1.柴犬の「恐れ知らず」は猟犬時代の名残
1-1.とても古い歴史を持つ犬
1-2.昔は猟犬だった
1-3.警戒心が強いのは自分と飼い主さんを守るため
2.恐れ知らずだからこそ注意すべき!注意ポイントと対処法について
2-1.外出先での注意点~他のワンちゃんとの争い
2-2.自動車にも注意
2-3.自宅での注意~吠え癖・噛み癖
3.恐れ知らずだけじゃない!
3-1.運動神経がよく一緒に遊べる
3-2.誠実で甘えん坊
4.早いうちからしつけが理想!
5.まとめ
柴犬の「恐れ知らず」は猟犬時代の名残
警戒心の強さや恐れ知らずなのは、柴犬の過去とも関係しているようです。
◆とても古い歴史を持つ犬
柴犬の歴史は、想像よりも遥か昔まで遡ります。
縄文時代頃の貝塚から発見された犬骨が、おそらく柴犬の祖先である縄文柴ではないかと考えられています。
骨なので明確には言えませんが、サイズ的には柴犬のような小型の犬のものだそうです。
相当古い時代から、私たち人間の近くで共生していたと聞くと、改めて日本を代表する犬という感じがしますね。
◆昔は猟犬だった
柴犬は、山岳地帯で活躍する猟犬でした。
主に、野鳥や野ウサギなど小動物を狩猟する犬として、人間の近くで暮らしていました。
直接的に小動物を捕まえるというよりも、逃げられない箇所まで獲物を追い込み「ここにターゲットがいるよ!」と人間に教えるという賢さがありました。
また、山中では小動物だけでなく、クマのような大きい動物に出会うことも少なくありませんでした。
クマに攻撃されると人間は命を落としかねませんが、そんなピンチを救ってくれたのが柴犬たちでした。
人間の素晴らしきサポーターとなり、自分よりも何倍も大きなクマにも果敢に向かっていったのだとか。
相手のクマが柴犬に気を取られているタイミングで、人間が仕留める…、連携プレーで狩猟が成り立っていたようです。
まさに恐れ知らずの気質を持っている柴犬だからこそ、狩猟犬としての役割が果たせていたのでしょう。
小ぶりな雑木を表す「柴」という言葉が、柴犬の名前の由来の一説と考えられていることからも分かるように、山のなかで敵に見つからずに動くには、柴犬のように小ぶりなサイズ感がぴったりだったのかもしれませんね。
◆警戒心が強いのは自分と飼い主さんを守るため
狩猟犬として活躍していたころの柴犬は、信頼できる主人へ仕える気持ちが強く、「敵が来たら知らせる」「自分や主人を危険にさらす敵には立ち向かう」を本能的に備えていました。
さまざまな動物が暮らしている山岳地帯では、夜間でも敵がくる可能性があります。
リラックス状態では敵の侵入を察知できないので、常に「警戒アンテナ」をピンと張り巡らせ、主人が危険に合わないようにしていました。
自分よりも強そうな敵を見ても怖いという気持ちはゼロで、「倒さなきゃいけない」という使命感に燃えます。
相手を怖いと感じている時間はないので、恐れ知らずの気質になったのかもしれませんね。
柴犬のそうした働きにより、「飼い主さんが安心して休める」「いい獲物が捕まえられる」と、人間と柴犬の絆の深さに繋がっていったのではないでしょうか。
恐れ知らずだからこそ注意すべき!注意ポイントと対処法について
性格には個体差があるので、すべての柴犬が「恐れ知らず」に行動するとは限りません。
穏やかにフレンドリーなタイプもいるので、一概には「恐れ知らず」とは言えない部分があります。
ただ、猟犬時代の名残から、本能的に突拍子もないことをするかもしれません。
飼い主さんが注意してあげなくてはならないでしょう。
◆外出先での注意点~他のワンちゃんとの争い
恐れ知らずの柴犬は、相手に対して怖さを感じにくく、他の犬とトラブルになりがちです。
・自信に満ち溢れているからケンカを買いやすい
そもそも飼い主さん以外へ心を開きにくいので、相手のワンちゃんが「遊ぼうよ」と近寄ってきただけで、こちらから攻撃体制になることもあります。
威嚇することで相手を黙らせようとするだけでなく、相手からケンカを仕掛けられても「そっちがその気なら!」なんてことも…。
負ける気がしないほど自信に満ち溢れているので、売られたケンカを買ってしまうこともあるかもしれません。
散歩やドッグラン、動物病院など、他のワンちゃんと接する可能性がある場所ではかなり注意が必要でしょう。
・子犬期の社会化不足が原因…?
柴犬の気質の根底には「恐れ知らず」な部分があったとしても、それが前面に出ずに穏やか系の柴犬もいます。
おそらく、子犬期にたくさん他のワンちゃんと接しているケースでは、他の犬の存在が敵には感じにくくなるのでしょう。
つまり、社会化の時期に他の犬と触れ合う機会が多ければ、「自分にとって害がない」と分かっているからです。
・外出中は飼い主さんがリーダーシップを取ろう
どんな方法が合っているかは個体差がありますが、対策をしないままでは、いずれケガのリスクも考えられます。
オヤツを有効活用して、吠えようとしたタイミングで気をそらすのもアリです。
また、外出先では飼い主さんのリーダーシップが重要。
柴犬に主導権を握られないようにした方がよさそうです。
必要があれば、「オヤツで気をそらす」「他の犬が多い散歩コースは避ける」などの工夫もした方がいいでしょう。
◆自動車にも注意
狩猟犬という歴史を持つ柴犬にとって、常に動く自動車は追いかけたくなる対象物になりやすいです。
恐れ知らずで、自動車さえも攻撃してしまうかもしれません。
狩猟本能がいつ発揮されるか分からないので、柴犬の急な動きにも対処できるように、散歩中にはリードを離さずしっかり持つことが大事です。
愛犬を守ると同時に、事故を防ぐようにしましょう。
◆自宅での注意~吠え癖・噛み癖
家のなかでも「吠える」「噛む」という行動に注意しなければなりません。
・いろんなものに吠える柴犬
柴犬には、番犬気質もあります。
「吠える」という行動で相手へ自分の強さを働きかけるので、自分のテリトリーに侵入しようとする来客者に吠えて反応することがあります。
同時に、飼い主さんを守る気持ちから「誰かがやってきた」と教えている行動でもあるでしょう。
「家にやってくる人は敵ではない」と安心させる工夫をしたいところです。
犬嫌いの人でなければ、オヤツを手渡ししてもらって柴犬と交流をはかってもらうのもいいかもしれませんね。
柴犬が好きなオヤツなら、お客さんの手からもらうことで安心感に結びつくかと思います。
また、「早くごはんをちょうだい!」「散歩の時間だから連れていって!」と、飼い主さんへの要求から吠えるケースも。
時間外の要求であれば、「吠えても無駄だよ」と教えていくことが必要です。
・噛み癖があったらどうすべき…?
なかには、飼い主さんに対して噛んでしまうケースもあります。
犬が嫌がる何かを無理強いさせると、「止めて欲しい!!」という抵抗の気持ちから噛む可能性があります。
「相手を噛む=嫌なことをされない」とインプットされ、それを続けていくと噛み癖が直りにくくなります。
また、飼い主さんを自分よりも下に見ている場合、「噛んでも大丈夫な相手だ」と思い込むケースも…。
飼い主さんがしつけようと思っても「やりたくない!」「自分に構わないで!」と反抗的に噛んだりするようです。
どちらのケースにしても、「犬が噛むのはなぜか?」とその理由を知ることが重要です。
「犬の嫌がることを強制していないか?」「犬との信頼関係がしっかり築けていないのでは?」「しつけが不十分でワガママになっているかも?」など、状況別に対処していくようにしましょう。
ただ、噛み癖があまりにも進んでいるときは、獣医師などの専門家への相談も考えてみたほうがいいかもしれません。
・ストレスを溜めないように配慮しよう
要求や警戒が原因の「吠える」という行動は、比較的原因を探りやすく対処がしやすいもの。
しかし、理由があまり分からない「無駄吠え」もついては、お手上げ状態の飼い主さんもいるでしょう。
本来、柴犬は、きちんとしつけられているなら、無駄吠えが少ないと言われています。
なんらかのストレスを抱え、吠えている可能性もあるので、吠えたときには理由を探ってみましょう。
運動不足からストレスを溜め、吠え癖に繋がっているケースも考えられます。
散歩は日課とし、運動不足にさせないようにしましょう。
また、人間とのの距離が適度な柴犬とはいえ、放置され過ぎると寂しさからストレスが溜まりやすいものです。
留守番させる時間が長ければ、帰宅後にコミュニケーションをとるようにしましょう。
恐れ知らずだけじゃない!
ここまで、柴犬の恐れ知らずの行動についてお伝えしました。
しかし、そのほかにも柴犬の特徴はいくつかあります。
◆運動神経がよく一緒に遊べる
まずは、運動神経が良いところ。
一緒に散歩や遊びが楽しめるのも魅力です。
狩猟犬であった時代には、自分の意志で山の中を駆け回っていました。
そのため、体力のある犬種です。
柴犬が満足できる距離や時間を見つけ、一緒にお散歩タイムを楽しみましょう。
ときには、公園やドッグランなどもいいですね。
広い空間を走ると嬉しそうにするので、そんな姿を見ているだけでもこちらまで癒されます。
ボールをぽーんと投げたら愛犬が拾って持ってきてくれる…、ワンちゃんと飼い主さんと両方が楽しい瞬間ですね。
◆誠実で甘えん坊
そして、誠実なのも特徴です。
飼い主さん、そして一緒に暮らす家族には心を開いてくれます。
「指示をくれたら動きたい」という忠犬的な部分だけでなく、「何かこの人のためにしたい」という自立心も魅せることがあります。
柴犬が忠犬的に振舞ってくれる条件としては、「リーダー=飼い主さん」と分からせるのが必要なので、凛とした態度で柴犬のリーダーになることが求められます。
また、ときどき見せる「甘えん坊」な姿も可愛い魅力です。
いつもは恐れ知らずのワイルド系なのに、「構って欲しい」と寄り添ってきたときのギャップに気持ちが和みそうですね。
早いうちからしつけが理想!
たくさんの犬種を交配させて生まれた愛玩犬とはちょっと違う柴犬。
本来持っている性格が「恐れ知らず」「警戒心がある」という部分が、なんらかのトラブルになってしまうケースも少なくありません。
「忠犬」でもある柴犬ですから、飼い主さんとの関係がしっかりと構築されていれば、突然の行動もコントロールができます。
そのためには、子犬の時期から「飼い主さんは自分よりも強いんだ」と教え込むことが大切です。
柴犬の子犬は見た目がとてもかわいいので、「こんなあどけないうちからしつけをするなんて…」とかわいそうに感じるかもしれません。
でも、子犬期だからこそしつけやすいのも事実です。
子犬期に飼い主さんへの忠誠心を持つことができれば、これからもずっと忠犬として穏やかに暮らしてくれることでしょう。
それが、柴犬の幸せにも繋がるので、愛情を持って「しつけ」をしていきましょう。
まとめ
狩猟犬であった過去から、恐れ知らずの部分があるかもしれません。
でも、外で出会った見知らぬ他の犬や人間、家に来たお客さんに吠えるのも、「飼い主さんを守ろう」という本能的な心理が働いているからなのです。
ただ、今の時代に柴犬は狩猟犬として飼っているわけではありません。
柴犬が現代を幸せに暮らしやすくするには、飼い主さんのしつけが肝心です。
「恐れ知らず」な面を、飼い主さんが良い方向へと伸ばしてあげためには、柴犬のひとつひとつの行動に向き合い、原因と対策を練っていくことが大切と言えるでしょう。
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