1.犬の食欲がない原因は?
1-1.食欲がない原因①ストレスによるもの
1-2.食欲がない原因②病気や体調不良によるもの
1-3.食欲がない原因③老化によるもの
2.食欲がない時に考えられる病気は?
2-1.食欲がない時の病気①消化器系
2-2.食欲がない時の病気②感染症
2-3.食欲がない時の病気③それ以外
犬の食欲がない原因は?
まずは、犬の食欲ない状態のことを詳しく説明します。
食欲ない事を「食欲不振」と言う事はご存じだと思いますが、食欲不振とは、48時間以上何も食べていない状態の事を言います。犬が食欲不振になってしまうのには、理由があります。
では、なぜ犬の食欲がなくなってしまうのか、犬の食欲がない時の理由をご説明いたします。
◆食欲がない原因①ストレスによるもの
犬はストレスを感じやすい生き物です。犬がストレスを感じてしまうのは、主に「環境的要因」と「精神的要因」が原因です。
環境的要因によるストレスとは、引っ越しをして生活環境が変わってしまった事や天候の変化(雷の音など)、結婚や出産などにより同居人の人数が増えた事など、自分以外の周りの環境が変化してしまった事がきっかけでストレスを感じます。
精神的要因によるストレスは、飼い主さんに長時間叱られた事やお留守番になれていない子がお留守番をした時など、犬が精神的に不安を感じた時などに起きやすいものです。
「犬だから人間の言葉なんて分からないでしょ」と思って犬に強い言葉を投げつけたり、喧嘩などが絶えない家庭で飼われている犬は特にストレスを感じやすいものなので、注意が必要です。
◆食欲がない原因②病気や体調不良によるもの
先ほど、犬はストレスを感じると食欲もなくなる生き物だとご説明しましたが、環境的要因のストレスや精神的要因のストレスに心当たりがないのに、愛犬の食欲がない時ってありますよね。そのような時は特に注意が必要ですよ。
なぜなら、ストレスに心当たりがないにも係わらず犬の食欲がない時には、犬は体調が悪いか病気にかかっている可能性が高いからです。
病気にかかっていて体調が悪く食欲がない時は、大抵の犬は元気もなくなります。元気がなくじっとしていて、食べ物を2日以上食べないようでしたら、早めに病院を受診される事をオススメいたします。
◆食欲がない原因③老化によるもの
犬も人間と同じで歳を取ります。悲しいことですが、命ある物は必ず歳を取って行くにつれて、様々な感覚が衰えていきますよね。
老化によって衰えて行く物は、聴覚、味覚、視覚、嗅覚など、食べ物を味わうには欠かせない感覚。食べ物の味が分かりづらくなってしまうと、どうしても食欲が湧きづらくなってしまいますし、匂いが分からないと食べ物がどこにあるかも分かりません。
その他にも、老犬になった事で運動量が減ったことにより、お腹が空きづらくなった事や、食べ物の好みが変わった事、歯が抜けてしまい食べづらくなっている事など、老化による食欲の低下には様々な要因があります。
ご自分の愛犬が老犬の場合には、どうして食欲がないのかを見極める必要がありますね。
食欲がない時に考えられる病気は?
犬の食欲ない時の原因がお分かりいただけたかと思います。しかし、先ほどの原因2番でご説明した、病気や体調不良による食欲の低下が心配になってしまった方もいると思います。
犬の食欲ない時には、どのような病気が考えられるのかを知っておけたら、いざという時にも安心ですよね。
愛犬の異変にすぐに気付く事が出来るように、犬の食欲ない時に考えられる病気をいくつかご紹介していきますね。
◆食欲がない時の病気①消化器系
消化器系の病気にかかると、食欲がなくなるだけでなく、嘔吐や下痢などの症状も現れます。
犬の胃の粘膜が炎症を起こしてしまう病気です。
症状としては食欲の低下だけでなく、何度も繰り返し嘔吐をします。水分を取っても嘔吐してしまう事があるので、脱水症状になりやすく、注意が必要です。
急性胃炎を繰り返す事で慢性的な胃炎になり、慢性胃炎になってしまう場合もあります。
胃が異常に膨らみ大きくなってしまう病気です。
腹部が膨れてしまい、苦しそうになります。また、ゲップが出るようになります。元気がなくなり、食欲が低下するだけでなく、急に水をたくさん飲むようになったり、よだれが大量に出るなどの症状も見られます。
胃の中のガスが発酵することで、胃がねじれてしまう病気です。
症状としては胃拡張とほぼ同じような症状が出ますが、胃捻転の場合ですと、嘔吐する素振りだけで実際には吐き戻さない事も見られます。
胃捻転は主に食事を早食いした事や、食事のすぐ後に水をがぶがぶ大量に飲む事などで発症することが多いようですので、愛犬が早食いにならないように工夫が必要ですね。
腸が完全に塞がってしまっている状態の事を「完全閉塞」、一部でも通る道がある場合は「不完全閉塞」という呼び方をします。
完全閉塞になってしまうと、必ず嘔吐してしまいます。しかし、不完全閉塞の場合は嘔吐が伴うとは限りませんので、見極めが大切ですね。
症状としては食欲ない状態になる、元気がなくなる、嘔吐、ガスによる腹部膨満などが出ます。
消化器系の病気だけでも、食欲がなくなってしまう病気はまだまだたくさんあります。食欲ないだけでなく、愛犬の様子がいつもと違う様子でしたら、すぐに病院に受診しましょうね。
◆食欲がない時の病気②感染症
食欲がないだけでなく発熱が見られる場合には、感染症を発症している可能性もあります。
犬ジステンパーに感染すると、食欲ない状態になる、元気がなくなる、高熱が出るなどの症状が出ます。また、嘔吐、下痢、鼻水や目やにが出るなどします。
重症になると激しい痙攣を起こし、神経症状によって高確率で死に至るとても恐ろしい感染症です。
少しでも犬ジステンパーに似た症状が出てしまった場合は、すぐに病院に受診するようにしてくださいね。
汚い川や水たまりなどは、レプトスピラ菌に汚染されている可能性があります。
レプトスピラ菌に感染してしまうと食欲ない状態になり、元気が低下します。嘔吐や血便を引き起こす事もあり、黄疸や口臭が出てしまう犬もいます。最悪の場合死に至ることもあります。
蚊に刺される事によって、体内に「ミクロフィラリア」と呼ばれる子虫が入り込みます。その子虫が成長しながら心臓に辿り着き、心臓に寄生する事で発症する病気です。
主な症状としては咳、食欲ない状態になる、元気の低下、腹部や胸部に水が溜まるなどが挙げられます。
毎年病院でフィラリアの薬を購入し愛犬に飲ませていますよね。あの薬は、このフィラリアが心臓に寄生しないようにするための薬ですので、獣医さんの指示に従い必ず飲ませて下さいね。
感染することにより食欲ない状態になってしまう感染症はまだまだたくさんありますが、代表的なものをご紹介いたしました。
こちらに挙げた感染症は、主に毎年のワクチン接種や薬などが推奨されている感染症になりますので、毎年忘れずにワクチン接種、薬の投薬を行いましょうね。
◆食欲がない時の病気③それ以外
食欲がなくなってしまうのは、何も感染症などの病気だけではありません。
人間もそうですが、歯や歯茎が痛いと当然食べ物を食べるのが辛いですよね。愛犬の食欲ない時には、一度口の中をチェックしてみるとよいと思います。
犬という生き物は、野性時代には弱肉強食の中を生き抜いてきましたから、ケガをするとじっと動かずに身を隠しているものです。ペット化されて家の中で過ごしている現在でも名残はあるので、ケガをすると食欲がなくなってじっと寝て過ごす子もたくさんいます。
食欲ない状態になった時は、どこか痛い所はないか体をチェックしてみて下さいね。
犬の食欲を取り戻す方法は?
先ほどまで犬の食欲がなくなってしまう原因と病気についてご説明してきましたが、犬の食欲がなくなってしまった時に食欲を取り戻す方法が知りたいですよね。
では、食欲がなくなってしまった時に試してみたい事を3つほどご紹介しますね!
◆匂いを強くする!
犬はとにかく嗅覚が優れていますから、食欲がなくご飯を食べてくれない時には、いつもより匂いの強い物を用意してみてはいかがでしょうか。強めの匂いによって食欲が出てくるかもしれません。
ドッグフードはそのまま与えるより、温めたりお湯をかけたりした方が匂いは強くなるそうですよ!
◆ツボ押し!
人間だけでなく、犬にも食欲を増幅させるツボがあります。その場所は、犬の後ろ足の膝の外側の骨の出っ張りから、ややナナメ前の下くぼみ辺りにあり、「足三里」と言います。
5秒ほどゆっくり優しく圧をかけて、左右20~30回ずつ行ってみて下さい。
食欲の増幅効果だけでなく、下痢などの胃腸の不調にも効果が出るそうですよ!
◆サプリに頼る!
犬の食欲がない時には、ペットショップなどで販売されているような消化吸収の働きを助けるサプリメントを使っても良いと思います。様々なタイプのサプリメントが販売されていますので、ご自分の愛犬に合う物を見つけてあげて下さいね!
ただし、食欲不振の異常は自分で判断せずに必ず病院で診察してもらい、薬を処方されている子やアレルギー体質の子などは掛かり付けの獣医さんに相談してから与えましょうね。
犬の食欲がない時に関するまとめ
たかが食欲不振、されど食欲不振。「何日か食欲ないくらいでどうって事ないよ」と放っておくと、最悪の事態になりかねないのが食欲不振です。
「食」は全ての健康の源ですから、「昨日から何も食べてないな」「何かおかしいな」と感じたらすぐに病院に受診しましょうね。また、食欲ない時にすぐに気付いてあげられるように、普段から愛犬の食べる食事の量を知っておきましょう!
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