犬はイカを食べてもいいの?生のイカと加熱したイカでは違いがあるの?

2023.04.11

犬はイカを食べてもいいの?生のイカと加熱したイカでは違いがあるの?

犬にとってイカはどんな食材でしょう?日本では縄文時代から食されていたイカ。タンパク質も多く含みDHAも豊富なので、犬が食べても問題ないと思うかもしれません。しかし、与え方によっては、犬がイカを食べることは良いどころか悪影響なのです。 今回は、犬にイカを与えてもいいのか、与え方や注意点についてご紹介します。

【目次】
1.愛犬にイカを与えない方がいい?

2.なぜイカを食べてはいけないと言われているの?
 2-1.犬にとって需要な「ビタミンB1」
 2-2.生のイカはビタミンB1を分解してしまう
 2-3.寄生虫アニサキスの存在にも注意

3.スルメは食べても大丈夫?
 3-1.犬にとってもおいしそうなスルメ
 3-2.塩分が強すぎる
 3-3.体内に詰まってしまう可能性がある
 3-4.消化不良を起こす

4.イカを食べるとどんな症状が起こるの?

5.イカを加熱すればOKって本当?
 5-1.アニサキスを死滅できる
 5-2.チアミナーゼの効力をなくすことができる

6.犬がイカを食べるには?注意点は?
 6-1.新鮮なイカを加熱して少量与える
 6-2.幼犬や老犬にはあまり与えない
 6-3.他の食材でも栄養を補う

7.人間にとって良い食材は必ずしも犬に良いとは言えない

【掲載:2018.05.04  更新:2020.06.22/2023.04.11】

愛犬にイカを与えない方がいい?

犬 イカ

イカには、人間が食べると良い効果がたくさんあります。
DHAが豊富なのでドロドロの血をサラサラにしますし、タンパク質も多く含まれているためダイエットにも向いています。肝臓を強化する成分も含まれているため、お酒を飲む人にとっては最高のおつまみと言えるでしょう。

また、イカにはたくさんの栄養が詰まっています。主な栄養は、以下の4つ。

  • タンパク質
  • タウリン
  • 亜鉛
  • ビタミンE

これらの栄養素を愛犬にも取らせたいと思って、好んで与える飼い主も多くいます。

しかし、犬がイカを食べることはあまり良くないと言われています。どうして犬がイカを食べることは良くないのでしょう?


なぜイカを食べてはいけないと言われているの?

◆犬にとって需要な「ビタミンB1」

犬には、「炭水化物」「タンパク質」「脂質」「ビタミン」「ミネラル」「水」の6大栄養素が必要とされていて、ドッグフードには、これら栄養素が上手に入っています。その中に含まれている炭水化物を糖質に変えて、エネルギーとして使うときに必要なのが「ビタミンB1」です。

つまり、ビタミンB1は、犬にとってとても大切な栄養素の一つといえます。

◆生のイカはビタミンB1を分解してしまう

生のイカには、「チアミナーゼ」というビタミンB1を分解する酵素が含まれています。生のイカを食べると、このチアミナーゼの働きによって「ビタミンB1欠乏症」になってしまいます。
そのため、炭水化物を糖質に変えることができず、様々な症状を引き起こすのです。

また、犬などの哺乳動物は、体内でビタミンB1を作ることができませんし、毎日尿として排泄されていきます。このとても大事な栄養素ビタミンB1を、チアミナーゼは分解してしまうということです。

このやっかいな酵素チアミナーゼを含んでいるために、犬が生のイカを食べるのは危険なのです。

◆寄生虫アニサキスの存在にも注意

犬 イカ アニサキス

生のイカには、チアミナーゼの他にも心配があります。それは、寄生虫のアニサキスが潜んでいる場合があるということです。
このアニサキスを、万が一犬が摂取してしまうと、胃や腸壁に侵入し、数時間後に激しい腹痛を起こします。言葉を話すことのできない犬にとって、このような事態は人間が避けてあげなければなりません。

もしアニサキスが潜んでいる場合、基本的には内臓にいます。
調理される際に取り除かれる内臓にいるのであれば心配ないようにも思えますが、イカが死んでしまうと身の方にも移動することもあるので、生のイカの体の部分にもアニサキスが潜んでいる可能性があるのです。


スルメは食べても大丈夫?

犬 イカ

◆犬にとってもおいしそうなスルメ

スルメはイカを干した乾物で、旨み成分が凝縮されてとても美味しそうな匂いがします。人間でもいい匂いだと感じるのですから、飼い主が美味しそうに食べていると、嗅覚の鋭い犬は欲しそうに見つめてくるでしょう。

でも、その眼差しに負けてスルメを犬に与えてしまってはいけません!スルメも、犬が食べるには適していない食べ物です。

ただし、原料はイカですが、生のイカを食べた時と同じ理由で危険というわけではありません。なぜスルメは犬にとって良くないのでしょうか?

◆塩分が強すぎる

スルメには、ネギなどのように犬がショック症状を起こすような成分は含まれていません。しかし、乾物であるスルメには、多くの塩分が含まれています。人間にとって程よい塩気も、犬が食べると有害なものになるのです。

そもそも犬にとって、塩分はあまり必要のないものなのです。スルメを食べることによる塩分過多も、犬にとって悪い影響となる可能性があります。
スルメは弾力があって、大きい状態のまま飲み込むと、胃腸で詰まってしまうこともあります。

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◆体内に詰まってしまう可能性がある

犬の歯はすり潰す機能がありませんので、ある程度の大きさになると丸呑みをしてしまいます。たとえ噛み切れたとして少量を食べたとしても、乾物であるスルメは、お腹の中で元の大きさの数倍に膨れてしまいます。
どんどん大きくなってしまったスルメは、吐いて口から出すことさえもできなくなってしまいます。

そうなると、最悪の場合、腸が壊死して死に至ってしまうため、病院での治療が必要になってきます。腸閉塞による犬の手術にかかる費用も、平均で7万円〜10万円と高額です。

◆消化不良を起こす

もともと犬は、オオカミと同じ肉食で、海産物を食べることを得意とはしていません。少量を飲み込めたとしても、消化するには胃腸にかなりの負担をかけます。
そのため、消化不良によって、下痢や嘔吐を引き起こす恐れもあるのです。

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イカを食べるとどんな症状が起こるの?

万が一犬が生のイカを食べてしまった場合、どのような症状を起こすのでしょうか?

イカを食べることによるビタミンB1欠乏症の初期の症状として、運動失調や神経伝達に異常が出ることが挙げられます。
具体的にいうと、いつもはしっかり歩いているのにふらついている。同じ場所をウロウロ旋回している。また、痴呆のような症状が見られることもあります。さらに症状が進むと、足が立たずに歩行が困難になったり、瞳孔が開いたりしてくるのです。

しかし、これらの症状が引き起こされるのは、生のイカを大量に食べるようなことをした時です。誤って犬が一口食べることによって、すぐに障害が出ることはないので焦らず対処しましょう。


イカを加熱すればOKって本当?

犬 イカ 加熱

生のイカがダメならば、加熱したイカなら犬が食べても問題ないのでしょうか?

答えは、少量であれば問題ない。
生のイカもごく少量であれば問題ないということは前述しましたが、加熱したイカは生のイカよりもさらに安心です。

◆アニサキスを死滅できる

生のいかにはごく稀に潜んでいるアニサキス。このアニサキスは、加熱によって死滅します。60度で1分ほど加熱すると死滅すると言われていますので、アニサキスによる食中毒を防ぐためにも、イカを加熱することは有効なのです。

◆チアミナーゼの効力をなくすことができる

加熱をすることによって、イカに含まれるチアミナーゼの働きを止めることができます。チアミナーゼは熱に弱いという性質を持っていますので、加熱すればチアミナーゼの心配はなくなります。

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犬がイカを食べるには?注意点は?

イカにはタウリンも豊富なので、運動量の多い犬にとっては、疲労回復の効果があることは事実です。運動量も多く犬も好んで食べる場合、犬にイカを与える際には注意する点がいくつかあります。

◆新鮮なイカを加熱して少量与える

犬がイカを食べる時は、できれば新鮮なイカを加熱して、ごく少量を与えることです。
与える際は細かく切ってあげて、犬が食べ終わるまで近くで見ていてあげましょう。いつもと違う様子が見られる際には、かかりつけの動物病院に相談しましょう。

◆幼犬や老犬にはあまり与えない

犬がスルメを食べることで腸閉塞の心配があるのと同じで、加熱したからといって、消化の点から考えるとたくさんのイカを与えないほうが賢明です。
特に、まだ幼い犬や歳をとった犬は、消化器官が未発達であったり衰えていたりするので、あまり与えない方が良いでしょう。

◆他の食材でも栄養を補う

人間にとってはとても栄養のあるイカですが、犬にとっては必ずしも必要な食材とは言えません。イカから得られる栄養は、他の食材でも十分に摂取することができます。

犬にとってリスクのある食材をわざわざ与えるよりも、他の食材から同じ栄養を補う方が賢明と言えます。


人間にとって良い食材は必ずしも犬に良いとは言えない

人間も犬も、生きていくためには6大栄養素が重要です。しかし、人間と犬ではそれらの必要とする割合が全く違うのです。

可愛い飼い犬が、何かちょうだいと可愛い目でおねだりをすると、どうしても何か与えたくなってしまいます。お酒を飲んでいるときにそんな目で見つめられたら、ついつい食べかけのイカをあげちゃいたくなりますよね。
でも、そこは我慢です!家族である愛犬に長生きしてもらうためにも、ついつい与えてしまわないように心がけましょう!

執筆:里村 ノア



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