【老犬介護】夏バテを高栄養食で乗り切りました!シリンジでの食事の与え方

2017.09.09

【老犬介護】夏バテを高栄養食で乗り切りました!シリンジでの食事の与え方

皆様のワンちゃんはこの夏、いかがお過ごしでしたか? 2017年11月で15歳になるキャンディスは体調を崩し、一時は自力で立てず、ご飯も食べられなくなってしまいました。すぐにかかりつけの動物病院に相談し、点滴と高栄養食(療法食)の投与によって何とか乗り切って、今ではすっかり元気になっています。 今回のコラムでは、高栄養食についてご紹介します。

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7月中旬の猛暑が続いた頃に体調を崩しました

2017年8月中旬からはとても涼しくなった東京ですが、7月中旬から8月上旬にかけては35℃を超える日も珍しくなく、暑い日が続きました。部屋は常時冷房をしていたし、暑い日は抱っこ散歩も控えていたのですが、突然、キャンディスが何も食べなくなりました。水も飲みません。そして、夜には自力で立てなくなってしまいました。

オシッコは出ていたので1日様子を見ましたが、2日目も何も食べたがらず、オシッコの色がかなり濃かったので、かかりつけの病院へ連れて行きました。獣医師はキャンディスの首の皮膚を持ち上げて放し、すぐに皮膚が元に戻らないのを見て、
「脱水症状により、皮膚が弾力を失っていますね。血液検査をして、点滴で栄養と水分を補給しましょう」
とおっしゃいました。

1.オシッコの色が濃い
2.首の皮を引っ張って放したときに、皮がすぐ元に戻らない
3.歯茎が乾燥していて粘りけがない

ときは脱水症状の可能性が高いので、すぐに動物病院に相談してほしいとのことです。

血液検査の結果は、特に異常ありませんでした

老犬 介護 栄養食
<キャンディスの血液検査の結果です>

結論から言えば、血液検査上、深刻な問題は見つかりませんでした。ALP(アルカリホスファターゼ。肝臓や腎臓など体の様々な細胞でつくられる酵素)の数値は高いですが、高齢かつ右眼が義眼、左眼が白内障で、後ろ足が脱臼しがちなキャンディスがいつもストレスを感じていることを考えれば、深刻な異常とまでは言えないと先生は判断されました。この判断につきましては、獣医師により見解が異なると思いますので、血液検査の結果でわからないことがあれば、納得いくまで説明を受けることをおすすめします。


点滴後に高栄養食とシリンジを処方されました

水分と栄養分を点滴した後、獣医師から高栄養食とシリンジ(注射筒)が処方され、与え方と今後の治療方針について説明を受けました。
まず言われたのが、点滴による栄養と水分の投与はあくまでも緊急避難的なもので、栄養と水分は口から摂ることを心がけてほしいということでした。
「点滴に頼ってしまうと、咀嚼・嚥下機能(かんで飲む込む力)や消化機能が衰えてしまうので、とにかく口で食べることにこだわってください」と言われました。
しかし、今のキャンディスは少量しか食べられません。そこですすめられたのが、高栄養食です。高栄養食は1gあたりの栄養価が非常に高く、少量でも十分な栄養を摂ることができます。「食べる点滴」ともいえるでしょう。
今回処方されたのはデビフのリカバリーサポートですが、各ドッグフードメーカーから様々な高栄養食が販売されています。いずれも処方食(療法食)で獣医師からの処方が必要ですので、かかりつけの動物病院に相談をしてください。

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<デビフのリカバリーサポートは動物病院でのみ購入できます>
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<シリンジです。このときのキャンディスは自力で立てなかったので、これに高栄養食を入れて経口投与するよう指示されました>

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離乳期や産前産後・病中病後・シニア期の栄養補給に適しています。 <総合栄養食>

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気管に入らないよう気を付けながら自分でなめさせます

高栄養食の経口投与では、「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)を避ける」ことが何よりも肝心です。食べさせたいからと無理にシリンジを口に突っ込むと、むせて咳き込むことなどで療法食が気管に入ってしまいます。これを「誤嚥(ごえん)」といいます。誤嚥により、肺が炎症を起こして発生する肺炎を「誤嚥性肺炎」と言います。命に危険が生じる肺炎です。人のお年寄りの介護でも、誤嚥性肺炎はよく問題になります。
あくまでも「ワンちゃんが自分でなめるように仕向けること」。これが重要です。

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<多頭飼いをされている方は、ほかのワンちゃんを必ずクレートなどに入れてください。高栄養食をシリンジに入れて利き手で持ちます。ペットオーナー様は座って膝の上にトイレシートなどを敷き、その上にワンちゃんを寝かせるようにすると汚れません。利き手と逆の手でやさしくワンちゃんの、のどのあたりをなでて「おいしいよ」「ごはんだよ」などと声をかけながら、ワンちゃんににおいを嗅がせてください。>
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<ワンちゃんがにおいを嗅いだら、利き手でシリンジの押し子を押してシリンジの筒先から少しだけ高栄養食を出し、ワンちゃんになめさせます。絶対に、ワンちゃんの口にシリンジの筒先を突っ込んではいけません。ワンちゃんからなめさせるように仕向けてください。首先を押さえている手でワンちゃんの首筋などをなで、なだめながら行うとうまくいきます。>

高栄養食の1食分をシリンジから与えるのは、30~40分ほどかかります。急いでいるときに慌てて与えるのは事故の元なので、朝与えるなら早起きをするなどして時間を作ってください。ペットオーナー様の気分がゆったりしていると、ワンちゃんも穏やかな気持ちになって食べることができます。


ウンチがゆるくなったら獣医師に相談をしてください

初めて高栄養食を食べるワンちゃんは、ウンチがゆるくなりがちです。キャンディスもオムツからはみ出すほどウンチがゆるくなったので、獣医師に相談をしたところ、胃腸薬を処方されました。胃腸薬とともに高栄養食を与えるようにしたところ、「ちょっと柔らかいウンチ」になりました。今では高栄養食に慣れ、胃腸薬がなくても「ちょっと柔らかいウンチ」です。
高栄養食の投与によりウンチの異常がみられたら必ず獣医師に相談し、指示に従ってください。自己判断で胃腸薬を与えるのは禁物です。

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今では自力で立ってご飯を食べられるようになりました

一時は寝たきりになってしまったキャンディスですが、獣医師に相談して高栄養食を導入したことにより、今では自力で立ち、ご飯を食べられるようになりました。

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<高栄養食をおいしそうに食べるキャンディス。ご飯を食べやすいようにと、主人が食器をのせる台を作ってくれました。台に食器をのせると、ワンちゃんはご飯を食べるときに頭を下げなくていいので、楽に食事ができます。食器をのせる台はペットショップなどでも市販されているので、ぜひ導入してみてください。>

やはり、「自分の口からご飯を食べる」のは人間もワンちゃんも、健康の基本なのだなと思います。今回、早めに動物病院に相談し、対策を取ったことにより、深刻な状態にならずに済みました。こうして、体調の波を乗り越えながら、キャンディスにはいつまでも長生きしてほしいと思っています。

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石原 美紀子

石原 美紀子

青山学院大学卒業後、出版社勤務を経て独立。犬の訓練をドッグトレーニングサロンで学びながら、愛玩動物飼養管理士1級、ペット栄養管理士の資格を取得。著書に「ドッグ・セレクションベスト200」、「室内犬の気持ちがわかる本」(ともに日本文芸社)、「犬からの素敵な贈りもの」(出版社:インフォレスト) など。愛犬はトイ・プードルとオーストラリアン・ラブラドゥードル。


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