1.犬の関節炎とは?
1-1.関節炎が原因で歩行に支障が出る
1-2.関節炎の進行の流れ
1-3.ペットの様子に注意しよう
2.犬の関節炎を引き起こす主な要因とは?
2-1.天候
2-2.加齢
2-3.肥満
2-4.犬種
2-5.外傷
2-6.先天性
4.犬の関節炎の治療法は?
4-1.関節に異常を感じたら動物病院へ!
4-2.関節炎の基本的な治療
5.犬の関節炎の予防法は?
5-1.適正体重を保つ
5-2.生活環境の改善
5-3.体・関節の冷やしすぎに注意
5-4.激しい運動を控える
犬の関節炎とは?
人間と同様に、犬にも関節には軟骨があります。この軟骨は、骨同士の接合面を保護する、動きを滑らかにする、衝撃を和らげるクッションとなるなどの重要な役割をもっています。
関節炎とは、この軟骨に支障・障害が起こることで、炎症が引き起こされて悪化した状態のことを指します。
◆関節炎が原因で歩行に支障が出る
正常な関節は、軟骨の表面がツルツルした状態であるためにしなやかな動きが可能です。
しかし、悪化した関節は、様々な要因によって軟骨表面が摩耗しています。表面のツルツル感は失われ、ギクシャクとした動きとなってしまうのです。
関節炎を発症すると慢性的な痛みを患うこととなり、歩行などの動作にも支障が出るようになってしまいます。
◆関節炎の進行の流れ
関節に様々な刺激が与えられると、軟骨細胞が損傷してしまい、炎症が発生します。軟骨細胞が損傷すると、軟骨組織の損傷を促す酵素が活性化されてしまい、軟骨組織が徐々に破壊され始めます。
その後、軟骨組織の破壊により、関節の構造・機能に障害が発生します。このように関節炎は進行していくのです。
こうした状況は、加齢や外傷によるものであったり、愛犬が肥満である、運動不足である、といったケースに多くみられます。
人間社会でも、年齢を重ねるにつれて関節が痛くなる、おじいちゃんやおばあちゃんが関節痛に悩んでいる、という話はよく聞くでしょう。犬の場合も、特に老犬に関節炎が起こりやすいという特徴があります。
◆ペットの様子に注意しよう
関節炎は軟骨の異常が問題で起こると前述しましたが、痛みを伴い、日常的にできていた動作を行うことが難しくなる大変辛いものです。
更に関節炎、関節の異常は、時間経過に伴って徐々に悪化していきます。
軟骨が変形してしまった場合は、それを元に戻すことはできません。関節炎は、一度発症すると基本的に完治すること難しい疾病なのです。
痛みを和らげる、進行を遅らせるといった治療法や、長期ケアが必要となることを頭にいれておきましょう。
犬の関節炎を引き起こす主な要因とは?
関節の健康に影響を及ぼす、関節炎を引き起こす主な要因として、以下の項目があげられます。
◆天候
寒い日や、湿度が高く湿気の多い天気の場合、不快感が増したり、関節のこわばりが増強するといわれています。
◆加齢
歳を重ねるごとに、関節軟骨はすり減っていきます。これにより関節のこわばりが生じます。
関節炎の発症は高齢犬である場合が多いですが、若い成犬にもその可能性は十分にあるので、油断は大敵です。
愛犬の様子を見ながら、症状を見逃さずに適切なケアを施せるように、事前に知識を得ておく必要がありますね。
◆肥満
肥満傾向にある犬は、関節にトラブルを起こしやすいといわれます。体重が重すぎると、関節や軟骨にかかる負担が大きくなるのです。
◆犬種
関節に問題を起こしやすい犬種として、ラブラドール・レトリーバー、ゴールデン・レトリーバー、ジャーマン・シェパード、ロットワイラーなどの、大型犬種があげられます。
これらの犬種は、若年期から関節にトラブルを起こす可能性が高いといわれているのです。
愛犬がこれらの犬種である場合は、様々なリスクを考えて、症状が出る前に予防策を練っておくことが重要でしょう。
◆外傷
怪我や事故などが原因で、軟骨に外傷を負った結果、関節のこわばりや関節炎が引き起こされる場合もあります。これにより、時間が経ってから関節の可動性に悪影響が出ることも考えられます。
◆先天性
個体によっては、先天性・遺伝性の異常から、加齢による関節炎を引き起こしやすい犬種もいます。
犬の関節炎の症状は?
基本的に関節炎の初期症状は非常に軽いので、毎日愛犬と生活を共にしている飼い主さんでも、その兆候を見逃してしまう可能性があります。日常の愛犬の様子をしっかりと観察しておくことが重要となるのです。
愛犬の関節異常を早期に発見するためにも、関節炎を発症することでみられる症状をチェックしておきましょう。
◎階段・段差などを避ける、登ろうとしなくなる。
◎起き上がる際に、辛そうな様子がみられる。
◎散歩を嫌がったり、歩くのが遅くなる。
◎歩く・走る・遊ぶ・飛び跳ねる等の行動をしなくなる。
◎患部を触られるのを嫌がる、触ると痛がる。
関節炎は慢性的な痛みに伴い、日常的な動作が難しくなることからストレスをも引き起こします。
個体によっては、そのストレスや痛みから、飼い主さんに対しても攻撃的になってしまうケースも実際にあります。社交的で運動や外出が大好きだった愛犬が、引きこもりがちになったり、元気がなくなったりと、性格に悪影響を及ぼす可能性もあるのです。
人間にも犬にとっても、メジャーで発症することが珍しくない症状とはいえ、大きな問題を残す可能性のある関節炎。発症した場合は、簡単に考えるのではなく、しっかりと向き合うことが重要です。
犬の関節炎の治療法は?
◆関節に異常を感じたら動物病院へ!
愛犬の動作に少しでも異常がみられる場合は、まず動物病院へ一度相談してください。
関節炎の初期症状は気付くのに難しく、判明した時点で既に症状が悪化している可能性は十分にあるのです。
早期発見ができれば、その分症状の進行を遅らせたり、痛みを抑える治療を受けられます。
◆関節炎の基本的な治療
関節炎の治療には、症状に合わせて次のような治療法があります。
・食事療法:関節や体重管理に配慮し、特別療法食などを摂取させる。
・対症療法:症例によって鎮痛剤や消炎薬など、痛み止めの薬を処方する。
・運動療法:適度な運動を行うことで、関節の可動域を広げたり、筋肉を増強する。
これらをバランスよく組み込むことが、関節炎の治療には必要だとされています。
犬の関節炎の予防法は?
自宅でできる関節炎の予防法についてご紹介します。
◆適正体重を保つ
愛犬の体重管理をしっかりと行いましょう。体重増加が関節に大きな負担をかけ、関節炎が引き起こします。
愛犬が肥満傾向にある場合は、食事やおやつの種類・与え方を一度見直してみましょう。
◆生活環境の改善
愛犬が生活する空間は、関節に負荷を与える状態になっていませんか?例えば、床材が滑りやすいフローリングであったり、ソファや階段などの大きな段差があるなど、これらの状況は愛犬の怪我や関節炎を誘発する可能性が高いです。
床は滑り止めの役割をもつものに変更したり、大きな段差のある場所にはステップを設置するなど、危険因子を取り除いた空間作りを心掛けましょう。
◆体・関節の冷やしすぎに注意
居住空間の室温や湿度にも気を配りましょう。特に夏などの暑い時期は、愛犬が暑さに弱い犬種であれば尚のこと、室内は常に涼しい状態であることが多いでしょう。
もちろん暑さ対策は重要です。冷房などを使用しなければ、発熱・虚脱・熱中症などの高いリスクを背負う可能性が高くなりますよね。
しかし、愛犬が関節炎を患っている場合には、患部の冷やしすぎには注意しましょう。室内は涼しい空間を作りつつも、患部が冷えすぎないように対策をとることも頭に入れておいてくださいね。
◆激しい運動を控える
必要な運動量は犬種によって様々です。長時間の散歩を要する犬種もいれば、アジリティなどが大好きな犬種もいますよね。もちろん、逆にそこまで運動量を必要としない犬種もいます。
まずは愛犬にとって適切な運動量を見極めることが大切ですね。
ただし、遊び方や運動の方法によって怪我をしたり、関節に過度な負担をかける場合もありますので、それらのリスクを頭に入れつつ、適度な量・方法で運動するよう心掛けましょう。
犬の関節の健康を守るサプリメントとは?
愛犬の健康維持や病気予防のために、サプリメントを利用している飼い主さんも現代では珍しくないでしょう。
犬用のサプリメントとはいえ多種多様な商品が販売されており、もちろん中には関節の健康を守る目的に特化したものも沢山あります。
愛犬の状態に合わせて、適切なサプリメントを選択することが大切ですが、種類が多すぎてどれを選べばよいのか迷う方も少なくないはずです。
関節の健康を守るために予防として利用するのか、愛犬の症状に合わせたサプリメントが必要なのか、まずはその部分を明確としましょう。
どのような成分をもつサプリメントが有効なのかを紹介しますので、参考にしてみてください。
◎グルコサミン&コンドロイチン
関節に良いとされる定番の成分といえば、このグルコサミン&コンドロイチンでしょう。
グルコサミンは軟骨の主成分となるものです。更に軟骨に弾力性を与えるコンドロイチンとの同時摂取により、高い効果を期待できるでしょう。関節の健康を守る予防策としても、日常的に取り入れたい成分ですね。
◎緑イ貝
痛みの軽減を目的とする場合、抗炎症作用をもつ成分に注目しましょう。代表的な成分に緑イ貝があります。これには、有害物質の解毒や新陳代謝を促す働きがあり、炎症を鎮める効果があるのです。
◎オメガ3脂肪酸
外傷による感染の炎症には、オメガ3脂肪酸の配合されたサプリが良いとされています。オメガ3脂肪酸のDHA・EPA・αリノレン酸には、関節の腫れ・痛みの緩和、炎症の抑制などに効果があります。
他の成分をもつサプリメントでは効果が得られなかった、という方は試してみるとよいでしょう。
サプリメントはハドルが高い、症状が出ているわけではないからもっと手軽に気軽に初めてみたい、という方にはおやつで関節の健康配慮ができる物をお勧めします。普段与えているおやつと同様の美味しさなので、ワンちゃんも嫌がることはありません。
まとめ
飼い主さんにとっても愛犬にとっても、関節炎の発症は辛いものとなるでしょう。日常的に生活環境や愛犬の行動に注意すること、積極的にサプリメントを取り入れるなど予防に力を入れることが大切です。
数あるサプリメントを選ぶのは大変ですが、色々な情報をまずは集めてみてください。ブログや口コミなど、サプリ利用者の声をきくのも重要な第一歩となるでしょう。
一般的に加齢による発症が多いのは事実です。老犬となった愛犬が関節炎を発症した場合は、しっかりと向き合い、長い目でケアを行う覚悟もしておきましょうね。
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