1.犬を捨てる理由
1-1.引っ越し先に連れていけない
1-2.家族が犬アレルギーになった
1-3.世話ができなくなった
1-4.飼い主が病気や亡くなるなど飼育困難になった
1-5.繁殖で頭数が増えすぎてしまった
1-6.犬のしつけがしきれなかった
3.万が一犬を飼えなくなってしまったら
3-2.本当に飼えないのか今一度考える
3-3.譲渡先を見つける
3-4.里親募集に出す
犬を捨てる理由
愛犬を捨てる行為は、本来決して許されることではありません。愛犬家の皆さんの中にも、どのような理由であれ怒りを感じる、という方も多いでしょう。
犬を捨てるという決断に至る人は、どんな考えからそのような残念な結果を招いてしまったのでしょうか。
ひと昔前、捨て犬が野良犬化する現象が後を絶たない時代がありました。その頃に比べると、現在保健所に連れてこられる、いわゆる捨て犬は格段に減少してはいます。
日本国内で動物愛護に対する姿勢が変わってきた結果ではありますが、それでも尚、現代において保健所に捨てられたり預けられる犬は3万頭をも超えているのです。
中には、無事に次の家族へ譲渡された犬も多いのですが、約7000頭は引き取り手が見つからないまま、最終的に殺処分の対象になってしまうという、非常に悲しく目を背けたくなる結末を迎えているそうです。
大切な命が身勝手な人間の行動によって殺されてしまう。このような恐ろしい現実が現在でも繰り替えされています。保健所で働く人たちの苦しい思いは計り知れません。
ではなぜ、一度家族として迎え入れた愛犬を捨てる人がいるのか、この様な残酷な事態が無くならないのか、強い疑問を感じますよね。
許しがたい行為であることに変わりはありませんが、犬を捨てる飼い主さんが抱える事情や理由は、正にさまざまです。一体どのような理由があるのか、一例を挙げていきましょう。
◆引っ越し先に連れていけない
家族の転勤などが理由で引っ越しを余儀なくされ、引っ越し先がペット不可物件であった、などという背景が犬を捨てる理由の一つです。とても無責任な話のように感じる方も多いでしょう。
まず引っ越しや転勤が想定される可能性があるのであれば、犬を飼うと決めた時点で解決策を考えておかなくてはいけません。
例えばロシアではアパートやマンションにペットに関する規制がありませんが、日本国内では住居によってペットに関するルールが敷かれています。これはほとんどの国民が知っている常識でしょう。
引っ越し先や転勤先をペットの飼える物件に限定して探すこと、それが叶わないのであれば、そうなった際に預けられる家族や友人がいるか確認し相談しておくことなど、飼い主さんの努力次第で犬を捨てずに済む方法はいくらでもあるのです。
犬を飼うのであれば、一時の感情ではなくその子の一生に対して責任を担わなくてはいけません。しっかりと計画をしてから、飼うことを決断しなくてはいけないのです。
◆家族が犬アレルギーになった
犬を飼ってから犬アレルギーを発症する方は珍しくありません。その症状の度合いによっては、愛犬とくらしていくのが難しい場合もあるでしょう。
しかしだからといって、犬を捨てていい理由にはなりません。これに関しても計画性の無さが露呈した問題だといえます。
元々アレルギー体質だったり、アレルギー発症の可能性を感じるのであれば、犬を飼う前に病院でアレルギー検査をまず受けてください。
犬を飼い始めてからアレルギーを発症し、一緒に生活するのが困難なレベルの症状になった場合は、責任をもって愛犬を幸せにしてくれる次の家族を探すことに尽力するべきでしょう。
◆世話ができなくなった
単純に犬の世話ができなくなったことが理由で、犬を捨てる人もいます。世話ができなくなった理由にもよりますが、これも大変身勝手で許しがたい行為です。
仕事や環境の変化、予想以上の出費で金銭面の工面ができなくなるなど、世話ができなくなる理由は様々ですが、中には努力もせずに愛犬を手放してしまう方もいます。
犬を飼育することに少しでも不安を感じるなら、犬を飼うことを諦めてください。また、犬を飼う前にその犬種の特徴や飼育方法などの情報をしっかり調べておくべきです。
知識もないのに犬を飼い始めて、それが大型犬だったために世話ができなくなった、というケースも実際にあります。子犬の頃は小さく力が弱くても、大型犬は2年もしない内にどんどん大きくなっていきますよね。
犬を飼うことは決して簡単なことではありません。最後まで面倒を見ることが飼い主の義務なのです。
止むを得ず世話をするのが困難になった方も中にはいるでしょう。しかしその場合も、里親を探したり保護団体や施設に相談するなど、最大限の努力をすることが必要です。
◆飼い主が病気や亡くなるなど飼育困難になった
飼い主さんが病気や怪我で長期入院を避けられなくなったり、亡くなってしまうなどの理由から飼育困難になったというケースもあります。
日本は高齢化社会が加速しているため、老齢となってから犬を飼い始める方も少なくありません。飼い主さんが高齢者だという家庭も増加しているでしょう。
犬種や健康状態にもよりますが、犬の寿命は一般的に14歳だといわれています。このことからも、犬を飼い始めるのに適した最後の年齢は60代だと考えられているのです。
飼い主さんと愛犬の両者が歳をとれば、老々介護の関係性となってしまうケースも多いでしょう。
また、飼い主さん自身の高齢化ではなく、両親などが認知症を発症したり、要介護状態になり、愛犬の世話ができなくなるという場合も実際にあります。
介護は想像以上に過酷であり、時間的にも金銭的にも大きな負担が家族全体にのしかかるでしょう。これが原因で愛犬の世話ができなくなり、保健所へ連れていく判断をされてしまう犬も中にはいるのです。
◆繁殖で頭数が増えすぎてしまった
飼い犬の想定外の繁殖によって世話ができずに、飼育放棄されるケースがあります。去勢・避妊手術などをせずに無責任な飼い方をし、家族関係を勝手に破棄されてしまう犬たちが実際にいるのです。
誤った飼育方法によって起こる多頭飼育崩壊は、過去にも何度も取り上げられているペットに関する大きな問題の一つだといえるでしょう。
また、メディアなどでも頻繁に問題視されている、悪徳ブリーダーのニュースなどを目にしたことのある方も多いと思います。代表者によって子犬や子猫たちが、満足な生活を送れないまま飼育放棄されてしまうケースが未だに後を絶ちません。このような痛ましい事件を耳にするたび、とても辛い気持ちになりますね。
◆犬のしつけがしきれなかった
身勝手極まりない理由ですが、愛犬のしつけができないから捨てるという選択肢にいたる方が意外と多いです。
犬を迎え入れた後しつけが上手くできず、無駄吠えや問題行動に耐えかねて保健所に収容してもらう、といったあまりにも残念なケースが無くならないのです。
犬のしつけは簡単ではありませんし、性格も個々に違います。確かに苦労する場合は多いですが、家族として迎え入れ、その子の運命を握ったも同然の飼い主さんが、簡単にそのような決断を下すことが残念でなりません。
お互いが幸せに暮らせるように努力するのが、飼い主さんの責任です。しつけが難しければドッグスクールなどを探し、プロのトレーナーさんに相談してください。その分費用は掛かりますが、そのリスクさえも犬を飼う前に想定しておかなくてはいけません。決して、安易に犬を飼い始めてはいけないのです。
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犬を捨てることは犯罪
ペットを捨てることを軽々しく考えている方がいますが、これは立派な犯罪なのです。
自治体にもよりますが、動物の愛護及び管理に関する法律違反で、以下のような処罰が下されます。
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・愛護動物を捨てること…1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・愛護動物をみだりに殺したり傷付けること…5年以下の懲役または500万円以下の罰金
・愛護動物への虐待…1年以下の懲役または100万円いかの罰金
なお虐待とは、傷害に至らない程度の暴行を加える、給餌もしくは給水を止める、適正を欠く飼養密度で飼養し衰弱させる、排泄物の堆積した施設等で飼養する、ことなどを指します。
◆終生飼育は飼い主の義務
全ての動物の飼い主には、動物を正しく飼うこと、愛情をもって扱うこと、また最後まできちんと飼うという責任をもつことが必要不可欠です。
飼えなくなったからと安易にペットを捨てることが、動物を危険に晒す上に、飢え・乾きなどの苦痛を与えることに繋がります。例えば、それまで室内で暮らしていた犬が野外へ突然捨てられてしまえば迷子となり、交通事故に合う可能性も高いですし、11月などの寒い時期が始まる頃に捨てられた場合はすぐに命が危険に晒されてしまいますよね。また近隣住民にも多大な迷惑をかけることにもなるでしょう。
近年日本では、自然に生息していなかった外来生物が野外に放たれたことで、農業被害や生態系破壊の原因となり、大きな社会問題となっていますよね。いわゆる外来種と呼ばれる動植物が増加傾向にある根本的な理由の一つとして、ペットの飼育放棄なども挙げられているのです。
一度家族として迎え入れた命を、絶対に軽視しないでください。最期の時まで世話ができるかを、事前にしっかり考えて計画を練り、家族全員で様々なリスクまでをも想定して確認をし合うことが重要なポイントです。
万が一犬を飼えなくなってしまったら
犬を捨てる人の理由は様々です。しかし、それはお伝えしてきた通り決してあってはならないことです。
万が一、愛犬を手放さなくてはいけない状況になっても、無責任に野外へ捨てるなどという行為を絶対に行わないでください。
飼い主として責任をもって最期までお世話をするのが当たり前のことですが、それが成せないのであれば、せめて愛犬がその後を幸せに暮らせるように出来る限りの努力をするのです。
対処法としていくつかを紹介しますので、参考にしてみてください。
◆本当に飼えないのか今一度考える
愛犬の飼育継続が難しい状況に陥った時、もう一度、本当に飼い続けることができないか考えてみましょう。
例えば飼い主さんが老人ホーム・介護施設などへ入所せざるを得ない場合には、ペットと暮らせる施設がないか探してみてください。近年ではアニマルセラピーの効果も期待されており、ペットへの理解が進んでいる施設もあるのです。
愛犬の医療費が問題になっているのであれば、まずは一人で悩まず相談することが大切でしょう。費用の交渉に応じてくれる可能性もゼロではありません。
そしてペットに介護が必要となった場合は、仕事の間だけ一時預かりをしてくれるペットホーム・ペットシッターなどを探してみましょう。ペットの介護に知識のあるプロにお願いできるので、安心して預けることができます。
◆譲渡先を見つける
どんな理由であれ愛犬を飼えなくなった場合は、幸せにしてくれる新たな家族を見つけてあげてください。
家族や親戚、友人など、飼い主さんが信頼をおける関係性の人に相談してみましょう。
その相談相手が引き取ってくれる可能性もありますし、そこからさらに周囲へ話が広がることで、愛犬の譲渡先が見つかるかもしれません。飼い主さんとしても、知らない人よりも知っている人に里親になってもらえれば安心でしょう。
◆里親募集に出す
動物愛護センターに相談したり、保護団体などを通じて里親を探す方法もあります。ボランティア団体では自分たちのサイトを利用して里親募集の呼びかけや、譲渡会などのイベントも行っています。身近に里親となってくれる方や相談できる方がいない場合は、電話などで問い合わせをしてみてはいかがでしょうか。
また現代では、SNSなどを利用して自分で里親募集を行う方法もよく利用されています。拡散されれば多数の人に情報が行き渡りますので、早い段階で里親を見つけることができるかもしれません。ただし、詐欺・転売目的で声を掛けてくるユーザーがいることも事実です。この点に関しては、十分注意が必要でしょう。
里親を呼びかける場合は、しっかりと愛犬の性格や習慣などを記載・表示し、正直に伝えることが大切です。引き取り手が見つかった場合に、聞いていた内容と違うなどという理由からトラブルが起こることを予防できます。
新たな里親には、愛犬にとって親しみのある餌やおもちゃなど、またワクチン接種の記録・証明書などの今後必要となる情報もまとめて渡しましょう。
まとめ
犬を飼うということは最期まで面倒を見る責任をもつこと、家族として人生を共にするということです。
人間の勝手で、動物を不幸にすることは絶対に許されないことだということを肝に銘じておかなくてはいけません。
万が一飼えなくなったとしても、保健所へ連れていくのは最終手段だと考えてください。地域によって保護収容期間は2日や1週間だったり長期に渡る場合もありますが、ある一定期間が経過すればやむなく殺処分されてしまう恐れがあるのです。
どうしても飼育継続が困難な場合は、必ず次の家族を探すことに尽力してください。
近年ではコロナ禍によって再びペットブームがきており、ペットショップなどからペットを飼う人が急増しています。過去にはある犬種の人気ブームの後、捨て犬が増加する最悪の事態が起こった時代がありました。
一度家族として迎え入れた命に、どうか責任をもってください。
不幸なペットがこれ以上増えないよう、一人一人が命の重みを感じなくてはいけませんね。
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