1.犬にカニカマを与えてもいいのか
2.犬にカニカマを与える際の注意点
2-1.包装用のビニールに注意
2-2.アレルギーを発症する子もいる
2-3.与える際は細かくほぐして少量で
4.犬にカニを与えてもいいのか
4-1.生のカニは与えてはいけない
4-2.消化不良やアレルギーに注意
4-3.カニの調理法と適量
4-4.殻や甲羅は取り除く
【掲載:2021.04.9 更新:2024.06.19】
犬にカニカマを与えてもいいのか
かにかまはスケトウダラなどの白身魚のすり身に塩やかつおエキスなどの旨味を加えて作られています。
カニカマに使われている材料自体に中毒を起こすような食べ物は含まれていないので、犬が食べても基本的には問題はありません。
しかし、カニカマには味付けのために塩や醤油が使われていることが多く、犬にとっては塩分過多になる恐れがあるので、注意が必要です。
人が食べておいしいと感じる量の塩分は、体の小さな犬にとっては多すぎます。
特に、超小型犬や小型犬では気をつけたいですね。
塩分を過剰に取ると、塩中毒になる危険性がありますし、血漿高カリウム濃度が続くと心疾患や心不全につながる恐れもあります。
犬の栄養要求量の基準とされている全米研究評議会(NRC;National Research Council)では、10~20kgの犬で1日2.42~4.84gの塩分摂取を推奨しています。
カニカマ(カニ風味かまぼこ)100gあたりの塩分は、2.2gです。
15gのカニカマであれば、0.33gの塩分が含まれます。
犬にカニカマを与える際の注意点
◆包装用のビニールに注意
カニカマは、薄い筒状のビニールで包装されていることが多いです。
食べさせるつもりはなくても、テーブルなどに置いていて、犬がいたずらして、いつの間にか食べてしまったということもあります。
このようなとき、包装しているビニールごと食べてしまうことは少なくありません。
何事もなく便として排出される場合もありますが、喉に詰まったり、腸に詰まって腸閉塞になったりする危険性があります。
万一、包装用のビニールごと食べてしまった場合には、まず犬の状態を確認しましょう。
口に入れて飲み込んでしまった直後であれば、喉に詰まっているかもしれず、何かを吐き出すような仕草が見られるでしょう。
咳き込む程度でもがき苦しむ様子がなければ、自分で無理に対処しようとせず、動物病院で処置してもらってください。
もがき苦しむなど、緊急性が高い場合は、口の中を見てみます。
見える場所にビニールが見えている場合は、ピンセットなどでゆっくり外に取り出す応急処置を行って、動物病院に連れて行ってください。
違和感や苦しさから暴れてしまうことも多いので、無理はしないようにしましょう。
また、ピンセットなどの道具を使うときには、取られたり誤って飲み込まれたりしないように十分に注意してください。
ビニールを食べたことは分かっているけれど、いつ食べたかは分からないような場合には、すぐに動物病院に連れて行きましょう。
胃の中に入ってしまうと取り出すことが難しくなり、放置すると腸閉塞を引き起こすほか、腹膜炎や食道閉塞、気道閉塞などを引き起こす恐れもあります。
気づいたら早急に動物病院を受診してください。
◆アレルギーに注意
上述の通り、カニカマにはカニ自体は使われていませんが、風味づけのために、卵やカニやエビのエキスが使われています。
また、醤油には大豆が使われていますし、魚介類にアレルギーを持つ子もいます。
これらの食材によって、アレルギーを発症する可能性があります。
アレルギーの症状としては、皮膚の痒みや下痢、嘔吐、目の充血などが挙げられます。
これらの症状が見られた場合には、できるだけ早く獣医師さんに診てもらってください。
◆与える際は細かくほぐして少量で
そのまま一口お裾分けするのも大丈夫ですが、直接与える際もフードなどにトッピングをする際も細かくほぐしてから与えるのが良いでしょう。
かにかま風味が好きな犬には、犬用カニカマを与えるのもおすすめです。
犬にちくわやかまぼこは与えていいのか
カニカマと似ている魚の練り物に、ちくわやかまぼこがありますがこれらは与えても大丈夫なのでしょうか?
ちくわやかまぼこといった練り物の主原料は魚であり、犬が中毒を起こすようなものは特に含まれていないので、少量であれば与えても大丈夫な食品です。
しかし、カニカマ同様、アレルギーや塩分過多のリスクがあるので、与える際には注意が必要です。
100gのちくわで、2.1gの塩分が含まれます。
長さ20cm前後のちくわ1本が、約90gです。
蒸しかまぼこでは、100gあたり2.5gの塩分が含まれます。
商品によりますが、かまぼこ大1本が200g、小1本が150g程度で、一切れは約15g程度です。
上述の通り、10kg~20kgの犬に推奨される塩分摂取量は1日2.42~4.84gなので、たまに与える分には問題ありませんが、日常的に与えると塩分過多になる可能性があります。
犬にちくわを与える場合には、塩抜きをして与えるようにしましょう。
【塩抜きの方法】
1.ちくわを細かく切り、ちくわの分量の倍以上の水で沸騰するまで煮る
2.沸騰したら火を止めて、1分置く
3.ちくわをザルに移して水で洗い流し、水を切る
細かく切ることで、喉に詰まらせたり、消化不良を起こしたりすることを防ぐこともできます。
犬にカニを与えてもいいのか
◆生のカニは与えてはいけない
カニカマは、犬に与えても大丈夫な食品ですが、本物のカニは大丈夫なのかも気になります。
実は、生のカニは犬に与えてはいけない食材の一つです。
生のカニには、チアミナーゼというチアミン(ビタミンB1)を分解する酵素が含まれています。
チアミンは、炭水化物、脂質、アルコールの代謝に必要とされるビタミンで、欠乏すると、様々な影響が現れます。
初期には、食欲低下、成長不良、唾液の分泌過多が見られます。
その後、頭部と頸部の腹側への屈曲、短い緊張性のけいれん発作、眼振、多発性神経炎、心肥大、運動機能障害、立位反射消失、不全麻痺が現れます。
後ろ足のふらつきや、体の麻痺などが生じる危険性があり、治療を行わなければ、昏睡から死に至ることもあります。
チアミナーゼは、加熱すると分解されるので、カニを与える場合には必ず加熱してください。
◆消化不良やアレルギーに注意
カニやエビなど甲殻類は消化が悪く、嘔吐や下痢などの症状が出る場合があります。
また、甲殻類はアレルギーを起こしやすい食べ物でもあります。
特に怖いのは、アナフィラキシーショックを起こすことです。
カニを与える際には、1度目は少量にとどめてアレルギーを発症しないか様子を見て、2度目に与える際にも少量にしてアナフィラキシーショックを起こさないか様子を見守ってください。
◆カニの調理法と適量
加熱したカニを与える場合にも、調理法には注意が必要です。
カニ鍋などは、一緒に煮ているネギなどのエキスが染み込んでいて危険です。
出汁で煮たものや塩茹でしたものは、塩分過多になる恐れがあるので、避けましょう。
カニを犬に与える場合、味がついていない状態で、塩分を加えずに茹でたもの、または焼いたものにします。
茹でた場合は、茹で汁もおいしいので、一緒に与えるとよいでしょう。
量は、体重5kgの子で、大さじ2杯程度が目安です。
◆殻や甲羅は取り除く
犬は、硬いものでも食べてしまうことがありますが、カニの殻や甲羅は取り除いてから与えましょう。
カニの殻や甲羅は、種類によっては非常に硬く、表面がゴツゴツとしていて突起があるものもありますし、割れた甲羅や殻で口の中や消化器を傷つける恐れもあります。
消化不良の原因になるので、骨も丁寧に取り除いてあげましょう。
柔らかい殻であれば、カルシウムの補給にもなるので、すり鉢やフードプロセッサーで細かく粉状にして、ふりかけとして与えてもよいでしょう。
ただし、アレルギーがある子には、与えないでください。
まとめ
身近な食材であるカニカマですが、犬には「与えてもいいけれど、与えない方が良い食品」です。
カニカマの主原料は魚のすり身で、犬にとって有害な成分は含まれていませんが、人用に味付けされているため、塩分が多すぎるからです。
ごく少量をたまに与える程度であれば健康上の問題はありませんが、一度食べておいしいと思ったら、いつも欲しがるようになってしまいます。
初めから与えないでおく方が、無難です。
また、練り物であるちくわやかまぼこも塩分が多いので、塩抜きをして少量を与えるようにしましょう。
生のカニにはチアミナーゼという酵素が含まれ、ビタミンB1欠乏症を引き起こすため、犬に与えてはいけません。
味付けをせずに茹でたり、焼いたりしたものを少量あげるようにしましょう。
愛犬には、市販されている犬用のカニカマのオヤツをあげるのがベストです。
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