1.家庭犬訓練士とは?
1-1.犬の訓練士の重要性とは
2.家庭犬訓練士になるにはどうしたらいい?
2-1.専門学校
2-2.通信講座
2-3.しつけ教室・訓練所
家庭犬訓練士とは?
犬の訓練士といっても、その目的によってタイプは様々あります。
訓練士と呼ばれる仕事と聞くと、警察犬訓練士、盲導犬訓練士、災害救助犬訓練士など、専門的な訓練士がイメージされやすいでしょう。しかし、今回注目するのはこれらとは別の、家庭犬の訓練士についてです。
一般社団法人ジャパンケネルクラブ(JKC)が主催する訓練士試験は、家庭犬・警察犬・FCI国際作業犬試験(IGP)の三つのカテゴリに分かれています。
この内、家庭犬の訓練試験のこと「CD」といいますが、これは、Companion Dogの頭文字がとられたものです。
訓練試験には4つのレベル(CDⅠ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅹまで)があり、CDⅠの試験科目は5つ、CDⅡとなると10課目といったように、難易度は徐々に上がっていきます。
犬との良好な関係を常に築きつつ、犬に信頼されることを第一に考えて、その犬に適した方法を選択し、人間と共存するためのマナー・ルールの指導、総合的なアドバイスの習得を目指していくのです。
また資格取得を目指す過程では、人間と共存して暮らすために必要な犬のしつけや、犬を迎えたら知っておくべき飼い主のマナーなど、基本的な基礎知識を学ぶことも可能となるでしょう。
犬を飼う上で必要不可欠な、社会的責任・犬に関する知識を、飼い主さんに対して分かりやすく伝えられることが、家庭犬訓練士に求められるポイントの一つでもあります。
ちなみにJKC以外にも、一般社団法人 全日本動物専門教育協会(SAE)などが、家庭犬訓練士のライセンスを発行していますよ。
◆犬の訓練士の重要性とは
犬のトレーニングには、様々な方法がありますよね。訓練士とは、どの訓練方法がその子に合っているかを的確に判断し、力づく・暴力などを使用せずに、ルール・マナーを教えることを基本とします。
以前までは、訓練所に愛犬を預ける「預かり訓練」が主流でした。しかし現在では、大勢の犬と一緒に訓練所で訓練をする従来のスタイルの他、飼い主さんと一緒に行うマンツーマン訓練、家庭に訓練士が出向かう出張訓練などもあり、その訓練の形態様々となってきました。
犬によっては訓練士の指導を受け入れることができず、人間嫌いになる、訓練所がトラウマになる、といったようにトレーニングがマイナス方向に働いてしまう場合もあります。
そのような事態を避けるためにも訓練士は、どの訓練方法が、その犬、その家庭に合っているかを的確に判断して、犬がきちんと理解できる方法を選択しなければならないのです。
社会に受け入れられ、問題なく生活を送ることができる飼い犬に育つかどうかが、訓練士の技量に関係してくるともいえるでしょう。
家庭犬訓練士になるにはどうしたらいい?
家庭犬訓練士の資格取得を目指すための勉強法として、主に以下の三つの方法が挙げられます。
いずれも、学べる訓練スタイルやカリキュラムにそれぞれ特徴があるので、事前にしっかりチェックしておく必要があるでしょう。
◆専門学校
ペットに関する仕事につくことを目的とした専門教育を受けられる学校が、現代では珍しくありません。その数や学科の種類も豊富です。ドッグトレーナーなどの訓練学科やトリマーなどの美容系、ペットホテル・ドッグカフェの運営など、目的に合わせた技術や知識を身に付けることができるでしょう。
説明会や見学会などが定期的に実施されている所が多いので、ホームページなどをチェックしてみてください。目的のライセンス取得や必要な技術を身に付けられるかどうかをじっくりチェックし、様々な学校を見比べてみましょう。
◆通信講座
基本的に自宅で学びたいという方には、通信講座という選択肢があります。こちらも様々な種類があり、取得できる資格もそれぞれです。ちなみに通信講座とはいえ、実技を伴う通学講座の受講は必須となっていますので注意してください。
通信講座には、気になる講座の資料をまとめて一緒に請求できるサイトもあります。複数の講座内容が気になるようでしたら、すべてチェックしておくことをおすすめします。無料で資料請求できる場合が多いので、気軽に初めの一歩を踏み出すことができるでしょう。
◆しつけ教室・訓練所
家庭犬訓練士になるために、プロのトレーナーに弟子入りする方もいます。普段通っているしつけ教室やドッグスクールなどで、実際に活躍している訓練士さんにお話を聞いてみるとよいでしょう。プロから直接学べる、間近で常にその実技を目にできるというのは貴重な体験となります。信頼できる訓練士さんがいる方は、直接相談してみてはいかがでしょうか。
家庭犬訓練士を目指すために、まずどんな学習方法や訓練方法が自分自身に適しているかを考えてみましょう。学校・講座を希望する場合は、パンフレットなどをチェックしてみてください。無料で簡単に資料請求ができる場合も多いので、積極的にまずは情報を取り入れましょう。
家庭犬訓練士の資格
家庭犬訓練士の講座や資格は、犬に関係する仕事に就きたい場合にはもちろん、愛犬のしつけに対する知識や飼い主としての心構えを学びたい方のためにもぴったりのものです。
講座には、初級クラスからプロ向けのクラスまで、段階を経て学べるカリキュラム方式が用いられます。犬のしつけに関して学びたい、また犬のことを詳しく知りたい、という方が受講することも可能だということですね。
訓練士を目指したい、犬に関する仕事をしたい、という方には以下の様な資格があるので紹介していきましょう。
◆JKC公認訓練士
JKCの公認資格の一つで、訓練士として働く上で最も知名度・信頼のある民間資格が「JKC公認訓練士」です。
資格取得をした方は訓練士と呼ばれ、犬のしつけを仕事とすることができるようになります。
家庭犬のしつけから、災害救助犬・警察犬・盲導犬・災害救助犬・麻薬探知犬・山岳救助犬・セラピードッグの育成など、様々な分野で訓練士という資格を活用することができるのです。
ちなみに、公認訓練士は技術・経験のレベルに応じて以下の6種類の階級に分かれており、階級ごとに登録料も違います。
●訓練凖士補
●訓練士補
●訓練連士
●訓練教士
●訓練範士
●訓練師範
全ての公認訓練士の資格取得には、JKCの会員になり最低1年以上が経過している必要があるので、資格取得のための費用として入会金や継続金なども発生することを覚えておきましょう。また、階級によっても受験資格の内容が違うため、事前にしっかりチェックしておく必要があります。
試験科目は、訓練凖士補・訓練連士・訓練教士・訓練範士が筆記試験のみ、訓練士補は学科試験と訓練実技試験という内容となっています。
◆家庭犬しつけインストラクター
犬を直接訓練するものではなく、飼い主にしつけ・トレーニングの仕方を指導するノウハウをもった指導者を認定するものです。
日本動物病院福祉協会が実施しています。
ヒューマン・アニマル・ボンド(人と動物との絆)の理念に基づいた、適切な犬のしつけ方を飼い主に指導するための知識・技術を身に付けていること、加えてこれらのスキルを活かして地域における核となり、犬のしつけ方の普及に努めること、社会貢献に努める者を、JAHA認定家庭犬しつけインストラクターとして認定しているそうです。「褒めてしつける」方法を主体とし、科学的で犬に優しいしつけ方を飼い主に指導するプロフェッショナルを目指します。
資格取得までの流れは、以下の様な内容になっています。
①犬のしつけ方講座ベーシックコース(4回)を受講
②7ステップで実施するインストラクター養成コースを受講
③トレーニングスキル・ハンドリングスキルなどを学び、小論文・面接による修了試験に合格
◆愛玩動物飼養管理士
「動物の愛護及び管理に関する法律」の趣旨に基づいて、愛玩動物(ペット)の愛護及び、適正飼養管理の普及啓発活動などを行うための知識や技能を、公益社団法人日本愛玩動物協会の通信教育によって体系的に修めて所定の試験に合格し、協会によって認定登録された者を愛玩動物飼養管理士といいます。
動物関係法令・人と動物の関係学・動物の疾病予防・管理士の社会活動・各種動物の飼養管理・犬猫のしつけ等の知識を体系的に習得し普及する指導員を養成するために、設置された認定制度だそうです。
この制度の受講者は、ペットショップや動物病院に勤務されている方から、OL・サラリーマン・主婦・学生、ペットシッターや動物担当の公務員などと、とても多彩です。有資格者の多くは、各職場での日常業務はもちろん、地域でのボランティア活動でも活躍しているそうですよ。
またこの資格は動物取扱責任者の選任要件の内、動物関係の資格の一つとして、国や多くの自治体からも認められているのです。ちなみに動物取扱責任者とは、獣医師・愛玩動物看護師・半年以上の実務経験と所定の学校の卒業・半年以上の実務経験と所定の資格等の取得、のいずれかであり、愛玩動物飼養管理士は「所定の資格等」に多くの場合当てはまると考えられています。
資格には1級と2級があり、いずれも教育期間は6ヶ月以上です。主な試験概要は以下の通りとなっています。
・1級…2級愛玩動物飼養管理士の有資格者(認定を受けた者)
・2級…満15歳以上の者(該当年度の4/1時点)
◎受講料・受験料
・1級…34,000円 ・2級…32,000円
◎認定登録料
・1級…20,000円 ・2級…8,000円
どういう人が家庭犬訓練士に向いている?
愛犬家の方にはぴったりだといえる家庭犬訓練士ですが、資格取得までに学ぶことは沢山あります。
犬に教えることに限らず、犬の行動学・健康についての知識も必要不可欠なのです。さらに、犬の気持ちを汲み取るための想像力、飼い主さんとの円滑な関係を築くためのコミュニケーション能力も必須でしょう。
飼い主さんと愛犬が楽しく生活を送るために役立つことはもちろん、社会にも役立つ重要な仕事ともいえる家庭犬訓練士。責任感があり、行動力と優しさを兼ね備えている方に向いている仕事だといえるかもしれません。
まとめ
家庭犬訓練士とは、犬のトレーニングに限らず、犬を飼う上での基本的な知識・マナーを飼い主さんに伝える役目をもつ仕事です。「飼い主と飼い犬」そして「社会との間」を結ぶ橋渡し役でもある、重要なポジションだといえるでしょう。
しつけ教室・老犬施設・ペットサロン・ペットホテル・ドッグカフェ・ペットシッターなど、犬と関わる様々な仕事が、家庭犬訓練士の活躍の場となります。
紹介してきた通り、資格取得の方法にも選択肢があるので、家庭犬訓練士を目指したいと考えている方は、まず情報を集めてみてください。資格教材や受講料も講座によって違いがあります。資格取得までの期間や費用が税込の値段がどうかなど、長い目でみて自分に適したものかを判断してくださいね。
ちなみに独立開業するために必要な「動物取扱責任者」への登録サポートを行っている講座もあるそうですよ。
大好きな犬と関わる仕事がしたい!と考えている方は、ぜひ、家庭犬訓練士を選択肢に入れてみてくださいね。
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