1.ピンと立った耳と垂れ耳
2.パピヨン(Papillon)とファレーヌ(Phalene)
2-1.◆「蛾」(Phalene)を意味するファレーヌ
2-2.◆ファレーヌであると何か問題があるのか?
3.外耳炎
3-1.◆原因
3-2.◆症状
3-3.◆対策とケア
ピンと立った耳と垂れ耳
ピンと立った耳と垂れ耳のパピヨンがいます。別の犬種なのかと言われたら、国によりますが、日本では同犬種で、どちらもパピヨンなのです。ただ、垂れ耳の方は、呼び名が変わります。
まずパピヨンは、元々パピヨンという名前で呼ばれていなく、「スパニエル系犬種」を小型に品種改良して生まれた「スパニッシュ・ドワーフ・スパニエル」という名前でした。
実はこの時のパピヨンは耳が垂れていました。
その後に、「スパニッシュ・ドワーフ・スパニエル」とピンと耳が立ったスピッツやチワワと交配した結果、私たちの知っている耳がピンとしているパピヨンが生まれました。
「スパニッシュ・ドワーフ・スパニエル」がパピヨンという名前になった由来は、ルイ16世の王妃「マリー・アントワネット」が、ふわふわの飾り毛で覆われた大きな耳の形が蝶が羽ばたく姿に似ていることから、フランス語で「蝶」(Papillon)を意味するパピヨンと呼び始めたのが、パピヨンという名前の始まりだと言われています。
立ち耳と垂れ耳にかかわらずスパニッシュ・ドワーフ・スパニエルと呼んでいましたが、このパピヨンという名称と分けるために、垂れ耳のパピヨンに「ファレーヌ」という名称がつけられたのです。
ちなみにパピヨンという名称は広く知れ渡っていますが、国際分類名では「Epagneul Nain Continental ”Phalene”(エパニョール・ナイン・コンチネンタル・ファレーヌ)」と言われています。
ファレーヌに関しては「Epagneul Nain Continental(エパニヨール・ナイン・コンチネンタル)」と、後ろにファレーヌを付けて区別されています。
名称も違い、マリー・アントワネットがパピヨンと呼び始めなければ、今でもスパニッシュ・ドワーフ・スパニエルと呼んでいたかもしれません。
パピヨン(Papillon)とファレーヌ(Phalene)
前述でも説明した「パピヨン」の名付け親と言われている、マリー・アントワネット。
パピヨンの優雅な雰囲気や、パピヨンの特徴的な大きな耳を蝶と見立てて、フランス語で蝶を意味する「パピヨン(Papillon)」と名付けました。
ではファレーヌとは何の意味なのか、それを説明します。
◆「蛾」(Phalene)を意味するファレーヌ
「蝶」(Papillon)を意味するパピヨンとは対象的に、ファレーヌはフランス語で「蛾」(Phalene)という意味です。
同じパピヨンには変わりないのですが、耳が垂れているパピヨンはファレーヌとなります。正確にはファレーヌタイプのパピヨンです。
ではこの「蛾」(Phalene)と意味するファレーヌですが、耳がたれていることで何か問題があるのか説明していきます。
◆ファレーヌであると何か問題があるのか?
耳が垂れているパピヨンは何か病気を持っているのか?なぜ耳が垂れてしまうのかを説明します。
結論から言うと、まったく問題はなく、何か違いがあるとすれば、耳が立っているパピヨンよりも少し大きくなる所です。
耳がピンとしているパピヨンはスピッツやチワワの遺伝子があるため、スピッツやチワワの遺伝子がないファレーヌの方が少し大きくなります。
では、なぜ耳が垂れてしまうのかというと、重力や耳の大きさ、耳の薄さなど関係しています。耳の軟骨が重力に耐え切れなくて、垂れてしまったり、耳が大きすぎて垂れてしまうなど、耳が薄いと倒れてしまうケースもあります。
遺伝子的な要因で性格も変わるのではないかと思われがちですが、特に性格が変わることはありません。どちらも同じような性格をしています。
ただ一つ注意しなければならないことがあります。
垂れ耳の場合「外耳炎」になってしまう可能性があります。
外耳炎
外耳炎は、耳の穴に急性または慢性の炎症が起こっている疾患の状態です。その炎症は、耳の穴の入口から鼓膜まで及ぶこともあり、放っておくと鼓膜の奥にある中耳、さらには内耳に波及することもあります。
外耳炎を引き起こしている原因と炎症の程度により様々ですが、一般には耳にかゆみや痛みが出てきます。痛みのため、ワンちゃん自身が耳を触らせまいと、攻撃的になることすらあります。
◆原因
犬アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、耳ダニなども原因にありますが、耳が垂れているファレーヌタイプのパピヨンは耳が立っているパピヨンと違い、通気性が悪くなり蒸れたり飾り毛に汚れが溜まったりなどで外耳炎になるのが主です。
ファレーヌタイプのパピヨンは日本の気候が合わないというのもあります。日本は高温多湿なので、パピヨンを始めとした外国産の犬によっては、涼しく乾燥した地域に体が適応しているものも多く、湿度が高いと外耳炎を起こす菌が繁殖しやすくなります
また、きちんと耳のケアができていない事によっても起こります。綿棒で耳掃除をしているだけでは汚れを取り除くことはできません。逆に汚れを奥に押し込んでいる可能性もあり、外耳炎が酷いと鼓膜に穴が開く場合があります。
◆症状
耳の中に違和感があったり、痒くなったりするので、耳を掻いたり、違和感を取り除こうと頭をよく振るようになります。また、耳の中の垢を餌に雑菌が沸いている状態なので、異臭がすることもあります。
普通は乾燥した黒っぽいカスのような耳垢が出てきますが、ドロドロとした膿のような耳だれがでてくるなどの異常を感じた際は注意して観察しましょう。
また、耳を掻いたり頭を振ったりすることで、耳の表面が赤く腫れてくることがあります。さらに、掻いて傷ついた所から雑菌が侵入してきて二次感染を引き起こす恐れもあります。
◆対策とケア
では外耳炎になったらどうするか?飼い主さんでケアはできるのか?外耳炎にならないためには何をすれば良いのかを説明していきます。
まずは、通気性をよくするようにしてあげましょう。耳の毛を減らしてあげるだけでも通気性は良くなりますが、注意してほしいのが毛を減らしてあげる時に皮膚を清潔にしておくことです。
不潔や不衛生な状態で毛を抜いたり剃ってしまうと、毛穴や小さな傷から雑菌が侵入する恐れがあります。
耳を清潔に保つためにも定期的に耳の洗浄をしてあげましょう。外耳炎は自宅でのケアが難しいです。また、再発もしやすいです。
耳の洗浄は病院や美容院でもやってもらえます。ですが、美容院はどこでもやっているわけではないので、必ず確認しましょう。
病院で治療を受け、薬を処方された場合、必ず薬を用法・用量を守って投薬しましょう。触られる事を嫌がるかもしれませんが、ワンちゃんの為と思ってしてあげましょう。
唸ったり、噛むなどの攻撃性をしてきた場合、病院などの専門家にお願いするのも良いでしょう。
立ち耳のパピヨンとファレーヌタイプの魅力
立ち耳のパピヨンの方が人気が高いのはありますが、立ち耳のパピヨンが主流になっている現在の日本では、ファレーヌタイプのパピヨンを見つけるのは、とても難しいと言われています。
だからこそファレーヌタイプはレアで、むしろ見つけられたら運命かもしれませんね。
ピンと立っている耳のパピヨンは高貴な雰囲気で、元気いっぱいのイメージに見え、可愛らしいです。
ファレーヌタイプの耳は目よりもはるかに高い位置にあり、垂れ下がっているものの動かすことができます。
雰囲気を見るととてもおしとやかで、性格が良さそうに見え、可愛らしいです。
どちらのパピヨンも魅力ですが、実は成犬になるまで立ち耳のパピヨンかファレーヌタイプのパピヨンになるのかはわかりません。
どうしてわからないのかを説明していきます。
◆パピヨンの成長過程で立つか垂れるかが決まる
成長する過程で耳が大きくなりすぎてしまったパピヨンは、徐々に耳が垂れ下がっていき、ファレーヌになると言われています。
耳が薄いと途中でたれ下がりファレーヌになる場合もあります。
逆に最初は垂れているのに成長に合わせて立っていく場合もあります。
子犬のパピヨンの段階では、耳はまだまだ成長段階なので、今後どうなるのかは、成犬になるまでわかりません。
パピヨンの遺伝子的な関係があるのかと思いきや、ファレーヌタイプ同士の子を掛け合わせても、ファレーヌタイプが生まれるわけではありませんし、立ち耳のパピヨン同士の子を掛け合わせてもファレーヌタイプが生まれる事もあります。
ただ、立ち耳のパピヨンとファレーヌタイプのパピヨンの交配には注意が必要です。
注意と言っても、遺伝子疾患の子や何か問題のある子が生まれてくるという訳ではなく、耳が立っているパピヨンと耳が垂れているパピヨンの子は、片方の耳は立っていて片方の耳は垂れているパピヨンが生まれてくる可能性が高いです。
この状態のパピヨンは家族に迎え入れる分には問題ないのですが、ドックショーなどでは認めてもらえません。パピヨンでもなくファレーヌタイプでもないとみなされてしまうので、注意が必要です。
立ち耳でも垂れ耳でも、決して体調が悪かったり、骨に異常があるというわけではないので安心してください。
パピヨンの耳は矯正しなくても良い!
パピヨンは蝶のように立った耳が最大の特徴です。しかし耳が垂れているファレーヌタイプのようなワンちゃんもいます。
ほとんどのパピヨンは成長とともに自然と立っていきますが、耳の中にある軟骨が折れたままの状態で成長していくと、どうしても途中で矯正しなくては立たないファレーヌタイプのパピヨンもいると思います。
ですが、愛犬は家族の一員です。耳が立っていようと立ってなかろうと、愛犬の価値が変わることはないと思います。
誤解しないでほしいのは、パピヨンは耳を矯正して必ず立たせなくてはならないワンちゃんではありません。
耳が垂れているのもワンちゃんの個性です。愛犬の個性を愛しましょう。
まとめ
大きくピンと立ってる耳が特徴的な、パピヨン。そんなパピヨンの事を紹介していきました。耳が垂れているファレーヌタイプのパピヨンの話もしましたが、それは決して病気や体調不良ではありません。
日本で垂れ耳パピヨンのファレーヌタイプを見る機会はあまりありませんが、元々はファレーヌタイプの方が主流でした。今日本でファレーヌタイプのパピヨンを見つけるのはとてもレアです。
現在ではパピヨン=大きくてしっかりと立った耳というイメージが強いですが、すべてのパピヨンがそうなるわけではありません。
成犬に成長する過程で耳が大きく育ちすぎて垂れてしまったり、耳が薄くて垂れてしまったり、最初は垂れていたのに途中から立ち始めたりと、どうなるかはわかりません。
ですがどちらのパピヨンもとても可愛らしく、それぞれに魅力があります。
それに、どんな耳に成長するのかが楽しみではないですか。
愛犬の今ある形を愛するのが大切だと思います。姿かたちを変えなくても、あなたの愛犬も何も変わらずあなたを信頼し愛しています。
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