【獣医師監修】犬がご飯を食べない時の強制給餌って?やり方や注意点について

2019.07.17

【獣医師監修】犬がご飯を食べない時の強制給餌って?やり方や注意点について

犬の強制給餌とは、何らかの原因により自力で食べることができない犬に対して、強制的にごはんを食べさせる処置のことです。ごはんを団子状程度の硬さにして口に入れる半強制給餌と流動食を流し込む強制給餌の2種類があります。強制給餌は、誤嚥や食べさせすぎなど、気を付けるポイントも幾つかあります。 今回は、強制給餌の方法や適したフードなどを紹介します。犬がご飯を食べなくなって困っている飼い主必見です。

強制給餌って何?

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強制給餌とは、その字の通り強制的に犬に食餌を食べさせることを指します。病気や怪我、子犬や老犬など自力で食べることができない犬に対して行われることが一般的です。

強制給餌は基本的に動物病院で行う処置ではなく、日常的に飼い主が犬に対してケアとして行う処置です。

半強制給餌と強制給餌のちがい、方法は?

半強制給餌と強制給餌のちがいや方法について詳しくご紹介します。

◆半強制給餌とは?

半強制給餌とは、ある程度の硬さのものを飲み込むことが出来る犬に対して行う処置のことです。

食べる気力がある犬は半強制給餌にした方が、舌を使い飲み込むため味覚を感じることや、食べる気力を保つため良いとされています。

半強制給餌は、食餌を粘度の高い状態やペースト状にして犬に与えます。口の中に入れる際にはスプーンを使っても構わないですが、犬が嫌がることが多いため飼い主の手を使って与えることが多いです。

半強制給餌をする際には、手をしっかり洗い、ウェットティッシュを使う場合はアルコール入りの物は避け犬用のものを使う、濡れタオルを使うなど気をつけるようにしましょう。

・上あごの内部に擦りつける
ペースト状の食餌を人差し指に一すくいし、犬の上あごの内部に擦りつけます。この時の量は、犬が無理なく飲み込める量にしましょう。

粉末の薬などを食餌に混ぜて与える際にも利用できる方法です。

・団子状にして口腔内に入れる
食餌を団子状に丸め、犬の口腔内に入れる方法も半強制給餌の方法の一つです。一回に飲み込む量が多い犬には効果的です。

・頬の内側に入れる
食餌を団子状にしたものか、ペースト状にしたものを頬の内側にいれる方法もあります。上手に食べられない場合には、歯にこすりつけるようにすると良いでしょう。

◆強制給餌とは?

半強制給餌と強制給餌のちがいは、粘度状の食餌ほどの硬さが飲み込めるかどうかによって切り替えることが多いです。

強制給餌の場合は、基本的にドロドロの泥状ペーストを流動食として与えることが一般的です。口に入れる際にも、手ですくったリ摘まむ事が出来ないため、シリンジなどの器具を利用します。

投薬が必要な際には、少量の流動食に混ぜて、同様にシリンジで強制給餌して飲ませます。

・シリンジでの強制給餌
シリンジとは針のついていない注射器の胴体部分のことです。強制給餌をすることになった際には動物病院で購入することが可能です。

流動食を作り、シリンジで吸い上げます。それを犬の口の横側や、歯と歯の間から少しずつ流し入れる方法が強制給餌です。

少量入れ、犬が自身の力で咀嚼し飲み込むことを確認という作業を繰り返します。

一回の量が多いと、犬が誤嚥してしまう可能性がありますので量には注意が必要です。

・スプーンでの強制給餌
私が見てきた患者犬で、シリンジは嫌がるけれどスプーンなら強制給餌ができる、という犬も少数ですが存在しました。

飼い主に対して依存性の高い犬の場合は、顔を膝に乗せてスプーンで食餌を運ぶ、という方法が上手くいくことが多かったです。そのため、どうしてもシリンジが難しかったらスプーンを試してみることも良いでしょう。

スプーンの場合は、赤ちゃん用の小さいさじのものがおすすめです。

こちらもシリンジ同様、一回量は少なくするようにしましょう。

強制給餌で気を付けなければいけないことは?

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強制給餌をする際に気を付けなければいけないことにはどんなものがあるでしょうか。確認してみましょう。

◆誤嚥

誤嚥とは、飲ませた流動食が食道では無く気管に入り込んでしまうことをいいます。誤嚥は肺炎の原因になる誤嚥性肺炎の原因にもなります。

誤嚥を防ぐには、強制給餌の際の一回量を少なくし、しっかり飲み込むことを確認することが大切です。一度に大量に食餌を与えると、犬はむせたり、咳き込んだりしてしまい、気管に食餌が入り込む原因となります。

◆食べさせすぎ

流動食は犬の個体に必要なエネルギー量を計算して量が決定されます。しかしながら、犬によってその量が適切かどうかは食餌を与える飼い主にしかわかりません。

食べさせすぎは、食餌後の吐き戻しの原因となります。食餌を吐いてしまうことは栄養が摂れないことも勿論ですが、体力消失にも繋がります。

また、寝たきりの犬の場合、吐しゃ物で窒息し死に至るというトラブルや誤嚥を引き起こすこともあります。

◆食餌後に犬を綺麗にする

強制給餌をすると、犬が綺麗に食べ終わることはあまりありません。犬が嫌がったり、口に流し込んだ分が垂れてきたりと、床もそうですが犬自身も汚れてしまうことが多いです。

強制給餌が終わった後は、濡れタオルで犬の身体を綺麗にしてあげましょう。汚れたままでいると雑菌が湧いたり、皮膚炎の原因となったり、異臭の元になったりします。

◆嗜好性を高める

私が勤務していた動物病院で用いていた方法ですが、流動食を作る際には少し温度を上げてあげると犬の嗜好性が高まります。レンジで数十秒加熱する、ぬるま湯で缶詰を希釈して流動食を作る、などの方法があります。

同じ食餌で犬が飽きているときには、犬用のふりかけを使ったり、子犬用の粉末ミルクをふりかけたりするなども効果的です。

流動食を温める場合には、熱し過ぎないように注意しましょう。

高栄養のおすすめフードは?

強制給餌する際に流動食として使用できる犬用の高栄養のおすすめフードをご紹介します。

◆アニウェル ハイカロリー 150g

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アニウェル ハイカロリー 150g

100gあたり165キロカロリー、超高カロリーで要介護時、病中病後の療養食、産前産後・子犬・栄養補給の必要な犬の嗜好性の良いエネルギー食。

購入

100グラムあたり165キロカロリーの高カロリーなため、犬の栄養補給にぴったりです。鶏肉や鶏レバーが主原料です。

◆デビフ缶 愛犬の介護食 ささみ&すりおろし野菜 85g×24缶

●おすすめ商品
デビフ缶 愛犬の介護食 ささみ&すりおろし野菜 85g×24缶

噛む力の衰えた老齢犬のために、鶏ささみ、鶏肉、鶏レバーにすりおろした野菜を加え、消化しやすい様にやわらかく仕上げた総合栄養食です。老齢期だけでなく、幅広い年齢の主食としてご使用いただけます。食品用のお肉を使用し、新潟の自社工場で製造しています。<総合栄養食>

購入

鶏ささみや鶏肉、鶏レバーにジャガイモ、人参、グリンピースなどのすりおろし野菜を加えた犬用介護食缶詰です。グルコサミンやコンドロイチンも配合されています。

◆ニュートリカル

市販品ではなく動物病院で処方してもらう犬猫用高カロリーサプリメントです。はちみつの様な粘度の高いドロッとしたテクスチャーで、市販品よりも吸収率が高い商品です。

チューブ1本で532カロリーの高カロリーで、ビタミンミネラルやオメガ-6、オメガ-3などの脂肪酸も配合されています。

流動食の様にシリンジなどを用意することなく、指に歯磨き粉の様にチュルっと出して舐めさせるか、犬の口の中にすりつけるようにして飲ませます。

◆a/d缶

ヒルズ社の特別療法食のa/d缶は、動物病院の流動食の定番です。1缶183キロカロリーで、ターキーやチキンなど高品質のタンパク質で作られています。

嗜好性も高く、しっかりとペースト状になっているためシリンジやチューブなどでも犬に強制給餌しやすい商品です。

愛犬がご飯を受け付けないときにできることは?

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犬がどうしてもご飯を受け付けない時にはどうしたら良いのでしょうか。

そういった場合には、必ず動物病院を受診しましょう。栄養補給のためにできる処置についてご紹介します。

◆胃ろう、カテーテル

胃ろうとは、食道、胃、小腸などまで通したチューブを使って犬に食餌を強制的に与える処置です。

チューブ(カテーテル)を通す場所は、鼻やお腹など状態によって様々です。

チューブを留置するため、管理ができる飼い主であること、犬がチューブを食いちぎったりする元気がないことなど、処置を行えるかどうかの判断は獣医師が下します。

◆皮下点滴

食べられる量が少ない場合や水分補給が難しい場合には、犬に皮下点滴を行うことも一般的です。

静脈内ではなく皮下への点滴のため、一度に多くの量を入れることもできるため短時間で終わる処置です。毎日皮下点滴に通うパターンも珍しくありません。

一度に量を入れるため、点滴をする肩甲骨のあたりにこぶのように輸液が入りますが、これは時間をかけて体内に吸収されるため気にしなくても大丈夫です。

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ご飯を食べない愛犬には強制給餌を試してみましょう!

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この記事ではご飯を食べない犬に対して出来る措置である、強制給餌についてご紹介しました。

犬の状態によって、半強制給餌と強制給餌を使い分けるなど工夫して犬が食餌を食べられるように試してみましょう。強制給餌が難しい場合でも、動物病院では点滴や胃ろう、カテーテル処置などの対策を取ることができます。

悩まずに、動物病院などに相談し、食餌を食べることができるようにしてみましょう。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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St.Elmos

St.Elmos

動物看護士、トリマー、愛玩飼養管理士などの資格を持っています。 家族の一員としてのワンちゃんネコちゃんにまつわる情報をお伝えできればと思います。

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