もやしは犬に与えても問題ない?期待できる効果や注意点は?

2022.10.01

もやしは犬に与えても問題ない?期待できる効果や注意点は?

低カロリーで低価格!季節を問わず簡単に手に入るもやしは、家計にも優しい人気野菜の一つですよね。シャキシャキとした食感が特徴的で、様々な料理に使うことができるとても魅力的な食材です。大人から子供まで支持を得ているこのもやし、犬にとってはどんな存在となるのでしょうか。含まれる栄養素やメリット、注意点や与え方について紹介していきますので、しっかりチェックして愛犬の食生活に活用してみてください。

犬にもやしを与えても良い?

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もやしは基本的には、犬に与えても問題のない野菜の一つに分類されます。
犬にとっても魅力的な成分を含んでいるので、上手に与えることで愛犬も、健康効果を得られることになるでしょう。
ただし、与え方や量にはやはり注意が必要です。与える際の注意点については後述しますので、ぜひ最後までチェックしてみてください。
まずは、もやしに含まれる栄養素にはどんなものがあるのか、紹介していきましょう。

◆もやしに含まれる主な成分

もやしの主な成分は水分で、その割合は約95%だといわれています。このため栄養価が高い食材とはいいがたいのですが、食物繊維・ビタミンB1・ビタミンB2・ビタミンC・カルシウム・カリウムなど、魅力的な栄養素が豊富に含まれています。
食品成分データベースによると、100gあたりのそれぞれの値は以下の通りです。

<もやし(生)100gあたり>
◎食物繊維…1.3g
◎ビタミンB1…0.04mg
◎ビタミンB2…0.05mg
◎ビタミンC…8mg
◎カルシウム…10mg
◎カリウム…69mg

カロリーが低いという点から、フードのかさ増しには最適な野菜で、体重を減らしたいワンちゃんにはおすすめの食材だといえるでしょう。ダイエットフードとしては、人間社会でもよく利用されている野菜の一つなので、愛犬と一緒にダイエット中!という飼い主さんの家庭では重宝すること間違いなしです。

◆期待できる効果

もやしに含まれる栄養素の中には犬の健康維持に効果をもたらすと考えられる成分が含まれています。
それぞれ見ていきましょう。

水分

体の機能を正常に保って健康を維持するために、水分は必要不可欠な成分です。
実際に犬の身体を構成している約60%は水分といわれており、体内には常に60%の水分が保たれていることがとても大切なのです。
特に暑い夏の時期は、体温を下げるためにも多くの水分を必要とします。愛犬が中々水分を摂らない状況が続けば、夏バテや熱中症など体調悪化の原因ともなるのです。
水を飲んでくれない時は、食べ物から水分を摂取させる方法が有効的なので、約95%が水分であるもやしは水分補給にもってこいの食材となるでしょう。
ちなみに犬が一日に必要とする水分量は、体重の5~7%といわれています。
わんちゃんの首・肩のあたりの皮下脂肪を手で掴んで放した際に、つまんだ皮膚が中々元の状態に戻らない場合は、脱水状態に陥っている可能性があるでしょう。また、歯茎を指押してすぐにピンク色に戻らない場合も要注意のサインです。これらを目安として覚えておいてください。
子犬や老犬は脱水状態が原因で命に関わる危険も考えられます。水分補給をこまめにするように心がけてくださいね。

食物繊維

食物繊維には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類があり、それぞれ以下の役割をもっています。

●水溶性食物繊維
糖質の吸収を緩やかにして食後の血糖値の急激な上昇を抑えたり、コレステロールを排出する。

●不溶性食物繊維
腸内で水分を吸って大きく膨らみ、便の量を増やすことで腸を刺激して排便を促す。

もやしにはこれら2種類の食物繊維が含まれているのですが、特に多いのは不溶性食物繊維だそうです。その量は、水溶性食物繊維の約10倍にも達します。普段から便秘気味で困っているワンちゃんの場合、もやしを食べることで便通が改善される可能性があるでしょう。

ミネラル(カリウム・カルシウム)

もやしには、カリウム、カルシウムなどのミネラル類も豊富に含まれています。
カルシウムは、筋肉をスムーズに動かす(筋肉の収縮・弛緩)のに必要な栄養素であり、骨・歯の健康を保つのにも欠かせないものです。普段から総合栄養食であるドッグフードを適量、主食として与えていれば、カルシウム不足になることはほとんどないのですが、カルシウム不足を感じる場合はもやしで補ってはいかがでしょうか。
また、もやしに含まれるミネラルの中で最も多いカリウムは、筋肉・神経の働きを円滑にする作用、血圧をコントロールする働きをもっています。更に利尿作用もあるので、体内の塩分・水分量を調節して、老廃物を体外に出す役割を担っているのです。加えて代謝を挙げる作用もあり、脂肪燃焼が促されます。
食物繊維との相乗効果によるデトックスや脂肪燃焼で、ダイエット効果も期待できるでしょう。

アミノ酸(アスパラギン酸)

アスパラギン酸とは、犬の体内でたんぱく質を構成するアミノ酸です。体内でエネルギー生産をサポートし、乳酸の分解を促すことで、疲労回復に効果をもたらすといわれています。
ちなみにアスパラギン酸という名前は、アスパラガスに多く含まれていることが由来して付けられたそうですよ。
もやしには原料になる豆によって、大豆もやし・緑豆もやし・ブラックマッペもやし、といった種類がありますが、いずれのもやしにもアスパラギン酸が含まれています。

ビタミンC

ビタミンCには、コラーゲンの合成・鉄分の吸収促進・解毒やホルモン代謝のサポート・活性酸素を除去する抗酸化作用があります。
皮膚・被毛を健康に保ち、免疫力を向上させ、病気になりにくい身体作りに役立ち、老化防止に効果を示すという、どれをとっても魅力的な栄養素といえるでしょう。
ちなみに、健康な犬は体内でブドウ糖からビタミンCを合成できるため、以前はビタミンCの摂取は不要だと考えられていました。しかし最近の研究で、犬にもビタミンC欠乏症があることが分かってきたのです。
健康な犬でも、5歳を過ぎればビタミンC合成能力が低下してくるともいわれているので、シニア犬などには特に積極的にビタミンCの補給を図ることがすすめられます。

さらにもやしには、細胞の生まれ変わりと成長をサポートする、葉酸というビタミンも含まれています。妊婦に良いとされサプリメントでもお馴染みの葉酸ですが、犬にとっても大切なビタミンの一つなので覚えておきましょう。

◆アレルギー

もやしは、大豆・青大豆・黒豆を発芽させたスプラウトですよね。そのため、元々大豆アレルギーを持っている子には注意が必要な食べ物となります。もやしを食べることで、アレルギー症状が起こる可能性が高いでしょう。
アレルギーによってみられる主な症状は、以下の通りです。

◎嘔吐する
◎便が緩くなったり、下痢をする
◎皮膚が赤くなったり、痒がる
◎目が充血する

食べてから数時間後にこのような症状がみられたら要注意です。すぐにもやしを与えるのをやめ、かかりつけの動物病院を受診して先生に相談しましょう。
また、大豆アレルギーの有無が分からない場合でも、以前に大豆類を食べた時に何らかの症状がみられたのであれば、もやしを与えるのは避けた方が無難です。
アレルギーはいつ発症するか予測のつかないものなので、初めて与える際には少量を与えて、愛犬の様子を観察してください。何も起こらず大丈夫そうであれば、もやしを摂取してもよいでしょう。

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もやしの与え方

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もやしは栄養豊富でダイエットにもおすすめの野菜ではありますが、与えすぎは体調不良の原因となります。
前述したように不溶性食物繊維が豊富なため、過剰摂取すると消化不良を起こしてしまう可能性があるのです。消化不良が起きると消化器官に負担がかかってしまい、嘔吐や食欲低下を招きます。
さらに水分も多いので、食べすぎることで下痢になりやすい、というデメリットもあることを忘れないようにしましょう。
元々お腹が弱い子やシニア犬の場合は特に消化不良を起こしやすいため、与える分量には十分注意しなくてはいけません。
愛犬にもやしを与える際には、1回の食事に20g程度が妥当だといわれています。しかし体重によっても数値は変化しますので、体重別の摂取可能目安を紹介していきましょう。
ただし、カロリー上の算出値ですし、個体差がありますので、あくまでも目安として参考にし、実際に愛犬の様子を見ながら適切量を図ってください。

<体重/1日あたりの摂取可能目安量>
◎小型犬(2~5kg)/125~249g
◎中型犬(6~15kg)/286~569g
◎大型犬(20~50kg)/706~1401g

※避妊・去勢済みの個体で、体重相応のおやつ(1日の総摂取カロリー目安の1割)として算出しています。

◆新鮮なもやし

新鮮なもやしであれば、生で与えても問題がないといわれています。この理由は、鮮度が良いもやしの場合ヒゲ根が出ていないためです。
もやしの根には繊維質が含まれているため、栄養的には問題なくても、繊維質が喉に引っ掛かってしまう恐れがあるのです。
購入したばかりのもやしでもヒゲ根が出ている場合はありますので、心配な方はよくチェックをして、調理の際には根の部分を切り取ると良いでしょう。
また、もやしは傷みやすく腐りやすい野菜でもあります。鮮度の管理には十分注意してくださいね。

◆加熱する

もやしには有害で中毒を起こすような成分が含まれていないので、上記の通り生で与えてもOKなのですが、日本では加熱して食べることを前提に生産されているため、与える際には加熱してから与えた方が安心だといえます。
ちなみに加熱する際は、茹でると栄養素が流れ出てしまうため、レンジを使用して加熱するのがコツですよ。レンジでチンするだけなので、簡単な一手間ですね。
そして加熱したもやしは、必ず細かく切ってから与えるようにしてください。消化されにくい野菜のため、便としてそのままの状態で出てくるケースが多いのです。便が連なって出にくい状態になることもあるので、愛犬にとって最適なサイズにしてから、トッピングやおやつ、手作りごはんとして利用してくださいね。


もやしを与える時の注意点

もやしに含まれる栄養素の中には、過剰に摂取することで体調不良の原因となるものがあります。特に持病を持っていたり、アレルギーをもつ子にとっては、もやしを与えることがデメリットなるケースがあるのです。
注意点について解説していきますので、愛犬にもやしを与える前にまず以下の項目をチェックしておきましょう。

◎過剰な不溶性食物繊維は便秘の原因になる
腸内環境を健康に保って正常な便通を維持するためには、水溶性食物繊維・不溶性食物繊維のバランスが大切です。不溶性食物繊維が圧倒的に多く含まれているもやしを食べすぎると、便が大きくなりすぎたり、固くなりすぎたりするため、かえって排便が困難になる状況を招く可能性があります。
適量であれば便通改善に効果的ですが、与えすぎると逆効果になってしまうので注意が必要です。

◎腎臓病の犬には要注意!
カリウムを過剰摂取してしまうと、高カリウム血症(血液中のカリウム濃度が上がる症状)を引き起こす恐れがあります。
血液中のカリウム値が高くなることで、四肢のしびれ・筋力低下・嘔吐・不整脈・頻脈などを発症する危険性があるのです。重篤な場合は、命を落としかねません。
腎臓病を患っている個体や、老化によって腎機能が衰えている老犬の場合、カリウムの排出が上手くできない可能性があるため、十分注意が必要となります。
また、心機能が低下していたり、心臓の治療を行っている(心臓について獣医師の指導を受けている)場合は、もやしを与える前に獣医師に相談した方が安全です。
もやしのカリウム含有量はそこまで高くありませんが、カリウムがもたらす身体への影響には個体差がありますので、血液検査や健康診断などを定期的に行うことがすすめられます。


体調を崩した時の対処法

もやしを与えた後で愛犬が体調を崩した場合は、すぐにもやしを与えるのをやめましょう。
気になる症状がみられる場合には、出来る限り早めに動物病院を受診してください。
犬の年齢や健康状態によっては、特定栄養素の過剰摂取に繋がる可能性もありますし、紹介してきたようにアレルギー発症のリスクもゼロではありません。
与えすぎは絶対にダメですが、愛犬が盗み食いなどで大量にもやしを摂取してしまうケースも起こり得るでしょう。その場合は、どれくらいの量を食べてしまったか、いつ頃食べたかなどの詳しい情報を、獣医師にしっかり伝えるのがポイントです。


まとめ

魅力的な栄養素含み、愛犬の健康維持やダイエットにも効果的なもやし。
過剰摂取によるデメリットをしっかり理解したうえで、上手に利用しながらご飯やおやつに役立てましょう。
もやしは低価格で手に入りやすいので、多めに買って人間用・犬用に調理しておそろいのメニューを簡単に作ることもできますね。ただし愛犬の食事には基本的に味付けをしないことを徹底しましょう。
もやしを使ったペット用レシピの記事もネット上には沢山ありますので、目次などを確認して愛犬が好きそうなレシピを探してみてください。
正しい方法で安心安全な食生活を目指し、愛犬の健康維持をサポートしましょう。



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壱子

壱子

子供の頃から犬が大好きです。現在はキャバリア4匹と賑やかな生活をしています。愛犬家の皆さんに役立つ情報を紹介しつつ、私自身も更に知識を深めていけたら思っています。よろしくお願いいたします!


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