちは、過去に人間からひどい仕打ちを受けていることが多いです。
意味なく追いかけられた、石を投げられた、叩かれた…など、一部の心無い人間が原因で野良犬(迷い犬)たちの心に深い傷を与えてしまっているのです。
そんな状況ですから、人間に対して警戒心を持っているのは当然でしょう。
野良犬(迷い犬)を引き取って育てる決意をした新たな飼い主さんは、犬に対して優しい気持ちを持っている人が多く、「幸せにしてあげたい」と心から願っているのだと思います。
しかし、人間からひどいことをされた経験を持つ野良犬(迷い犬)たちにとっては「人間=ひどい」とひとまとめに認識しているため、警戒心を丸出しにするでしょう。
警戒心が強すぎる野良犬(迷い犬)の場合、無理をせずに「少しずつ」でいいので、距離を縮めるようにします。
野良犬たちには過去に起きた辛い出来事がインプットされているので、怖い存在と感じている人間から「いきなり触られる」「抱っこされそうになる」などがあれば、攻撃されていると勘違いしてしまうでしょう。
犬と適度な距離を保つようにして、「近くにいるけれど攻撃してこない人だ」と分からせることからはじめます。
「急に近づく」「急に触る」「大声を出す」など、急激な動きや大きな音はやめましょう。
また、犬が逃げるからと言って不必要に追い掛け回すのもNGです。
過去に人間に追いかけられた経験がある犬なら、その記憶がよみがえってしまいます。
同じ空間で過ごすだけで「無害な人だよ」と教えてあげるようにしましょう。
また、彼らの気持ちを和らげるために、「人間の手からオヤツを与える」というのも効果的がある方法です。
「人間の手から食べものをもらえる」と学習できれば、徐々に警戒心がなくなってくるかと思います。
慣れてきたら、体を触るようにしていきましょう。
オヤツを与えながら、優しく微笑み撫でることで、少しずつ警戒心を取り除いてみてくださいね。
嫌そうなら無理をしない…ことを前提に、「穏やかな表情・優しい声」を心がけて野良犬(迷い犬)たちに接してあげましょう。
警戒心が少しずつなくなってくれば、新しい飼い主さんのことを「信頼できる存在だ」と分かり、犬たちの表情も柔らかくなってくるかと思います。
そして、信頼関係が出来上がったと感じたら、「しつけ」もしていきましょう。
引き取った野良犬(迷い犬)は、これからペットとして育てることになります。
家のなかだけでなく、散歩やドッグラン、動物病院など、他の人間たちとの交流も増えていきます。
慣れていない人間と接することは彼らにとってはハードルが高いことなので、飼い主さんの命令を聞けるようにしておかなければなりません。
今後の生活のためには「しつけ」はかなり重要です。
「警戒心をとく⇒信頼してもらう⇒しつけをしていく」と段階を踏んで、信頼関係を築いていきましょう。
飼い主さんを通じて「人間たちは温かい」と知ることができるようになるといいですね。
まとめ
野良犬(迷い犬)たちの新たなパートナーとなった飼い主さんたちは、最後まで責任を持って育てるという覚悟が必要です。
一度悲しい思いをして人間不信になっている彼らの新しい生活を幸せなものにしてあげましょう。
時間はかかるかもしれませんが、愛情を持って接し続けることでその気持ちはきっと彼らにも届くはずです。
お互いの意思が通じ合うようになれば、愛おしい気持ちがさらに増す事でしょう。
犬たちは生きています。飼い主さんの愛情を糧に日々暮らしています。人間の勝手で野良犬(迷い犬)が増えないことを願うばかりです。
「愛犬は家族だ」という気持ちを持って、長く一緒に暮らせるように大事にしてあげたいものです。
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