1.犬の平熱は何℃?
1-1.犬の平熱
1-2.40℃以上なら危険信号
1-3.犬の体温の測り方
1-4.犬の体温を測る時の注意点
2.犬の体温はどんな時に上がる?
2-1.体温調節が苦手な犬
2-2.夏場は特に注意が必要!
4.犬の体温が高い時に疑うべき病気
4-1.腸炎
4-2.子宮蓄膿症
4-3.犬ジステンパー
4-4.尿路結石
4-5.外傷
【掲載:2018.07.11 更新:2020.2.26/2021.05.14】
犬の平熱は何℃?
◆犬の平熱
犬の平熱は人間よりもかなり高く、37度後半から39.0度程度です。
小型犬では38.5~39.0度くらい、大型犬では37.4~38.5度くらいと、小型犬は大型犬の方よりも体温が高いのが一般的です。
また、幼犬は成犬よりも体温が高く、生理的上限は39.4度程度と言われています。逆に老犬は成犬よりも体温が低いことがよくあります。
犬の体温には日差変動というものもあり、体温は朝低く、夕方に高くなり、その差は0.5度程度です。
◆40℃以上なら危険信号
犬は他の哺乳動物たちと同じく恒温動物で、一定の範囲の体温でしか生きられません。外部の温度が変わっても、自分で体温調節をすることで、一定の体温を維持しているのです。
犬は、病気や飼育環境の影響などから体温が25度以下、あるいは43度以上になると死んでしまいます。ご家庭で犬の体温をチェックする場合には、40度を超えたら危険と判断すると良いでしょう。
日頃から犬の平熱をチェックしておくと、いざというときに役立ちます。
◆犬の体温の測り方
人は口や脇で体温を測りますが、犬は肛門で直腸温を測ります。犬の肛門に体温計を入れると聞くと、測るのが大変そうな印象を受けますが、慣れれば比較的簡単にできます。
犬の体温を測るときは、まずしっぽを真上に持ち上げ、肛門に体温計を3~5㎝程度挿入します。体温を測定している間、しっぽと体温計を一緒に持つと、体温計が抜けにくくなります。
犬の熱を測るときには、人間用の体温計でも代用できますが、ペット用の体温計が販売されており、そちらの方が便利です。ペット用の体温計は先が柔らかく、よくしなるので、犬が多少動いても傷つける心配がありません。
◆犬の体温を測る時の注意点
犬が嫌がっているときに無理に差し込むと、粘膜を傷つけることがあるので、入りにくい場合はワセリンやオリーブオイルを塗ると入りやすくなります。
体温を測る際、体温計の挿入が浅かったり、体温計を挿入した部分にうんちがあったりすると、実際の体温よりも低く測定されてしまい、正確な検温ができませんので注意が必要です。
ご家庭で測るのが難しい場合は無理をせず、動物病院で測ってもらうようにしましょう。
犬の体温はどんな時に上がる?
犬の体温が上がる理由としては、運動、興奮、病気、外傷、感染、中毒、熱中症など様々なものがあげられます。
◆体温調節が苦手な犬
犬は暑さに極めて弱い動物です。一般的に動物は、身体の表面(皮膚)からの放散と、発汗(水分の蒸発)による放散とで外部に熱を逃がしています。
しかし、犬は汗を出す汗腺という腺が皮膚にはなく、足の裏の肉球にエクリン腺という分泌型汗腺があるだけなので、私たち人間の様に汗をかいて熱を逃がす事が出来ません。
そのため、犬は口を使って呼吸により体温を調節することになります。
犬は体温が上がりそうになると口を大きく開け、気道を最大限に広げてあえぐような呼吸をします。これをパンティングと言い、犬はパンティングによって流動する空気を使って水分と熱を放散しているのです。
◆夏場は特に注意が必要!
このような犬たちの体温調節機能も、夏の炎天下の熱や長時間の日光の直射、高温多湿、暑い環境下での激しい運動などの環境では、役に立たなくなってしまいます。
犬は体から熱を逃がすことができず、体温がどんどん上昇していきます。直接日光が当たらなくても、道路のアスファルトに反射した熱なども要注意です。
特にパグ、ボストンテリア、ボクサー、ブルドッグ、ペキニーズ、シーズーなどの短頭種では、気道が短く、熱の放散率が悪いので、気温がそれほど高くなくても体温が上昇しやすくなります。
また、心臓や腎臓の病気があったり、肥満であったりしても、熱の放散率が悪くなります。
犬の体温が上昇してしまったら?
適正な環境下での運動や興奮によって犬の体温が上昇した場合は、一時的なものであることが多いので、あまり心配はいりません。風通しの良い涼しい場所で、静かに休ませてあげましょう。
高温多湿により体温が上昇している場合は、すぐに犬を風通しの良い涼しい場所に移し、扇風機などで十分に換気をして熱を逃がすのを手伝ってあげましょう。口によだれが溜まっていたらぬぐってあげ、冷たい水や濡らしたタオルなどで身体を冷やしてあげてください。
症状が治まらなければ、熱中症の危険性もありますので、すぐに病院に連れていきましょう。
適度な室温・湿度の中でも、体温がいつもよりも高く、その他にも食欲低下や元気がないなどの症状がみられたら、もしかしたら何か病気が隠れているのかもしれません。病院で獣医さんに相談しましょう。
犬の体温が高い時に疑うべき病気
犬が熱を出すのは、病気そのものではなく症状のひとつですので、様々な原因、病気が考えられます。
犬が熱を出した時に考えられる病気をいくつかご紹介します。
◆腸炎
梅雨期や夏期は、食中毒とは言わないまでも、飼い主のちょっとした不注意が原因で細菌による腸炎を起こすことがあります。
犬の腸炎は感染や中毒、消化不良、アレルギーなどによって起こり、症状としては熱を出す他に、食欲不振、元気消失、脱水、嘔吐、下痢などが認められます。
細菌性腸炎の場合にはサルモネラ菌やカンピロバクター菌などが原因菌となります。これらの細菌だけではなく、パルボウイルスやコロナウイルスの感染も考えられ、細菌とウィルスが同時に感染するとさらに症状は重くなり、死亡率も高くなります。
これらの病気は、主に過密で不潔な犬舎で飼育される幼犬に多く見られますが、重度の衰弱、輸送、ストレスなどの誘因が加わると成犬でも発症します。
◆子宮蓄膿症
犬の子宮蓄膿症は、妊娠・出産経験のない、5~7歳くらいの未避妊の犬によく見られる病気です。
出産経験があっても、長期間繁殖を中止してる場合では、この病気を発症しやすくなります。また、高齢になってホルモンバランスが崩れることも原因の一つとなります。
子宮蓄膿症は、子宮の中の炎症により膿が溜まるメス犬の生殖器の病気で、発情終了後、2~3か月以内に現れることが多く、熱が出る、食欲不振、元気消失がみられ、陰部からの血膿やおりものが特徴的です。
体温は平熱よりやや高い程度の熱がしばらく続いた後、多量の膿がたまったりすると発熱し40度以上になることがあります。
この病気は治療せずに放置すると死に至る恐い病気ですので、犬の発情期が終わったら、よく様子を観察しておいた方が良いでしょう。
◆犬ジステンパー
犬ジステンパーは、犬や他の肉食動物にもみられるウィルス性感染症の代表的な病気です。
今はワクチンによる予防が一般的になっていますが、決して油断はできません。犬ジステンパーは特に3~6か月齢ほどの子犬がかかりやすい病気で、この病気にかかると急性で高い熱をだし、鼻炎、結膜炎、下痢、肺炎などの症状もあらわれます。
免疫が少ない子犬に多い感染症ですが、体力が弱っている成犬でも発病することがあります。放置すると末期には神経症状もあらわれ、死亡率も高いことで知られる恐い病気です。
犬ジステンパーに感染した犬の鼻汁や目やに、唾液、尿などが感染源となって広まります。また、ウィルスの付着した食べ物や水、食器などから間接的に感染することもあります。
◆尿路結石
犬の尿路結石は、犬の病気の中でもよく見られるものの一つで、その9割以上が膀胱結石と尿道結石です。これらは細菌性膀胱炎や尿道炎を併発することが多く、その結果、熱を出したり食欲が落ちるなどの症状を示すことが多くあります。
尿路結石が形成される原因は完全には分かっていません。結石の成分は、食餌や水などから摂取されたミネラルで、これらが尿中のたんぱく質と結合して、細胞や組織片などとくっついて次第に大きくなり結石を形成すると考えられます。
ウェルシュコーギー、ミニチュアシュナウザー、パグ、ペキニーズ、ヨークシャーテリアなどが好発品種で、大型犬よりも小型犬の発生率が高いようです。また、ダルメシアンでは尿酸塩結石が高い確率で発症します。
尿の出方が悪い、血尿がでるなどの排尿異常で気づく飼い主さんが多く、おしっこをしようとしているのに出ないというときは要注意です。
◆外傷
犬同士のケンカなどの外傷から感染が起こり、化膿や炎症が進行すると、ケガをした部分で局所的に熱と腫れが強く見られるようになります。次第に全身的に熱を出し、食欲不振や元気消失がみられるようになります。
自然に治るだろうと放置すると、膿が溜まっている部分の上の皮膚が薄くなり、脱毛・壊死してしまいます。
まとめ
犬の体温が高く、熱があるかなと感じたら、まずは室温と湿度が適正かどうかをチェックしましょう。体温の他にも、食欲や元気など、身体に不調があるかどうかをよく観察し、心配なことがあれば、病気でないかどうか、早めに病院で相談してみてください。普段から、犬の平熱を知っておくと役に立ちますよ。
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