【問題行動】愛犬が本気噛みをするのはなぜ?適切な対処は?

2022.06.08

【問題行動】愛犬が本気噛みをするのはなぜ?適切な対処は?

愛犬と一緒に暮らす中で「普段はとても良い子なのに、思わず声を上げてしまうほど強く噛まれてしまった・・・」なんて経験をした方も多いのではないでしょうか。かわいい愛犬に噛まれてしまうのはとてもショックなことですよね。実は、愛犬の本気噛みに悩む飼い主さんは少なくないんです。犬はなぜ飼い主さんを噛んでしまうのでしょうか?この記事では、本気噛みへの適切な対応をご紹介します。

犬が本気噛みをする理由

怒る犬

◆性格的に興奮しやすい

個体差はありますが、子犬や若齢の犬は特にエネルギッシュです。
それに加えて興奮しやすい性格の場合、犬自身でも力加減のコントロールが難しくなってしまうことがあるのです。

そもそも犬は、犬同士で生活する中で生後3か月ごろまでに遊び方や力加減をはじめとした犬社会のルールを学ぶと言われています。
たとえば、じゃれ合いの中で噛んだ相手が「キャン!」と声を上げれば「このくらいの力で噛むと痛いんだ」ということを学習するといった具合です。
これは「犬の社会化」と呼ばれ、その後のコミュニケーションにおいてとても重要な要素といわれています。
遊ぶのが大好きで、相手に対してポジティブな感情を持っていても、そういったルールを理解する機会のなかった犬は自分でも思いがけずに周囲を傷付けてしまうことがあるのです。

◆不快感がある

犬にとって人から不快な言動をされたとき、追い払う目的で噛むこともあります。たとえば、「縄張りに侵入された」「服を着させられた」など、犬が苦手としていることや嫌いなことを強いられたケースが考えられます。
このときに犬に対して「怖い」という感情を持ったり要求を受け入れてしまうと、犬は自分が上位であることを認められたと捉え、さらに本気噛みを繰り返すようになるという悪循環に陥ってしまいます。
噛むことで飼い主を制そうとする犬の多くは飼い主と正しい信頼関係が築けていないケースが多く、自分自身がリーダー=決定権があると思っている犬は噛むことで嫌なことを回避しようとするのです。

◆疾病や怪我がある

身体のどこかに痛みがある場合、そこに触れられることを拒むために噛むこともあります。
これまで噛むことのなかった犬が急に噛むようになったとき、思わぬ疾病や怪我が見つかるケースも多いのです。

単に「痛いところに触られたくない」という理由以外にも、病気によって攻撃性が誘発されているケースもあります。
そのため、普段から犬の体調をよく観察することも重要です。

    ■例えば・・・■

    ・神経系の疾病がある場合⇒攻撃性が高まる傾向あり。
    ・認知症の場合⇒感情の起伏が激しく怒りっぽくなる。
    ・目・耳の機能が低下している場合⇒見えない・聞こえないという不安感。

◆恐怖心からの攻撃

恐怖心から自分を守るために噛んでしまうケースもあります。
この場合は過去のトラウマに起因することが多く、例えば「体罰をもって叱られた」「爪切りを失敗された」などの経験がある犬は、恐怖心からパニックになってしまい、なりふり構わずその状況から逃げ出そうとします。
それでも逃げ場がなかった場合、最終手段として攻撃に出てしまうのです。
ときには、トラウマの原因となったものを見ただけでパニックを起こしてしまう犬もいます。
特にこのケースでは、繰り返すことで犬にとって大きなストレスを与えることになることはいうまでもありません。


犬の甘噛みと本気噛みの違い

「痛いと感じない限りは本気噛みでない」とお考えの方も多いかと思いますが、実は甘噛みと本気噛みは本質的に違います。
本気噛みの場合、その多くが興奮・恐怖・不安からくるもので、後ずさって唸る・鼻にしわを寄せて歯を見せてくるなどの威嚇行為が伴います。
そのほとんどが「近づかないで」「触らないで」といった拒絶からくる反応なので、好意や遊びの延長線上にある甘噛みとはまったく異なるものなのです。
犬の歯は鋭く、ときには縫うほどの大怪我を負う危険性があります。本気嚙みの場合は一刻も早く正しい対処が必要になります。

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子犬らしさとも言える甘噛みという行為。子犬の甘噛みならぜんぜん痛くないので、つい噛ませてしまうという飼い主さんもいるでしょう。しかしその行動、もしかすると成犬になっても噛み癖が治らない要因になるかもしれません。

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犬の本気噛みをやめさせる方法

◆噛む状況を把握すること

まず飼い主がすべきことは、犬がどういった条件下で本気噛みをするのかをよく観察することです。
遊びがヒートアップしたとき、身体の特定の部位に触ろうとしたとき、あるいはシャンプー中など、どのような状況で/どのような刺激があったときに本気噛みをしてしまうのか把握することで、原因の究明と適切な対応につながります。
「おやつが欲しい」「遊んでほしい」といった要求を通すために噛む場合には毅然とした態度で無視しましょう。
また、興奮しすぎないタイミングで遊びを切り上げてクールダウンさせる、ケージに縄張り意識を持っており近寄ると噛みつくような場合はケージの位置を変えるなど、本気噛みのトリガーとなる原因を可能な限り排除するのも効果的です。
このように、犬の嚙み癖は原因によって対処方法がさまざまなため、噛む状況を把握するのはとても重要なことなのです。

◆なるべく早めに対処をする

犬はとても賢い動物のため、噛むことにメリットを感じてしまうとそれを矯正するのは非常に厄介です。
噛んでも叱られなかった、あるいは噛むことで自分の思い通りの結果が得られたと認識した犬は、本気噛みを成功体験として定着させてしまい、さらに繰り返すようになってしまいます。
そのため早めの対処が非常に重要ですが、叱り方にもポイントがあります。
「噛んだ瞬間に叱る」ことです。
基本的に犬は、行動をした直後6秒以内に褒める/叱ると効果的であるといわれています。
これは犬の「数分前の日常的な出来事を記憶することが苦手」という特性上、数分前の出来事と褒められた/叱られた理由を紐づけることがむずかしいためです。
つまり、本気噛みをした直後以外のタイミングで叱ったとしても、犬は何を咎められているのか理解できず混乱してしまうだけなのです。

◆しつけ教室に行く

飼い主だけでは対処が不安な場合、しつけ教室などでプロのトレーナーを頼るのも選択肢の一つです。
特に成犬になるとしつけ直すのは非常にむずかしいといわれてます。どんなに愛情をもって接していても、一度覚えてしまった問題行動を矯正するのはプロにとっても至難の業なのです。
また、信頼関係の築き方や褒め方・叱り方などをレクチャーしてくれることもあります。これらはしつけの基本なので、嚙み癖だけでなくあらゆる問題行動に応用することができるので、愛犬との関係を見直す良いきっかけになるかもしれません。
ドッグトレーナーであればしっかりとした安全対策をとった上で犬の性格に合わせて柔軟に対応してくれるので、安心して任せることができるでしょう。


犬が本気噛みを続けると

本気噛み

◆周囲を巻き込むトラブルになる

犬はもともと狩猟本能をもった肉食動物です。噛むことが当たり前になってしまえば、傷付ける相手が飼い主だけとは限りません。
とくに、初対面の人や犬と接するなどの緊張している状態だと、飼い主でも予測できない行動をする場合があるのです。
2017年3月、また2020年3月にはそれぞれ乳幼児が大型犬に頭部を噛まれて死亡するという痛ましい事故が起きています。もしかすると、適切な対処ができていればこのような事故は防げたかもしれません。

「普段は良い子だから大丈夫」「ちょっと痛いだけだからまぁいいか」といった思い込みは大変危険です。

「うちの子に限って」という思い込みが、いつか周囲を巻き込んだ大きなトラブルに発展してしまうかもしれないのです。

◆飼い主と犬の信頼関係が崩れる

犬にとって嫌なことがあったとき、本気噛みをすることで飼い主が引き下がると認識しているケースがあります。
前述のとおり、本気噛みをする犬の態度に飼い主が屈してしまう度に「噛めば思い通りになる」という体験を重ねさせることになります。
これにより犬は自分自身を飼い主より上の立場に位置づけてしまい、飼い主の言うことをますますきかなくなるという悪循環に陥ってしまうのです。

飼い主との信頼関係が崩壊している犬は本気嚙み以外にも問題行動を起こしやすくなります。
犬が噛もうとしたときは、毅然とした態度で飼い主がリーダーであることを示すことが最も重要です。

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まとめ

今回は犬の本気噛みについて解説しました。
本気嚙みは、性格や原因によってどう対応するかが大きく左右される問題だということがお分かりいただけたと思います。
本気嚙みは飼い主さんだけでなく犬にとっても大きなストレスになっていることが多いのです。
これを改善するためには、どのケースにおいても犬と向き合い、よく観察し、適切に対処することが重要です。
愛犬に噛まれるのはとてもショックなことですが、適切な対応ができれば犬との絆はさらに深まり、より信頼してもらえるようになることでしょう。
一緒に過ごす大切な時間を、お互いにとって安全で安心できるものにしたいですね。



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