抱っこをするタイミングは?
あなたが犬を抱っこする時はどんな時か思い返してみましょう。
・お家の中でテレビを見てくつろいでいるとき
・誰かがお家を訪ねてきた時にワンワン吠えてとびかかろうとするのを抑えるため
・飼い主の足元でぴょんぴょん跳ねて「抱っこして~」とせがんだ時
・車がすぐそばを通る狭い道での散歩の時
・犬が嫌いとする子供や犬が近づいてきた時
どんな場面を思い浮かべるでしょうか?
実は、上記にあげた「抱っこ」という行為の中にも、正しい場面での抱っこと、あまり望まれない抱っこと、抱っこが必要ではない時にしてしまっているものがあります。
抱っこのしつけは愛犬の身を守るためにも重要!
では、正しい場面の重要な抱っことはどのようなものでしょうか。
簡単に言うと「犬の身に危険が迫った時」です。
犬の身に危険が迫った時に行ってほしい重要な抱っこの具体例を4つあげます。
◆狭い道路を通る時
犬との散歩最中には、歩道が広くて歩きやすい散歩に適した道だけとは限りません。
車が犬のすぐ近くを通る狭い道だったり、自転車の交通量が多くて犬が引かれそうになったりしまったり、車のスピードが出やすいまっすぐの道だったりと、散歩には適さない場所を通らなければならない場面もあるでしょう。
その時は、犬を抱っこして犬を危険な目に合わないように心がけます。
リードも短く持ったまま抱っこすれば、犬が嫌がって抱っこから降りようとしてもリードが引っ張ってくれるので落ちてしまう事もありません。
◆歩いてくる犬や人が嫌いな時
犬にも性格があり、犬は好きだけれど人は嫌いだったり、反対に人間は好きだけれど犬が嫌いだったりという場合があるでしょう。
犬を苦手な物から遠ざけるために、抱っこをして飼い主のそばに犬を引き寄せると、犬も安心します。リードをグイグイ引っ張りながら、苦手な相手や犬に向かってワンワンと吠え続ける事もなくなりますね。
この苦手なものに反応して吠えたりその場から動かなくなってしまったりする場合は、しつけを行って苦手なものを克服すれば犬の抱っこは必要なくなります。
とりあえずは目の前にある苦手なものから犬を守ってあげたいという時に行える重要な抱っこです。
◆周りへの配慮が必要な時
最近はペットOKのショッピングモールがたくさんあります。
しかし、お店に来店している方すべてが犬を得意という訳ではありません。中には犬のことが嫌いだったり、犬アレルギーを持っていて近づいてほしくないと思っていたりする方も。
そんな時には、犬を抱っこして飼い主以外の人に触れないよう、近づかせないようにすることが重要です。
◆愛犬へ危険が及ぶ可能性がある時
人ごみなどでは、むやみやたらに知らない人に触られて犬が体に傷を負ったり、変なものを食べさせられたりすることもあります。
抱っこをして犬をそばにおくことで、危険性からも遠ざける事が出来ます。
また、多くの犬猫がいる動物病院では、待合室で抱っこをして待つかケージの中に入れて待つのがマナーです。
隣の犬猫がどんな病気を持っているかわかりませんし、反対に自分の犬がほかの犬猫に病気を移してしまう危険性も避ける事が出来ます。
◆犬が誰かを傷つけようとした時
犬が興奮状態に陥って、誰かを急に威嚇して噛もうとしたり、襲い掛かろうとしたりした場合、犬の行動を抑えるために抱っこは重要です。
普段はおとなしいからと思っている犬でも、急に大きな音がしたり、しっぽを不意に自転車に引かれてしまったなどの予測不可能な事態が起きたりした場合は、そばにいる誰かに襲い掛かるかもしれません。
犬がヴーっとうなっている、眉間にしわを寄せている、牙をむき出しにして怒っている時には抱っこして誰かを傷つける事の無いように犬の行動を抑えましょう。犬も大好きな飼い主に抱っこされる事で、次第に落ち着きを取り戻しますよ。
犬を飼ってもよいマンションなどでもエレベーターの中は抱っこを義務付けられています。これも、犬が誰かを傷つけたりしないようにするため。きちんと抱っこができる犬になりましょう。
抱っこが必要ない時は?
ここまでは望ましい抱っこについてお話しましたが、反対に望まれない抱っことはどのようなものがあるかご存知ですか。
それは、「飼い犬の言う事に従う抱っこ」や、「常にしている抱っこ」です。
◆飼い犬の言う事に従う抱っこ
犬は自分よりも下だと判断している生き物に指示を出して従わせる事で、自分がリーダーという自覚を持ちます。
もし犬が飼い主の下にぴょんぴょんと跳ねて「抱っこ」とせがみ、飼い主が犬を抱っこすれば、犬の要求を飼い主が聞いてくれたという犬主導の行為になります。
犬の言う事をすべて聞いていると、犬は飼い主のことを見下し、飼い主の命令などは聞かなくなり、問題行動につながってしまいます。
犬には「飼い主が一番のリーダー」だと意識づける事が重要です。
◆常にしている抱っこ
部屋の中で常に飼い主の膝に乗ってくるような抱っこをしているのも、飼い犬に分離不安という精神的な病気を発病させてしまうかもしれません。
犬にも自立心をもたせ、飼い主が留守にしている間も上手に留守番できるような犬にしつける事が重要です。
正しい犬の抱き方は?
犬の抱っこは普段何気なくやっていると思いますが、正しい犬の抱っこの仕方を知っていますか?
◆犬が安心する抱っこの方法
犬を抱っこする際は、後ろから胸をもって話しかけながらゆっくりと持ち上げましょう。
この時、急に持ち上げたりするのは、犬も怖がりますし、何も言わずにされる抱っこは恐怖でしかありません。
また、犬を持ち上げたら、両手両足をぶらぶらさせたままにしないで、小脇に抱えて飼い主さんと体を密着させてあげて下さい。
ちょうど抱えている手が犬の胸のあたりに来るように、その手の肘で腰や骨盤を支えるように密着させます。
反対の手は飼い犬のお尻を支えるように持つと、犬が不安定になりません。
◆体を密着させるのが安全なポイント
抱っこしている際に飼い主さんと犬との距離が離れてしまっていると、犬が暴れて下に降りようとジャンプしてしまう可能性があります。密着するという事は、犬に動く隙間を与えないという事でもあります。
犬から危険を回避させようとする抱っこが、飼い主の腕の中から不安定な体制で飛び降りるといった危険な行為になってしまっては本末転倒ですよ。
◆正面からの赤ちゃん抱っこは苦手
犬の正面から両脇を抱えて抱っこする「赤ちゃん抱き」は、犬に恐怖心を与える抱っこの仕方です。
犬は正面から顔を近づけられるのを嫌がりますし、目が合う事も苦手です。
飼い主さんとの主従関係がうまく構築されていれば問題ありませんが、犬が毎回赤ちゃん抱っこをされる際に緊張を我慢しているのかもしれません。
抱っこ嫌いを改善するトレーニング方法
「うちの犬は抱っこが苦手ですぐに降りたいって離れてしまう」そんな声をよく耳にします。
犬はもともと拘束されるのが苦手な生き物ですので、実は抱っこがあまり好きではありません。抱っこ好きなのは、愛玩犬として歴史がある犬やもともとのその犬の性格によります。
今回は誰でも犬の抱っこ嫌いを改善することができるトレーニング法をお教えします。この簡単な7ステップで実践できますので、ぜひ実践してみてくださいね。
①ごほうびを用意する
②飼い主の手に慣れてもらう
③体を触ってみる
④わきの下に手を入れられることに慣れさせる
⑤「抱っこ」と行動を関連付けさせる
⑥上半身を浮かせたら、下半身も浮かせてみる
⑦抱っこの姿勢までもっていく
では、1つずつ詳しく説明していきます。
◆抱っこトレーニング①ごほうびを用意する
犬が大好きなごほうびを用意しましょう。おやつが好きなら、ごほうびとしておやつをいくつか用意しても良いですし、おもちゃが好きならおもちゃをごほうびとしてもOK。
おやつは大きい物ではなく、小さい物をあげて下さい。一つの大きさが大きい物は、手でちぎったりハサミでカットして小さくしたりしましょう。
しつけのごほうびとして使うおやつはカロリーが低い物を選んでくださいね。
おやつやおもちゃがなくても、犬は飼い主に褒められるのが何よりも嬉しい生き物ですので、ごほうびが飼い主の声や撫でる行為であっても構いません。
◆抱っこトレーニング②飼い主の手に慣れてもらう
犬をお家に迎えて間もない場合は、飼い主の手に慣れておらず、飼い主の手が嫌いな可能性もあります。
手に慣れていない時にいきなり抱っこされては、犬も飼い主に向かって手足をバタバタさせたり噛みついたりして反撃をします。
飼い主の手に慣れてもらうには、まずは飼い主の手を動かさずに床に置いたり犬に匂いをかがせてあげたりしましょう。
何度も犬が手の臭いをかぎ、手の様子を見たりして、犬は飼い主の手が自分に害を及ぼす嫌いなものではないのだとわかってもらえるはずです。
犬が人間の手に慣れてきたら、今度は手におやつを入れて臭いをかがせてあげたり、手からおやつを与えたりしてみましょう。
ここで犬が怖がってしまって、飼い主から離れてしまっても、強制的におやつをあげる事はしません。ゆっくりと犬のペースで人間の手に慣れていくことが重要です。
◆抱っこトレーニング③体を触ってみる
犬には、触られたくない嫌いな場所が存在します。それは、感覚が敏感な耳の先やしっぽ、足先や鼻先などです。
犬の体を触るときに、この苦手な触られたくない嫌いな場所をいきなり触る行為はやめましょう。
犬が触られても平気な場所のひとつが背中です。
ただし、人間の手が上からいきなり降ってくるように背中を触るのではなく、声掛けをしながらやさしく触れてあげる事が重要です。
背中を撫でられるのに慣れてきたら、頭や足先など、犬が嫌いとする場所へと移っていきます。
その際に、触らせてくれてありがとうの意味も込めながら、犬の大好きなごほうびをあげます。犬に飼い主に触られる事=大好きなごほうびがもらえると学習させることができれば、飼い主が体に触れる事も平気になってきますよ。
◆抱っこトレーニング④わきの下に手を入れられることに慣れさせる
抱っこを行う際の最初に手を入れるわきの下も、犬が触られると嫌いである場所の1つ。
まずは犬のわきの下に手を入れてみます。
犬が暴れず触らせてくれるようであれば、すかさずごほうびを与える事が重要です。
この時テーブルやソファの上など危険な場所で行うのではなく、床の上で行って下さいね。
◆抱っこトレーニング⑤「抱っこ」と行動を関連付けさせる
今から行う行動が抱っこなんだよと犬に教えるのも、犬に不安がらせずに済む方法です。
わきの下に手が入れられるようになったら、飼い主が「抱っこ」と言いながらわきの下に手を入れてみます。抱っこと言いながら少し上半身を浮かせてみましょう。
ここでも犬がおとなしく言う事を聞くようであれば、すかさずごほうびをあげて下さいね。
◆抱っこトレーニング⑥上半身を浮かせたら、下半身も浮かせてみる
犬の上半身を抱っこと言いながら少し持ち上げる事に成功したら、次は後ろ足も地面から少し離してみましょう。
今まで抱っこをされたことがない犬は、地面から自分の足が離れるのを嫌がるかもしれません。
嫌がった場合は無理をせず、1つ前のステップに戻ることが重要です。決して無理はしないようにしましょう。
◆抱っこトレーニング⑦抱っこの姿勢までもっていく
犬の足が全部床から離れても平気なのであれば、次に飼い主さんが犬を抱っこして体を密着させてみましょう。
ここでも長時間ではなく、少しの間でも成功すればOK。うまくできた際は褒めてごほうびをあげて下さい。
初めから長時間の抱っこを目指すのではなく、昨日は2秒できたから、今日は5秒を目標にしてみようといった具合に、徐々に抱っこする時間を延ばし、できたらごほうびをあげて下さい。
愛犬をいざという時に抱っこできるようにしよう!
抱っこができると、飼い主との信頼関係が一層深まるので、その他のしつけもぐんとうまくいくようになります。
どんなしつけでもいえる事ですが、犬のしつけで無理は禁物です。ゆっくりと気長に行えば、どんな犬も抱っこをさせてくれるようになります。
重要なのはあきらめずに決して無理はしない事。うまくできなければ1ステップ戻ってのんびりと続けましょう。
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