犬の手を怖がるハンドシャイってなに?
ではまず、ハンドシャイが一体どんなものなのかご説明します。
ハンドシャイとは、犬が人の手を異常に怖がっている状態の事をいいます。
通常、人間に飼われている犬の場合は、飼い主とのスキンシップで頭を撫でられたり、それ以外の人間にも触られる機会が多く、人間に頭を触られる事を極端には嫌がりません。人間の手は怖くない、安心できる、気持ちの良い物だと感じているからです。
しかし、ハンドシャイの犬の場合は、人間が頭を触ろうとする事を極端に怖がるのです。
ハンドシャイの犬は人間が触ろうとするとこのような態度を取ります。
・過度にビクっとする
・身をすくめる
・耳を倒して怯える
・手を避ける
・尻尾を丸め、足と足の間にしまう
・唸る
・咬む
・目をギュっとつむる
・手に警戒し離れる
犬を撫でようとした時に犬にこのような仕草が見られたら、あなたの犬はハンドシャイの可能性があります。
ハンドシャイになる原因は?
先ほどは、ハンドシャイとはなにかについて説明させていただきました。では、犬がハンドシャイになってしまう原因は一体どんな事が理由なのでしょうか。
◆人間の手に嫌な記憶が結びついていることが原因に
ハンドシャイになってしまう原因の一つとしては、以前に人間の手によって恐怖を与えられた経験があることだと考えられます。また、恐怖だけでなく痛みもハンドシャイの原因の一つだと言えます。
例えば極端な話をすると、人間によって暴力などの虐待をされていた犬は、人間の手=恐怖という関連づけがされてしまっています。
そのような犬は極端に人間の手を怖がるようになり、人間が触ろうとするだけで怯えたり噛みついてきたりという、重度なハンドシャイになってしまう事が多いようです。
◆家庭でハンドシャイになってしまうことも…
しかし、意外と虐待とは縁のないような家庭環境にいる犬でも、ハンドシャイになってしまう子が多い事を知っていますか?「虐待した覚えはないのにうちの子ハンドシャイなんです…。」という方は、今一度今までの愛犬への接し方を思い出してみて下さい。
愛犬がイタズラをしてしまった時、何か悪さをしてしまった時、またはトイレ以外の場所に粗相をしてしまった時などに、愛犬の身体や頭などを叩いて「ダメっ」と叱ってしまった事はありませんか?
実はこの行動がハンドシャイになってしまう原因だったりします。「えっ、そんなことで?」と思うかもしれませんが、そうなってしまう理由があります。
◆犬がしつけを理解していない時に起こりやすい
しつけで「叩く」という叱り方をする時、叩くタイミングや叱るタイミングが間違ってしまっていることがあります。
タイミングが上手にいかないと、犬からすると「なんで怒られているんだろう?」と怒られている理由が分からなくなってしまうのです。
すると、怒られている理由が分からないのに叩かれてしまった犬は「痛い!」「怖い!」となってしまいます。
多くの飼い主さんは、叩いて叱った愛犬がシュンとしたり落ち込んでいたりすると、反省しているように見えると思いますが、それは勘違いな事が多いという事を覚えておいて下さい。
間違ったタイミングで叩いて、痛い思いをしてしまった犬は、反省してシュンとなっているわけではなく「なぜ叱られたのか理解しておらず、痛くて怖い思いをして怯えているだけ」なのです。
◆しつけの時の行動を思い返してみよう
「うちのしつけでは叩いていないのに、ハンドシャイが見られるのはどうして?」という質問をお持ちの方もいるでしょう。あなたは、愛犬が悪さをした際に、物を投げたり、何かを叩いて大きな音を出して脅かすという事をした時はありませんか?
この場合でも先ほど説明した「叩かれる恐怖」と同じで、「物を投げる、または大きな音を出す手が動く=恐怖」という認識になっている可能性が強いです。
そのため、飼い主さんや他の人が犬の近くで手を動かすとビクッと怖がるハンドシャイが見られるようになってしまうのです。
犬は人間が思っているよりとても繊細だということを良く覚えておかなくてはいけませんね。
ハンドシャイだと困る場面は?
ハンドシャイになると一体どんな事が困ってしまうのでしょうか。犬がハンドシャイだと困ってしまう場面をいくつかご紹介していきます。
◆撫でられない
ハンドシャイになってしまっている犬を飼っている飼い主さんとして一番困ることは、自分の愛犬なのに思いっきり撫でることが出来ないという事です。
いつも手から逃げてしまったり怯えてしまうので、愛犬に気を遣ってしまいなかなか撫でることが出来ないですよね。自分の可愛い愛犬を撫でることが出来ないのはなかなか辛いものです。
◆他人が触れない
遊びに来た友人や街で出会った方に「撫でさせて!」と言われる事がありますよね。いざ撫でようとすると、手を露骨に怖がる、怯える、避けるなどの行動をしてしまうので、撫でようとしてた方は「あっ、怖かったよね、ごめんね」といった具合で触ることを躊躇してしまいます。
たくさんの方に愛犬を可愛がってもらいたい飼い主としては、なんだか寂しい気分になってしまいますね。
◆動物病院での診察がうまく進まない
触られるのを極度に嫌がり噛みついてしまうハンドシャイの犬の場合、獣医師さんの診察がうまく進まず治療が長引いてしまうこともあります。
獣医さんにとってはよくあることで「気にしないで」と言われた場合でも、飼い主さんは肩身の狭い思いをしてしまうかもしれません。
◆トリミングができない
動物病院での例と同じように、トリミングサロンでも困ることがあります。
トリマーさんはハサミを扱っていますので、触られると噛んだり手を伸ばすと離れてしまうワンちゃんですと、最悪の場合怪我をしてしまうこともあります。
◆虐待を疑われてしまう
あなたが街で可愛い犬に出会い「触らせて下さい!」とお願いをして触らせてもらおうと思った時に、相手の犬が異常なほど「手」に対して怯えたり身をすくめたりしていたらどうでしょうか?
「いつも叩かれているのかな?」「こんなに怖がるなんて、もしかして虐待されているのかも!」なんて考えてしまったりするかもしれません。
虐待されていた、あるいは虐待されている犬はハンドシャイになりますので、どうしても虐待を疑われてしまう場面が多々出てきてしまうでしょう。
ハンドシャイの改善法は?
ハンドシャイについて様々な原因や困る場面などを紹介してきました。
では、ハンドシャイは治らないものなのでしょうか?
答えは「いいえ」。ハンドシャイは根気強く取り組めば治るのです。
一口にハンドシャイの改善法と言っても、軽度のハンドシャイなってしまった場合と、重度のハンドシャイになってしまった場合とでは、犬への対応や改善期間が変わってきます。
◆軽度のハンドシャイの場合
まずは軽度のハンドシャイの改善法ですが、「とにかく手は怖くない」という事を覚えてもらうために、たくさん愛情をかけて撫でるなどして可愛がってあげましょう。軽度のハンドシャイの場合ですと、これだけでも十分効果があります。
◆重度のハンドシャイの場合
手を見ると極度に怖がる、唸る、噛みついてくるなどの重度のハンドシャイの場合は、焦らず、じっくりと犬に向き合っていきましょう。
最初は無理に撫でようとしなくても大丈夫です。まずは時間をかけて「手は怖くない」という事を覚えてもらえば良いのです。
最初は、おやつを手から与える事が出来るように頑張りましょう。手からおやつがあげられたら、次はおやつを与えながら身体を触る練習をしていきましょう。身体を触ることが出来たら良く褒めてあげて下さいね。
褒める際は、手からおやつを与えながら短い言葉で褒めてあげるだけで大丈夫です。この手順で最終的には頭を撫でることができるように、犬の様子を見ながら無理せず頑張ってあげましょうね。
◆焦らずゆっくりと愛犬に向き合おう
重度のハンドシャイの改善をしていくタイミングとしては、犬がリラックスしている時に行なうと良いでしょう。
しかし、重度のハンドシャイの犬は心に傷を負っている子が多いので、焦って無理に進めようとすると犬のハンドシャイを悪化させてしまったり、手への恐怖心から噛まれてしまうこともあります。
絶対に無理に改善しようとはしないで気長に頑張りましょう!
まとめ
犬のハンドシャイについて、原因やハンドシャイで困ってしまう場面、改善法などを説明してきましたが、いかがでしたか?
ハンドシャイについて簡単にまとめると、
・ハンドシャイとは「手を怖がる仕草」のこと
・ハンドシャイの原因は過去に起こった人間の「手」への恐怖(虐待、間違ったしつけのタイミング)
・ハンドシャイで困ること「飼い主なのに撫でられない」「他人が撫でられない」「虐待を疑われてしまう」
・ハンドシャイの改善法はゆっくり時間をかけて「手」への恐怖を取り除いてあげる
ということになります。
ハンドシャイになってしまった犬の中には、心に傷を負っている子がいます。心の傷を癒やしてあげることで今後の犬生を幸せに送ってもらえるように、ゆっくりと気長に頑張りましょうね!
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