1.犬の耳ダニ(耳ヒゼンダニ)症とは?
4.耳ダニの治療方法
4-1.治療前の耳ダニ検査方法
4-2.一般的な治療の手順
4-3.治療の回数
4-4.治療時の注意点
4-5.治療後の自宅ケア
5.耳ダニになってしまった時の注意点
5-1.多頭飼いの場合はほかの動物にうつさないように注意
5-2.犬のQOL低下に要注意
7.犬の耳ケアに役立つ商品
7-1.らくらく 耳そうじシート プレミアム
7-2.ノルバサンオチック
7-3.ジョイペット ウェットティッシュ
7-4.ペット用綿棒
【掲載:2020.08.29 更新:2022.05.16】
犬の耳ダニ(耳ヒゼンダニ)症とは?
耳ダニ(耳ヒゼンダニ)は犬の感染症の一種で、耳疥癬とも呼ばれます。
ダニが犬の外耳道に入り込み耳垢や耳の分泌液などを食物とし寄生することによって犬に様々な症状を引き起こします。
犬の耳ダニは感染率が非常に高いのが特徴で、多頭飼育の場合は1匹が感染すると他の犬にもうつしてしまう可能性が高いため特に注意が必要です。
耳ダニがいると、痒みから犬がしきりに耳を掻く仕草がみられるため比較的飼い主さんが気づきやすいのですが、念のため日頃から定期的に黒い耳垢などがないか、犬の耳の様子は確認しておきましょう。
耳ダニの原因、症状は?
耳ダニは、体長約0.3~0.5mm程度のミミヒゼンダニが寄生することが原因で引き起こされます。
子犬(生後2~3ヶ月程度)に多く発症し、成犬の場合は無症状となるケースもあります。
症状がでる場合は、主に中~重度の痒みだといわれており、犬は痒みにより頭を振るような動作をしたり、耳や耳周辺部を掻いたりしますが、犬によっては飼い主が耳に触れようとすると抵抗する(嫌がるような仕草をする)犬もいます。
重度の痒みが引き起こされ犬が耳を頻繁に掻いてしまう場合は、耳の周辺部の脱毛や耳の外側や内側に炎症が起こることがありますので、早期治療が大切です。
耳ダニに感染すると悪臭がする大量の黒色の耳垢(カサカサした耳垢が多い)が溜まることが多いのが特徴ですが、放置してしまうとダニが外耳道で卵を産んで増えてしまうため、犬に痒がったりするような症状がみられたら早めに検査を受けましょう。
痒みは犬の睡眠障害やストレスを中心にQOL低下を引き起こす原因となるので、気をつけてあげましょう。
ミミヒゼンダニとは?
ミミヒゼンダニは、約0.3~0.5mm程度のサイズの白色のダニで、胴体が丸くて足が6本あります。
犬の皮膚表面から血液を吸い取ることもあり、アレルギー症状としての反応が引き起こされます。
早期治療を行わないと犬の外耳道内で交尾をして卵をどんどん産み、卵がふ化して成虫になります。
一般的にミミヒゼンダニの卵が成虫になるまでに3週間程度かかると考えられているので、感染した場合は複数回の成虫駆除治療が必要となります。
基本的に耳ダニは小さいため、犬の耳垢に付着していても肉眼で見えないと言われますが、目が慣れてくると肉眼でも見えることがあります。
耳垢の表面部分に細かい白い点のような形状で確認でき、動くスピードが比較的速いヒゼンダニが多いといわれています。
耳ダニの治療方法
◆治療前の耳ダニ検査方法
動物病院によって検査方法が異なりますが、一般的な耳ダニの検査においては犬の外耳道を耳鏡で観察したり、犬の耳垢を部分的に採取して顕微鏡で虫体と卵があるか確認するため、大掛かりな検査にはなりません。
◆一般的な治療の手順
治療方法は検査同様、動物病院によって異なりますが、大抵の場合は耳の掃除(ミミヒゼンダニや耳垢を取り除いたり耳道の洗浄をするなど)をした後、セラメクチンなどの医療用の殺虫剤を使用して耳ダニの成虫を駆除します。
しかし、このような滴下投与用の液剤はダニの卵には大して効果がないので、卵がある場合はそれらがふ化するのを待ち、定期的に治療を行います。
また、上記の滴下投与用の液剤を使用する以外に、飲み薬や注射剤を使用するケースもあります。
いずれにせよ、一度の治療で全ての耳ダニを駆除するのは難しいので、犬の耳に寄生しているミミヒゼンダニの成虫と卵が完全に駆除できるまで必ず治療を続けましょう。
◆治療の回数
治療回数の目安としては、完全に耳ダニを駆虫するまでに最低でも数回の滴下が必要になることが殆どです。
ミミヒゼンダニの卵がある場合は、卵がふ化するまで待つ必要があるため治療に2~3週間程度かかることがあります。
◆治療時の注意点
耳ダニ治療に使用される薬の種類によっては(イベルメクチンやモキシデクチンなど)、フィラリア予防にも使われているものがあるので注意が必要です。
犬がフィラリア症に感染した状態で、このような薬を使用するとショック状態に陥る危険性があるため、これら薬を使用する場合は犬が適切なフィラリア予防をしていること(フィラリア症に感染していないこと)が前提になります。
そのため、これらの薬を使用する場合は動物病院で確認されるはずですが、念のため愛犬のフィラリア予防の実施に関しても獣医師に伝えておくと安心です。
◆治療後の自宅ケア
耳ダニの治療後ケアは、獣医師の指示に従ってください。
自宅での耳洗浄指示がある場合もありますが、犬の耳は複雑な構造になっているので慣れていない飼い主さんは極力獣医師や看護師にお願いしましょう。
自宅ケアがやむを得ない場合は、獣医師指導のもと洗浄液などを活用します。
その他、日頃からシャンプーのときに耳の内部を濡らさないように心がけ、最低でも耳の外耳部分(内耳や中耳の手前)を耳掃除シートなどを活用して清潔に保ってあげましょう。
耳ダニになってしまった時の注意点
◆多頭飼いの場合はほかの動物にうつさないように注意
耳ダニは感染する確率が高いといわれているので、多頭飼いの場合は犬猫問わずに早めの対策が必要です。
感染犬の早期治療はもちろんですが、同居犬や猫(またはフェレット)の感染の有無を確認をして、感染しているならば同じタイミングで治療しましょう。
複数頭感染しているペットがいる家庭の場合、耳ダニ治療は同時に治療しないと一頭の耳ダニを駆除してもまた感染する可能性が高まってしまいます。
◆犬のQOL低下に要注意
耳ダニによって引き起こされる痒みは中~重度の痒みが多いと言われているので、犬が痒さからしっかりと眠れなくなることもあります。
睡眠障害以外にも犬の精神的なストレス・掻きすぎによって引き起こされる炎症・痛みなど、犬のQOL低下を引き起こしやすいので早めの治療が大切です。
耳ダニの予防方法
耳ダニ予防には、感染している犬や猫と接触させないことが大切です。
また、当たり前のことではありますが、愛犬が感染している場合は他犬に感染しないようドッグランなど犬が多い場所には連れて行かないようにしましょう。
耳ダニは母犬から子犬に感染したり、感染した犬と直接接触しなくてもダニが付着しているマットレスやベッド、ブラッシング用品やカーペットなどからも感染しますので、同居している犬などの動物に感染が確認されたら注意が必要です。
普段以上の細かな掃除はもちろん、多頭飼いの犬の場合は一時的に感染犬と引き離すことも予防法の1つです。
犬の耳ケアに役立つ商品
◆らくらく 耳そうじシート プレミアム
犬の耳の臭い対策や抗菌作用が期待できる天然由来成分配合の安心耳シートです。
手軽にケアできるので、耳掃除をしたことがない飼い主さんや時間のない飼い主さんにおすすめ。
◆ノルバサンオチック
とても有名な耳洗浄液です。ペットの耳垢対策に有効で、耳の衛生管理に役立ちます。
はじめて使用する方は、予め使用方法や注意点をしっかりと確認してから使いましょう。
◆ジョイペット ウェットティッシュ
口や耳、目の周辺用のヒアルロン酸配合ウェットティッシュで、耳の場合は犬の被毛がある部位(外側部分)の衛生管理におすすめです。
◆ペット用綿棒
ペット用の綿棒は、耳掃除がしやすいよう持ち手が長いのが特徴です。
はじめて愛犬の耳掃除をする場合は、犬の耳を傷つけないよう動物病院で適切なケア方法を教えてもらってから行いましょう。
犬の耳ダニに関するまとめ
犬の耳ダニについて症状や原因、動物病院での一般的な治療方法、予防法などを中心にご紹介致しましたが、耳ダニは人の耳には感染しないものの他動物への感染力が強いので、注意しなければいけない病気です。
また、人においては犬の耳ダニによってアレルギー症状がでるケースもあります。
いずれにせよ、犬が耳を掻くような仕草や振るような仕草がある場合は、耳ダニを疑って動物病院で早めに検査・治療を行いましょう。
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