1.ウェルシュテリアの歴史
3.ウェルシュテリアの性格
3-1.陽気で人懐っこい
3-2.賢い
3-3.気難しく頑固
3-4.従順で愛情深い
3-5.警戒心が強い
3-6.怖いもの知らず(勇敢)
4.ウェルシュテリアの気を付けたい病気
4-1.脂漏性皮膚炎
4-2.外耳炎
4-3.膝蓋骨脱臼
4-4.緑内障
4-5.白内障
4-6.眼瞼内反症
ウェルシュテリアの歴史
ウェルシュテリアは、イギリスのウェールズ地方原産です。13世紀から存在していたという説があるほど歴史のある犬種ですが、17世紀以前の歴史は定かではありません。少なくとも1700年代には、今のウェルシュテリアの特徴を持つ犬が飼育されていたようです。
初期のウェルシュテリアは、湖水地方で古くから飼育されていたレイクランドテリアの原型にもよく似ているとされ、共通の祖先をもつと推測されています。
ウェルシュテリアは、キツネやアナグマ、ウサギ、カワウソなど、小型犬から見れば大きな動物を、猟で追い立てたり駆除したりするために使役されていました。
猟犬らしい勇猛果敢さで、農家や漁師から重宝されていたようです。
犬種として認められ始めたころは、ブラック・アンド・タン・ワイヤーヘアード・テリアと呼ばれていました。1886年ごろに、ウェルシュテリアという名前で、イギリスケネルクラブに登録されます。
しかし、ほぼ同時代に、ウェールズ州に近い北イングランド州に、オールド・イングリッシュ・ブロークンヘアード・テリアという名前で、ウェルシュテリアとよく似た外見をした犬が育種されていました。
この2つの犬種が、同じドッグショーに出展されるようになり、ショーの参加者を混乱させたといわれています。
その後、これらの2つの犬種やワイヤー・フォックス・テリア、エアデール・テリアなどが交配されることで、現在のような洗練されたウェルシュテリアとなりました。一方で、オールド・イングリッシュ・ブロークンヘアード・テリアは、絶滅してしまいました。
ウェルシュテリアの特徴
◆外見
ウェルシュテリアは、体高が39㎝まで、体重は9.5kg程度までが理想とされる、小型犬としては大きめの犬種です。
体長よりも体高がわずかに長いほぼスクエア型の体型で、がっちりとした筋肉質の体をしています。
手足もしっぽもまっすぐで、しっぽを背中に背負っているのは好ましくないとされています。しかし、近年は動物愛護の観点から、原産国イギリスでも断尾を避けるようになってきています。
平らな頭頂にはストップはほとんど認められず、目も耳も小さめで、耳はV字型に垂れています。
◆被毛
針金状の硬いゴワゴワした巻き毛のオーバーコートと、柔らかいアンダーコートを持つダブルコートです。
毛色は、タン(黄褐色)を基調とし、ブラックの斑が入るブラック&タンと、グリズル(黒と灰色や赤色の混合色)の斑が入るブラック・グリズル&タンの2種類が認められます。
ドッグショーでは、バランスよく表現されているものが好まれ、指趾にブラックの線が入っていたり、飛節(後肢にある関節)より下にブラックが入っていたりすると失格になる場合があります。
ウェルシュテリアの性格
ウェルシュテリアは、テリア気質を持った犬種です。
◆陽気で人懐っこい
ウェルシュテリアは、陽気で活発な性格をしていて、遊ぶことが大好きです。お茶目な行動をとることもあり、ムードメーカー的な存在になることも。人を楽しませることが大好きで、サービス精神も旺盛なので、信頼関係を築けると、その場の雰囲気を明るくしてくれるでしょう。
人懐っこい分、コミュニケーションを取りたがる面があり、コミュニケーションが少ないとストレスを溜めてしまうこともあります。
◆賢い
ウェルシュテリアは知能が高い犬種で、トレーニングが得意です。賢い分、プライドが高く、負けん気が強いという面も持ち合わせています。
◆気難しく頑固
テリア種に共通する性格ですが、ウェルシュテリアにも気難しく頑固な面があります。ただ、テリア種の中では、頑固さや攻撃性は比較的弱めで、穏やかな方だといわれています。
◆従順で愛情深い
従順で愛情深い点も、ウェルシュテリアの特徴と言えます。
飼い主さんには非常に素直な態度を示し、子どもにも友好的です。
◆警戒心が強い
警戒心が強いため、見知らぬ人や他の動物に対して攻撃的な態度をとることもあります。
◆怖いもの知らず(勇敢)
自分より体が大きく気性も荒いアナグマに果敢に立ち向かっていたウェルシュテリアは、勇敢で怖いもの知らずの性格をしています。
ウェルシュテリアの気を付けたい病気
ウェルシュテリアは、基本的には体が非常に丈夫で、純血種としては遺伝性疾患が大変少ない犬種です。
しかし、犬種共通にみられるかかりやすい病気については、他の犬種同様、一定のかかりやすさを持っています。
◆脂漏性皮膚炎
脂漏症は、皮膚の新陳代謝が異常に速くなり、全身の皮脂腺の分泌が過剰になったり、皮膚の角化が異常に亢進したりした状態です。
症状としては、乾燥した光沢のない被毛、過剰なフケ、皮膚のべとつき、体臭が強くなる、かゆがる、脱毛などが見られます。
全身のあらゆる部位で発症しますが、趾間、会陰、顔面、脇の下、頚背部、腹部、皮膚のしわの間などでは、重度になりやすいです。
◆外耳炎
ウェルシュテリアは垂れ耳なので、外耳炎になりやすい傾向があります。
外耳炎とは、外耳(耳介から鼓膜までの部分)の皮膚に炎症が起こることです。治療が遅れると慢性化する場合もあり、注意が必要です。
耳を清潔に保つことで予防することができますが、間違った方法での耳掃除やシャンプー液が耳に入ることなどで外耳炎を引き起こすことがあるため、お手入れは正しい方法で行いましょう。
◆膝蓋骨脱臼
膝蓋骨脱臼とは、後肢にある膝蓋骨(膝にあるお皿のような骨)が、正常な位置から内側または外側に外れてしまう状態をいい、小型犬では内側への脱臼(内方脱臼)が多く見られます。
◆緑内障
眼球の角膜と水晶体の間(前眼房)には、「(眼)房水」という血液の代わりに栄養などを届ける液体が循環しています。房水は、ブドウ膜の毛様体という部分で作られ、隅角という出口から眼球の外に出ていきます。
緑内障は、うまく出ていけなくなった房水が前眼房に溜まりすぎて、眼球内の圧力(眼圧)が高くなることで、様々な障害が引き起こされる病気です。中年齢から高年齢の犬で、よく見られます。
根本的な予防策はなく、早期発見・早期治療で、失明などの重大な症状を防ぐことが大切です。
◆白内障
カメラのレンズと同じ役目をしている水晶体は、正常な状態では透明です。
白内障は、水晶体の一部もしくは全部が何らかの原因で変性して、白く濁ってしまう病気です。加齢とともに発症する「老年性白内障」と、遺伝性の素因があるといわれる「若年性白内障」があります。
◆眼瞼内反症
瞼が、内側にめくれている状態です。結膜炎や角膜炎を起こし、目に痒みや痛みが生じ、目やにや涙が見られます。
ウェルシュテリアの価格
日本では希少犬種なので、ペットショップで出会うことは稀ですが、ペットショップでは27万円~となっています。
ウェルシュテリアを迎え入れるには、ブリーダーを探し、子犬がいるか、今後ブリーディングの予定があるかを問い合わせるとよいでしょう。ブリーダーでは、平均価格が約28万円、最高価格は37万円です。
ウェルシュテリアの飼い方
◆散歩や運動
猟犬として活躍していたウェルシュテリアは、活発で運動量が多い犬種です。
散歩は、1回30分以上、1日2回行い、歩くだけではなく駆け足なども取り入れましょう。筋肉質で力が強いので、必ず大人がリードを持つようにしてください。
休日などは、ドッグランで思い切り走らせるなど、しっかりと運動させてあげるとよいでしょう。賢くトレーニングも入りやすいので、アジリティにチャレンジするのもおすすめです。
ただし、しつけがしっかりと入っていない場合には、他の犬とトラブルになることもあるため、ドッグランでもリードを外さないようにしてください。
◆餌
活発で運動量の多いウェルシュテリアには、骨や筋肉の育成に役立つ栄養素からフードを選びましょう。特に子犬のころは成長していく大切な時期なので、動物性たんぱく質、カルシウム、ビタミンなどを豊富に含んだフードを選んでください。
◆しつけ
ウェルシュテリアは、賢く、トレーニングが入りやすい一方で、気難しく頑固な面から、しつけがやや難しい犬種です。飼い主さんは、毅然とした態度をとることで、愛犬にとって信頼できるリーダーとなる必要があります。
また、プライドが高いので、叱るより褒める方が効果的です。
間違ったしつけをすると、反抗的になったり指示を聞かなくなったりすることがあるので、時間をかけて信頼関係を築き、一貫性を持ってしつけを行いましょう。
しつけが難しいと感じたときには、ドッグトレーナーなど専門家の力を借りるとよいでしょう。
◆お手入れ
ウェルシュテリアは、抜け毛が少ないので、抜け毛をあまり気にすることなく飼うことができます。しかし、その分、毛が伸び続けるため、定期的なトリミングを必要とします。
被毛はワイヤーの巻き毛なので、伸びてしまうと絡まるようになります。特に成犬は、毛が伸びるスピードも速く、絡まりやすいです。子犬のうちから、ブラッシングの習慣をつけておき、少なくとも1日おきにコーミングを行いましょう。リラックスしているときに優しく、ゆっくり行い、コームは深く差さないよう気をつけます。
また、体臭がやや強めなので、月に1度はシャンプーを行う必要があります。自宅でシャンプーをする場合は、事前にクシでとかし、汚れや抜け毛を取り除いておきましょう。
ドッグショーに出す場合や、ウェルシュテリア本来の外見を保ちたい場合には、プラッキングという特別な技術で毛を抜く必要があります。家庭でもできますが、技術が必要なので、テリア種のプラッキングに慣れたトリマーさんにお願いすることをおすすめします。
また、ウェルシュテリアのトレードマークともいえる口ひげは、食事の際に汚れやすいため、雑菌対策として、しっかりと拭き取って清潔に保ちましょう。
◆暑さ対策
寒さには強いですが、暑さには弱いです。特に、日本の夏の高温多湿は苦手なので、夏場はしっかりと温度管理をしてあげましょう。
まとめ
イギリスのウェールズ地方原産のウェルシュテリアは、陽気で活発な遊び好きの犬種です。一方で、頑固さや気難しいというテリア気質も持ち合わせており、毅然とした態度でのしつけが必要です。
多くの運動量を必要とするので、十分な散歩に加えて、ドッグランやアジリティでしっかりと運動させてあげましょう。
警戒心が強く、他の犬に対して攻撃的になることもあり、また、筋肉質で力が強いので、散歩の際は必ず大人がリードを持つようにしてください。
被毛のお手入れにはやや手間がかかるため、お手入れをする余裕がない場合には飼いにくいかもしれませんが、一緒に運動を楽しみたい方や、フレンドリーで愛嬌のある犬と暮らしたい方におすすめの犬種です。
– おすすめ記事 –
・犬に豆腐を与えたい!ポイントと与え方を解説 |
・犬はバナナを食べても大丈夫?注意点やメリット、バナナの与え方を知ろう! |
・犬に海苔を与えてもいい?含まれる栄養素と効能、与える時の注意点 |
・愛犬にキャベツを食べさせてもいいの?持病のある犬は要注意! |