犬に味覚はある?犬が好む味覚と感じられる味覚について

2021.04.08

犬に味覚はある?犬が好む味覚と感じられる味覚について

犬が食べ物を丸呑みする姿を見て「味を感じていないのではないか」と思ったことはありませんか?実は犬が丸呑みをするのは、犬の習性や犬が持っている唾液の性質によるものであって、犬に全く味覚がないわけではありません。 今回は犬の味覚について舌の構造も踏まえて、人間との違いや犬が好む味覚等幅広くご紹介します。

【掲載:2019.09.15  更新:2021.04.08】

犬にも味覚はある?

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最近では愛犬家が非常に増え、手作り食やトッピングご飯、市販のフードやおやつを含め犬の健康維持のために食事に気を使っている飼い主さんが多くいます。

中には犬の健康にとって良い食事だけではなく、犬の味に対する好みについても重要視している方もいます。

◆犬の味覚と食べ方の関係

人間ほどは優れていないものの、犬には味覚を感じるための「味覚細胞」が少なからず味を感じることが出来るため、好む味や苦手な味も存在します。

採食行動というパターンが犬に備わっていることを理由に、食事を飲み込むように食べる(犬食い)犬がいますが、これは決して味を感じていないわけではなく、犬本来の行動パターンであると言えます。

歴史的に犬は狩りをして食事にありついてきましたが、いつでも食べたい時に獲物がいるわけではなく獲物がいたとしても食事にありつけるかは分かりません。

そのため、次に獲物を捕獲するまでに間隔が空いてしまっても生命維持ができるように、急いて一度に多めの量の食事を摂っていました。

こんな歴史的背景から、現代の犬も飲み込むように食事をとることがあります。

現代の家庭犬には殆ど見ることができない習性ではありますが、食事を摂る時に安心して食べることが出来ない状況である場合は、一度その場で飲み込んでから、安心できる場所で食べたものを吐き出して再度食べていました。

つまり、飲み込むように食べるのは習性であり、決して全く味覚を感じてないわけではありません。

◆犬の唾液についても知っておこう!

犬の唾液中には、人間のように食物を分解させるために有効な酵素は含まれていませんが、摂取した食事を体内(胃)に流し込むために大量の唾液を発生させます。

この唾液の役割があるため、犬は食事を丸呑みするかのように食べることが出来ます。


犬の舌の構造

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◆犬の舌と人間の舌の違い

犬の舌には味覚を感じるための「味覚細胞」というものがありますが、実は犬の舌にある味覚細胞は人間と比較するとおおよそ1/5~1/6程度であると言われており、人間よりも味を感じる能力が乏しいのです。

毎日同じドッグフードを食べている犬が多くいますが、この味覚細胞が少ないがために、犬は毎日同じ食事であっても飽きにくいと言えます。

さらに、味を感じるために必要不可欠である「味蕾」という受容器が犬には少ないと言われています。その数は一般的な成人が5,000~10,000個であるのに対して、殆どの犬では約1,700~2,000個程度であると言われています。

◆舌の場所によって感じる味が違う?

犬の味蕾細胞は人間のものとは性能も異なり、人間の場合は5つの味を舌の味覚地図(舌のどの部分でどの味を感じるか)が明確になっていますが、犬の舌の場合はこの味覚地図が曖昧です。

多くの専門家は、この犬の味覚地図によって個別に味を判断すると解釈していますが、専門家やポータルサイト記事によってこの解釈が異なり、味を個別に感じる味蕾については、実は全ての味を総合的に感じることが出来るという情報もあります。

また、犬は人間より味覚が劣っていますが、実は人間に感じることが出来ないイオン濃度(水味)を舌で感じることが出来ると言われています。

◆犬の舌は旨味を感じない?

人間は旨味によって食欲増加を図りますが、実は犬についてはこの旨味をあまり感じることのできない舌であると言われています。

ちなみにうま味とは、甘味、塩味、酸味、苦味の5つの基本味の1つであり、一般的な美味しさを示すうま味とは異なった意味で使われます。


犬が感じられる味覚と人間の味覚との違い

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犬が感じることの出来る味は、基本的には甘味、苦味、酸味、塩味の4つであると言われてきましたが、最近ではうま味が加わり感じることの出来る味は5種類であると言われています。

◆犬が感じられる味覚①甘味

甘味については、犬の味覚を感じるための「味覚細胞」と大きな関わりがあり、犬は主には「A群レセプター」という受容器で糖に対して反応を示します。

犬の味蕾の多くは糖の一種であるショ糖(スクロース)に敏感に反応するため、犬は甘味を好む傾向にありますが、その甘味が人工で作られた甘味の場合は、苦味成分が含まれていることが多いため、犬が拒否反応を起こすこともあります。

逆に自然な果実に含まれるような果糖、また砂糖に含まれるようなショ糖に大きく反応を示し好む犬が多いと言えます。

◆犬が感じられる味覚②苦味

苦味は人間であっても苦手な人が多いのですが、犬も同様に苦味を拒絶する傾向にあります。

専門家によって犬が苦味を嫌う理由は異なりますが、犬を含む動物たちは苦いものを体に有害な物質であると認識する傾向にあると言われています。

最近ではこの犬が嫌う苦味の味覚を使ったしつけ用品が販売されていますが、犬の舌の苦味を感じる部位が舌の奥側であることから、苦味のしつけ用品を口にしても吐き出すまでに多少のタイムラグが発生します。

◆犬が感じられる味覚③酸味

人間では酸味については苦手な方もいますが、実は犬にとってはこの腐ったような味(匂い)を好む犬が多いのが一般的です。

犬は苦味を「C群レセプター」という受容器で察知し、肉の味ともいえる核酸という成分に反応します。

犬は野生で生きていた頃に、食べきれない獲物を土の中に埋めて保管したと言われていますが、この時に腐敗したばかりの肉には酸味が含まれていたため、現代の家庭犬であっても酸味を好む犬が多くいます。

◆犬が感じられる味覚④塩味

犬は基本的には塩味は好まず、犬の健康にとっても塩分の高い食事はよくありません。

基本的に肉類全般には犬の体に必要な量の塩分が含まれているため、主に肉を摂取してきた犬は血液を含む獲物から栄養素を摂取して、必要な塩分を補っていました。

そのため、自分の体に不必要な量の塩分摂取をあえてしない傾向にあります。

また、健康体の犬であれば、体に不要だと判断した塩分は尿によって体外に排出することによって、体内の塩分の調整を行います。

◆犬が感じられる味覚⑤旨み

最近犬が感じることのできる味覚として判明した旨味は、アミノ酸の事であり、多くの有機酸で成り立っています。

中でもこの中にある「甘いアミノ酸」のアラニン、リジン、プロリン、ヒスチジン、ロイシンを犬が好むと言われており、逆に「苦味のあるアミノ酸」であるトリプトファンについては犬が嫌う傾向にあります。


犬が美味しいと感じる味

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それぞれの犬によって多少の個体差はあるものの、犬は「鈍感な味覚」と「鋭い嗅覚」を協力させて味を感じる特有の嗜好性を持ち合わせており、におい→食感→味覚の順番で食べ物を判断すると言われています。

ただし、犬が美味しいと感じる物の多くは犬の健康に有害である物も多いため、しっかりと管理しなくてはいけません。

◆濃い味

犬の舌が味覚を感じにくいことから、犬は全般的に濃い味を好み美味しいと感じます。

一度濃い味に慣れてしまうとさらに好んで濃い味の食べ物を欲しがりますが、一般的に味が濃い食べ物は犬の健康に害を与えやすいので気を付けましょう。

◆甘い味

犬は糖を感じる優れた味覚細胞があるため、甘い味がする食べものを美味しいと感じて好む傾向にあります。

犬が甘いと感じるものは、多くの場合に肥満や病気の原因となるので、しっかりと与える量を管理しなくてはいけません。


犬の味覚を使ったしつけは効果がある?

子犬を中心とし、大抵の犬は家具や日用品、スリッパや靴等をいたずらすることが大好きです。しかし、たかがいたずらと放置してしまうと、家具の破損や最悪の場合は犬が誤飲してしまう危険性もあります。

犬の味覚の特性を考えて作られたしつけ用品は、一般的には効果が高いと言われており、苦手な味覚を利用した商品の殆どは犬の嫌いな苦味を利用して作られています。

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食欲がない犬には味よりも匂いが強い食材を!

犬の味覚細胞は、人間と比較するとおおよそ1/5~1/6程度であるとご紹介しましたが、犬の嗅覚については人間の約100万倍もあると言われています。

犬の食欲がなく、特に何も受け付けない状況になった場合に、飼い主は何でも良いから食べて欲しいと思うでしょう。

犬が好む味として、濃い味と甘い味についてご紹介しましたが、これらは犬の健康に害を与えやすい食べ物であることがあります。

そんな時、犬は匂いで食べものを判断するので、犬が好む匂い(乳製品関連や肉等)で食欲を増進させてあげることをお勧めします。

それでも食事を受け付けない場合は、犬が好む味覚を利用して食事を与えましょう。

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まとめ

犬の味覚は人間の舌が持つ味覚程はありませんが、決して味を感じていないわけではなく、味覚に加えて鋭い嗅覚機能で食べて、よい物であるか食べてはいけない物であるかの判断をしています。

また、犬によって「好きな味」や「嫌いな味」に個体差があるものの、一般的には濃い味であったり甘い味がしたりするものを好みます。ただし、多くの場合こういった食事は犬の健康に害を与えやすいので注意が必要です。

一般的な犬の味覚について知って愛犬個々の個体差を把握していることは、犬が万が一好きな匂いのする食事さえも受け付けなくなった場合に好む味覚を利用して食事を与える、逆にしつけのために嫌いな味を利用する等役立つことが数多くありますよ。



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笹本 雅

笹本 雅

犬が好きです。小型犬でも大型犬でもとにかく犬が大好きです。これから犬種についてや豆知識や健康についてなど、幅広いワンちゃんについての情報をご提供していきます。犬好きの方にぜひとも見ていただいてご意見いただければと思います!

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