プロ野球をサポートする犬!?日本の球団でも活躍中、ベースボール犬!

2017.11.01

プロ野球をサポートする犬!?日本の球団でも活躍中、ベースボール犬!

古くから犬は人間のパートナーとして存在していましたが、現代でも様々な形で人間の為に働き、活躍している犬達がいます。 そんな中、通称ボール犬と呼ばれ野球場で仕事をする犬がいるのをご存知ですか? 今回は、日本初のベースボール犬となったミッキーくんと、現在も活躍中のわさびちゃんを紹介します。 野球や日本の球団のことをよく知らない…という方も、ミッキーくんやわさびちゃんの存在を知れば興味が湧くかもしれませんよ!

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ベースボール犬とは?

犬 野球

野球場で仕事をする犬を、ベースボール犬(ボール犬)と呼びます。
実際にどのような仕事をするかというと、その名の通り「ボール運び」が主な役割です。
球審へのボールの補給や、始球式でのボール運びなどを行うことで試合のサポートをし、球場を盛り上げているのです。
いわばボールボーイのような存在ですね。

野球などのスポーツに関心のない方はピンとこないかもしれませんが、ボールボーイというのは野球・サッカー・テニスなどの球技にて、試合で使用するボールの管理を行う補助的人員のことをいいます。
元々はボールパーソンという呼称でしたが、主に男性が行なってきたことからボールボーイと呼ばれるようになったようです。女性が担当する場合は、ボールガールともいいます。

役割の内容はスポーツによって異なりますが、野球の場合、ボールがフィールド外・観客席・場外などに出てしまうことが多かったり、ボールに土がつくことがあるため、頻繁にボールの交換が必要となります。
球審は複数個のボールを常時持っていなければいけないので、ボールボーイが補充の為に球審にボールを届けたり、ボールの回収を行っているのです。

このような仕事を行っている犬をボール犬と呼びます。
ベースボール犬は元々、MLB(メジャーリーグベースボール)、MiLB(マイナーリーグベースボール)というアメリカ(及びカナダ)のプロ野球リーグで登場しました。ボールに限らずバットを運ぶ役割を持つ、「BatDog」と呼ばれる仕事もしているそうです。

日本のプロ野球界で、ベースボール犬が初めて登場したのは2005年でした。
ゴールデンレトリバーの「ミッキー」というボール犬です。
素晴らしい働きぶりと愛らしさから、沢山の人を笑顔にする大活躍をみせました。
このミッキーを皮切りに、千葉ロッテマリーンズではラブラドールレトリーバーの「エルフ」や、後に紹介しますが柴犬の「わさび」など、独立リーグでもベースボール犬が何頭か活躍するようになりました。
ちなみに2006年には、オリックスバッファローズでベースボールモンキーとして猿の「ゴウ」も登場しています。


ボール犬ミッキーの活躍

前述の通り、日本で初めてのベースボール犬となったのは、ゴールデンレトリバーの「ミッキー」でした。
1997年4月10日生まれのオスで、体長約100cm、体重38kg。
1998年に、中国訓練チャンピオン決定競技会でチャンピオンとなった経歴を持っています。
好きな物は、まるいもの・ぬいぐるみ・りんご・おばあちゃんのキュウリで、人形と戯れることが趣味だったそうです。

画像①

プロ野球の球団、広島東洋カープから与えられた背番号は「111」登場曲は「フランダースの犬」でした。
ミッキーは6歳の頃、前の飼い主と別れることとなり、訓練士である上野さんに引き取られます。
そして、人懐こい性格とあまり吠えることがなかったことから、日本初のベースボール犬として抜擢されたのです。

ミッキーがボール犬としてデビューしたのは2005年3月12日の広島市民球場、広島カープと福岡ソフトバンクのオープン戦でした。
3回裏終了後、球審が「来い!」と合図を送ると、ミッキーはボールが三つ入った竹かごをくわえて、ホームベースへと向かいます。球審がボールを二つ手にした所で、焦って戻ってしまいましたが、二度目以降は失敗することなく、しっかり務めを果たしたそうです。
球場内の歓声や、大きな音にも驚かない、とても賢い子だったといわれています。

こうして職務を全うする一方、当時の捕手、倉選手が大好きだったミッキーは、ボール補充の際に球審ではなく捕手にボールを渡そうとするハプニングも起こします。
しっかりボール犬としての仕事をこなす姿と、時折失敗をみせる可愛らしさで、ミッキーの人気はどんどん高まっていきました。
広島東洋カープのマスコット「スライリー」とも仲良しだったそうです。
各球団のマスコットキャラは、ほとんど人間よりも大きいのですが、同様に結構な大きさのあるスライリーにも動じず仲良くなれるというのは少し驚きですね。

ミッキーの衣装は、広島カープと同じデザインのユニフォームで、背番号「111」や名前、肉球のマークがプリントされたものでした。ミッキーバージョンのレプリカユニフォームを着ている観客も球場でみられたそうです。
この立派なボール犬の存在は、観客や選手はもちろん、球団全体にとっても癒しの存在となっていたのですね。
更に、カルビー社発行のプロ野球チップスでお馴染み、内包のベースボールカードにもミッキーのカードが登場します。
2006年7月にはオールスターゲームという大舞台でも、立派にボール犬としての役割をこなしました。
こうしてその人気はカープファンに限らず、全国区となっていったのです。
2005年のシーズン終盤には、広島東洋カープより「終身ボール犬」襲名という栄誉を受け、2006年には「中国新聞カープALL-IN大賞特別賞」を受賞します。

こうしてデビューから約2年半、プロ野球界に新しい笑顔をもたらしたミッキーは、沢山のファンに惜しまれながらも高齢の為、2007年9月にベースボール犬を引退することとなりました。
そして2009年4月8日、新装マツダスタジアム開幕戦と12歳の誕生日を二日後に控えたこの日に、ミッキーは老衰で息を引き取ってしまったのです。
急に食が細くなり、同年3月30日から点滴治療などの為に入院をしていたとのことでした。
命日当日、主治医が「おうちに帰りたいか」と尋ねると、ミッキーは首を持ち上げました。
その旨連絡を受けた家族、上野さんらが駆け付けると、3度首を持ち上げて元気そうにしてみせたのです。しかし、自宅に到着した時には、既に息絶えていたそうです。

その訃報が明らかとなったのは14日で、新聞にも取り上げられました。球団やファンは悲しみに包まれ、同日の対横浜戦では球団旗を半旗に掲げて哀悼の意が示されたのです。
後にお墓が建てられたり、広島市隣の豊平町どんぐりスタジアムにも記念プレートが設置されました。
球団の新しい本拠地球場となったマツダスタジアム近くにも、ミッキーのボール犬としての功績をたたえたプレートがあります。
かごを銜えてお座りをする姿がデザインされ、背番号や成績が記載されているのです。
ミッキーがデビューした2005年は、広島東洋カープが万年Bクラスの貧乏球団と呼ばれていた低迷期でした。
球団は、そんな「苦しい時に球場へ微笑みをもたらしてくれた存在だった」ということを、新球場でも語り継がれるようにと形に残したそうです。
ベースボール犬、ミッキーの登場した試合は15勝7敗、勝率6割8分2厘
11歳で生涯を閉じましたが、球団や野球ファンに沢山の笑顔と癒しをもたらした素晴らしい功績の持ち主でした。

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現役ボール犬のわさびちゃんをご紹介

2008年5月3日、独立リーグ・ルートインBCリーグのチーム「信濃グランセローズ」の始球式でボール犬デビューしたのが、「わさび」というメスの柴犬です。
ベースボール犬には、レトリーバーが多く起用されていたので、わさびは柴犬としては日本初・世界初のベースボール犬ということで有名になりました。
レトリーバーの語源であるレトリーブには取り戻す・回収するという意味があり、レトリーバーは元々物品運搬を得意とする犬種でした。
このことからも、しっかりとベースボール犬の役割を果たしている柴犬は珍しく、脚光を浴びたのです。

わさびがベースボール犬としてデビューしたのは3歳の時です。
長野県松本市野球場にて、始球式の投手である菅谷市長にしっかりとボールを届けました。
元々ボール遊びが大好きで、社交的・好奇心旺盛という性格の持ち主だったようですが、この日、生まれて初めて「球場」に立ったという事実には驚きを隠せません。
そのような状況で大観衆をものともせずに、堂々と大舞台での仕事をやり遂げたのですから、本当に立派なベースボール犬ですね。

ボール犬としてデビューしたきっかけは、わさびの家族にありました。
飼い主さんのお父さんは、元プロ野球選手を経てスカウトマンとなり、長野の球団責任者を任されることとなったのです。
そして球場イベント企画で悩んでいたお父さんに、飼い主さんがわさびにベースボール犬として一役かってもらおうと提案したそうです。
わさびは飼い主さんのお父さんにとても懐いていたようで、大好きなお父さんに会うために頑張っていたのかもしれませんね。

今年で13歳となるわさびですが、未だ現役のベースボール犬です。
ベースボール犬として今季10年目を迎え、通算49試合に出場しました。
独立リーグに限らずプロ野球にも登場し、始球式で何度も観客を沸かせ、ミッキー同様沢山のの笑顔を届けてきたのです。
2013年にはプロ野球オールスターゲームでもしっかりとボール犬の仕事をこなし、同年から5年連続で神宮でのヤクルト戦にも登場しました。ただ、ヤクルトのマスコット「つば九郎」は「5年目なのに、ちっとも懐いてくれない」とぼやいているそうです。

このような笑いがこぼれるエピソードも、高い人気の秘密なのかもしれませんね。
10年間ベースボール犬の活動を続けるということは、世界規模で稀なことです。わさびの素晴らしさはもちろん、飼い主さんの努力が伺えます。
少しでも長く、しかし無理はしないように、これからも野球界に笑顔を届けてもらえることを願わずにはいられません。

野球に関心がない方も、機会があれば是非一度ベースボール犬達の活躍を目にしてみてください。
あの大歓声の中で仕事を全うする姿は感動的で、その可愛さには自然と笑みがこぼれますよ。

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壱子

壱子

子供の頃から犬が大好きです。現在はキャバリア4匹と賑やかな生活をしています。愛犬家の皆さんに役立つ情報を紹介しつつ、私自身も更に知識を深めていけたら思っています。よろしくお願いいたします!


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