【ドッグトレーナー監修】保護犬のしつけが難しいのはなぜ?理由としつけのポイントについてご紹介

2023.09.02

【ドッグトレーナー監修】保護犬のしつけが難しいのはなぜ?理由としつけのポイントについてご紹介

保護犬をお迎えしたが、しつけをなかなか覚えてくれない‥。と頭を抱える飼い主は多いと思います。なぜ保護犬のしつけは難しいのでしょう。本記事では、保護犬のしつけが難しい理由について詳しく解説していきます。保護犬を迎え入れたらまず教えておきたいしつけとしつけをする際のポイントも合わせてご紹介します。

保護犬のしつけが難しい理由

◆成犬になってからのお迎えが多いため

保護犬

保護犬の多くは成犬です。成犬の場合、保護されるまでに染みついた独自の習慣があります。

長年やってきたやり方を変えようと努力しても、以前の習慣はなかなか抜けてくれません。保護犬も新しいしつけをわざと覚えないのではなくなかなか前の習慣が抜けないのです。

よくあるのは、しつけを覚えたかな?くらいの時期の失敗です。怒らず落ち着いて対応しましょう。成犬の保護を迎え入れた時には、しつけは気長に根気強く、です。

犬のしつけは犬が何歳になっていても可能です。子犬より時間がかかるのは事実ですが、根気強く教えてあれば必ずしつけが入るときが来ます。頑張りましょう。

◆今までの経験で苦手なものがある

保護犬は何らかの理由で保護された犬ですので、それぞれ個々の過去があります。保護された理由で多いのは、元飼い主の飼育放棄、虐待などです。

飼育放棄や虐待を経験した犬は、人間を警戒します。人に心を開くまでには多くの時間が必要です。人を怖がっている時にしつけをしてもうまくいないでしょう。

飼育環境によっては、今までに散歩などしたことがないコもいます。狭いケージでずっと過ごしてきた犬などです。

このようなコは、犬同士の関わりも乏しく、社会経験が極端に少ないため、臆病な性格であることが多いです。生活音や飼い主のふとした動き、触り方を怖がります。

過去の経験によって、保護犬は個々に苦手なものがあります。しつけの前に苦手なものを克服することを優先させましょう。しつけは焦らず行うと成功率が高いです。

◆元野良犬の場合、自由に暮らしていたため

保護犬のなかには元飼い犬ではなく、野良犬だったコもたくさんいます。

野良犬の行動派にはとにかく自由です。野生の感覚を研ぎ澄まして生活しているので警戒心もとても強くなっています。なかなか保護するのも難しいです。

なんといっても野良犬は、制限無く自由に暮らしているため、保護された後の生活が窮屈です。

リードや首輪をまず嫌がります。そして人間と一緒に生活することには不慣れですので、決まった場所で寝る、排泄をするということにも慣れていません。

今までの自由な暮らしの感覚が抜けきるまではしつけをしてもなかなか覚えられないでしょう。

しかし、人との生活に慣れてくれば、しつけも入るようになります。根気強く教えてあげてください。


保護犬にまず教えたいしつけ(しつけの方法・しつけの必要性)

保護犬を迎え入れた際にまず教えたいしつけは3つあります。

◆トイレのしつけ

まず、保護犬を迎え入れたら教えたしつけは「トイレ」です。

犬にとってトイレを覚えるのは人間と生活するうえで欠かせません。

保護犬が成犬の場合、すでにトイレのしつけが入っているコもいます。そのようなコは新しい環境でもトイレを覚えるのにそれほど時間はかからないでしょう。

一方で、いままでにトイレをまったく覚えたことのないコもいます。成犬になってからのトイレのしつけは保護犬に限らず時間がかかります。

それでも1日でも早く覚えてもらえたら楽ですよね。
トイレのしつけの成功させるコツは、トイレを保護犬にとって心地よい場所にすることです。

リビングの端っこなど人の動線ではない場所にトイレを設置し、落ち着いて排泄できる環境を整えてあげましょう。

そしてできたら、褒めることが大事です。トイレで排泄がきちんとできたら、大げさに褒める、失敗しても叱らない、を徹底することがトイレのしつけのポイントです。

もしもトイレの失敗が続く時は、失敗する原因を探ってみましょう。飼い主が気づかないうちにトイレ環境が悪くなっているのかもしれません。

特に原因がわからずいつも同じ場所で失敗をする場合は、トイレの場所を保護犬が自分で決めたのかもしれません。その場所をトイレにしてあげても良いでしょう。

◆噛み癖のしつけ

保護犬のなかには噛み癖のあるコがいます。

子犬でも成犬でも甘噛みの場合は問題はないのですが、本気噛みをするコにはしつけをする必要があります。

成犬の鋭い歯で本気噛みをしてしまうと大ケガなどトラブルにつながります。いつ噛むかわからない犬相手では、飼い主も安心してお世話をすることができませんよね。

犬が「噛む」のは、犬本来の習性なので、悪いことではないのですが、人間と暮らすうえでは最低限のルールを守ってもらう必要があります。そのために噛み癖も早めに対応しておきたいのです。

噛み癖のしつけのポイントは、保護犬が噛む理由を知ることから始めることです。噛む理由が恐怖や警戒心からなら、まずは保護犬に安心感を与えることが必要です。

また、噛む犬の多くが、人間の手を怖がっています。過去にトラウマがあるのかもしれませんね。

そのようなコは、人の手は怖くないことをまずは教えてあげましょう。噛み癖も根気と時間が必要ですが諦めずに行いましょう。

◆吠え癖のしつけ

噛み癖と同じくらい、トラブルになるのが犬の吠え癖です。

保護された犬は、恐怖や警戒心から吠えてしまうコがいます。また、何か訴えるために吠えるコもいます。

どんな理由にしても、昼夜問わず犬の都合で吠えるのは好ましい行動ではありません。近隣の迷惑にもなりますし、飼い主も保護犬自身も気が休まらず負担が増えていきます。

例えば、インターフォンや車の音などが怖くて吠えているコは、パニック状態になっていることが多いので、大きな声で叱ると余計にパニックになり吠えてしまいます。

この場合は、吠えている間は無視。または、犬を落ち着かせるように部屋を移動させることがポイントです。刺激になっている対象物から犬を遠ざけましょう。

一方で、要求吠えの場合は絶対に飼い主が反応しないことがポイントです。

要求吠えをするコは、以前に吠えて訴えたら自分の希望が叶ったという成功体験があります。やめさせるには、吠えたときは犬の要求に応えないことが一番効果的です。

吠えても飼い主はなにもしてくれないのだと学び直してもらいましょう。こうすることで要求吠えの頻度は少しずつ軽減していきます。

犬のしつけで一番難しいといわれているのがこの吠え癖のしつけですが、他のしつけ同様に多くの時間をかければ必ず改善していきますので保護犬を信じて続けることが大事です。


保護犬のしつけをする際のポイント

保護犬のしつけ

◆まずは環境になれさせる

保護犬にしつけをする前に、まずは保護犬に新しい環境や家族に慣れてもらうことが大事です。なぜなら、保護犬は新たな環境に置かれ不安でいっぱいになっているからです。

緊張や不安が強い状態では、飼い主の指示はなかなか入りません。

まずは、新しい環境や家族になれてもらい、落ち着いてきたところで、改めてゆっくりしつけをしましょう。

◆苦手を克服するようにする

保護犬には個々に苦手なものがあります。

・人の手が苦手
・男性が苦手
・車の音が苦手
などさまざまです。

いきなり、トイレが大事だからトイレのしつけ!と飼い主が頑張りすぎても、あまり良い欠課になりませんので、苦手なものの克服からスタートしてみましょう。

◆その子の性格に合わせたしつけをする

しつけは焦って出来るようになるものではありません。保護犬の性格をよく吟味して始めることがポイントです。

臆病な性格のコであれば、保護犬自ら飼い主の近くまでくることを待ち、今いる環境は安心して過ごせる場所ということを教えてあげることが大事です。

不安や恐怖、警戒心が強い性格のコは、日常の音や声に敏感になります。

静かな落ち着ける場所を用意し、刺激となりそうなものは犬から遠ざけてみたり、環境を整えつつ、ゆっくりしつけに入ることも重要です。

◆無理をせず少しずつしつけをする

人間も1度で新しいルールを覚えることはできませんよね。保護犬も同じです。

しつけのよくあることは、できるようになったかなと思ったらまた出来なくなったりします。保護犬ではなくてもです。

成功と失敗を繰り返しながだんだん出来るようになっていきますので、気長にしつけを続けましょう。

しつけを特別な時間にしないことも重要です。保護犬とのコミュニケーションのひとつとして考えましょう。しつけを日常の一部として取り入れ、毎日少しずつ行っていくのがしつけ完了への近道です。

しつけに焦りは禁物です。保護犬だから難しいのではありません。ただ、保護犬はいろいろな過去や経験をしてきたコが多いので、しつけを覚える前に、いくつもの試練があり、多くの時間が必要なだけです。

保護犬だからと身構えずに、無理せず少しずつ行えば大丈夫です。飼い主が疲れてしまうときは、しつけのプロの力を借りるのも選択肢の一つです。

◆沢山褒めてあげる

保護犬がきちんとしつけ通りにできたら、沢山褒めてあげましょう。大げさなくらい褒めてあげるのがポイントです。

どんな犬も飼い主に褒められることが大好きです。

保護犬の中には過去の経験から大きな声や、高い声が苦手なコもいるので、個々に合わせた褒め方で沢山褒めてあげてくだい。

褒める時に時々おやつのご褒美があると、より保護犬はうれしくて、しつけの時間を喜んでくれますよ。


まとめ

保護犬は過去に、飼育放棄や虐待など、さまざまな過去を経験しているコが多いです。成犬になってからお迎えすることも多いので、しつけには時間がかかります。そのため、保護犬のしつけは難しいといわれてきました。

ですが、保護犬のしつけも普通の犬のしつけと変わりません。保護犬だからと気負いせず、保護犬を迎え入れたらまずは新しい環境と家族に慣れてもらい、苦手を克服させてあげるように関わっていくことがしつけのポイントです。無理のない範囲で少しずつ続けていきましょう。

※こちらの記事は、ドッグトレーナー監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  ペットの専門店コジマ
 藤平ドッグトレーナー

ペットの専門店コジマではワンちゃんのしつけでお困りの方に、年齢や状況でコースが選べるマナー教室をご用意しています。経験豊富な講師が飼い主様のお悩みを解決します。

講師をつとめる藤平奈大之は、犬のテーマパークにてドッグパフォーマーとして活躍。他にも出張トレーナーや動物の専門学校の講師、テレビやラジオなどの活動も経験し、現在はペットの専門店コジマ ドッグトレーナーとして「飼い主さまとワンちゃんとのライフスタイルや性格、能力に合わせたトレーニング方法」をスタイルに活動中!

https://pets-kojima.com/manner/

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kurokoppe

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今まで飼育したペットは、アヒル、ニワトリ、うさぎ、ハムスター、カメ、犬 と多種にわたります。飼育経験を生かしみなさまのペットに役立つ情報を正し く、わかりやすくお伝えしていきます。

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