【獣医師監修】犬がむせる理由は?ごはん中にむせるのを防ぐ便利グッズをご紹介!

2019.09.14

【獣医師監修】犬がむせる理由は?ごはん中にむせるのを防ぐ便利グッズをご紹介!

愛犬がごはんを食べていて、急にむせてしまうことはありませんか?苦しそうにしている愛犬をみたら、飼い主さんは心配ですよね。なぜ、犬はごはんを食べている時にむせるのでしょう。 この記事では、犬のごはんの食べ方や水の飲み方からみた、「犬がむせる理由」と「犬が食事中にむせるのを防ぐ便利グッズ」をご紹介します。

【目次】
1.犬のご飯の食べ方と水の飲み方
1-1.犬のご飯の食べ方の特徴
1-2.犬の水の飲み方の特徴

2.犬がむせる理由
 2-1.犬がむせる理由②不安を感じているため
 2-2.犬がむせる理由②不安を感じているため
 2-3.犬がむせる理由③ごはんを気に入っているため
 2-4.犬がむせる理由④シニアになったため

3.犬がむせる時に考えられる病気
 3-1.犬がむせる時に考えられる病気①誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)
 3-2.犬がむせる時に考えられる病気②喉頭虚脱(こうとうきょだつ)
 3-3.犬がむせる時に考えられる病気③巨大食道症

4.犬が食事中にむせるのを防ぐ便利グッズ
 4-1.【おすすめ商品】ゆっくり食べられる食器
 4-2.【おすすめ商品】洗える外せるドッグダイニング

5.犬がむせる理由に関するまとめ

犬のご飯の食べ方と水の飲み方

犬のご飯の食べ方

◆犬のご飯の食べ方の特徴

犬はごはんを食べる際、基本的に丸飲みをします。

人間の場合は、消化をしやすくするため、口に入れた食べ物を細かく噛み砕いたり、歯で噛んですりつぶしたりする咀嚼(そしゃく)を行います。

しかし、犬の場合は、咀嚼をほとんど行いません。食べ物を飲み込みやすい大きさに噛みちぎったり、飲み込む時に喉を傷つけないように噛みほぐす程度で、ある程度の大きさになったら飲み込んでしまいます。

人間は食事をする際、「食べ物をよく噛む」ことが推奨されています。これは、咀嚼を行うことで食べ物の消化を助け、消化不良を防ぐためです

では、なぜ犬は食べ物を丸飲みしても平気なのでしょうか。人間と違って犬が咀嚼をしない理由を、犬の体の特徴からみてみましょう。

●唾液

犬は、食べ物が喉を通りやすくするため、唾液の分泌量が多くなっています。大きな塊を飲み込む際には、この唾液が潤滑油の役割を果たします。

また、人間は咀嚼をすることで唾液中の消化酵素が分泌され、口の中で食べ物の消化活動が始まりますが、犬の唾液には消化酵素が含まれていないため、主な消化活動は、食べ物が胃に到達してから始まります。

●消化器官

犬は胃液の量が多く、ある程度大きな塊のまま飲み込んだ食べ物を、胃で効率よく消化します。

また、犬の胃酸は強力で、ほとんどの細菌を死滅させてしまうといわれています。この強力な胃酸によって、大きな塊で飲み込んだ食べ物を、より早く消化することができます。

食べ物は胃を通ったあと、肝臓やすい臓などでも、それぞれの消化酵素の働きにより、消化されていきます。

●歯

犬の歯の構造をみてみましょう。人間は、臼歯(きゅうし)という歯を使って食べ物を細かくすりつぶしてから飲み込みます。

犬にも臼歯はありますが、食べ物をすりつぶす目的では使われていません。その証拠に、犬の歯はすべて先が尖っていて、食べ物をすりつぶすのには適していない形をしています。

元々狩りをして生活していた犬は、獲物の肉を切り裂いて食べることが最重要だったためです。

このように、人間と比べて犬は、ごはんを丸飲みしても体に負担がかからない構造になっており、咀嚼をする必要がないということがわかります。

◆犬の水の飲み方の特徴

犬は水を飲む時、おたま状に丸めた舌を水面に深く入れ、水をすくうようにして口まで運びます。

犬には人間や多くの草食動物と違って頬の筋肉がなく、直接水に口をつけ、水を吸引することができません。そのため、代わりに舌を器用に使って水を飲みます。

犬が水を飲む様子をスロー映像で見てみると、舌を下顎側に巻くように早く動かし、水を巻き込むことによって、水面に水の柱のようなものを発生させています。この水面に発生した水柱をすばやく口に入れることで、直接水面に口をつけずに水を飲むことができます。

また、舌で勢いよく水を巻き込むことにより、水を吸引しなくても下を向いたまま水を飲み込むことができます。

ちなみに猫の場合も水を飲むときの原理は同じです。しかし、猫の場合は舌先をわずかに水面につける程度なので、水が周りにほとんど飛び散りません。
一度に飲める水の量は少なくなりますが、水に濡れるのを嫌う猫の習性によるものと考えられます。

一方、犬は水に苦手意識がないことが多いので、顔に水がかかっても気にせず、じゃぶじゃぶ水を飲みます。
体が大きい犬ほど、一度に飲む水の量も多いので、大型犬が水を飲むと水入れの周りがびちょびちょになってしまうのはこの飲み方のためです。


犬がむせる理由

◆犬がむせる理由①早食いする習性のため

犬の祖先が狩りをして生活していた頃、ゆっくり食べていると、貴重な肉を他の犬に食べられてしまったり、肉の新鮮さが失われてしまうため、犬は仕留めた獲物をなるべく早く食べる習性が生まれました。

その習性が残っているため、犬は現在でも習性として早食いをします。

家庭犬の場合も、他の動物と一緒に飼っている場合、早く食べないと横取りされてしまうという思いがより強くなるので、早食いを促進し、むせる原因になることがあります。

◆犬がむせる理由②不安を感じているため

他に飼っている動物がいない場合も、犬が不安を感じていると、安心して餌を食べることができず、焦って早食いをしてしまうことがあります。

不安を感じる原因としては、ごはんを与える場所が人通りの多い場所だったり、物音がうるさい場所だったり、食べるのに集中できない環境になってしまっていることが多いです。

無意識に愛犬の不安を煽っていないか、周辺環境の確認をしましょう。

◆犬がむせる理由③ごはんを気に入っているため

他に考えられる早食いの要因は、ごはんをすごく気に入っているということです。

人間も同じだと思いますが、好きなごはんは食が進みやすく、たくさん食べたいという欲求が働きます。犬も同じで、ごはんが好きな味であるほど早く食べてしまい、むせる原因になります。

気に入ってごはんを食べてくれるのは良いことですが、早食いをしてしまうと体に負担がかかってしまいます。

予防策としては、ごはんを一気にあげるのではなく、一回にあげる量を減らし、少しづつこまめにあげるのがいいでしょう。

犬がむせる理由④シニアになったため

どんな犬も、老犬になるとごはんを飲み込むための嚥下機能が弱まります。

若くて元気な犬であれば、嚥下の際に使われる筋肉が丈夫なので、ある程度大きな塊でも飲み込むことが出来ますが、老犬になると、今まで普通に丸飲みできていた大きさのごはんを喉に詰まらせたり、無理に飲み込もうとしてむせることがあります。

食べ物をほとんど噛まずに丸飲みしてしまう習性は、老犬になってもそのままなので、飼い主さんが与える餌を小さく食べやすい大きさにしてあげたり、歯磨きガムなどを与えるときは、丸飲みしてしまわないよう、しっかり見張っておくことが大切です。

また、老犬になると、食べ物を飲み込む時に必要な唾液の分泌能力も低下するため、ずっと同じごはんを与えているとむせる原因になります。

与えるごはん自体の水分を増やすなどの工夫も必要です。


犬がむせる時に考えられる病気

◆犬がむせる時に考えられる病気①誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)

主に子犬や高齢犬が、ごはんや水を誤って気管に吸い込んでしまって引き起こす病気です。
成犬でも、早食いなどが原因で発症する場合があります。

ごはん中にむせる、食べた後も吐いてしまったり、咳をするなどの症状がある場合は注意が必要です。

◆犬がむせる時に考えられる病気②喉頭虚脱(こうとうきょだつ)

呼吸時に気道を拡大させ、食事の時はごはんや水が気管に入らないようにする喉頭(こうとう)を動かすための喉頭軟骨と呼ばれる部分が強度を失ってしまい、息を吸った時に気管側へ入り込んでしまう病気です。

パグなどの短頭種に多くみられる病気で、治療には手術が必要です。

◆犬がむせる時に考えられる病気③巨大食道症

食道拡張症とも呼ばれ、食道が拡張し、運動機能が低下してしまう病気です。

発症すると、食べ物を胃に送ることができなくなるため、ごはんの後すぐに吐いてしまったり、むせる、咳をするなどの症状がみられます。

この病気には、生まれつき発症している先天性と、他の病気が原因で発症する後天性のケースがあります。後天性の場合は、原因になっている病気の特定と、治療が必要になります。

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犬が食事中にむせるのを防ぐ便利グッズ

◆【おすすめ商品】ゆっくり食べられる食器

ゆっくり食べれる食器

日本の犬のサイズに合わせたゆっくり食べれる食器は、内側の中央と側面に突起をつけ、健康的にゆっくり食事ができるように工夫されています。

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犬がむせる原因の一つである「早食い」ですが、それを予防できるのがこの「ゆっくり食べられる食器」です。

食器の内側に、複数の突起が作られており、この突起が邪魔をすることで中に入れたフードが一気に食べられないようになっています。
フードを小分けで食べることで、一度に飲み込むフードの量も少なくなるので、喉や胃への負担が軽減されます。

毎日の食事にこの食器を使うことで、通常の何倍もの時間をかけて食事をするようになり、自然に早食いを防止することができます。

◆【おすすめ商品】洗える外せるドッグダイニング

洗える 外せる ドッグダイニング

テーブルが「洗える!外せる!」すべり止めも付いた樹脂製テーブル。

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フードや水を入れる食器を床に直置きしている場合、犬は頭を下げた状態で食事をすることになります。頭を下げた体勢で食事をすると、喉に負担がかかるため、フードが飲み込みづらく、むせる原因になってしまうことがあります。

また、食器に上から顔を突っ込む体勢になるため、鼻からフードを吸い込んでしまったり、誤って気管にフードが入り込んでしまう誤嚥(ごえん)を引き起こしてしまう危険性があります。

犬にとって、食事中の姿勢はとても重要です。

この「洗える外せるドッグダイニング」は、犬の大きさに合わせて高さを調節できるので、頭を下げることなく、無理のない姿勢でごはんを与えることができます。

トレーの部分は樹脂製で汚れがつきにくく、取り外して洗えるので、お手入れが簡単なのもおすすめポイントです。


犬がむせる理由に関するまとめ

犬がむせる理由は、犬のごはんの食べ方や水の飲み方だけではなく、食べるときの姿勢や周りの環境など、様々なことが影響しています。また、犬種や、犬の年齢によってもごはんの食べ方は違ってきます。

飼い主の皆さんは、愛犬がごはんを食べる様子をよく観察し、食べづらそうにしていたり、むせる等の症状があった場合は、ごはん時の環境を見直すことが大切です。

原因がわからない場合は、病院で獣医さんに相談してみるのも良いと思います。

すでにかかっている病気が原因でむせる場合もあるので、ごはん中の愛犬を観察することは、病気の早期発見にもつながります。

犬がむせてしまう問題を解決し、飼い主さんは安心して愛犬の健康な「ごはんタイム」を見守ってあげてください!

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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つな

つな

小さな頃から動物が大好きで、小学生の時に出会った猫と、今も一緒に暮らしています。ペット番組の制作会社に勤めた経験があり、日本全国のワンちゃんネコちゃんを取材しました。その際に、飼い主の皆さんや犬のブリーダーさんとお話をした経験を活かし、読者の皆さんに寄り添った記事を書いていけるよう、がんばります!

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