いつもと違う犬のおしっこは病気のサイン!?

2016.11.11

いつもと違う犬のおしっこは病気のサイン!?

ワンちゃんを飼っている飼い主さんであれば当たり前に見ているおしっこですが、皆さんのお家のワンちゃんのおしっこは健康ですか? 実はおしっこは病気のサインを出している可能性もあり、日々のチェックはとても大切です。 今回はワンちゃんのおしっこの病気についてお話したいと思います。

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膀胱炎

膀胱炎

最もよく見かける可能性のあるおしっこの病気なのではないでしょうか。
細菌感染であったり、何かでおしっこを我慢してしまう等の背景があった後に膀胱が炎症を起こしておしっこに異常が出る病気です。
膀胱の炎症により、本来の膀胱の機能である「おしっこをためる」ということができなくなりちょこちょこと頻尿になります。
また痛みが生じる場合があるので、排尿を嫌がったり、排尿の際に鳴き声を上げるなどのこともあるようです。
おしっこ自体には血液が混じったり、壊れた膀胱粘膜の細胞が少し混じることもあるためゼリー状の物質がおしっこに混じることもあります
このような症状が見られる場合、尿検査をして、膀胱の壊れた細胞や赤血球等の有無を確認して、膀胱炎と確定されることになります。
治療は抗生剤の投与や出血のひどい場合は止血剤の投与になりますがしっかりと治るまでに時間が必要な可能性も高く、しっかりとお薬を途中で辞めずに飲み続けることが大切です。


尿結石

おしっこの中に結石と呼ばれる石や、その石になる前段階の結晶と呼ばれる砂状の物質ができるようになってしまう病気です。
これらが出来ることによって、結石であれば尿道をふさいでしまいおしっこが出なくなってしまったり、悪化するとそのことが原因で尿毒症に至ることもあります。
また、結石になる前でも、結晶の成分がおしっことして出てくる際に、膀胱や尿道を傷つけて出血を引き起こしたり、痛みを生じさせるせいで排尿困難になり、二次的に膀胱炎を起こすこともあります。
お家でこの病気に気付くポイントとしては、痛みがあるせいでおしっこをスムーズに出せず、何度もトイレに行くものの、行った後に見てみてもあまりおしっこは出ていなかったり、結晶の場合もおしっこをした後にキラキラと光る物質が出ているなどが挙げられます。
膀胱炎の時と同様、尿検査をして膀胱の状況を把握し、尿中に結晶成分が出ていないかを確認します。
さらにレントゲンやエコーで結石の有無を確認し、もし結石が確認されると外科的に膀胱から取り出すことになります。
結石が発見されなかった場合、結晶があるということは結石につながる可能性があり、結晶ができやすい膀胱環境になっているということになるので、食事を療法食に変えて、しっかりと悪化しないようにしていく必要があります。
この時気を付けなければならないのが、しばらくして、排尿をしっかりできるようになると完治したと思ってしまいがちですが、体質として石ができやすくなっているということが根底にあるので、再発しないよう食餌療法は続ける必要があるということを覚えておくようにしましょう。


腎不全

腎不全

腎臓が加齢などにより機能しなくなってしまい、血中の毒素を体外に尿として排泄したり、うまく濾過して余分なものだけを尿として排出できなくなる病気です。
腎臓の機能の異常のため、毒素が体内に蓄積されてしまい、尿毒症のような症状が出たり、その毒素により倦怠感や嘔吐などの症状が生じます。
また排尿の際に水分調節も破たんするので脱水が起こる傾向もあります。
腎不全になると薄いおしっこを大量にする兆候がまず見られるので、その兆候が見られたら、血液検査をすることにより腎不全か否かを確定させることになるでしょう。
確定した場合、腎の本来の機能である毒素の排出を補うために、吸着剤と呼ばれる、毒素を体外へ排出するお薬を飲むことになります。
他にもリンなどの電解質の異常が出ることもあるため、それらを是正するためのお薬を飲んだり、脱水を補うために定期的に点滴をする必要が生じるケースが多いです。
また、たんぱく質を多く含む食事は、尿中にたんぱく質を漏出させることになり、またそのたんぱくが腎臓へ悪影響を与えるため低たんぱくの食事をする必要があります。
進行を少しでも緩やかにするためにも、きちんと療法食を続けることを心掛けましょう。


クッシング症候群

腎臓とは少し異なりますが副腎と呼ばれるホルモン調節を行なう臓器によるホルモン疾患です。
この疾患になると多飲多尿といって、お水を飲む量も増え、おしっこの量も増えることとなります。
この病気は何が問題になるかというと、この副腎という臓器から出るステロイドと同じ作用を持つホルモンが出過ぎてしまうことになるため、免疫調節がうまくいかずに感染が起こりやすくなったり、脱毛が起こったりする傾向があるのです。
疑われる症状が出た場合、血液検査で全身状態をチェックしたうえで、ホルモン検査を行い、場合によっては副腎の大きさ等をエコーでチェックすることになるでしょう。
そして確定された場合、機能を抑制するお薬を飲んでいくことになります。


まとめ

おしっこ 病気

最後のクッシング症候群はおしっこの病気と言っても、腎臓や膀胱とは異なる、ちょっと違ったタイプの病気でしたが、よく見かける病気だけでもこれだけの種類がおしっこの異常から病気が発見される可能性があるのです。
日々の排泄は当たり前のものであまり注意することもないかもしれませんか、病気の早期発見につながる可能性もあります。
しっかりとチェックしていきたいものですね。


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りなぎ

りなぎ

動物病院での勤務の傍ら、家では6匹の犬(ダックスフント5匹、パピヨン1匹)と一緒に生活しています。 もちろん猫も大好き!です。 私生活では犬だけでなく、子供もいるため、常にいろいろな世代の人と動物が仲良く、よりよい生活をできるようにするためにはどんな知識があるといいのか、どんな生活が理想か、考えることがよくあります。 少しでも皆さんのお役に立てる知識や情報を発信できたらと思います。

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