【掲載:2019.07.08 更新:2025.10.03】
犬にぶどうを与えてはいけない理由

人間にとっては甘くてとても美味しいぶどうですが、犬にとってぶどうはNGな食材となります。
一体ぶどうの何がNGなのでしょうか?
◆ぶどうは中毒症状を引き起こす!?
犬がぶどうを食べてしまうと、中毒症状を引き起こしてしまうという報告があります。ぶどうだけでなく、同様にレーズンでも中毒症状を引き起こしてしまう報告例があるのです。
2001年頃に、ぶどうやレーズンを大量摂取してしまった犬が「急性腎不全」を発症してしまったという報告が挙がりました。それ以降でもぶどうやレーズンによる中毒症状被害の報告がされ続けたため、ようやく「犬にとってぶどうはNGな食材である」という認識が広まり始めました。
ぶどうで中毒症状を引き起こしてしまった犬の中には、命を落としてしまった犬もいるので注意が必要です。
◆なぜぶどうで中毒症状が引き起こるの?
ぶどうやレーズンを犬が大量に摂取してしまうと、シュウ酸カルシウムといわれる成分が形成されやすくなります。しかし犬にとってぶどうが危険な本当の理由は、急性腎不全を引き起こし腎臓の組織が破壊されてしまうことなのです。ぶどうによって犬は急性腎不全を引き起こしてしまうということは、最近になってから注目され始めました。
犬がぶどうを食べることによって、この急性腎不全がなぜ引き起こってしまうのか、ぶどうに含まれる何の成分が犬にとって害となるのかは実際の所未だに分かっていないのが現状です。
さらに、ぶどうの種類によって中毒性に違いがあるのかどうかについても実際のところ良く分かっていないのです。
そのため、「大きい粒のぶどうだから中毒性が高い」「濃い味のぶどうだから中毒性が高い」という事はなく、「ぶどう」そのものに注意が必要となってくるのです。
◆皮付きで中毒性が高まる!?
ぶどうの種類や粒の大きさなどで犬への中毒性は変わりませんが、「皮付きで食べる」ことによって中毒性が高まってしまうのではないか、と言われています。皮付きのぶどうを食べてしまった小型犬が急性腎不全を引き起こしてしまい、亡くなってしまった症例があるためです。その小型犬が食べてしまったぶどうの量は70gほど(巨峰で換算すると4粒程度)だったそうです。
実際には「皮付きでぶどうを食べた方が危険である」という確証は明確にはないものとされていますが、愛犬を守るためにも皮付きのぶどうは誤食してしまわないように気を付ける必要がありますね。
また、レーズンの場合ぶどうの成分が凝縮されているものとなりますので、さらに中毒症状を引き起こしてしまいやすいと言われています。
ぶどうジュースに関しても中毒を引き起こしてしまった犬がいるという報告がありますので、「ジュースくらいなら」という安易な考えは愛犬にとって危険なのでやめましょう。
ぶどうを食べた時に起こる中毒症状
犬がぶどうを食べた時に、以下のような中毒症状が起こる可能性があげられます。
- 嘔吐
- 食欲不振
- 尿が出なくなる
- 腎臓の異常
- 急性腎不全
重篤になると命の危険がありますので、犬にぶどうは与えないように気を付ける必要性があります。
どのくらい食べたら危険?

今まで知らずに愛犬にぶどうを与えていた方も多くいると思いますが、飼主の皆さんが「ぶどうは食べても良いのか」という疑問の次に気になる事は、「どのくらいならぶどうを誤食してしまっても大丈夫なのか」という事だと思います。
犬がぶどうをどのくらい食べてしまうと中毒症状を引き起こしてしまうのかは、実は良く分かっていないのです。
小さなぶどうを1粒食べてしまっただけで中毒症状を引き起こしてしまった犬もいれば、たくさん食べてしまっても中毒症状が出ない犬もいるそうなので、一概に「何g異常は危険」という数値が決められないそうです。
体の小さな小型犬が巨峰を1粒食べてしまうのと、体の大きな大型犬が巨峰を1粒食べてしまうのでは体重あたりの大きさが違ってきますよね。
つまり「ぶどうの許容量はどのくらいか?」と聞かれると、「犬それぞれの個体差がある」という答えになるという事です。
しかしいくら「個体差があるため分からない」としても、ある程度の目安は知っておきたいですよね。参考までに、現状での犬に対するぶどうの許容量の目安は次のようになっています。
◆巨峰
体重1kgあたり約3~57gとなっています。巨峰の許容量を1粒約17gとして考えると、1粒ですでに許容量をオーバーしています。
◆デラウェア
体重1kgあたり約3~57gとなります。デラウェアは小粒なため、1粒が約2gと考えると、2粒程が限度と言えます。
◆マスカット
体重1kgあたり約3~57gになります。1粒6gと考えると、1粒でも許容量を超えてしまいます。
◆レーズンまたは干しぶどう
体重1kgあたり約11~30gとなります。レーズンまたは干しぶどうの1粒あたりの大きさは0.6g程と考えると、許容量は18粒程となります。
このようにぶどうの大きさによっても許容量は変わって来てしまうので、「大丈夫だ」というラインを決められない、非常に難しい食材な事が分かりますね。
どのくらい食べたら中毒症状を引き起こしてしまうのか分からないという大きなリスクもありますので、犬にはぶどうを与えないようにしましょうね。
犬がぶどうを食べてしまった時の対処法

それでも万が一、「愛犬がぶどうを誤食してしまった!」という場合がくるかもしれません。
そのような場合には次のような対処法を取りましょう。
◆すぐ病院へ!
犬がぶどうを誤食してしまった場合、症状が出ていても出ていなくても、飼い主さん自身で応急処置をせずに早めに動物病院へ行きましょう。
まだ口の中に残っている場合にはすぐに吐き出させてから、飲み込んでしまっている場合にはただちに動物病院へ電話し、指示を仰ぐようにすると良いかもしれません。
病院へ連れて行くと、まずとにかく原因物質を身体の外へ出すという治療がされます。胃の中の物を吐かせたり、胃洗浄をしたり、活性炭や下剤の投与が行われます。
もし症状がひどく急性腎不全になってしまった場合は、入院して点滴治療などが行われます。とにかく中毒のもとであるものを、いち早く体外へ出さなければいけないということですね。処置は早ければ早いほどいいので、ぶどうを食べてしまったと確実にわかっている場合は早急に病院へ連れて行きましょう。
◆症状が出るまでの時間
ぶどうによる中毒症状が犬に現れるのは、犬がぶどうを誤食してしまってからだいたい2時間~5時間と言われています。
そのため、犬がぶどうを誤食してしまった場合には2~5時間は必ず様子をしっかりと見るようにして下さい。
◆その後の観察ポイント
先ほど「中毒症状は2~5時間で現れる」と言いましたが、2~5時間の間に中毒症状が現れなくても2~3日ほどは注意して観察していてあげる必要があります。
というのも、中毒症状が出るか出ないかに個体差があるように、中毒症状が出るまでの時間にも個体差があるためです。
愛犬がぶどうを誤食してしまった場合には、普段と違った様子はないか、嘔吐や下痢などの症状が出ていないかどうか注意深く見守りましょう。
まとめ
犬にぶどうはNGな食材という事が分かりましたが、いかがでしたか?人間にとっては甘くてとても美味しいぶどうですが、犬にとっては命に関わる危険な食べ物です。
そのほかにも、チョコレートやネギ、ナッツ類など、犬が食べたら危険なものが身の回りにはたくさんあります。今までNGだという事を知らずに愛犬に与えていたという方は、今からはもう与えないようにしましょう。
飼主さんが食べる際に愛犬が誤食してしまわないように、細心の注意を払って食べるようにして下さいね!
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