犬と猫の味覚とは?
犬・猫それぞれに、専用のフードやおやつが販売されていますよね。ペットを飼ったことのない方も、店舗で見掛けたことがあると思います。同じペットとして飼われている犬と猫ですが、実は、味覚に違いがあるのです。
人間も同様ですが、味は舌で感じることができます。それは味を感じる味蕾という器官が舌にあるからです。
味蕾の数は、人間が約9000個、犬は約2000個、猫は約500~1000個だいわれています。この数の多い順に、味覚が発達しているというわけです。
犬が感じられる味は、甘味・苦味・酸味・塩味の4種類であるのに対して、猫は苦味・酸味・塩味の3種類しかないそうです。
このように味覚には大きな違いがあり、それに限らず、身体の構造、必要とする栄養素も異なってきます。
それぞれの専用フードによって必要な栄養素を補っているのですが、犬がキャットフードや猫用おやつを食べた場合、反対に猫がドッグフードや犬用おやつを食べた場合、どのような問題が生じるのでしょうか。
愛犬・愛猫に専用フード以外を与える前に、チェックしておきましょう。
犬に猫用おやつやフードを与えていいの?
前述したように、犬と猫の味覚には違いがあり、その身体の構造にも違いがあります。
それでは、もしも愛犬が誤ってキャットフードや猫用おやつを口にしてしまったら…。飼い主さんも不安になるでしょう。
結論からいうと、少量であれば問題はない、ということになります。この場合、すぐに身体に異常をきたすようなケースはほとんどないといえるでしょう。
しかし、日常的に与えることは絶対に避けなければなりません。そこには、どのような理由が隠されているのでしょうか。
◆キャットフード・猫用おやつは「嗜好性」が高い
猫の嗅覚は犬よりも弱く、キャットフードや猫用おやつには、食欲を誘うために強い匂いがつけられています。
そして、猫にはキャットフード・猫用おやつに対して好き嫌いをする個体も多いため、フードの周りには旨味成分がコーティングされているのです。
また、食べる量が少量であっても十分な栄養が摂れるように、ドッグフードに比べて塩分が多く、濃い味付けなのでカロリーも高くなっています。
犬にとってキャットフードや猫用おやつは、正に嗜好品のように感じられるのかもしれませんね。
このため、犬がキャットフードや猫用おやつに興味をそそられ、自ら口にしてしまうといったケースは意外に多くあり、十分考えられる問題の一つです。毎日のように愛犬に与え続けてしまうと、その嗜好性から、ドッグフードを食べなくなってしまう可能性も考えられますよ。
◆体調不良・病気の発症につながるリスクがある
キャットフードや猫用おやつは、ドッグフードと比べてカロリーが高いと紹介しましたが、主に「塩分」「脂質」「たんぱく質」が多く含まれているものがほとんどです。
犬がこれらを日常的に摂取し続けると、「腎臓病」「肝臓病」などの病気を発症する可能性が高まります。
そしてもう一つ、キャットフードや猫用おやつとドッグフードの違いには、「タウリン」という栄養素の有無にあります。
タウリンとは、目の健康に必要なアミノ酸のことで、犬はこのタウリンを体内で生成することができます。
しかし、反対に猫は、このタウリンを体内で生成できません。このことから、キャットフードにはタウリンが多く含まれているのです。
タウリンの生成が体内でできている犬がキャットフードを食べ続けると、タウリンの過剰摂取となります。
このタウリンの過剰摂取により、「心筋症」「免疫不全」「生殖機能の低下」などの疾患を起こす可能性があり、身体に異常をきたす危険性が考えられるのです。
◆犬と猫の食性のちがい
犬は狼が先祖であったことからも、肉食だと思っている方が少なくないかもしれません。確かに、狩りをして生活をしていた野生時代では肉食動物だったのは事実です。
しかし、人間のパートナーとなり、一緒に生活をしてきた長い歴史の中で、雑食性は強くなったと考えられています。
現代では、犬は雑食、猫は肉食だと分類されており、犬は雑食性が高くなったことから、植物性原材料を上手に利用できるようになりました。一方、肉食の猫のフードには、動物性由来の栄養素がたくさん含まれています。
このことから、犬の三大栄養素の割合は、猫よりも人間に近いそうですよ。ただし、たんぱく質の割合は、人間よりも多く必要で、犬と人間との必須栄養素には違いがあります。
キャットフードや猫用おやつに限らず、基本的に人間の食べ物を犬に与えるのは良いことではないでしょう。
◆犬には犬用のおやつやフードを与えよう
ドッグフードには様々なカテゴリーがあり、補える栄養素も商品によって多様にありますが、総合的な栄養はドッグフードで十分賄えます。
犬には犬専用のフードやおやつを与えることが、健康維持にも大切ですし、一番安心ですね。
犬と猫の多頭飼い家庭では、それぞれにおやつを購入するのが大変だと思われている飼い主さんもいるかもしれません。主食となるフードはそれぞれ専用のものを与える必要がありますが、間食として与えるおやつであれば、現代では犬・猫兼用のおやつも販売されているので、チェックしてみてはいかがでしょうか。
猫に犬用おやつやフードを与えていいの?
犬と猫の身体の構造や必要とする栄養素が違うことから、犬がキャットフードや猫用おやつを食べることにリスクがあると紹介してきましたが、それは猫がドッグフードを食べることでも考えられることです。
◆犬用おやつやフードを消化できない場合も
犬と同じように、猫がドッグフードを少量食べる程度であれば問題がないことがほとんどです。ただし、これはドライフードの場合で、ウェットフードにはドライフードよりも高いリスクがあるといえます。
ウェットフードには、食材をそのまま活かしたものが多いのです。雑食性の犬が消化・吸収できても、肉食の猫にはそれができないため、身体に異常をきたすことが考えられます。
ドッグフードは、キャットフードや猫用おやつに比べると、匂いも少なく、味付けも比較的たんぱくです。このため、猫が好んで口にするケースは少ないでしょう。
しかし、誤って与えてしまった、摂取してしまったという事態に陥る可能性はゼロではありません。特に、犬と猫を一緒に飼っている家庭では、その危険性は全くない、とはいえませんよね。
猫がドッグフードや犬用おやつを食べた場合、どのような問題があるのでしょうか。
◆栄養失調や病気を発症する危険性がある
猫に毎日ドッグフードを与え続けるのはとても危険です。ドッグフードには、穀物や野菜が含まれていることが多く、猫はそれらを、体内でビタミンに変換することができません。このため、栄養失調を引き起こす可能性があります。
そして、ドッグフードには「タウリン」が含まれていません。
タウリンは猫にとっては必須の栄養素です。体内で生成できないタウリンを、猫はキャットフードで補うことができます。
このタウリンを含まないドッグフードを食べ続けてしまうと、「失明」「心筋症」などを引き起こす可能性が高くなってしまいます。
更に、猫はキャットフードから目のビタミンである「ビタミンA」を補っています。ビタミンAの不足によって、「夜盲症(とりめ)」「歯・骨の発育不全」「上皮細胞の角質化」などの症状を招く恐れもあります。
◆プロピレングリコールに要注意!
主食として犬用のフードなどを猫に与えるのはNGですが、間食としてなら猫に犬用のおやつを与えても問題ないといわれています。
しかし、毎日であったり、頻繁に与えないことを前提としてです。基本的には、猫用おやつや犬・猫兼用のおやつを与えることが一番安全です。
犬用おやつも少量なら良いと述べましたが、この場合、注意しなければいけない添加物があります。それは「プロピレングリコール」です。
プロピレングリコールとは、保湿作用や制菌作用のある保存料で、犬用のおやつに含まれていることが多いものです。特に、セミドライタイプのフードやおやつには、保湿目的で使われていることがよくあります。
人間社会でも、医薬品・化粧品・麺やおにぎりなどの保湿のために使用されている、日常生活の中に溢れている保存料といえるでしょう。
このプロピレングリコールは、犬の身体に対して問題はないとされているのですが、猫の場合は血液に影響するといわれています。主に、赤血球にハインツ小体(ヘモグロビンが異化沈着したもの)の増加がみられる、赤血球の数に変化を起こすなどの影響がみられるそうです。
このため、プロピレングリコールを猫用に用いることは、2009年6月にペットフードの規制開始によって禁止されています。
犬用のおやつを猫に与える場合は、この成分が入っていないかを必ずチェックしてください。特に、ウェットフードや、水分を含むおやつ、パウチなどには注意しましょう。
まとめ
一般的には、それぞれの専用フードを与えている飼い主さんがほとんどでしょう。しかし、今や犬と猫の同居家庭は珍しくありませんし、フードやおやつの種類も数えきれない程あるので、間違って与えてしまうケースも十分考えられます。
手作りのフードを与えている飼い主さんも少なくないでしょう。その場合は、事前に犬・猫それぞれに必要な栄養素を確認しておくことをお勧めします。
専用フード以外のものを与える前に、そのリスクをしっかりと頭に入れて、健やかに日常を送れるよう気を配ってくださいね。
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