1.柴犬のアンバランスさが魅力の一つ
柴犬のアンバランスさが魅力の一つ
”体型はどっしりしているが性格は少しビビり。嫌なことをされると時々凶暴な顔つき。外見のことなどお構いなしで、お散歩のたびに泥まみれ。どこでも構わず寝ていて野生の感覚どこへやら。嬉しい時だけ跳ねるようにしっぽをばたばたと振る。”
ここだけみるとなんだか悪口のように感じてしまいますが、このような部分が柴犬の魅力でもあります。
要旨や性格の前に「柴犬」という名前の由来について少し触れます。
名前の由来は諸説あり、昔話の「おじいさんは山へ柴刈りに」の「柴」は小さな雑木のことを示していて、その「柴」の間をうまくくぐりぬけて獲物を追っていたからという説や、「柴」は昔の言葉で「小さい」という意味で、そこから「柴犬」になったという説もあります。
また、柴犬の代表的な赤褐色な毛の色が枯れた芝生の「芝」の色に似ているからという説のほかに、信州の柴村というところが由来だという説もあって、はっきりしたことはわかっていません。
名前の由来だけでも数多く考察できますが、やっぱり柴犬の魅力は幼さが残る顔立ちやくるん、と丸いしっぽなどの外見。顔つきは”キツネ顔”と”タヌキ顔”に分けられます。
引き締まった体型、面長でキツネに似た顔つきをしているのが「キツネ顔」、しっかりした骨格と筋肉質な体型に頬が張っていて、丸っこいタヌキのような顔つきをしているのが「タヌキ顔」です。
どちらが好みかは人によって別れるところ。顔つきで性格が分かれるかというと、そんなことはありません。
小さくピンと立った耳、くりくりとした丸くつぶらな瞳、くるんと丸まったしっぽ。外見のかわいさに加えて、佇まいの凛々しさも合わせて感じる事ができるのも柴の魅力といえるでしょう。
その魅力に惹かれて一度柴犬を飼うと他の犬種になんて浮気できない!と言う人も。
それくらいに人々の心を掴んで離さない、そんな柴犬の魅力について考えていきます。
柴犬の美しい被毛
特徴的な美しい被毛はダブルコートと呼ばれる二重被毛です。
オーバーコート(上毛=一次毛)は太く硬い毛で皮膚の保護の役割をしています。
そしてアンダーコート(下毛=二次毛)は細く柔らかい毛で皮温調節の役割があります。
柴犬はみんな寒さに強く、暑さには少し弱い傾向にあります。
柴犬の換毛期には毎日の様に、小さな柴犬が作れるくらいに毛が抜けます。
毎日の掃除機が欠かせないにも関わらず、毎日掃除機に柴犬が向かってくる、なんていうのも柴犬と一緒に生活するうえで日常的なことといえるでしょう。
柴犬を語る上で欠かせない毛色
柴犬の主な毛色は「赤色」「黒色」「白色」「胡麻色」の4種類。
なるべくそのまま残すために、他の犬種と交配しないようにされてきた結果、毛色の種類が少ない犬種になりました。
一番人気は最もポピュラーな柄の赤色で、ついで黒色。少し珍しい白、胡麻色が続きます。どの毛色も換毛期の抜け毛量に変わりはなく、飼い主にとってはスーツのポケットや手帳の中から愛犬の毛がひょっこり見つかるなんて事は日常茶飯事です。
柴犬は皮膚が弱く、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎などを好発で起こす事が知られています。加えて、本来は日本の四季風土にあった変化の中で形成されて来たであろう毛の抜け替わりですが、ここ最近の日本の気候事情からすると、美しく厚い被毛は日本で過ごすには暑すぎる事が多いようです。
特に近年は春が終わるとすぐに夏がくる様といった気候で、柴犬たちの衣替えが間に合っていないように感じます。
夏場を前に皮膚コンディションを崩す子たちが多く、細やかなケアや治療が必要となるケースもあります。柴犬が痒そうにポリポリ始めたら一度は病院で診てもらう方が良いでしょう。
柴犬は頑固、という誤解
皮膚病の延長ではありますが、外耳炎という耳の炎症を起こしやすい犬種でもあります。
外耳炎が慢性化してしまうと夜も眠れないくらいに耳を掻き、頭をフリフリしてイライラしているようになります。
耳も遠くなり、すごく生活しづらそうといった様子です。夏場になると皮膚と同時に症状が顕著になる事が多いために注意が必要になります。
その他に柴犬がなりやすい疾患としては、関節炎が挙げられます。
後ろ足だと膝蓋骨脱臼が多いです。
これは先天的に大腿骨と呼ばれる骨の窪みが浅い事、膝蓋骨周辺の筋肉のアンバランスなどが合わさって症状が出る疾患です。
重篤な場合には手術などが必要となるケースもあり注意が必要となります。高齢な犬で歩くのが遅くなってきた、体を触ろうとすると嫌がる、お散歩に出たがらなくなってきたなどの様子がみられるときには、どこかに関節炎が発症している可能性も疑うべきです。
高齢の柴犬ではだいたい50%の割合で、何らかの関節炎を発症していると考えられています。
柴犬は頑丈で病気が少ないと認識される事が多いようです。
実際、他の犬種に比べると重篤な疾患を好発する犬種であるという割合は少ないかもしれませんが、病気がない訳ではありません。
愛犬に何か気になる様子があればまずは病院へ行ってそのことを相談すると良いでしょう。
柴犬のかわいさは知能の高さにも
基本的に柴犬の学習能力は高く、集中力もあるため上手にしつければどんどん吸収していってくれます。一方で集中力を保つことが少し苦手なため、なるべく短時間で繰り返し学習させるのがよいとされています。
もともと猟犬として野山を活躍の場としていたため、運動能力は高く体力もあり、小柄な体型でありながら散歩の距離はかなり長く行けるのも特徴です。ハイキングなど山登りも得意です。
注意点として、警戒心の高さから一度嫌な事を覚えてしまうと、散歩を極端に嫌がる事もあるため、大きな音やびっくりするような動きのあるものには注意を払う必要があるでしょう。
柴犬の性格のことを話すときによく”ツンデレ”という言葉を聞くことはないでしょうか。
自立心が強く、あまり甘えてくる事が少ない犬種であるためによくこう言われます。撫でようとすればすっとどこかへ行ってしまい、つかず離れずの距離でこちらを常に見ています。
気がつくと私たちの足の上に顎先を乗せてきて、撫でようとするとまたどこかへ行ってしまう、このように必要以上にベタベタした関係は望みません。
警戒心はどの柴犬も強い傾向にあり、昔は番犬として飼われていました。一方、家族には従順で忠誠心は高いといえます。
トイ犬種のように甘え上手な愛情表現はなくクールな印象の柴犬ですが、実は誰よりも家族思いなのです。
柴犬が愛されるのは家族思いの性格
柴犬と一緒に生活する際に気をつけるべき事があります。柴犬は見た目の凛々しさとは裏腹に非常にデリケートであることが多いのです。
例えばゴハンをいつものものから急に変えると警戒心が先立って食べなくなります。車で遠出をして環境が変わるとビクビクとして全然歩かなくなります。
家に新しい家族(新しいペットや赤ん坊)が来たときには、全く近寄らず、時には吠えたりすることも。
このような事態に直面すると大抵の飼い主さんは困ります。
困ってしまい、ゴハンを食べる様に命令したり、リードを無理に引っ張って連れて行こうとしたり、吠えた事を怒ったりしてしまう…。
それらの行動はすべて逆効果です。
その理由として柴犬は独立心が高く敏感な犬であるということです。
ゴハンを変えれば、それが安全に食べられるものかどうかを確認し(彼らには優秀な鼻があります)、周わりの景色が変わればそこが安全な場所なのかきっちり見定め、新しい家族が来た際には距離感を探りつつ家族としてふさわしいのか判断してくれているのです。
変化に対してはじっくりゆっくり取り組んであげることが柴犬と共に生きる原則です。
遠出や遊びに行くことが好きな飼い主さんであれば、小さいうちから一緒に連れて行って遊ぶ楽しさやお出かけする楽しさを共有することがおすすめです。
幼少期から慣れる事、信頼のおける飼い主と一緒に行動する事、それらを繰り返しゆっくりと行う事ができれば、お出かけ好きで遠出もへっちゃらな子にも育てられるかもしれません。
ですが、あくまでかもしれない程度に留めておくことが大切です。自分らしさがある柴犬に無理強いは禁物。したくないことはしたくはないのです。
柴犬の人気は海外まで
今やその人気は国内だけに留まらず、海外でも柴犬の人気が高まっています。ヨーロッパ、アメリカ、南米などなど、世界各地に”shiba-inu”の知名度は広がっています。
日本では中型犬サイズとして考えられることもある柴犬ですが、大型犬の多い海外では小型犬として扱われる事が多いです。
小型犬=室内犬のイメージの強い海外の人々にとって、柴犬を家に迎え入れてその広大な敷地に放って初めて、小型ながらも運動量が多く機敏で活発な犬種であるという新たな一面を目の当たりにして驚く飼い主も多いと聞きます。
海外の人に言わせると、その犬らしいフォルム、凛とした佇まい、飼い主に忠実な性格はまるで”サムライ”を彷彿とさせるとの事(まるでクロサワ映画に出てくるようだ!とは現地の方の声)。
また海外の子供達は初めて柴犬を見た時に「キツネみたい〜 」「狼がいる〜! 」と素直な目でその原始的なフォルムを評価するそうです。
近年ではSNSや動画サイトで柴犬の愛らしい仕草やちょっと凶暴そうに歯を剥き出しにするユニークな表情などが世界中に配信され人気を博しています。
日本でもtwitterやinstgramで柴犬の可愛い様子を山ほど見る事ができますよね。少し変化球な可愛さだと、後ろ姿だけ集めた写真も。もったりとした背中に哀愁を感じずにはいられないのだとか。
お隣の国、韓国でも少し変わった形で柴犬人気が急上昇していたのを知っていますか。
赤柴と黒柴のコンビでその名も”SHIRO&MARO”というキャラクターがスマホアクセサリーを発祥とし、今やスマホケース、ノート、ボールペン、ぬいぐるみ、クッションと多種に展開し、韓国の若い世代を中心に人気を博しています。
この二頭のキャラクターはいわゆるタヌキ顔であり、そのモチモチとした表情が人気の理由です。また、”shiba”の発音と、韓国語のスラング(FACK!の様な)である”씨발”=”シバル:ssibal”が似ている発音だというのも若者ウケした部分であったとか。いずれにせよ、万国共通でその愛らしいフォルムは人々に好かれるようです。
まとめ
愛すべき柴犬の魅力は語れば尽きることはありません。
ですが、どんなに筆舌を尽くして語ろうとも、一緒に生活する事のほうがその魅力に気づく一番の道だといえます。柴犬と共に生きる上で心がけたいのは、飼い主の願望を完璧に目指そうとするのではなく、犬の気持ちをくんだ上で、折り合いをつけながら接することです。
例えば「プードルのように早くトレーニングを習得してほしい」とか「レトリーバーのようにフレンドリーになってほしい」といった飼い主の願望を追求しすぎると、必然的に柴犬に我慢を強いることになります。我慢をし続けることは飼い主と柴犬の信頼関係の構築においては障害となり得ます。
繰り返しになりますが、柴犬は独立心が強く、賢く、飼い主には忠実でありながら変化は好まず、穏やかな生活を好む犬であります。ゆっくりじっくり歩幅を揃えて家族と共に生きる事を良しとしてくれる事が柴犬最大の魅力かもしれません。
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