【獣医師監修】犬の尿石症の症状・原因まとめ。赤いおしっこや痛がったら要注意

2017.09.21

【獣医師監修】犬の尿石症の症状・原因まとめ。赤いおしっこや痛がったら要注意

愛犬のおしっこ、毎日観察していますか?トイレを片付ける際に何気なく毎日見ているおしっこですが、その何気ない観察が、犬の尿石症の早期発見につながるかもしれません。おしっこに変な色がついていませんか?何度も何度も犬がおしっこに行っていませんか?おしっこをする時に痛がっていませんか? 犬の尿石症は、閉塞が起こってしまうと急激に具合が悪くなり、場合によっては死に至ります。尿石症の症状や原因を理解して、犬が尿石症にならないように心がけましょう。

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尿石症の症状は?

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尿石症は、おしっこを作って体の外へ排出する経路の中で石が出来てしまい、おしっこがうまく出せなくなる病気です。
おしっこを作る器官の「腎臓」、腎臓からおしっこを溜める膀胱までおしっこを運ぶ「尿管」、おしっこを溜めておく「膀胱」、おしっこを体外へ排出する道「尿道」のいずれかに結石が形成された状態を差します。

尿石症になると、尿の排出経路の尿道や尿管に結石がつまり、完全におしっこの道をふさいでしまいます。そして、尿を排出できないために膀胱破裂や急性腎不全を起こして死亡するケースもあるそうです。
尿石症の症状は、飼い主さんが見ていれば小さな変化で気づけるはずですし、複数当てはまれば、尿石症である可能性が高いです。そんなときは、すぐに動物病院へ連れて行ってあげて下さいね。早期発見が早期治療に繋がりますよ。

犬が尿石症にかかってしまった時の症状は主に5つです。

◆頻尿になる

犬がさっきトイレに行っておしっこをしたはずなのに、またトイレにいって排尿のポーズをしているといった、何度も何度もおしっこに行く=頻尿という症状がでます。
この時、おしっこに行くのだけれど、尿の量が少ない場合は要注意です。おしっこの通り道が石でふさがれている可能性があります。

また、おしっこがしたいのだけれどなかなか出ないといった症状もあり、排尿のポーズを何度もする場合もあります。

◆おしっこが濁る・赤色になる

犬の健康な時のおしっこは、黄色で透明ですが、尿石症にかかるとおしっこが濁ったり血液が混ざって赤色になったりします。
体内にできた石が、おしっこを作る部分・排出する部分を傷つけてしまい、出血しておしっこの色を紅茶のような赤っぽい色に変えてしまうからです。
また、おしっこを溜める膀胱を石が傷つけ、そこから細菌感染を起こしておしっこが濁るという症状も出ます。

普段、お外でしかおしっこをしないので色がよくわからないという方もいらっしゃると思いますが、愛犬の様子がおかしいなと感じた場合はお散歩に行く際に、

・空容器を持参→おしっこをしている時にさっと採る
・ペットシーツを持参→おしっこをペットシーツの裏にさせると水をはじいてくれますので、おしっこを簡単に採取する事が可能

上記の2つの方法を試してみて下さいね。

◆おしっこ最中に痛がる

犬が尿石症になると、おしっこをする際にとても痛いという「排尿痛」が現れます。
犬は言葉を話せませんが、おしっこの最中に「キャン!」といつもと違う鳴き声を出したり背中を丸めて震えながらおしっこをしたりという状態は痛がっている証拠です。

◆トイレを失敗する

犬が尿石症になると、自分でおしっこが出したくても出せない状態が続き、自分の意思とは関係なしにおしっこが大量に溜まって突然あふれ出してしまう現象に陥ります。

普段はお家の中でトイレトレーニングも完璧にできたはずの愛犬が、トイレに間に合わなくて失敗する事が多くなった場合や、お散歩最中に電柱でしかしない愛犬が、突然道路の真ん中でおしっこを漏らすような仕方をする場合は要注意。犬が尿石症になって、自分の尿意がコントロールできなくなっている証拠かもしれません。

◆元気・食欲が無くなる

犬が尿石症になると、排尿痛や頻尿などで元気や食欲がうせてしまいます。

尿石症になるとおしっこを溜める膀胱に細菌が入り込んで膀胱炎を引き起こしたり、おしっこを外に出す道の尿道にも炎症を起こしたりする場合があり、その結果として発熱や元気・食欲が無くなります。

人間でも体のどこかが悪いと、元気・食欲が無くなりますよね。愛犬も同じことが言えます。犬が尿石症にかかった時だけ元気・食欲が無くなるわけではありませんが、1つのバロメーターとして、元気・食欲がなくなっていたら何か他に症状が無いか愛犬をよく観察してみて下さいね。

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尿石症の原因は?

愛犬が尿石症になってしまう原因は主に4つです。

◆尿路感染症

犬の尿結石の1つ、リン酸塩結石(リン酸アンモニウム・マグネシウム)はストルバイト結石とも呼ばれ、犬の尿結石の約7割をしめています。このストルバイト結石には、細菌性膀胱炎などの尿路感染症が原因になっている場合があります。

細菌性膀胱炎などで、膀胱内に炎症が起きてしまった結果、尿の中には炎症によって剥がれ落ちた上皮細胞が浮いています。その上皮細胞を核として、尿中のリン酸やマグネシウムなどが結晶を作り、結石として大きくなってしまいます。

尿路感染症には、年をとった犬の抵抗力が落ちてかかる場合や、不衛生なものや場所に触れてしまった時、風邪などを引いた時など様々な原因があります。尿路感染症と一緒に結石が出来る場合があることを頭の隅に入れておきましょう。

◆水分不足

尿は犬の体内の余分な水分を集めて、体内の不要なごみを排出する役割を果たしています。愛犬自身の水を飲む量が減ってしまうと、体内で作られた尿が濃縮されてしまいます。そして、水分が少なくなって凝縮された尿は、結晶ができやすい状態になってしまいます。

特に、夏場の暑い時期でパンティングを多く行って体内の水分量が減った時、老犬になってうまく水が飲めなくなってしまった時、真冬で飲水量が落ちてしまった時などにかかりやすいですから、フードにお湯を加えてスープ状にしたりするなどして、積極的に水分を補給してあげてください。

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◆食事内容が原因

愛犬に与えるご飯の中で、マグネシウムやカルシウム、リン酸などを過剰に摂取させた場合には、体がその過剰摂取分を排出させようとします。過剰摂取となったマグネシウムやカルシウム、リン酸などは尿中へと排出されるため、尿中の濃度が非常に高くなり、結石を起こしやすくなります。

◆内分泌・代謝の異常

生まれつき、門脈・体循環シャントと呼ばれる病気を持っている犬は結石症になりやすいです。
門脈・体循環シャントとは、本来であれば肝臓で解毒される胃腸からの血液が、肝臓へと向かず解毒されないまま、体内へと回ってしまうシャントと呼ばれる血管が存在する病気です。

また、肝臓に障害がある場合も結石症になりやすくなります。
肝臓での解毒作用がうまくできなくなる門脈・体循環シャントや肝臓障害では、血液中のアンモニア濃度が非常に高くなります。そのため、おしっこの中に尿酸アンモニウム結晶が生じやすくなります。

犬種によってできやすい結石が知られていて、ダルメシアンは尿酸アンモニウム結晶が起きやすくなります。シー・ズーはストルバイト結晶、シュウ酸カルシウム結晶の両方ができやすいとされています。

また、メス犬よりもオス犬の方が、尿道が長く、尿道が陰茎骨という骨の近くを通るので結石が尿道をふさいでしまう確率が高いとされています。

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尿石症の治療法は?

犬の尿結石の治療法ですが、尿結石の種類によって治療方法が異なります。

◆まずは動物病院に尿を持参する

尿結石を調べるには、動物病院で尿検査やエコー検査、レントゲン検査をするのが一般的です。
犬の尿を持参しても良いですし、穿刺採尿といって、体に直接針を刺して膀胱からおしっこを抜き取る処置も行われますので、尿の持参が無理な場合は、動物病院に相談してみてもよいでしょう。

◆尿結石の種類について

尿検査をすればどの結石の種類なのかがわかります。

犬の結石がストルバイト結晶の場合、尿中のpHを酸性に傾ける事で、結晶が溶けてなくなります。犬用のストルバイト結晶専用の療法食が販売されていて、これを食べると尿中のアンモニウム・マグネシウム・リン酸の濃度を下げて尿中のpHを酸性にしてくれます。
また、ストルバイト結晶の結石がある場合、膀胱炎などの炎症を起こしている可能性があるので、抗生物質の投与をされる事もあります。
ただし、結晶があまりにも大きくて尿道カテーテルも入らず、尿道や尿管などを閉塞してしまっている場合は、手術を行って尿結石を取り除きます。

犬の結石がシュウ酸カルシウムの場合、尿中のpHはいくら変えても溶ける事はありません。そのため、シュウ酸カルシウム結石が出来てしまった際は手術をして取り除く以外の方法はないようです

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尿石症の予防法は?

尿石症を予防するのは、日ごろの食事の管理がとても重要です。

安すぎる粗悪なドッグフードを使用していたり、栄養が偏ったおやつばかりを与えてしまっていては、必要な栄養素が取れなくなるばかりか過剰に摂取してしまったアンモニウム・マグネシウム・リン酸などが尿に溜まってしまいます。そしてその結果、尿石症に陥ることになります。

普段の生活で、食事管理には気を使い、お水もたっぷり摂取できるようにしてあげましょう。お水を飲まない傾向の犬には、水分を含んだ缶詰を積極的にあげたり、ドライフードにチキンスープをプラスするなどして、水分補給を行って下さいね。
尿を我慢させないようトイレ環境を工夫してあげることも大切です。

また、尿石症は一度かかると再発率がとても高い病気です。普段から愛犬の様子を観察し、尿の仕方やトイレの回数,体調が少しでもおかしいなと思った場合は動物病院を受診して、早期発見・早期治療を行って下さいね。結石まではいかない小さな結晶が尿に排出されている状態の尿石症一歩手前でも、動物病院なら発見する事が可能です。

少しの変化を見逃さない飼い主さんの姿勢が、愛犬を苦しめずに病気から助ける事が出来ますよ。

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まとめ

犬に起こる尿石症の症状は犬がおしっこをしている時の変化によって気づけます。
おしっこが頻繁になる、おしっこが濁る・赤色になる、おしっこ最中に痛がる、トイレを失敗するなど、日ごろから注意して観察してあげたいですね。

尿石症は、尿路感染症や偏った食事内容が原因で発症します。毎日の食事には気を付けてあげて下さい。

犬の尿石症は食事を見直せば石が溶けてなくなるものもありますが、尿石の種類によってはいったんできると手術をしなければ取り除けないものもあります。犬がどの尿石ができているのかを把握し、その犬に合った治療をしてきましょう。
尿石症は再発率が非常に高い病気でもあるので、いったん発症してしまった場合は今後の生活習慣を見直してみると良いですね。

長い記事を読んでくださってありがとうございました。
あなたとその隣にいる愛犬がもっともっと両想いで幸せになりますよう、願っています!

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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根っからの動物好きで、散歩で出会った犬は必ず声をかけて触らせてもらいます! 犬といると幸せ過ぎて顔がにやけてしまいます。皆さんがもっと犬好きになるよう、心に残る記事を書いていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

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