1.犬に炭酸水を与えてもいいのか
4.炭酸を使ったシャンプーの種類
4-1.炭酸シャンプー
4-2.炭酸泉
4-3.マイクロバブル
5.シャンプーで炭酸を使う効果
5-1.血行の促進
5-2.汚れや消臭効果
5-3.トリミング時間の短縮に繋がる
5-4.シャンプーで炭酸を使う場合の頻度
【掲載:2021.01.16 更新:2023.01.16】
犬に炭酸水を与えてもいいのか
犬に炭酸水を与える場合は少量なら問題ありません。
健康によさそうな炭酸水ですが、はっきり言って犬が飲む場合、メリットといえるものは特にありません。
犬にとって摂っておきたい栄養素が含まれているわけではないですし、日常的に飲むのなら刺激の少ない水道水で十分です。
メリットがない分水と同じだからデメリットもないのかなと思うかもしれませんが、逆にデメリットは存在します。
炭酸によってお腹がいっぱいになり必要な量のフードを食べることができなかったり、水分が摂れなかったりすることです。
こちらはゲップをすることで解決しますが、犬の身体の構造上ゲップは出にくいため注意が必要です。
ゲップが出ずに炭酸ガスが胃の中に停滞し胃が異常に広がってしまうと、胃がねじれてしまう胃捻転を起こす危険もあります。
少量試して反応をみる分には健康に影響を及ぼす可能性は低いですが、犬が炭酸水を気に入って大量に欲しがってしまうこともあるので気をつけましょう。
犬が炭酸水を飲んだときの反応は動画を紹介します。
炭酸の刺激に驚く犬、あまり何も感じていないように見える犬、反応はさまざまです。
あまり積極的に炭酸水を飲もうとする犬はいないように見られますが、飼い主さんが普段自分が飲んでいる炭酸水を気軽に与えることのないようにしてください。
また炭酸水を大量に与えた場合、含まれる成分によって病気を引き起こす危険性もあります。
炭酸水に含まれる成分と病気についてみていきましょう。
炭酸水に含まれる成分
炭酸水は水に炭酸ガスを溶かしたものですが、水にはカルシウムやナトリウム、マグネシウム、リンやカリウムなどのミネラル分が含まれています。
ミネラルは私たち人間だけでなく犬にとっても身体の構成にかかわるだけでなく、身体の機能を維持したり調節したりする重要な役割を担っています。
例として、カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、リン、カリウムの5つの元素の働きを見ていきましょう。
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・カルシウム…骨格の形成、細胞機能の発現と維持をする
・ナトリウム…細胞の外と中の体液バランスをとる、筋肉や神経の反応に関係する
・マグネシウム…エネルギー生産、体温の維持、ホルモンの分泌にかかわる
・リン…カルシウムと結びついて骨や歯をつくる
・カリウム…神経の興奮や筋肉の収縮にかかわる
それぞれの働きはほんの一部で、さまざまな働きを持つミネラルですが、摂りすぎてしまうと犬の身体には負担になってしまう場合も。
犬が炭酸水を多く飲むことによりミネラルを必要以上に摂ってしまうことで心配なのは、尿路結石や腎不全のリスクです。
尿路結石は尿に含まれるミネラル分が結晶化し、膀胱や尿道などで結石になってしまう病気です。
尿が出にくくなったり血尿が出たり、オス犬の場合細い尿道に詰まってしまうと命にかかわることもあります。
また、腎臓の働きのひとつとしてミネラル分の調節がありますが、ミネラルを摂りすぎることで腎臓に負荷がかかり、十分な働きができなくなることがあります。
この状態を腎不全といいます。
腎臓は一度悪くしてしまうと治ることはありませんので、多量の炭酸水は与えない方がいいでしょう。
また、スーパーやコンビニなどで市販されている炭酸水の種類は多くありますが、これは水の種類により分けられます。
ミネラルが少ない水は「軟水」、多く含まれる水は「硬水」に分類され、特に硬水は犬に与えないように注意しましょう。
炭酸飲料は絶対に与えてはいけない
炭酸水は少量なら問題なく与えすぎには注意しましょうと書きましたが、犬に炭酸飲料を与えることはいいのでしょうか。
炭酸水は水に二酸化炭素を溶かしたものですが、炭酸飲料はそれに甘みや香料を足したもので、見た目以上に多くの糖分が含まれています。
犬は甘みを感じることができるので、気に入ってしまうとその後たくさん欲しがってしまうことも。
多量の糖分を摂ってしまうことで肥満や糖尿病、歯周病を引き起こす恐れがあります。
特に肥満は足腰に負担をかけることで更なる病気の発生する危険があり、糖尿病も一生付き合っていかなければならない病気です。
歯周病もひどくなると痛みでフードが食べられなくなり、麻酔をかけて歯を抜く処置が必要な場合もあります。
このことから、犬に炭酸飲料は絶対に与えないようにしましょう。
炭酸を使ったシャンプーの種類
犬に炭酸水を与えるメリットはないと書きましたが、シャンプーとして使うのはどうなのでしょうか。
炭酸を使ったシャンプーには炭酸シャンプー、炭酸泉、マイクロバブルがあります。
◆炭酸シャンプー
炭酸シャンプーとは、シャンプーに炭酸水を混ぜたものです。
作ってすぐにシャンプーをしないと炭酸ガスがなくなってしまうため、手早くシャンプーすることが大切です。
この後紹介する炭酸泉やマイクロバブルほどの効果はありませんが、普段犬をペットサロンに連れて行く習慣がなく自宅でシャンプーしている方は手軽に試すことができます。
◆炭酸泉
炭酸泉はお湯に炭酸ガスを入れたものです。
出しているお湯に炭酸ガスが入っているので、炭酸シャンプーよりも十分に炭酸の効果を発揮できます。
ペットサロンでは専用の機械を利用してお湯に炭酸ガスを入れていきますが、材料は簡単に手に入るので自宅でも試すことができます。
家で作る場合は39度程度の犬が浸かれる量のお湯に重曹小さじ2、クエン酸小さじ1を入れると炭酸泉の完成です。
重曹やクエン酸は掃除用のものも販売されていますが、食品添加物として販売されているものを使って試していてくださいね。
◆マイクロバブル
マイクロバブルとは、名前のとおり極小の気泡のことで、高度洗浄機能と呼ばれています。
マイクロは気泡のサイズを指し、炭酸よりも細かいので犬の毛穴の中まで入り汚れや皮脂を落とせるのが特徴です。
シャワーで洗浄するのに比べて洗浄力が高く、綺麗に洗い上げることができます。
マイクロバブルはトリミングサロンなどさまざまな店で取り入れられ、炭酸泉と一緒につかわれることもあります。
シャンプーで炭酸を使う効果
シャンプーで炭酸を使う効果として、血行の促進、汚れや消臭効果を発揮する、リラクゼーション効果などが挙げられます。
それぞれの効果と、炭酸を使ったシャンプーをする場合の頻度も見ていきましょう。
◆血行の促進
炭酸を使う効果として血行の促進が挙げられ、炭酸シャンプー、炭酸泉、マイクロバブルの中では炭酸泉が効果が高いと言われています。
炭酸ガスは犬の皮膚から吸収されると毛細血管にまで入り込みます。
毛細血管に入ると炭酸は血管を広げられるため、血行が促進されます。
これにより犬の被毛にハリやツヤが出るだけでなく、新陳代謝や免疫力の向上ができます。
また、血行が促進されると自律神経が整い、それによりリラックス効果も期待できます。
◆汚れや消臭効果
炭酸の気泡が皮脂に吸着することで、シャワーでただ洗浄するより汚れが落ちやすくなる効果があります。
細かい気泡であればあるほど犬の毛の根元や毛穴の中まで入り込み汚れを落とすので、マイクロバブルが高い効果を発揮します。
また、通常であればシャンプーをして数日経てば犬の独特なペット臭がしてしまうところ、炭酸で毛穴の中の皮脂や汚れを取り除ける分、消臭効果が長く続きます。
◆トリミング時間の短縮に繋がる
汚れを効率的に落とせるので、犬を何度もシャンプーする手間が省け時間の短縮になります。
また、毛穴の奥から洗浄できるので毛の立ち上がりが良く、ブラシがかけやすくなります。
効率的にブラシをかけられるとドライヤーの風を毛の間や根元に当てることができ、さらに時間の短縮になります。
また、シャンプーやドライヤーの温風に対して恐怖や不安を抱く犬もいますが、全体的に時間を短縮することで不安に感じる時間も短くなり、ストレスの軽減につながります。
◆シャンプーで炭酸を使う場合の頻度
血行を促進でき汚れを落とせるので、炭酸を使ったシャンプーは愛犬に毎日でも行いたいケアですよね。
機械を使用するマイクロバブルは難しくても、自宅でできる炭酸シャンプーや炭酸泉なら毎日でも行うことができます。
しかし、やりすぎは禁物です。
炭酸は汚れが落ちる分やりすぎてしまうと犬の必要な皮脂を落としすぎてしまい、乾燥やふけ、かゆみや皮膚炎などの皮膚トラブルを引き起こす可能性があります。
長毛種の犬は汚れがつきやすいため多くても週1日から10日に1度、短毛種の犬の場合月1~2回程度にしておき、普段のお手入れとは違うスペシャルケアとして利用していきましょう。
まとめ
今回は犬に炭酸水を飲ませてもいいかということと、炭酸を使ったシャンプーについて見ていきました。
・炭酸水は少量なら与えてもいいが、犬にとって特にメリットはない
・デメリットとして与えすぎると炭酸で胃が膨れフードの食べや飲水量に影響を与えることも
・ミネラルを過剰に摂ると尿路結石や腎不全のリスクがある
・炭酸を使ったシャンプーとして炭酸シャンプー、炭酸泉、マイクロバブルがある
・炭酸を使ったシャンプーの効果として犬の血行の促進や汚れを落とし消臭効果を持続させること、トリミング時間の短縮に繋がることが挙げられる
・スペシャルケアとして長毛種の犬では週1から10日に1度、短毛種の犬なら月1~2回程度にとどめる
炭酸水は犬にとって飲ませても特にメリットはなく、逆にミネラルの含有量や与える量に注意が必要ですが、シャンプーとして愛犬に使う場合血行を促進したり高い汚れ落ちや消臭効果を発揮したりしてくれます。
色々な利用方法を知り、少しでも愛犬のためにいい方法を見つけていきましょう!