犬に麦茶を与えてもいい?与えるときの注意点と与えてよいお茶、NGのお茶

2023.04.16

犬に麦茶を与えてもいい?与えるときの注意点と与えてよいお茶、NGのお茶

麦茶と言えば、夏の飲み物の定番ですね。麦茶の香ばしい匂いは犬にとっても魅力的なようで、飼い主さんが飲んでいると興味を持って近づいてくるワンちゃんも少なくないようです。でも、お茶は、犬に与えてはいけない飲料として知られていますね。麦茶を犬に与えても大丈夫なのか、気になるところです。今回は、犬に麦茶を与えることについて解説するとともに、犬に与えてよいお茶と与えてはいけないお茶もご紹介します。

犬に麦茶を与えても良い?

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結論から言えば、犬に麦茶を与えても基本的には問題ありません。
麦茶は、「茶」とついていても、大麦を砕いたものです。大麦には、カフェインやタンニンは含まれず、他に有害な成分もありません。
また、麦茶には糖が加えられていないので、肥満のリスクもない飲料と言えるでしょう。

◆麦茶に含まれる効果

麦茶は、99%が水分です。犬も麦茶の香ばしい匂いを好むため、水よりよく飲んでくれる場合もあり、水分補給に適していると言えます。

また、麦茶の原料である大麦には体を冷やす作用があり、熱中症の予防効果が期待されます。

その他、ミネラルやポリフェノールなど、さまざまな栄養素が含まれていて、健康効果も期待できる飲み物です。

カリウム

ミネラルのひとつで、細胞内液に多く存在しています。身体の調節機能を担っており、筋肉の収縮や塩分(ナトリウム)の排出などに関わる成分です。

また、カリウムには利尿作用があり、尿の排出とともに体内にこもる熱を放出する働きもあるため、熱中症予防の効果が期待されます。

リン

ミネラルのひとつで、骨や歯の形成に欠かせません。生体内では、カルシウムの次に多いミネラルです。

ポリフェノール

抗酸化物質の一種で、体内で発生する過剰な活性酸素を除去する作用があります。健康をサポートする効果や、アンチエイジング効果も期待されます。

アルキルピラジン

麦茶の香ばしさのもととなる成分です。
アルキルピラジン類を多く含んだ麦茶を飲んだ被験者は、血液流動性が高まったという研究報告もあります。
また、人においては、リラックス効果があることが明らかになっています。

◆麦茶を与えるメリット

香ばしい匂いから水よりもよく飲んでくれる場合があるので、水分補給に適しているほか、ミネラルが比較的多く含まれており、効率的にミネラルを摂取することができると期待されます。

また、近年の研究で、麦茶の成分に人の胃粘膜の保護作用があることが報告されており、犬でも同様の作用が期待できます。

アルキルピラジンの血流改善効果から、血管が詰まることで起きる脳梗塞や心筋梗塞の予防に役立つと考えられます。また、人と同様に、犬においてもリラックス効果を期待できるかもしれません。

◆アレルギー

麦茶の原料である大麦は、イネ科の植物です。イネ科の植物にアレルギーのある犬には、与えないでください。
また、同じイネ科の小麦には交差抗原性があるため、一層、注意が必要です。交差抗原性とは、ある物質に対してアレルギーがある場合に、似た性質を持つ物質でもアレルギー反応を起こすことです。ただ、小麦アレルギーの原因であるグルテンは、大麦には含まれていません。このため、過剰な心配は必要ないでしょう。

しかし、どのような食べ物でもアレルギーの原因となる可能性はあるため、初めて与える際にはごく少量にとどめ、アレルギー反応が出ないか、よく様子を観察してくださいね。

アレルギーの主な症状は、皮膚の赤みや発疹、痒み、下痢や嘔吐などです。アレルギー症状が出たら、早急に動物病院を受診してください。

アレルギー体質かどうか心配な場合には、動物病院でアレルギー検査を相談してみるのもおすすめです。


子犬やシニアに麦茶を与えても大丈夫なの?

麦茶には、子犬やシニア犬にとって有害な物質は含まれていないので、与えても特に問題はありません。
しかし、一度に大量の水分を与えると内臓に負担をかけてしまう可能性があります。内臓の機能が未発達な子犬や、衰えてきているシニア犬には、与え過ぎに注意が必要です。


麦茶の与え方

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麦茶を犬に与える際のポイントをまとめます。

◆常温のもの

人間は、麦茶を冷やして飲みますが、犬に冷えた麦茶を与えるのはNGです。冷たすぎる飲み物は、胃に負担をかけてしまいます。
犬に与えるときには、常温のものを与えましょう。

また、麦茶は、水より雑菌の繁殖が早く、腐りやすいです。麦茶を作る時には浄水器を通した浄水ではなく水道水を使い、愛犬が飲み終えたらすぐに片付けてください。

麦茶は、元々ミネラル成分を豊富に含んでいますが、市販の人用の麦茶の中には、ミネラル成分をさらに添加している商品があります。
ミネラル成分が添加されているものは、犬にとってはミネラルの過剰摂取から尿結石や尿血症を引き起こす可能性があります。

市販の人用の麦茶は、ミネラル成分無添加の商品を選びましょう。
今は犬用の麦茶も市販されています。犬用であれば、より安心して与えることができますよ。

◆最適な適量

犬に与える際の明確な基準はありませんが、最大でも1日コップ1杯程度にとどめましょう。
独特の風味を気に入ったワンちゃんは、普段飲む水の量以上に麦茶を欲しがる場合があります。一度に多量の水分を摂ると、胃腸など内臓に負担がかかり、下痢や嘔吐を引き起こすことがあります。

また、人間用に作った麦茶は、犬にとっては味が濃すぎます。水で2~3倍に薄めたものを与えてください。
愛犬に味の濃い麦茶を飲む習慣がつくと、味がついていない水を飲まなくなる可能性があります。

◆水分補給

散歩の時などの熱中症対策として水分補給をさせたい時に、麦茶を与えるとよく飲んでくれるかもしれません。
特に、普段あまり水を飲まないワンちゃんには、試してみるとよいでしょう。


麦茶以外に飲ませても良いお茶

麦茶の他にも、犬に飲ませてもよいお茶がありますので、ご紹介します。基本的には、カフェインやタンニンが含まれていないお茶です。

◆はと麦茶

はと麦茶は、ハトムギの実を、殻つきのまま焙煎して作るお茶です。

ハトムギの実には、漢方薬にも使われている「ヨクイニン」という成分が含まれています。ヨクイニンには、しみソバカス、肌荒れなどの肌の悩みを改善する効果や美白効果があります。
また、食物繊維が豊富に含まれているため、腸の動きをよくする効果もあると言われています。

◆黒豆茶

その名のとおり、黒豆(黒大豆)を原料とするお茶です。一般的には、黒豆を焙煎して作られるので、黒豆の自然な甘みとともに香ばしさも味わうことができます。

黒豆には、タンパク質やイソフラボンなど黄大豆の栄養成分に加えて、黒い見た目のもとである天然色素「アントシアニン」が豊富に含まれています。
アントシアニンとイソフラボンは、ポリフェノールの一種で、抗酸化作用があります。

黒豆茶には、高血圧の改善、便秘の改善、むくみの改善、血糖値の改善、血管の健康維持、肝機能の改善、冷え性の改善など多くの効果効能が期待できます。

冬の時期に、シニア犬に与えるのにおすすめのお茶です。体を温めつつ余分な水の排出を促すため、血の巡りを改善する働きがあると言われています。老化防止や滋養強壮にも、よいでしょう。

◆たんぽぽ茶

タンポポ茶は、タンポポ(キク科)の葉を乾燥させたものを煎って作ります。手作りもできますが、市販もされています。

タンポポ茶には、むくみの改善、冷え性の改善、疲労回復、不妊改善、生理痛や生理不順の改善、膀胱炎の改善、母乳の出をよくする、ダイエット、ホルモンバランスを整える、肝機能の向上など多くの効果効能があります。

ブタクサ、キク、マリーゴールドなど、キク科の植物にアレルギーがある場合、アレルギー症状を引き起こす可能性があります。

独特の苦みを抑えるため、市販のタンポポ茶には黒豆やルイボスなどをブレンドした商品が多いです。犬に与える場合には、原材料をチェックしてみてくださいね。

◆ミントティー

ミントティーは、ハーブの一種であるミントの葉をちぎって、熱湯を注いだものです。
ミントにはさまざまな香りのものがありますが、一般的にミントティーに使われるのはペパーミントが多いです。

ミントティーには、健胃作用、口臭予防、心身のリラックス、鎮痛作用、安眠効果、冷え性の改善などの効能が期待されます。


飲んではいけないお茶

逆に、犬が飲んではいけないお茶をご紹介しておきます。
基本的に、チャノキ(ツバキ科)の葉や茎を原料とするもので、カフェインやタンニンを含みます。

◆緑茶

緑茶は、チャノキの若芽を蒸気で蒸して、酸化酵素の働きを失わせて緑色を保たせたお茶のことです。発酵させていないため「不発酵茶」と言われ、煎茶や玉露、かぶせ茶、ほうじ茶も含めた日本茶全般を指します。
また、ジャスミン茶などの「中国茶」も基本的には、緑茶に分類されます。

◆紅茶

紅茶は、チャノキの若葉を摘み取り、萎凋(いちょう;摘んだ葉をしおらせること)・揉捻(揉捻;萎凋の終わった葉を40分程度かけて揉み潰すこと)・発酵・乾燥させて作ったお茶です。茶葉を抽出すると澄んだ赤茶色になるため、「紅茶」と呼ばれます。

◆ウーロン茶

ウーロン茶は、発酵を途中で止めた半発酵茶で、紅茶と緑茶の中間のお茶です。茶葉を抽出した液は、黄褐色をしています。
ウーロン茶(烏龍茶)という名前は、茶葉が烏のように黒く、龍のように曲がりくねっているからだとも言われています。

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犬に麦茶を与える時の注意点

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◆麦茶パックの誤飲に注意

麦茶パックを誤飲すると、消化できずに胃腸に詰まり、腸閉塞を引き起こす危険性があります。外科手術で取り出さなければならない場合も多く、最悪の場合、命にもかかわるため、注意が必要です。

麦茶のパックは、誤飲することがないよう、ワンちゃんの届かない場所に保管してくださいね。使用後のパックも、すみやかに蓋のあるゴミ箱に捨てるようにしましょう。

◆持病のある犬には与えない方がよい

麦茶はミネラルが豊富とはいえ、ほとんどが水分であるため、通常の量を与える分には問題はないでしょう。

しかし、適切な量に関しては、明確な指標や研究データがありません。尿石症や尿結石症を患っている、あるいは患ったことがある愛犬には与えない方が無難です。
また、腎臓病を患っている犬でリンを制限する必要がある場合にも、適正な量の明確な指標たないため、与えない方がよいでしょう。


まとめ

麦茶は、大麦の実を砕いて焙煎したものです。このため、カフェインやタンニンを含んでおらず、犬に与えることができます。

香ばしい匂いを好む犬も少なくなく、水よりよく飲んでくれる場合もあります。人間用の麦茶を2~3倍に薄めたものを常温で与えましょう。

しかし、一番良いのは、水で水分補給をすることです。麦茶は、たまに与える程度にしておいてくださいね。



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SHINO

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保護犬1頭と保護猫3匹が「同居人」。一番の関心事は、犬猫のことという「わんにゃんバカ」。健康に長生きしてもらって、一緒に楽しく暮らしたいと思っています。

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