1.甲斐犬とは?
3.甲斐犬と他の日本犬の違い
3.秋田犬
3.柴犬
3.四国犬
3.紀州犬
3.北海道犬
3.甲斐犬
甲斐犬とは?
ピンと立った耳に、狼のような堂々とした風貌が印象的な甲斐犬。
キュッと引き締まった、筋肉質の体つきからも分かるように、甲斐犬は古くから猪や鹿の猟犬として活躍してきました。
山梨県の甲斐地方が原産であることから、その名がついたと言われています。
天然記念物に指定されている日本犬6犬種の中の一種類に当たります。
甲斐犬は日本犬の一種
日本犬とは、古くから日本に住んでいる“日本原産の犬”の総称です。
以下の6種類はすべて日本の天然記念物に指定されています。
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・秋田犬(あきたいぬ)
・柴犬(しばいぬ)
・四国犬(しこくけん)
・紀州犬(きしゅうけん)
・北海道犬(ほっかいどうけん)
・甲斐犬(かいけん)
日本犬は、素朴な見た目や賢さ、忠実さから、今や日本だけでなく世界中で人気を集める犬種です。
甲斐犬と他の日本犬の違い
◆秋田犬
秋田犬の性格は、穏やかで落ち着いています。
忠犬ハチ公でも知られている通り、飼い主さんに対する愛情が深く、とても従順な犬です。
反面、猟犬としての性質を受け継いでいるため、保守的で警戒心が強い部分もあります。
◆柴犬
柴犬の性格は、日本犬のイメージ通り、飼い主さんに対して忠実で、自立心に富んでいます。
犬らしく活発なところもあり、飼い主さんと一緒に散歩することが大好きです。
オオカミの血筋を引いていることから警戒心が強く、時には攻撃的な一面を見せることも。やや神経質な部分が見え隠れすることもあります。
◆四国犬
別名「高知犬」とも呼ばれる四国犬は、現在の高知県の山々で暮らしていた土着犬です。
ルーツは「ヤマイヌ」という野犬であるとされ、オオカミに似た見た目をしています。
飼い主さんに対しては非常に従順で、忠実な四国犬ですが、ほかの人には心を許そうとしません。闘争心が強く、一般的なペットとしては飼育しにくいとされています。
猟犬としての状況判断能力に優れており、冷静沈着な性格もまた四国犬の特徴です。
◆紀州犬
紀州犬は、今の紀州地方(和歌山県、三重県付近)の山岳地帯で生まれ、うさぎや狸のほか、鹿や猪を狩る猟犬として繁殖されてきました。
性格は、忍耐強く落ち着いています。飼い主さんに対しては忠実で、真面目な気質の犬です。
ほかの日本犬と同様、警戒心が強く、飼い主さん以外には慣れにくい傾向にあります。
◆北海道犬
CMでお馴染みの「お父さん犬」は、白い被毛に真っ黒な瞳が印象的ですよね。
北海道犬の性格は、非常に忍耐強いとされています。猟犬らしく警戒心が強く、勇猛果敢な性格ですが、飼い主さんに対しては忠実で、従順です。
◆甲斐犬
立ち耳で体は筋肉質、オオカミのような堂々とした風貌が魅力的です。
甲斐犬は、他の日本犬と比べても、非常に感覚が鋭敏で警戒心が強く、自分で状況を判断できる賢さを持っています。猟犬としての特性を色濃く受け継いでおり、今でも猟犬として働いている犬も存在します。
一代一主の関係で飼い主さんにつかえる犬であるため、自分が認めた飼い主さんにだけは心を許し、甘える姿を見せてくれることがあります。
甲斐犬の歴史
縄文時代の遺跡から甲斐犬とそっくりな犬の骨が出てきたことから、昔から人間と生活してきた犬種ではないかと考えられています。
山岳地帯にある山梨県甲斐地方で、猪、鹿、キジ、小動物などの猟犬として使われていました。
山梨県甲府地方検察庁に赴任した安達太助が、1931年に甲斐犬の保護を目的とした「甲斐日本犬愛護会」(現在の甲斐犬愛護会)を設立しました。
1932年には、斉藤弘吉や小林承吉らによって「甲斐犬」と名付けられ、1934年には国の天然記念物に指定されました。
甲斐犬の特徴
◆体格
体重は14~18kg程度で、柴犬よりも一回り大きいです。
山岳地帯で暮らしていた特性から、非常に筋肉が発達しており、足腰が強くなっています。
甲斐犬には体型によって2つのタイプがあり、細身の鹿犬型と、がっしりした猪犬型に分けられます。
猪犬型は、尾の先が拝むように垂れた「拝み尾」といわれる大きな尻尾が特徴です。
現在、猪犬型は絶滅したとされ、多くの甲斐犬が鹿犬型となっています。
◆被毛
別名「甲斐虎」とも呼ばれる甲斐犬は、その名の通り、虎柄の被毛がスタンダードです。
甲斐犬の被毛は、ブリンドル(虎毛)で黒虎、赤虎、虎の3種類です。
また、幼犬のときは一色でも、成長につれて虎毛に変化することが特徴です。
被毛の上毛は固く直毛で、下毛は柔らかく密生しています。
◆魅力
献身的で控えめながらも空気を読んでくれる、いわゆる日本犬らしい魅力を持っています。一度甲斐犬の魅力にハマると、他の犬は飼えないという飼い主さんが多くいるようです。
甲斐犬は飼い主さんとの結びつきが特に強い犬種だと言われています。もちろん柴犬やほかの日本犬も同じ傾向があるからこそ忠犬と呼ばれていますが、甲斐犬は特に観察力が鋭く、家族以外の人に対して親友、友人、知人、他人……と親しさのランキングをつけるのもおもしろいところです。飼い主さんへの親しさは別格で、一番の相棒として意識してくれるのが魅力です。
甲斐犬の性格
性格は、忠誠心や警戒心が強く、鋭敏な感覚を持っていて、知能も高いです。
一方で、知らない人や動物に対しては、警戒して攻撃的になってしまう面もあります。
外では警戒心をあらわにしますが、家に帰るとまるで「別犬」になったかのように飼い主さんに甘えることもあります。飼い主さん以外の人には懐きづらく、気が強い一面もあります。
気性が激しく警戒心が強い犬種ですが、信頼関係を築くことができれば飼い主に心を許し、生涯最高のパートナーとなってくれるでしょう。
甲斐犬の飼い方
甲斐犬のしつけは、主従関係をしっかりと構築することがポイントです。かわいがるだけでは主人と認められず、言うことを聞いてもらえなくなります。子犬のときから必要以上に甘やかさず、ときには毅然とした態度で上下関係を示しましょう。
◆適切な運動量
運動能力が高いので、成犬になると散歩は毎日朝夕2回、それぞれ一時間程度必要です。
歩くだけでなく、たまには軽く走らせる運動も取り入れるといいでしょう。
自由に長時間走らせると喜びますが、他犬種との相性があまりよくないのでドッグランなどではトラブルにならないように注意が必要です。
◆お手入れ
甲斐犬はオーバーコート(太くて固い毛)とアンダーコート(細くて柔らかい毛)の二つをもったダブルコートと呼ばれる被毛を持っています。トリミングは必要のない犬種ですが、毛は抜けやすいので、ブラッシングは2~3日に1回程度してあげましょう。
甲斐犬のしつけ方
◆甲斐犬のしつけの時期はいつから?
甲斐犬のしつけの開始時期は早ければ早いほどよく、理想としては「犬が家に来た日」から始めたほうがいいでしょう。
子犬の頃の学習スピードは私たちが思っているよりも非常に早く、「目にしたもの」「経験したもの」をどんどん吸収していきます。
家族として家に来た犬は、初めての環境の中で匂いを嗅いだり、音を聞いたり、飼い主さんたちの反応もよく見ています。
特に生後3週齢から12週齢の期間は「社会化期」と呼ばれる期間で、この時期に触れ合ったり、経験した様々な人やモノ、環境や状況は生涯を通じて慣れ親しむことができる、犬の一生の中でも非常に重要な期間といわれています。
この社会化期にどんな経験をするかが、その後の生活にも大きくかかわってきます。
◆甲斐犬のしつけ<3つのポイント>
十分な社会化
甲斐犬は知らない人や動物に対して強い警戒心を持っているため、吠えたりする行動が目立ちます。
生後3~4ヶ月くらいまでになったら外に出かけたり、なるべく人に慣れさせるようにしましょう。社会化が十分に行われていれば、人やほかの犬にも落ち着いて接することができるようになります。
噛みつき
幼い頃から噛み癖をつけさせないように注意しましょう。
間違ったことには適切なタイミングで注意し、よくできたらおやつなどを与えてしっかりと褒めてあげてください。
また、甲斐犬のしつけには、混乱させないように一貫性を持たせるのも大切なことです。
信頼関係
甲斐犬には、基本的な指示に従えるようにする服従訓練をしっかり行うとよいでしょう。
そのためには、信頼関係が非常に大切になります。普段からスキンシップを行って十分な信頼関係を築くようにしていきましょう。
甲斐犬のしつけは「子犬の頃からの社会化」をすることと、飼育環境を整えながら信頼関係を築きあげることが重要です。
子犬の頃から人に触られることに慣れさせることで、もともと警戒心が強いという特徴に対して対策がしやすいです。
例えば外からの刺激が入って来ないような場所をメインルームにしたり、ガラスフィルムやブラインドをうまく利用することで「吠えさせない環境」を作ることができます。
しつけとしてできることは、インターホンが鳴ったら特別なおやつをあげるなど。
これは、犬が嫌な刺激を受けるタイミングで良いことがある、という経験を繰り返すことで、良い刺激に上書きしていくという方法です。
甲斐犬は賢く、飼い主さんに従順であるため、トレーニングをすることで起こりうる問題行動への対処方法の幅も広がってきます。
甲斐犬の気を付けたい病気

甲斐犬は、猟犬としての性能を上げるために近親交配が避けられてきたので、遺伝的な疾患は少ないです。
平均寿命は約12~16歳と比較的長生きします。10歳を超えると、他のシニア犬と同様に免疫力の低下によってガンや心臓疾患が増えてきます。それまでは比較的健康的な個体が多いでしょう。
ただ、日本犬はアレルギー性の皮膚病にかかりやすいため、甲斐犬も注意してください。
頻繁に体をかいたり皮膚が赤くなっていたりする場合には、病院で診てもらいましょう。
まとめ
甲斐犬は信頼関係を築き上げるまでにやや時間がかかるところはありますが、その関係が構築されれば、非常に優秀なパートナーになります。飼い主さんに従順な犬種は多くいますが、甲斐犬以上に常に飼い主さんだけを見ている犬種はそこまで多くないと思います。
もともとは猟犬なので、あまりべたべたすることはないですが、飼い主さんにしか見せない顔も持っています。
初心者にはちょっとハードルが高い犬種ではありますが、だんだんと家庭犬として人間と暮らすようになってきました。現在では、「災害救助犬」としても活躍している甲斐犬もいます。しっかりトレーニングをし、関係を築くことでとてもよいパートナーになることは間違いなしですね!
甲斐犬の特徴を理解して、適切な環境下で飼育していきましょう。
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