【獣医師監修】犬に人間の薬を与えてはいけない!知っておきたい危険な薬・サプリメント

2020.08.17

【獣医師監修】犬に人間の薬を与えてはいけない!知っておきたい危険な薬・サプリメント

愛犬に風邪のような症状が見られたり、どこか痛そうにしていたりすると、とにかく何とかしてあげたくて、人間の薬をあげようと考える飼い主さんもいます。風邪薬や痛み止めは市販薬もあり、手軽に飲んでいるので、なおさらです。しかし、根本的に違う動物である犬と人間。実は、人間の薬を安易に犬に与えるのは、非常に危険なことです。なぜ犬に人間の薬を与えてはいけないのか、危険な薬・サプリメントをまとめました。


犬の薬と人間の薬の違い

犬の薬と人間の薬には、どのような違いがあるのでしょうか?
実は、動物病院で処方される薬の約8割は、人間の薬です。
これは、同じく動物である人間と犬で、治療に必要な薬の成分が同じであることが少なくないからです。
同じ成分であれば、製薬会社は動物薬として認可を取るために莫大なコストをかけるメリットがありません。
獣医師は、犬や猫などペットに与える薬の量を計算して処方しています。
単純に、体重が人間の何分の一だからと計算しているわけではありません。
したがって、素人である飼い主さんが、安易に薬を何分の一かに割って与えると、全く効果がないか、逆に重大な中毒を起こす危険性があります。
犬に人間の薬を与えたことで死に至った例もありますので、けっして自己判断で人間の薬を犬に与えないようにしてください。


犬が飲むと危険な薬の成分

犬と人間の薬は同じ成分のものも多くあるとご紹介しました。
しかし、人間の薬として身近にある成分でも、犬にとっては非常に危険なものがあります。

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◆イブプロフェン

イブプロフェンは、一般医薬品(市販薬)にも含まれている解熱鎮痛作用のある成分です。
炎症・痛み・発熱などを引き起こす「プロスタグランジン」という体内物質を抑えることで、抗炎症作用や解熱鎮痛作用をあらわします。
イブプロフェンは、人間の体のために特別に作られたものなので、人間の薬の中でも犬にとって最も危険な成分です。
イブプロフェンは、犬の胃壁を保護する物質の邪魔となり、腎臓における血流を悪くします。
犬の身体が排出できない成分は、腎臓や肝臓に蓄積され、時間の経過に伴い、出血や腎臓機能の低下を招き、死に至ることがあります。
犬にとっては少量でも有害であり、錠剤半分で体重50kgの犬を中毒にするほどです。
胃潰瘍や腎臓・心臓に関わる問題が起きかねず、神経系統にもダメージを与えて発作や昏睡状態に陥る可能性があります。

◆アセトアミノフェン

アセトアミノフェンは、脳の体温調節中枢や中枢神経などに作用することで、熱を下げたり痛みを抑えたりする薬です。
市販薬としてもなじみがある薬ですが、猫や若齢の動物にとっては中毒を引き起こす危険な薬です。
アセトアミノフェンは、体内に入ると分解されて有毒な物質になります。
この有毒物質は、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンと結合して、メトヘモグロビンとなり、赤血球が体中に酸素を運ぶ働きを妨げます。
また、細胞を壊す力があるので、特に肝臓の細胞が壊れていきます。
犬は、この有毒物質を無毒化する酵素を持ってはいますが、大量に摂取すると中毒症状を起こします。
全身が酸欠状態になり舌などの粘膜の色が青くなる「チアノーゼ」、呼吸困難、顔が腫れる、うつ状態、低体温、嘔吐などの症状が見られます。
進行すると、衰弱、昏睡に陥り、最悪、死亡することがあります。

◆エフェドリン

エフェドリンは交感神経を刺激して、気管を広げ、咳を止める薬です。
血管を収縮させる作用もあり、鼻粘膜の充血を取り鼻のとおりをよくする効果があります。
犬については、避妊したメスの20%程度に起きる「ホルモン反応性尿失禁」の治療薬として用いられます。
しかし、副作用として、落ち着きの低下や呼吸数・心拍数の増加、血圧上昇、食欲不振などが、一過性で見られることがあります。

◆抗うつ剤

分離不安や常同障害を生じた犬に対して、行動治療の一環として抗うつ剤が処方されることがあります。
抗うつ剤には、不安を和らげる作用があるため、犬の不安な気持ちを落ち着かせてあげられると考えられています。
犬に使用される抗うつ剤は人間用の抗うつ剤ですが、飼い主さんが自己判断で与えることは厳禁です。
抗うつ剤には、たくさんの種類があり、副作用も様々で、また、人間に現れる副作用とは異なる副作用が犬に現れる場合もあります。
服用する量や回数も人間とは異なるので、必ず獣医師の指導を受けましょう。

◆ビタミンD

ビタミンDは、カルシウムやリンの代謝を調節する時に重要な働きをしており、骨粗鬆症の薬に含まれます。
犬や猫は、紫外線を浴びることでビタミンDを生合成するプロセスを持たないので、食べ物から補給する必要があります。
しかし、犬が過剰摂取をすると、骨代謝や骨化が阻害されて、過度の骨石灰化が起きます。
過剰摂取の影響は、子犬(特に大型犬)が顕著で、骨異常や軟組織への石灰沈着が生じます。
また、人間の皮膚炎治療などに使われる塗り薬に含まれるビタミンD誘導体は、犬が摂取すると吐き気や食欲不振を引き起こし、量が多いと腎不全を引き起こします。


犬が人間の薬を誤飲してしまった場合

◆症状

犬が人間の薬を誤飲してしまった場合に生じる症状は、薬によって異なります。
例えば、イブプロフェンでは、胃潰瘍や腎臓・心臓に関わる問題が起き、神経系統にもダメージを与えて発作や昏睡状態に陥る可能性があります。
また、アセトアミノフェンでは、チアノーゼや呼吸困難、顔が腫れる、うつ状態、低体温、嘔吐などが見られ、衰弱、昏睡に至り、死亡することもあります。
けいれん、麻痺、呼吸困難、意識不明、泡を吹くなどの症状が見られたら、非常に危険です。

◆対処法

まず、どのような薬(薬剤名、薬剤の形状、成分の含有量など)と、どのくらいの量を飲んだ可能性があるかを確認します。
すみやかに動物病院を受診して、これらの情報を伝えて獣医師の指示を仰ぎましょう。
動物病院では、飲んだ薬の量や種類によっても異なりますが、催吐処置を行ったり、解毒剤や活性炭を投与したり、輸液を行ったりといった対症療法が行われます。

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犬にも使える薬

◆ビオフェルミン

ビオフェルミンは、生きた菌を配合した整腸剤で、人にも良く使われる薬です。
乳酸菌やビフィズス菌などのプロバイオティクスを含んだ「活性生菌薬」と呼ばれます。
ビオフェルミンは、犬でも整腸作用を期待して使われることが多い薬で、下痢をしたときや便秘気味の時に使われます。
ビオフェルミンには、人用と動物用があり、用量、配合されているプロバイオティクス、配合されている他の成分が異なります。
しかし、犬に人用のビオフェルミンを与えてはいけないということはありません。
ビオフェルミンを与える際の注意点は、まず、効果があるかどうかは分からないという点です。
次に、子宮蓄膿症や急性膵炎などによる下痢の場合は、急速に悪化する可能性があります。
下痢だけでなく、元気や食欲の低下が見られる場合には、自己判断でビオフェルミンを与えるのではなく、動物病院を受診しましょう。
また、乳酸菌に対するアレルギーがあると、ビオフェルミンを与えることでさらに体調を悪化させることがあります。
初めてビオフェルミンを与える場合には、獣医師に相談することをおすすめします。
「ビオフェルミンS」を与える量の目安は、1日に、小型犬で半錠~1錠、中型犬で1錠~1錠半、大型犬・超大型犬では3錠程度です。

◆ミヤリサン

ミヤリサンは、日本で開発された整腸剤で、動物用の製品も存在します。
狭義のプロバイオティクスに分類され、動物に対しても非常に効果がある薬です。
ミヤリサンの効果は抗生物質と合わせて与えても失われないため、抗生物質と一緒に使われることも多いです。
また、胃酸を整える効果や、便秘に対する効果も高いと言われています。
ミヤリサンには、成犬用の「強ミヤリサン」と子犬用の「ミヤリサン」があります。
ミヤリサンを与える量の目安は、ビオフェルミンSと同じです。


人間のサプリメントは犬も使えるのか

サプリメントは、栄養補助食品であり、薬品ではありません。
購入が容易で、通販でも買うことができ、効果もある程度期待できます。
動物病院では、薬とサプリメントを併用して治療することもあります。
基本的には食品であり、また動物用のサプリメントよりも人間用のサプリメントの方が検査が厳しいため、品質的には安全といえるでしょう。
ただし、人間と同じ量のサプリメントを与えると、体の小さな犬にとっては栄養素などの過剰摂取になり、他の病気に罹る原因となるので、用量には注意しましょう。

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◆与えてはいけないサプリメント

ビタミンA、ビタミンDが含まれているサプリメントは与える時に注意が必要です。
ビタミンA、Dは、脂溶性のため過剰に摂取すると体内に溜まってしまい、体調に大きな悪影響を及ぼすことになります。
また、キシリトールを犬猫が摂取すると、肝機能に大きな影響を与えることが知られています。
キシリトールを含むサプリメントは与えないようにしましょう。

◆与えても良いサプリメント

グルコサミンのサプリメントは犬猫用のものも販売されていますが、人間用の方が、安全基準が高いので安心して与えることができます。
ただし、人間用のサプリメントを与える場合は、量の調整が必要です。

◆おすすめの犬用サプリメント4選

ジービッツ グルコサミントリーツ 30枚入り

関節ケアを本格的に考えたオヤツで、手軽に与えることができます。
特殊な低温乾燥で、高温・加熱に弱いグルコサミンの機能成分を壊さないように製造されています。

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G-BITS ジービッツ グルコサミントリーツ 30枚入り

関節ケアを本格的に考えたトリーツです。高温・加熱に弱いグルコサミンの機能成分を損なわないように特殊な低温乾燥で作っています。トリーツタイプで手軽に与えられ関節ケアに取組みたい愛犬におすすめです。

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コセクイン(TM)タブレット 120粒 

世界ブランドの関節健康補助食品で、小型犬から大型犬、シニア犬や肥満傾向の犬におすすめです。
甘味料や着色料、動物性たんぱく質、保存料も不使用なので、より安心して与えることができます。

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犬用の関節健康補助食品です。小型犬から大型犬、老齢犬や肥満傾向の犬に!「関節軟骨成分」補給に着目した世界ブランドの犬用関節サプリメントです。

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モエギタブ 犬猫用 50粒

モエギイガイから抽出されたオメガ3脂肪酸により、関節・皮膚・心血管の健康をサポートするサプリメントです。

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脂肪酸により関節・皮膚・心血管の健康をサポート

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BIOONE(バイオワン)毛づやサポート 60g  

ゴハンにかけるだけの顆粒タイプで、つややかな毛並みをサポートするサプリメントです。
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まとめ

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愛犬が風邪のような症状を見せたり、どこか痛そうな素振りを見せたりすると、つい人間の風邪薬や鎮痛剤を与えたくなります。
また、動物病院で処方されるお薬の約8割は、人間の薬です。
しかし、人間には安全でも犬には非常に危険な薬や、人間の体重あたりの使用量とは異なる薬などがあり、薬の種類や与えた量によっては、重篤な症状を引き起こし、死に至ることもあります。
人間の薬を、飼い主さんが生半可な知識で愛犬に与えることは危険ですので、必ず獣医師の指導に従ってください。
犬が人間の薬を誤飲してしまった場合には、どのような薬をどのくらい飲んでしまった可能性があるかを確認して、すみやかに動物病院を受診しましょう。
人間の薬による事故を防ぐには、飼い主さんが人間の薬を愛犬に与えないこと、愛犬が誤飲しないように薬を厳重に保管することが大切です。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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SHINO

SHINO

保護犬1頭と保護猫3匹が「同居人」。一番の関心事は、犬猫のことという「わんにゃんバカ」。健康に長生きしてもらって、一緒に楽しく暮らしたいと思っています。

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