1.犬ににんじんを与えてもいいのか
2.にんじんの効果
2-1.ダイエット
2-2.歯磨き
2-3.栄養が多い
4.にんじんの与え方
4-1.加熱する
4-2.生のにんじんはすりおろす
4-3.小さく刻む
4-4.味付けはしない
4-5.アレルギーに注意する
犬ににんじんを与えてもいいのか
人間にとっては問題なくとも、犬にとっては害をなす食材は色々ありますよね。では、今回注目するにんじんは、愛犬に与えても大丈夫な食材なのでしょうか?
結果からいうと、にんじんは犬に与えてもよい野菜のひとつだといえるでしょう。
にんじんにはビタミンCを破壊する酵素が含まれるとの見解もありますが、過剰な心配は必要ないともいわれています。実際に、アスコルピン酸酸化酵素の影響によって、ビタミンCが還元型から酸化型に変わるのですが、体内に入ることで還元型に戻る性質があるため、そこまで問題はないとされているようですよ。
ただし他の食材にもいえることですが、与え方や与える量には注意が必要です。詳しくは後述しますので、最後までしっかりチェックしてくださいね。
にんじんの効果
まずはにんじんがもたらす効果をみていきましょう。
にんじんには、酸化を防いで、免疫力を高める効果が期待できます。これはβカロテンやビタミン類が豊富なためです。
また根菜類に共通する、身体を温める働きも期待できるので、寒い季節には適した食品だといえます。更に食物繊維も豊富なため、便通改善にも有効的。ただし稀にお腹がゆるくなる場合もあるため、下痢などの症状が愛犬にみられるようであれば与えるのは控えてくださいね。
にんじんが犬にとってもたらす大きな効果として以下の三点を詳しく紹介していきましょう。
◆ダイエット
にんじんは低カロリーな野菜なので、ダイエット中の愛犬にも与えやすい食材です。栄養価は高いので、プラスαの効果も期待できますよ。
おやつとして与えることもできますし、ドッグフードのトッピングとしても利用しやすい万能食材です。
かさ増しダイエットにも使えるので、是非チャレンジしてみてください。トッピングやかさ増しとして利用する場合は、1cm角よりも更に細かくカットすることがポイントですよ。
にんじんは皮も剥いて茹でた状態であれば100gあたり36kcal程度で、栄養素はタンパク質が0.7g、脂質0.1g、炭水化物は8.5g程だといわれています。与えているドッグフードの成分値を事前に確認しておき、バランスを崩さないように計算して置き換えするようにしましょう。
◆歯磨き
できれば加熱して与えることがすすめられるにんじんですが、生のにんじんには歯磨き効果があるといわれています。
にんじんに「歯磨き」といったイメージはあまりないかもしれませんが、子犬時代の歯の生え変わり期には、噛むおもちゃとして活用することができますよ。
ただし、丸飲みなどを防止するために与えるサイズには注意してください。
デンタルケアのサポートともなる食材ではありますが、与える際には愛犬の様子をしっかり確認しておきましょう。
◆栄養が多い
上記の通り、にんじんは低カロリーながらも栄養価の高い食材です。その豊富な栄養素から、以下のようなメリットを愛犬にもたらしてくれると考えられています。
皮膚・粘膜の健康維持
豊富に含まれるβカロテンは、体内でビタミンAに変換されます。そのため、皮膚・粘膜・目の健康に一役かってくれるのです。皮膚や粘膜は、免疫に大切なバリア機能となります。これらが健康であることが、免疫力の維持に繋がるのです。
消化不良の手助け
にんじんは消化不良・食欲不振のケアにおすすめだと、東洋医学においていわれている食材です。ただし、生のにんじんは硬いので、消化器官に心配のある愛犬には、食べやすい大きさ、柔らかさへと調理して与えることがすすめられます。
シニア犬のサポート
にんじんには抗酸化作用のあるビタミンAが含まれているので、シニア犬のおやつやフードのトッピングとしても最適です。
体内の酸化を抑えたり、取り除く効果が期待できるのです。身体の酸化の原因として、ストレスや食品添加物、老化などが理由として挙げられます。愛犬の健康管理も兼ねて、にんじんの利用を検討してみてください、
犬に与えるにんじんの量
犬に与えてもよいとされるにんじんの量は、個体の大きさによって違います。
以下の分量を目安にして、愛犬に与える量をしっかり管理しましょう。
-
犬の体重→与えてよいにんじんの量
・1kg → 6g
・3kg → 13g
・5kg → 18g
・10kg → 32g
・15kg → 43g
・20kg → 53g
・30kg → 72g
・40kg → 90g
尚こちらの量は、健康な成犬を対象として、1日の間食がにんじんだけの場合を想定して計算されたものです。
もちろん個体差はありますので、愛犬の様子をみながら調整することが必要です。
あくまでも目安量なので、愛犬が4kg、8kgというように表には挙げられていない体重の場合には、中をとったグラム数を与えて、その後体調に変化がないかチェックしましょう。
大型犬だから沢山与えても良い、といった安易な考え方も危険です。目安量を参考にしつつ、愛犬にとっての適切量を探ることが重要です。
にんじんの与え方
紹介してきたように、にんじんは生で与えることもできます。しかし、生のにんじんは硬いため、消化しにくいというデメリットも考えられます。
可能な限り、以下の方法で与えることがすすめられます。
◆加熱する
食物繊維が豊富なにんじんは、生で与えることで便がゆるくなったり、消化しにくいためにそのまま便として排出されてしまう場合があります。
加熱することで、食物繊維がある程度分解されるため、特にお腹の弱い子に対しては、加熱してから与える方法を選択するのがおすすめです。
ただし、にんじんには水溶性ビタミンが他の野菜よりも多く含まれています。茹でると栄養が、茹で汁に溶けだしてしまうのです。しかし脂溶性のβカロテンは、加熱することで吸収性が高まるため、油で炒めて与える方法がすすめられます。
◆生のにんじんはすりおろす
すりおろすことで野菜の細胞膜が破れ、細胞内の酵素が溢れだします。これにより、酵素が活性化されていくのです。
すりおろしたにんじんを与えることで、体内への酵素摂取量が2~3倍にも倍増されるそうですよ。消化吸収もよくなるので、おすすめの調理法です。
にんじんの効能を効率よく素早く摂り入れるためには、このすりおろして与える方法がベストだといえるでしょう。
◆小さく刻む
にんじんを与える際に最も注意したいのは、その大きさです。
喉に詰まらせないように、細かくカットするなどして、食べやすいサイズにしてから与えるようにしましょう。
スティック状で与えたい場合は、食べ終わるまでしっかり飼い主さんがチェックしましょう。必ず目の届く場所で与えてくださいね。
適切なにんじんのサイズは、愛犬の大きさや食べ方なによって違います。愛犬にとってぴったりのサイズを考えて、食べやすいようにカットしてあげましょう。
◆味付けはしない
にんじんに限ったことではありませんが、犬に人間用の食材を与える際には、最低限味付けをしないことがすすめられます。
砂糖・はちみつ・塩などの利用は避けてくださいね。もちろん、人間用に調理したものを与えるのはご法度ですよ。健康被害やしつけにも関わってくる問題なので、絶対に避けたい行為の一つだといえます。
素材そのままの風味を活かした方法で与えるのがベストでしょう。
◆アレルギーに注意する
にんじんは、アレルギーを発症しにくい野菜だといわれていますが、それでも100%アレルギーを発症しないとは言い切れません。
中には、アレルギー症状が現れたという個体も実際にいるようです。
アレルギーの主な症状としては、嘔吐・下痢・目の充血などが挙げられます。
愛犬に初めてにんじんを与える場合は、まずは少量を与えてから、その後異常がみられないかをしっかりチェックしましょう。
ちなみに、ヨモギ・シラカバなどにアレルギーのある犬の場合、アレルギー反応がみられやすいとの見解もあるようです。愛犬が該当する!という飼い主さんは、特に注意してくださいね。
にんじんは、アレルギーになりにくい野菜といわれていますが、ごくまれにアレルギー症状が現れる犬もいるようです。主なアレルギー症状は、おう吐や吐き気、下痢、目の充血などが考えられます。初めてにんじんを食べさせるときは、少量からスタートし、愛犬の体調に異変があった場合は与えないようにしましょう。
にんじんの葉や皮は与えて大丈夫か
にんじんの葉には、中毒性はなく、むしろβカロテンが多く含まれています。ほとんどの場合、愛犬に与えても問題はないといえるでしょう。
そして皮にも栄養が含まれているので、同じことがいえます。
ただし皮ごと与える場合は、農薬などへの注意が必要です。しっかり洗ってから与えるようにしましょう。
にんじんを与えるのに注意が必要な犬
前述したように、にんじんに含まれる成分の一つにβカロテンがあります。
これは犬にとって必須栄養であり、一定量を摂り入れるべき重要な成分なのですが、過剰に摂取することで「ビタミンA中毒」の原因となることも事実としてあるのです。
ビタミンA中毒として、肝臓や皮膚のトラブル、嘔吐や腹痛、無気力や食欲不振などの症状があげられます。
特に肝臓に負担がかかるため、以下の病気を抱える愛犬には、注意が必要だということを覚えておきましょう。
◆膵炎
膵臓に炎症が起こる病気を膵炎といいます。消化酵素の分泌が不全となることで、特に脂肪代謝に対してトラブルを抱えるようになってしまいます。
膵炎を発症すると、肝臓に負担がかかってくることが多いため、膵炎を患っている個体には、にんじんをあたえることに注意が必要だといえるでしょう。
◆肝臓病
肝臓病を発症していたり、肝臓数値の高い犬には、にんじんを与えないことが無難だといえます。
既に肝臓トラブルを抱えている状態のため、βカロテンに対して過敏になっている可能性があります。
また、ホルモンバランスの乱れにより肝臓病を併発しやすいとされる、「クッシング症候群」を抱える犬にも注意が必要です。肝臓病の併発を避けるためにも、にんじんを与えないことがすすめられます。
◆胆嚢疾患
胆嚢炎・胆泥症などの、胆嚢にトラブルを抱えている個体にも、にんじんは要注意食材となります。
犬の胆嚢トラブルには、肝臓と連動しているところがあるのです。肝臓病などと同様の、リスクに対する管理が必要となります。
まとめ
手に入りやすく身近な存在である野菜のにんじん。犬にメリットをもたらす栄養成分も満タンなので、積極的に与えたい食材でもあります。
ただし、肝臓疾患など特定の病気を抱えるワンちゃんには注意が必要だということは、忘れないでくださいね。
健康な犬に対しても、過剰に与えることで中毒を引き起こす原因となる、という点も頭に入れておきましょう。
にんじんを与える場合は、必ず適量を守るとともに、トラブルを起こさない方法で調理して与えるようにしてください。
愛犬に何らかの異常がみられた場合は、動物病院を受診し、獣医師に相談しましょう。アレルギー反応を示す個体は、ゼロではありません。
まずは少量を与えて様子見をすること、愛犬にとっての適切量を探ること、しっかり観察してリスクなく愛犬が食べやすい状態を見極めること、が飼い主さんに必要な努力となります。
愛犬の健康サポートのためにも、にんじんの活用を是非検討してみてください。にんじんを使った人気の手作り食やレシピなどを探してみるのもおすすめですよ!
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