1.犬の遠吠えとは
4.遠吠えが多い犬種
4-1.アラスカンマラミュート
4-2.シベリアンハスキー
4-3.ダックスフンド
4-4.ビーグル
5.遠吠えをやめさせる方法
5-1.飼育環境を変える
5-2.ストレス発散をさせる
5-3.コミュニケーションを増やす
5-4.要求には応じない
5-5.生活リズムを変える
5-6.動物病院を受診する
犬の遠吠えとは
人間もまだ原始的な暮らしをしていた時代、群れにいるより人間から食料をもらった方が生きやすいとオオカミが気づき、仲間になっていったと言われています。そのようなオオカミは群れで食料の取り合いに勝てないので、人間に馴染みやすくおとなしい性格だったと思われます。
オオカミは狩りに行った仲間が迷わないように住みかを知らせる、又は敵の接近を知らせるために吠えていました。しかし聴覚の悪い人間と暮らすようになると、声を変えなければいけません。番犬をするようになって吠え声はワォーンからワンワンに変わったとされています。遠くよりも近くにいる人間のために吠えるようになり、遠吠えをする必要はなくなっていきました。
チワワも遠吠えをするのか
現代のペットとして飼われている犬は体が小さく、オオカミとは似ても似つかない犬がほとんどです。近年は多くの犬が屋内で暮らすようになり、人間に守られているので遠くの仲間と吠え合う必要はなくなりました。ですがどの犬にもオオカミだった頃のDNAは残っています。チワワのような小型犬でも遠吠えを全くしないわけではありません。
犬にとって吠えることは人間のおしゃべりのようなものです。吠えるときは何か言いたいことがあるときなので、遠吠えにも感情が含まれています。遠吠えをする犬は寂しい、退屈など問題があると考えられます。
なぜサイレンに遠吠えするの?
救急車やパトカーのサイレンが聞こえると遠吠えする犬はたくさんいます。犬によって反応するものとしないものがあるようですが、サイレンの音が遠吠えと周波数が同じで、他の犬の鳴き声と勘違いしやすいためです。仲間に危険を知らせている、声が響くのを面白がっているなど様々な説があります。
遠吠えが多い犬種
◆アラスカンマラミュート
アラスカ西部で犬ぞりや狩猟に使われていた大型犬です。見た目はオオカミに似て遺伝子も近いことがわかっています。強面ですが協調性がある犬です。
今でもそり犬として働く犬は屋外で生活し、外敵がいるので吠える習性があります。体が大きいので声が大きく、広い雪原では大声で吠える必要が出てきます。
◆シベリアンハスキー
アラスカンマラミュートよりは小さいですがオオカミに似た顔立ちの犬です。同じく群れで暮らし、そり犬として働くときはチームワークが大切になります。協調性があり、陽気な性格ですがその分寂しがり屋で無駄吠え・遠吠えをしてしまう犬が多いようです。
◆ダックスフンド
ドイツ原産の小型犬で人気犬種ですが、猟犬として働いていたので吠えやすいと言われています。巣穴の中にいるアナグマやウサギを見つけ、吠えてハンターに知らせます。祖先はスイスの山岳地帯で暮らしていたので、やはり遠くに響くように吠えていました。
◆ビーグル
イギリス原産でウサギなどの獲物のニオイを追跡する狩猟犬です。ハンターはラッパでビーグルに指示を出し、ビーグルは獲物を追いながら吠えるのが仕事でした。森の鈴や森のトランぺッターなどの愛称がつけられている通り、体の大きさの割に声量があります。無駄吠えしやすく運動量が必要なので初心者には扱いにくい犬とも言われています。
遠吠えをやめさせる方法
◆飼育環境を変える
吠えやすい犬は狩猟犬に多く、飼い主さんが大好きで1人でいるのが苦手です。オオカミも犬も群れで暮らしてきた動物なので、寂しがり屋な点が共通しています。これらの犬種はマズルが長く、自然と響く声が出てしまうのです。
犬の居場所は家族の存在が感じられる場所が合っています。家が広くて家族の姿が見えなくなってしまうと犬は寂しさを感じ、「ここにいるよ」とアピールするために遠くに吠えるようになります。テレビやドアの近くなどのうるさい場所は落ち着きませんが、家族の存在が感じられる場所が犬は安心します。
近年は温暖化により屋外での飼育は減りましたが、今でも屋外で暮らしている犬はいます。犬は1人でいると当然不安を感じます。また近所にヒートのメス犬がいると、オス犬は興奮して吠えやすくなります。犬の嗅覚では数㎞離れた場所からもヒートのニオイを見つけられると言われています。屋内にいればニオイに気づきにくくなります。犬が吠えて近所迷惑にならないためにも、できるだけ屋内で飼育するようにしましょう。
◆ストレス発散をさせる
犬も生活していると何かしらストレスがあります。飼い主があまり散歩に連れて行ってくれない、遊んでくれないと暇です。そんなときに他の犬の遠吠えが聞こえてきたら自分も参加したくなってしまいます。
最近では分離不安が病気として扱われるようになりました。簡単に言うと寂しい、飼い主と一緒にいたいということなのです。どの犬にもあるように思えますが、飼い主がいないと激しく吠える、自分の足や尻尾を傷つける、破壊など問題行動を起こす症状のことです。放棄された犬や過去に辛い経験をした犬によく見られます。在宅時によく遊んで疲れさせてから外出する、長時間遊べるおもちゃを与える、世話は家族みんなでして誰か1人に依存させないなどが対策です。動物病院を受診すると精神安定剤を服用することもあります。
◆コミュニケーションを増やす
犬のストレスは運動不足だけが原因とは限りません。多頭飼育の場合、もしかすると犬同士の相性が悪くて吠えている可能性もあります。よく遊んで頻繫にコミュニケーションをとっていると、それぞれの性格がよくわかり、病気にも気づきやすくなります。運動量を増やしてストレス発散をさせるのはあらゆる問題行動の解消に繋がります。
寂しがって吠える犬は、できるだけ1人にしないことが大切です。留守番の際にはおもちゃを与えると良いのですが、改善されない場合は信用できる人に任せるのも対策です。ペットシッターや訓練に出す、可能であれば職場に連れていくと良いです。
◆要求には応じない
犬が吠えてうるさいからおやつをあげる、かまってあげるといった対策をとっていると、犬は「吠えたら要求に応えてもらえる」と学習します。このような対策は応急処置で、しつけとしては良くありません。
おやつをあげるのではなくおすわりやつけなどの指示を出すと落ち着くことがあります。犬の頭の中を別のことに切り替えるのがポイントです。指示を覚えるのは時間がかかりますがその分スキンシップが増えます。
犬がペットとして迎えたばかりの子であれば、とにかく不安なので誰もいなくなると吠えやすくなります。使い慣れたタオルなどを置いて環境に慣れてもらうしかありません。飼い主が別の部屋に行ったときに鳴き声がしても無視をし、すぐ近くにいるんだと学んでもらいましょう。
◆生活リズムを変える
夜や朝に吠えてしまう犬は不安というより空腹なのかもしれません。そんな子は食事の量は変えずに回数を増やす、時間を変えると改善されます。食事が1日2回だったのを3回にしてみる、夕食の時間を遅くしてみるなど試してみてください。
トイレが近い子の場合は朝まで我慢ができなくて吠えている可能性があります。夜寝る前にトイレを済ませると安心して寝てくれます。高齢犬は特に我慢ができないのでおすすめです。
◆動物病院を受診する
高齢犬が夜に遠吠えをしていたら認知症の疑いがあります。昼夜逆転してしまい夜に活発になってしまうのが原因です。認知症をしつけで直すことはできませんが、病院では精神安定剤や睡眠剤を処方することがあります。他にも目や耳が悪くなっているから1人で行動するのが怖い、足や関節に痛みがある可能性があります。獣医師に相談すると病気が見つかるかもしれません。
体が衰えて飼い主さんに助けてもらいたいと感じるときが増え、赤ちゃんがえりをする犬もいます。目や耳が不自由になっても犬なので嗅覚は優れています。そばに飼い主のニオイのついた服や毛布を置く、床ずれしないように寝床を整えるなど工夫してあげてください。同じベッドで寝なくても寝室を一緒にしてあげるのも良いでしょう。
まとめ
愛犬が遠吠えをするときは何か訴えたいことがあるときです。ストレスが溜まっていないか、その原因は何か、よく観察してください。高齢犬ならば病気が見つかる可能性があります。不安があり、わからないことがあるときには獣医師やドッグトレーナに相談してみましょう。