1.犬にも眉毛があるのか
1-1.犬の眉毛と「まろ眉」
1-2.犬の眉毛の場所
3.犬の眉毛でわかる犬の気持ち
3-1.眉毛を寄せる
3-2.右の眉毛を上げる
3-3.左の眉毛を上げる
4.犬種による眉毛の違い
4-1.眉毛が濃い、または長い犬種
4-2.まろ眉を持つ犬種
4-3.「四つ目」は縁起が悪い?
【掲載:2021.03.07 更新:2022.07.22】
犬にも眉毛があるのか
◆犬の眉毛と「まろ眉」
犬の眉毛と聞いて、すぐに思い浮かべるのは、黒柴や、ブラック・タンと言われる毛色の犬にある、いわゆる「まろ眉」ではないでしょうか?
まるで昔の公家のような「まろ眉」は、とても可愛いですよね。
しかし、実は「まろ眉」は、「タン・マーキング」と言われる茶色や黄褐色の模様であり、本当の犬の眉毛ではありません。
◆犬の眉毛の場所
犬の眉毛は、人間の眉毛のようにはっきりとは分かりませんが、目頭(目の内側)の上あたりに、左右対称に生えています。
犬の顔をよく見ると、目の上の辺りから、ピンピンと太くて硬い長い毛が2~3本、生えていることが分かります。
口の周りに生えている「ヒゲ」と似ていることに、すぐ気づくことでしょう。
眉毛は、実はヒゲと同じく、「洞毛」の一つです。
洞毛は、哺乳類が持つ毛状の感覚器官で、眉毛の正式名称は「眼窩上毛」(がんかじょうもう)です。
ちなみに口の周りの洞毛は、生えている場所によって、「頬骨毛」、「口角毛」(頬毛)、「上唇毛」、「下唇毛」、「オトガイ毛」、「下顎内側毛」という正式名称があります。
犬の眉毛の役割
人の眉毛は、額から落ちてくる汗や水が目に入らないようにする、目の上をぶつけた時にクッションのような働きをするなどの役割を持っています。
では、犬の眉毛には、どのような役割があるのでしょうか?
◆感覚機能
犬の眉毛やヒゲは、周囲の体毛に比べて太く硬い毛で、ピンと張っています。
眉毛を含む洞毛自体には感覚はありませんが、毛根は他の毛より奥にあって、根元には神経が分布していて鋭い感覚を持っています。
この神経により、犬は眉毛を含む洞毛を思った通りに動かすことができます。
眉毛は、ヒゲと同じく、バランスを取る(平衡感覚)、暗闇で情報を集める、狭い場所を通り抜けられるか幅を確認する、温度や風向き、気圧の変化を察知するなど、感覚器官としての役割を持っています。
しかし、犬は聴覚や視覚、嗅覚が優れているため、眉毛の感覚機能は退化しており、あまり眉毛の感覚には頼っていません。
そのため、眉毛やヒゲが無くても、問題なく生活できると考えられています。
◆感情表現
思った通りに動かすことができる眉毛やヒゲは、言葉を持たない犬が感情を表現する手段の一つです。
人間も眉を寄せたり上げたりして感情を表現しますが、犬も眉毛を上に動かしたり、寄せたりすることで感情を表現します。
犬の眉毛でわかる犬の気持ち
犬の眉毛の役割の一つが、感情を表現することであるとお伝えしました。
では、どのような感情の時に、どんな風に眉毛が動くのでしょうか?
眉毛の動きを観察することで、愛犬の感情を読み取りやすくなり、コミュニケーションに役立つかもしれません。
◆眉毛を寄せる
犬が眉毛を寄せている時に考えられる気持ちは、2つあります。
眉毛を寄せて牙を剥いている場合は、威嚇している時です。
唸ったり牙を剥いたりしている時、犬は眉間を寄せるため、眉毛も中央に寄っています。
一方、眉毛を寄せて目を垂れさせている場合は、悲しい時や緊張している時です。
いたずらをして叱られている時や、お留守番前で寂しい気持ちの時に見られる表情です。
◆右の眉毛を上げる
右と左、どちらの眉毛を上げているかで、犬の気持ちは全く異なります。
右の眉毛を上げるのは、知らない人に会った時や、苦手なものや嫌いなものを見た時で、警戒していることを表しています。
動物病院に連れていかれることを察したときや、爪切りやブラシなど苦手なお手入れの道具を見た時などに、右の眉毛がピクっと上がります。
右の眉毛が上げるのは、ネガティブな感情の表現と言えるでしょう。
◆左の眉毛を上げる
逆に、左の眉毛を上げるのは、ポジティブな感情を抱いている時に見せる仕草です。
飼い主さんが帰宅した時などの他、知っている人や好きな人を見た時にも、左の眉毛を上げるようです。
犬種による眉毛の違い
眉毛は、全ての犬にありますが、犬種によって眉毛に違いはあるのでしょうか?
◆眉毛が濃い、または長い犬種
眉毛が濃かったり、長かったりする犬種があります。
例えば、ミニチュアシュナウザーやヨークシャーテリア、ワイヤーフォックステリア、シーズーなどです。
これらの犬種は、ふさふさの眉毛と長いひげがチャームポイントです。
ミニチュアシュナウザーは、もともと農場のネズミを捕るために使われていた犬で、立派なヒゲや長い眉毛は、ネズミの攻撃から顔を守るために残されたと言われています。
ワイヤーフォックステリアは、その名の通り、キツネ狩りに使われていた猟犬で、やはり顔をキツネに噛まれることがあるため、顔を守る眉毛が発達したそうです。
◆まろ眉を持つ犬種
上述の通り、「まろ眉」は、茶色や黄褐色の模様です。
この模様は、目のように見えることで敵の攻撃から目を守るカムフラージュの役割があると言われています。
「まろ眉」を持つのは、タン・マーキングを持つ犬種で、「ブラック・タン」と言われる被毛カラーの犬や、「リッチ・タン・マーキング」のある犬で、
- ミニチュアダックスフント
- ドーベルマン
- チワワ
- ミニチュアピンシャー
- アメリカンコッカースパニエル
- 柴犬
- バーニーズマウンテンドッグ
などが挙げられます。
◆「四つ目」は縁起が悪い?
柴犬には、赤柴(茶色)や白柴、黒柴などの被毛の色がありますが、黒柴は黄褐色のタン・マーキングがあり、「まろ眉」が特徴的です。
また、赤柴にも、白い「まろ眉」のような模様が出ることがあります。
この柴犬の「まろ眉」ですが、まるで目が4つあるように見えることから、正式には「四つ目」と呼ぶそうです。
年配の方の中には、「四つ目は縁起が悪いから飼ってはいけない」と言われる方もいます。
これは、昔のジンクス・迷信ですが、
などと信じられていたようです。
年代や地域によっては、タン・マーキングや「まろ眉」について、今でもこうしたことが言われることがあるようです。
犬の眉毛はカットしてもいいのか
犬の眉毛には感覚機能がありますが、嗅覚や聴覚が優れているため、犬はあまり眉毛の感覚には頼っていません。
そのため、基本的にはカットしても大丈夫です。
しかし、カットしなければならないものではなく、また、カットしない方が良い場合もあります。
◆障害がある犬の眉毛
健康な犬であれば、眉毛をカットしても日常生活に支障をきたすことはないと考えられます。
しかし、聴覚障害や視覚障害のある子は、眉毛やヒゲの感覚から周囲の情報を得ていると考えられるので、カットしない方がよいでしょう。
先天的に障害を持つ子や、高齢になり視覚や聴覚などが衰えた子などでは、切らずにおいてあげてください。
◆日本犬系の犬の眉毛
純血種の犬には、それぞれの犬種にスタンダード(理想形)というものがあります。
その犬種が一番美しく見える姿形のことで、日本犬系の犬はスタンダードとして、ヒゲを切りません。
ヒゲがある方が、精悍でかっこよく見えるからです。
「まゆげ犬」って?
最近、実際の眉毛や「マロ眉」ではなく、眉毛のように見える模様が顔にあるわんちゃんの写真がSNSなどで話題になっています。
目の上の眉のあたりに特徴的な模様がある子のほかに、紙や海苔で作った「つけ眉」をつけた子や飼い主さんに落書きされた子の写真もあります。
イケメン風やチンピラ風、哀愁漂う表情の犬まで、いろいろな眉毛の子の投稿があり、どれも可愛らしいです。
しかし、「つけ眉」はまだしも、落書きはあまりいただけません。
衛生上、また犬の健康上、問題がありますし、当のわんちゃんが嫌がっていたらなおさらです。
油性のペンで書くと落ちにくいうえ、誤って犬が舐めた場合に有害です。
猫の場合は、顔を認識して、眉や帽子などのスタンプをつけられるアプリがあり人気ですが、犬の場合は犬種によって顔が大きく異なるためか、残念ながらそういったものはありません。
そのため、実際の犬につけ眉や落書きをすることが多いと思われます。
しかし、画像加工アプリを使えば愛犬の写真に落書きすることは可能なので、ぜひ愛犬の写真を可愛く加工してあげてください。
アーチを描く眉毛の犬・ベティ
ミニチュアシュナウザーなどのように、存在感のある眉毛を持つ犬種もありますが、ほとんどの犬の眉毛は目立ちません。
しかし、人間の眉毛のような模様を持つ犬が実在します。
その犬は、現在、ロシアでオクサナさんと先住猫とともに幸せに暮らすベティです。
左右対称できれいなアーチを描く眉毛を、生まれながらに持っているベティは、2019年、イルクーツク州ブラーツクで、通りをさまよっていたところを保護された迷い犬でした。
あまりにもくっきりした眉毛だったため、心無い誰かに落書きされたのだろうと動物保護施設のスタッフが拭き取ろうとしましたが、その眉毛は消えませんでした。
健康状態のチェックのために獣医に見せると、それは人工的に書かれたり染められたりしたものではなく、実際の模様だと分かったのです。
ベティの独特なルックスは注目を集め、ロシアのテレビ番組でも紹介されるなど、人気を集めています。
まとめ
犬の眉毛は、人間の眉毛とは異なり、ぱっと見にはわかりにくいですが、全ての犬にあります。
目頭の上あたりから、左右対称に太くて長い硬い毛が数本、ピンピンと生えており、これが犬の眉毛です。
犬の眉毛は、正式には「洞毛」という触覚毛であり、感覚器官のひとつです。
しかし、聴覚や嗅覚の発達した犬は、眉やヒゲの感覚にはあまり頼っていません。
一方、感覚器として根元に神経が分布している眉は、自在に動かすことができ、犬の感情を表します。
愛犬の眉毛の動きに注目すると、気持ちを読み取りやすくなり、コミュニケーションの一助になるでしょう。
ぜひ、愛犬の眉毛を、今一度、よく見てみてくださいね。
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