【獣医師監修】犬の中耳炎の症状や治療法は?

2020.05.28

【獣医師監修】犬の中耳炎の症状や治療法は?

犬の耳の検査やケアを定期的に行っていますか?外耳炎と併発しやすい中耳炎は、放置してしまうと内耳に広がり内耳神経から脳へ。命をも奪う危険性がある恐ろしい病気です。動物病院で定期的に健康診断を行う他、愛犬の耳の衛生管理を行いましょう。今回は、犬の中耳炎について症状や治療法、予防法や耳のケア方法など幅広くご紹介致します。

犬の中耳炎とは?

犬の耳には、外耳、中耳、内耳という部分がありますが、中耳炎の場合は名前の通り中耳(鼓膜部分)とさらに奥側に位置する鼓室などの部位に炎症が生じて引き起こされます。
多くの場合、外耳に発生した炎症が中耳に広がることから、中耳炎の場合は外耳炎を併発していることが殆どであると考えられます。
中耳炎に関しては、飼い主さんが緊急性が低いと判断してしまいがちですが、重度になると内耳神経などを通して脳に感染。
骨膜炎や膿瘍の原因となることから、命を奪う危険性もでてくるので早期発見・早期治療がとても大切です。

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犬の中耳炎の症状

犬が中耳炎になると、耳をしきりに掻く、頭を左右に振るような仕草や眼球が動く、顔をかしげるように傾ける、耳を触らせたくないような仕草などを見せ、運動失調や顔面麻痺などの神経症状や痛みを伴うことがあります。
炎症が鼓膜部分まで広がっていると、音が聞こえにくいことから呼びかけに対しての反応が遅くなることもあります。
症状は外耳炎や内耳炎と同じ症状が多く確認されますが、飼い主さんが気付きやすい症状としては、耳から発生する異臭や分泌液、膿などのです。
見落としやすい症状も多いため、日頃から愛犬の行動や様子をよく観察して、早期段階で変化に気づいてあげることが大切です。

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犬の中耳炎の原因

犬の中耳炎の主な原因は外耳炎によるもので、外耳の炎症が内耳に広がってしまうことで引き起こされます。
細菌やウイルスが広がることで中耳炎になることがありますが、放置するとさらに内耳に広がる危険性があるので早期発見・早期治療が重要です。
その他、異物が鼓膜に貫通したり、腫瘍(扁平上皮癌など)が原因で中耳炎になったり、炎症性のポリープが原因となることもあります。


犬の中耳炎の検査方法

動物病院で犬が中耳炎か確認する場合、一般的には耳鏡を使用して耳の内部を確認。
その他、X線検査、造影検査、CT検査、MRI検査などで判断することがありますが、進行度合いや診断方法は様々で状況によっては確実な診断ができないこともあります。


犬の中耳炎の治療

外耳炎の治療は状況や症状によって様々で、抗生物質(セファロスポリンなど)の薬を約1か月程度使用して改善を試みますが、点耳薬で改善しない場合は外科手術が必要となることもあり、状況に応じて治療が進められます。
なお、点耳薬に関しては使用頻度や使用期間などが異なるので、必ず自己判断せずに獣医師の指示に従い、動物病院で処方してもらいましょう。
その他、症状に合わせて消炎剤(プレドニゾロン)などが必要となることがあり、治療期間は症状の度合いや状況によって異なりますが、耳の内部に炎症が広がるほど治療が難しくなります。
外科手術に関しては、鼓膜の切開や外耳道の切除、中耳にある骨の切開など、状況に応じて手術方法が異なります。

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犬の中耳炎の予防

中耳炎の多くは外耳炎が原因で引き起こされるため、何より外耳炎予防と外耳炎の早期発見・早期治療が大切になるので、外耳炎の症状がでていないか、飼い主さん自身がしっかりとこまめに観察。
動物病院で、定期的に健康診断を行うことが大切です。
また、日頃から外耳や内耳に菌が繁殖しないよう耳毛の処理を行ったり、獣医師に耳洗浄を頼むなど、耳を清潔に保つための定期的なケアを行うことをおすすめします。
ただし、犬の耳の内部は非常に複雑な構造になっているので、自宅で誤ったケアや過度なケアを行ってしまうと、鼓膜が破れるなど逆に中耳炎の原因になってしまいます。
耳の内部のケアは出来る限り獣医師にお願いして、自宅では目で見える範囲の外耳のケア(シートで汚れをふき取る・洗浄液を使用するなど)やシャンプー後に外耳が濡れた状態にならないようにするなど、簡易的なことに気をつけると良いですね。

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◆使用方法(週1回程度が目安)

1、ノルバサンオチックの白いキャップと内蓋シールを外し、先端部分(青色部分)をまわす
2、液体がでる状態になったら、ノルバサン本体を逆さにして、犬の外耳にたっぷり液体を入れる
3、耳根部分をマッサージすることで、液体を耳の内部に浸透させる
4、耳を傷つけないよう、ガーゼや綿棒などを使用して耳についた液体を優しく拭き取る
5、大抵は液剤を入れて浸透させた後、犬は頭を振るので自動的に余分な液剤が耳からでます

◆注意点

既に外耳炎や中耳炎、内耳炎を発症している犬、または耳に何かしらの疾患がある犬は使用しないようにしましょう。
また、液剤を注入するときは目や鼻に入らないよう注意して、余分な液体をふき取る際は、耳を傷つけないよう細心の注意を払いましょう。
はじめて耳の洗浄液を使用する場合は、ご自身でしっかりと使用方法を調べることが大切ですが、はじめは動物病院で耳の検査やケアをお願いして、ケア方法を見せてもらうと安心です。
ケアを嫌がる犬の場合、暴れた際に耳や目など傷つけてしまうことがあり大変危険ですので、必ず専門家にお願いしましょう。


まとめ

犬の中耳炎について幅広くご紹介致しましたが、犬の中耳炎は外耳炎から引き起こされることが多いため、日頃からこまめに愛犬の耳を確認して早期発見・早期治療を行うことが大切です。
重症化してしまうと外科手術が必要となり、放置してしまうと最悪の場合は命をも奪う恐ろしい病気です。
動物病院での定期的な検査だけでなく、愛犬の体や行動の変化などの様子を頻繁にチェックして、外耳炎や中耳炎予防として耳の衛生管理(ケア)も行ってあげたいですね。

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※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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smochijp

動物看護士(日本能力開発推進協会/日本キャリア教育技能検定協会)、老犬介護士(日本キャリア教育技能検定協会)、犬の管理栄養士(全日本動物専門教育協会)、ドッグトレーニングアドバイザー(日本ペット技能検定協会)等、動物関連資格を多数保有。大型犬2頭、中型犬1頭、小型犬(保護犬)1頭、猫3頭と暮らしながら、役立つペット関連情報を提供しております。

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